あらすじ
犯人はあなた。
名探偵がそう決めました。
裁判中継が国民的娯楽に!?
真実なき時代のモキュメンタル・ミステリ!!
裁判の生中継番組が一大エンターテイメントとなり、「名探偵」が活躍するようになった社会。
法学部生の僕はじいちゃんと裁判中継を観ていた。
一瞬でトリックを暴く名探偵。有罪は確定。
しかし、じいちゃんは言う。
名探偵の推理は間違っている。
凄腕の探偵だったじいちゃんは法廷でかつての弟子と推理対決をすることに――。
論理(ロジック)の刃は、空気で決まる“真実(フェイク)”を切り裂くか?
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だいぶ突飛な設定のはずだけど、SNSでのさまざな出来事の私刑化見てると有り得なくもない未来だな〜と思わせられる…。
前半の世界観の説明がちょっと長めかな?とも思えるけど、似鳥鶏先生の描く気持ちの良いキャラたちが施設で和気あいあいとしてる様子を楽しめるので良い。物語前半モニターの向こうの番組だった裁判が身近な人のピンチとして現実的なものとなり、緊張感を増す主人公たち。
色々な人の思惑が絡みながら最後は大団円となるので、読後感の良い作品でした。
しかしラーメン探偵は果たしてどんな人物だったのか…。
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裁判のエンタメ化が全国的に席巻し、ミステリドラマ風の台本通りに名探偵もどきが解決するという。検察も裁判所もTVショーの流れの立ち位置にいて、有罪判決をする。始めは軽いと思ってたが読むにつれて、奥深い怖さに気付く。着地も良かった。
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裁判がエンタメ化!殺人事件の犯人は指名され、台本をもとにカメラの前で名探偵によりトリックが暴かれる。事実でなくても、みんなが納得すればそれが真実。そんなバカな!?と思いつつも、今の風潮をあらわしてて一概に否定も出来ず。
元名探偵のじぃちゃんが歪んだ世界に切り込んでいく過程はドキドキしながらも爽快で面白い。
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大どんでん返しを望む方にはこの本は向いてないかもしれませんが、推理の根本という面では勉強になるところがあります。
ミステリというジャンルの中でもこの本は少し特殊で犯人を探すっていうことに着目を置かないのでその点では新しいジャンルだなと感じました。
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名探偵が犯人を決める。それが例え違っていても、エンターテイメントとして裁判が生中継される世の中では、まかり通ってしまう…
司法が根底から覆させられる世の中にゾッとしましたが、犯人にされた人も執行猶予が付く上に芸能界デビューなどうまみもあると、控訴しない。サスペンスドラマみたいな理屈が法廷で繰り広げられて、それに真っ向から否定しようとする名探偵の師匠。
中々無い切り口が、似鳥ワールドって感じでした。
本当の孫じゃないけど、名探偵の師匠と一緒に奔走する悠人の法学部に入ったキッカケになった友達と再会出来たのは嬉しかったです。
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裁判がCase Documentary(略称CD)というエンタメとして消費されるようになった世界が舞台の小説。証拠主義や推定無罪はどこへやら、空気や民意で判決が決まる世界はほぼディストピアSFの味わい。そして陰謀論や“正義” が蔓延する今のSNS時代において絵空事には全く思えないのが恐ろしい。テレビドラマの『リーガルハイ』シーズン2でも描かれたテーマ。あと本編のタッチから打って変わってなぜか筒井康隆を引用するあとがきも面白かったw
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実社会でも「空気で決める」ということは本当によくある
それを覆したいと思ったとしても、行動に移すのは難しい…良くも悪くも空気に飲み込まれやすいなと実感
読みやすい文体ながら、現代の抱える問題を一緒に考えさせられました
本編には大きく関わらないけれど「外来語の語義が本質から外れる」現象について、確かに!となりました
具体例が秀逸
そして相変わらずあとがきが面白い
エッセイまだかな( ¨̮ )笑
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倫理観を欠如すればそのまま現実になってもおかしくはないと思えるような娯楽番組。
大衆は絵になってストーリーがあれば、責任なんて取りはしない。探偵が解決してくれるのは物語の中だけだ。
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最初はコメディーかと思ったけど、奥の深い話だった。言いたいことはわかる。
ただ今の若者にとっては、テレビってそこまで魅力的じゃないよね。現実的ではなかったかな。
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刑事事件の裁判がテレビ中継され、犯人も台本で決まっている世界。
キーワードでわかった気分になり、みんなが口にして、世の中全体があっちへ流れこっちへ流れ……
と簡単に思われたら癪だと怒ろう。
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法学部に通っているからか、祖母がすすめてきたので。
憲法の授業で裁判について学んだばかりということもあり、そんなことがありうるのかと思うような設定でした。
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確か、少し前の新聞の書評で見たのだったと思う。
なんで読もうと思ったんだっけ?というくらい、久しぶりにいわゆるエンタテインメントのミステリを読んだ。ここんとこ、ずっとご無沙汰してた類いの小説。
まあ、荒唐無稽と言ってしまえばそれまでだし、正直、蘊蓄っぽい注釈も少々鼻につく感じだし、あまりにも非現実的過ぎてちょっと引くところもなきにしもあらずだけど、こういう衆愚さが今の世の中にないとは言えないな、と思うとちょっと怖くもある。
そう言いながらも、読みやすさも手伝って後半は一気読み。
単純に楽しみたい読書にはうってつけかも。
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王様のブランチで紹介されていて、裁判中継がエンタメになり裁判で『名探偵』が活躍するという設定が面白そうだったので読んでみることに。
大学の法学部に通う悠人と、じいちゃんと呼んで慕っている元探偵の芳川。たまたま観たCD(Case Documentary)と呼ばれる裁判中継番組で、『名探偵』が犯人のトリックを暴き有罪が確定。しかし、じいちゃんは断言する。『名探偵』の推理は間違いであると…
名探偵vs名探偵的な感じで、推理合戦を期待していたけど、ちょっと思っていたのとは違った。あと、CDの設定について、個人的にはあり得ないと感じ、物語に入り込めなかった。でも、読後感は悪くなかったのでよかった。
印象に残ったエピソードを2つ。
大岡越前の有名なエピソードが出てくるけど、じいちゃんの説明を受けてハッとさせられた。確かにそうだよな〜
登場人物の内海が10歳の時の宇宙飛行士との会話。内海少年の「Can I become an astronaut?」 この質問に対して、宇宙飛行士は内海少年の目を見て、はっきりと「Yes,you can.」 胸熱。
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著者は、軽い筆致で、重いテーマをぶちこんでくる。これも諷刺だろう。現実と重ねて読むのがつらくなる。
もちろんエンタメだから気持ちよく終わるのだけれども、読後感は苦い。顔の見えない大衆の怖さ。それは大衆ですらなく、ただ声の大きな人が作り出す空気かもしれないところが特に。
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この装丁が目を惹いた!
読み始めて、裁判の生中継に⁇となる。
確かに探偵が登場する推理小説ではあるが、エンタメ力が半端なくて、違和感ありまくり。
これどうなるの⁇と思っていたが、凄腕の元探偵のじいちゃんが、推理対決をして決着させたことですっきりする。
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殺人事件の裁判がTV放送されエンタメ化してしまい冤罪もありという社会で引退した探偵が真実を暴くというお話。架空の状況で理解して読み進めるのが難しかった。少し情景が思い浮かばなかった。
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※
初めての似鳥鶏さん本。
刑事訴訟の判決を裁判官が決めるのではなく、
法廷外の人々の民意に寄った方向に判決が傾いて
進んでしまう怖さを感じた物語。
その上、裁判が娯楽として社会で消費される
という発想が斬新でした。
内容は読み進めやすいのに、文字がページの
一面に詰まっているので、結構な具合に
目と頭を酷使する。
軽快なのに読み応えのある本でした。
Posted by ブクログ
なんてはちゃめちゃな世界だ!と思いながら読んだけど、おじいちゃんの推理が的確すぎて関心した。
ラーメン探偵やAV女優探偵など気になるワードがちょいちょい出てきてくすっとさせられた。
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裁判がエンターテインメントとして確立した社会という表現が面白そうと思い手を取りました。
私だったらこんな世界は絶対に嫌ですね!
最後はきっと、紺野くんに謝れたんでしょうね!
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こんなことが放送されるなんてことになったら、何が真実なのかわからなくなってしまいそう。それでなくても、テレビで事実だけ伝えてくれればいいのに、意見は不要と思うのに。
Posted by ブクログ
裁判がエンタメ化した世界。名探偵が登場して裁判で真犯人を告げて真犯人は自供する。情状酌量でとんでもなく軽い刑になり、犯人役は手記を出版したり別の事件番組に元犯人として出演したりしてアイドルデビューしたりもする。
エンタメ化が過ぎて殺人事件が発生すると、稚拙な推理で嘘の犯人をでっち上げて、台本まで出来てきた。
活躍する名探偵の師匠が老人ホームで見ていて更生させようと直談判するも効果なく。
老人ホームに見舞いによくきてくれる宇宙飛行士の卵の青年が冤罪をかけられ、立ち上がり劇場型で討伐する。
ーーー
「だが大岡越前は自分の思い込みだけでそう決めつけ、周囲も納得して拍手しちまった。『見事な説明』だったからだ。実際は根拠がないにもかかわらず、そういう立場の人間に、堂々と、意外で面白い説明をされたから納得しちまったんだ」じいちゃんはコーラのグラスを取った。「空気で決める、っていうのは、そういうことだ」