柚月裕子のレビュー一覧

  • 検事の信義

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     『佐方貞人』シリーズ4作目。4編からなる連作短編集。米崎地検検事時代の佐方を描く。

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     前半の2話で描かれるのは、「『起訴』と『真実の解明』が一筋縄ではいかない」という現実を、佐方が身を以て知ることになる話でした。
     人間は神ではなく、善良な市民のための落としどころを見いださなければならないときもあるのでしょう。そこは理解できます。

     後半の2話で描かれるのは「検察内部のメンツ」が絡む話でした。
     真実を解明し、事実に照らして起訴・求刑をすることが検察の務めのはずです。佐方はその信念のもと真っ当な裁きを貫きますが、先輩検事は佐方を非難します。
     まったくく

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    2021年12月21日
  • 検事の本懐

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     『佐方貞人』シリーズ2作目。5編からなる連作短編集。大藪春彦賞受賞作品。

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     本作での佐方は検事として米崎地検に配属されて1年という設定。

     高校時代の佐方を描く「恩を返す」、横領の罪に問われ獄中死した佐方の父・陽世の謎に迫る「本懐を知る」以外の3編は、佐方の検事としての佇まいを異なる側面から描いています。

     それも佐方に心の内を語らせることなく、各話の登場人物の目を通した佐方という人間の描写にすることで、却って主人公としての存在感を確固としたものにしていました。実にうまい手法だと思います。

     巻末が近づくと言いようもなく淋しくなります。そして、早く続編

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    2021年11月19日
  • 小説 孤狼の血 LEVEL2

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    原作・柚月裕子、映画脚本・池上純哉、ノベライズ・豊田美加『小説 孤狼の血 LEVEL2』角川文庫。

    映画『孤狼の血』のオリジナル続編映画『孤狼の血 LEVEL2』の脚本をベースにしたノベライズ小説。小説『孤狼の血』と『凶犬の眼』との間をつなぐ物語となっている。オリジナル映画のノベライズというと原作のイメージを損なうのではないかという懸念もあったのだが、そんなこともなく非常に面白い作品に仕上がっていた。

    広島の裏社会の暴走を食い止めていた呉原東署の刑事・大上が亡き後にその意思を継いだ若手刑事の日岡秀一は再び広島の裏社会に新たな抗争の火種が燻るのを感じた。日岡が壊滅状態に追い込んだ五十子会を復

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    2021年06月20日
  • 小説 孤狼の血 LEVEL2

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    本作は小説であるが、小説のシリーズ第1作を原案にした映画の“続篇”として企画制作された映画の脚本を下敷きにしながら起こした小説となっている。「映画の尺」という分量の物語を小説化しているので、読み易い分量の小説に纏まっている。
    『孤狼の血』のシリーズについては、映画を愉しく観たという経過が在り、小説の『孤狼の血』を読み、小説がシリーズ化されていたので第2作の『凶犬の眼』も読んだ。更に本の登場まで少し待った第3作の『暴虎の牙』も愉しく読んだ。
    映画も、3作の小説も知る“一ファン”と「映画の2本目が在るなら?」と考えれば、第3作の『暴虎の牙』を下敷きに脚本が創られるというようなことを予想した。が、そ

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    2021年06月19日
  • 凶犬の眼

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    正義から仁義へ

    主人公、日岡の前作での揺らぐ正義感が今作では正義から仁義へと揺るぎない心情がテンポ良く描かれ新登場のキャラクターも魅力的でした
    完結となる次作が非常に楽しみです。

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    2020年06月12日
  • もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。

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    NHKのネコメンタリー、チェックして見てました。
    でも保坂さんの回は見逃してました。
    その時を思い出してとても読みやすかったです。
    写真も多めで癒されました。
    作家さんも素敵な表情ばかりでした。

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    2019年05月19日
  • 猫が見ていた

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    ジャケットの猫の目にやられた猫アンソロジー。
    短編が7作並んでいるけど、気に入ったのは柚月裕子さんの「泣く猫」だな。猫が脇でいい仕事をする。
    あと、「100万回生きたねこ」が感動の書なのか、絶望の書なのかは深いテーマだ。
    最後の猫小説傑作選も、また読まなきゃいけない本を増やしてくれる。

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    2019年01月20日
  • 最後の証人

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    読後感すっきり

    かってな思い込みをうまく利用されてしまったが、すっきり面白く読めた。

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    2018年07月03日
  • 孤狼の血

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    若き日に見た 絵が浮かぶ

    呉 在住
    呉弁も 完璧
    内容も 違和感なく 感動ました。

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    2018年05月18日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    非常に映像的で読み始めると止まらない。この作品もきっと映画化するだろうなと思いつつ読んでたけど、すごく悲しい物語ではありますね。

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    2025年12月15日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    ただただ辛い。サスペンスで犯人にこんなにも感情移入してしまうとは。
    一度狂い始めた歯車はどうにもならなくて、なんでこんなことになってしまうの…と悲しくなってしまった。
    震災で失われた命、そして人によって奪われた命。
    「もう誰も死んで欲しくない」という言葉が重く響いた。

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    2025年12月13日
  • 臨床真理

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    柚木裕子さんのデビュー作。
    題名が臨床心理でなく臨床真理になってるのも頷ける。
    リアル感満載で本に吸い込まれてしまう面白さ。

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    2025年12月12日
  • 盤上の向日葵(上)

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    過剰な説明はなく要点だけを書いてるような文章で飾り気や色気はないがするすると素麺を啜るように読める。映画CMを見てしまったので頭の中で否応なしに坂口健太郎が動くし渡辺謙はまだ出て来ないんかなと探ってしまうが渡辺謙の登場は下巻からなんだな。場面がダイナミックに動いていくのは下巻からだとわかり期待が膨らむ。3月のライオンの主人公桐山零とイメージがほんの少し重なり読み進めた。唐沢先生と妻美子の深い愛情に時折シンクロしてしまい涙腺が緩みあと少しでダム決壊の憂き目にあった。あ、ちょっと漏れ出た。

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    2025年12月12日
  • 合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明

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    2の方が上水流涼子が軽いタッチと言うかコミカルな感じがしました。
    助手の貴山は頭脳明晰でかっこいいだけでなく、
    ある事件ののち引き取ったカラカル(マロと名付けます)
    をとても大切にしているところが微笑ましかったです。
    貴山あっての上水流といった感じの良いバディものでした。
    今後も続くといいなと思います。

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    2025年12月11日
  • 合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明

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    前に出版された『合理的にあり得ない』の続編。
    これまでの柚月さんの作風とは異なり、ヒヤヒヤ、キリキリとした緊張感ではなく、とてもリラックスして物語に入り込める内容だ。
    今回は三つの中編で構成されている。

    信頼していたクライアントの社長が仕組んだ罠に嵌り、弁護士資格を失った上水流涼子は、自由気儘に動ける探偵事務所を設営し、金と欲に満ちた連中の悩み難問を片付けて、高額な報酬を得る算段を常にしている辣腕経営者兼美人探偵だ。
    もう一人の主人公となる貴山伸彦は、東大卒のIQ 140を誇るイケメン青年で、上水流涼子をアシストすると云うよりも、難問の解決は貴山の力量によって図られているのが実情だ。

    ⚫︎

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    2025年12月11日
  • パレートの誤算

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    実際の生活保護にも結構闇があるんだろうなと思いました。
    個人的に好きなジャンルの話なので、ページを捲る手が止まりませんでした。

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    2025年12月09日
  • 盤上の向日葵(上)

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    私は将棋のこと全く分からないけど、読みやすく面白かった。
    続きが気になるので下巻読むの楽しみ。
    桂介くん頑張れ〜

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    2025年12月08日
  • 慈雨

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    殺人事件の解決とヒューマンストーリーが併せて展開する。
    お辺土巡りと併せて進むにでまた違った楽しみ方もできる。引退した刑事の事件解決への責任と執着は古来の仕事魂かと思う。

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    2025年12月07日
  • 慈雨

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    それぞれの心情をじっくり味わえる。刑事ストーリーだが、ミステリーというより、人間関係や、自分の人生を振り返る感じで、ゆっくりした気持ちでしんみりと味わえる作品だと思う。ハラハラとかはしませんが、ゆったりと楽しめます。

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    2025年12月04日
  • 最後の証人

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    4.2/5.0

    巧みなミスリードを交えながら、気持ちが揺さぶられたまま終わるラストまで無駄のないミステリー小説だったと感じた。
    正義ってなんなんだろうなぁ

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    2025年12月03日