似鳥鶏のレビュー一覧
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購入済み
巧みな構成
非常に構成が巧みである。冷静な第三者的視点から、問題の多い全寮制の高等学校の実態を描き出してゆく。章ごとに語り部が変わり、複数の視点で描き出す手法で、冷静平等な語りを表現している。特に冒頭部分を始め要所要所に挟まれる学園長のインタビューがとりわけ効果的である。作者似鳥鶏といえば、ラノベ風の軽い文体のものしか読んだことがなかったが、このような作品も書くことができるのだと認識を新たにした。
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Posted by ブクログ
ネタバレクラスの中心にいる男子とおなじ名字のせいで「じゃない方」と呼ばれる主人公。
趣味はクイズ。知らないものを知る、知識を増やし、体系化することで知識は無敵になる。
だが、それを一緒に楽しんでくれるのはやっぱり「じゃない方」な友達一人だけ。
「中心」の彼らに「それ、何か役に立つの?」と言われ、役に立たないからなんだとも言えず。
やりたいことも見つからない。かといって友達もいない。
予定のない高校二年17歳の夏休み。ただずるずると時間を過ごすだけ、と思っていたのに。
ミステリーや謎解きが好きな人間にとって、一番興奮する瞬間とは何だろうか?
それは謎が解けた時よりも、むしろ謎と出会ったときではないだ -
Posted by ブクログ
ネタバレ後編にして新しいキャラクターが登場するので、これでちゃんと解決するのか?と心配になるが、全てがパタパタと収まるところに収まる最終盤は読んでいて気持ちよかった。
難を云うと、シリーズ後半はすっかり伊神さんが主人公になってしまったが、最初はそんな感じの登場でもなかったので、脳内でのビジュアルがかなりもっさり系男子高校生で設定されてしまっていて補正が大変だった。可憐な美少女?という感じで想像していた渡会千尋ちゃんはストーカー化しちゃうし。
このシリーズはこの先も続くのかー、どうしようかなあ、読むならかって読む?と迷う程度には面白かった。買うかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレついに読んでしまった。
読んでしまうのはもったいないという理由でずっと先延ばしにしてしまっていたが、やはりそうするだけの面白さだった…。
誰かと本書のことについてぜひ話したいけれど、話す相手がおらず、そもそも友人も少ないなあと思って、何だか悲しくなってしまった。。。
ミステリとしては、いわゆる多重解決もののような要素があると思われた。作中作の中にも、それはそれで謎と解決編があり、構成としても、シリーズ中でも屈指の凝りようだと思った。
一方、このシリーズの魅力は登場人物たちの関係性によるところも大きいと思うが、その点でも大きく進展があった。私にとっては何といっても柳瀬さんと葉山君がどうなったのか -
購入済み
生々しい
人間の支配と暴力に纏わる加害者、被害者それぞれの行動や心理がリアルで生々しい。
人間って恐いなと思った。
石松くんの「友達は1人しかいません」発言が唯一救われた。