似鳥鶏のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ23/12/23〜24/1/2
7月に『23春』、8月に『22秋』、10月に『22春』、今回12月に『23秋』。順番が入れ替わったりしたけど、やっと最新作に追いついた。『23春』だけ、あと4人分がまだ読めてないので、次はそれを。
今回の『23春』は、今まで読んだ3つと比べてとても読み応えがあり、楽しめた。
12/23〜12/27東川篤哉 ★★★
『どうして今夜の彼女は魅力的に映るんだろう』
『謎解きはディナーのあとで』以来。
おじさん作者らしいめんどくさい感じはあるものの、軽く読めて面白かった。トリックは想像通りだけど、まあ楽しく読めたのでよし。あるマイカの口調が楽しい。
12/27逸木裕 ★★★★★
『スプリット』
初読み作家さん。
才能を美醜で見分けられるスカウトマンの主人公。研ぎ澄まされた感覚で、粘り強くスカウトする姿が面白く、また主人公の成長物語でもあり、読後感がよかった。
回想シーンの入り方がわかりづらいため、読んでいて混乱した。回想シーンの会話は〈〉表記だと気付いてからはだいぶわかりやすくなった。
12/28長岡弘樹★
『笑う君影草』
初読み作家さん。
スズラン毒なことは、すぐに気付いた。
いじめられっ子が犯人なことはまあいいとして、
①いじめの解決策
②それにより本当にいないものとして見えなくなる
の2点が強引だと感じた。
①については、先生の悪手だと思うし、最後またそれを伝授しているのがダメだと思う。適切な関わりをしてほしかった。
②については、“いない人“が本当に見えなくなるってどんなホラーだよ、という感じ。お見舞いのシーンとか。
え、ホラー作家なのかな。ミステリーじゃなくて、ホラーミステリーなの?それならアリなのかも。私にとっては苦手な作品だった。
12/28似鳥鶏 ★★★
『名探偵名前が適当』
まあまあ楽しめた。いつも個性的なキャラが出てくる作家さんというイメージ。
12/29太田愛 ★★★★
『夏を刈る』
『22秋』の『鯉』は苦手だったけど、こちらは似たような作品ながら楽しめた。ドロドロ部分が少なかったからかな。中編作品を読んだような満足感だった。婚約者も兄もクズだなぁ。
1/2宮内悠介★★★★★
『最後のひと仕事』
面白かった。
結局、天才ではなかったのかもしれないけど、サイコっぽいなぁ。怖い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作の続きとして完結。探偵役の彼が卒業した後、どのような展開になるのかと思っていたが、基本的には探偵は出てくるんだな。もともと達観したキャラだったが、磨きがかかった。
それにしても伏線回収しまくった。前巻で感じたむずむずが今回もなくはなかったが、卒業式での物悲しさとは違ってちょっと春らしい雰囲気のせいか、ちょっと元気がでる。そしてそれ以上に伏線を回収していくさまに感動を覚えた。これぞ連作短編の良さ。
無理な設定もあるにはあるが、それが吹っ飛ぶくらいの読み応え。個人的にはここ数年で一番かもしれない。ちょっと過大評価だろうか。でも2巻にわけて、雰囲気を少し変えるなどもおそらく狙いだろうし、年末にいい作品を読めた。幸せ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本を読んで、なんだかいろいろ身につまされた感じ。何がというよりかは、全体に醸し出される雰囲気に。
こうした高校生・大学生が登場する小説をよく読むのは、灰色の高校生活だったことの代償行為なのかもしれないと常々感じるのだけど、なんとなく中二病的ななにかが働いている気もして、若干の痛々しさもなくはなく。
今回の作品は高校の卒業という、冬から春へ移ろうタイミング。その季節が持つ物悲しさ故だろう、「別れ」の話が多い。高校生の探偵ものという非日常な設定にも関わらず、高校時代の思い出のせいで、妙なリアリティがかぶさってくる。あぁもぞもぞする。
話としては一区切りがつくのか、卒業してしまった彼が今後どうなるのか。連作短編としての構成もかなりよかったので、次の展開が楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ピンボケパパ」
保育園が決まるまで育休延長となり、ハルは育休刑事から育休延長刑事となった。捜査一課の刑事として復帰するためには実績を上げなければならず、育休中でも捜査に引っ張り込まれている。
「子供を連れていると周囲の景色の解像度が上がる」(p33)とハルは云う。最初の事件では蓮くんが指さした本から犯人の動機が明らかになった。刑事だけなら見過ごしていたかも知れない「物証」だ。
前作の感想でエピソードゼロが読みたいなどと書いたが、「父親刑事」では途中まで蓮くん誕生のお話であることに全く気づかなかった。解像度の低いことである。
沙樹さんが産気づいた時、恐怖心からハルにメールを送った。捜査が大詰めを迎えた折にである。沙樹さんはそれを気遣い自らメールを削除した。自分の子供は幸い元気に生まれてきてくれたが、このときのハルの葛藤は痛いほど理解できた。価値判断の尺度を他人に預けてしまうと逡巡が生まれてしまう。自分にとって都合のよい根拠を並べて立ち向かうべき現実から目を逸らしてしまうのだ。結局「同僚」からの白眼視に耐え、ハルは沙樹さんに寄りそうことができた。自分にとって一番大切な物のために行動した。そんなハルに拍手を送りたい。
これまで上げた実績、関わってきた捜査員たちの支持もあってハルは育休延長刑事から晴れて時短刑事となった。(茶木刑事がハルの捜一復帰を支持したのは「吉野先生のご令弟だから」という理由もあったろうが)
シリーズはまだまだ続きそうで楽しみである。
蛇足ながらテレ朝ドラマ好きの解像度で気づいたツッコミをひとつ。
法医学者なら沢口靖子ではなく、若村麻由美である。
併せて読みたい
「ミステリと言う勿れ」/田村由美 -
Posted by ブクログ
三児の父なので、タイトルが気になって購入した。
蓮くんが可愛く、いいおじさんがニヤニヤしながら読んでいた。まあうちの子の方が可愛いですけどね。(親バカ)
本の紹介では「本格ミステリ」と紹介されていた。
確かにトリックの謎解きが中心ではあるのだけど、語り口は軽妙で諧謔的でもあり、その意味ではユーモアミステリのようだった。似鳥先生は同年代あるが、文章の端々にガンダムとかジブリのオマージュがあってクスリとさせられる。
一方で、育児をしていく上で制度的な難しさとか、男性が育児に関わっていくことに対する偏見とかも描かれていて社会派の要素も感じられた。
沙樹さんの正体では叙述トリックまで使われており、ミステリの面白さがてんこ盛りである。
3つの事件が扱われているが、いずれも赤ちゃんが解決の手がかりになっており、そのせいか全体的に平和な印象がある。
パパは子供のヒーローになりたいし、にっこり「パパ」とか云われたら泣いちゃうよね。
ハルと沙樹さんの馴れ初めや蓮くんの誕生の物語も気になり、エピソードゼロみたいな感じで書かれないかな~と思った。