柚月裕子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
情景描写が圧巻。脳内が勝手にうら寒い曇天の北国特有の冷たい空気をつくりあげ、それを読んでいる間ずっと感じ、余計にこの物語を重く苦しく哀しくしているように思いました。
決して明るく、すっきり終わった話ではありません。
救いのない、どうしようもない感が強く残ります。田舎特有の排他感、意地の悪さも分かるだけに遣る瀬ない。生まれ落ちる環境を人は選べない、それは本当に可哀そうなこと。
毒親、ってネグレクトや暴力など目で見て分かることだけでカテゴライズされるものじゃないんでしょうね。それとなく自分の意に沿うよう洗脳し続け支配下に置く、言葉ひとつで子どもの命を握る、そんないやらしい親になっていないか、自省 -
Posted by ブクログ
わたしは生活保護についてはあまりよく知らなかったのですが、この本を読んで生活保護という制度の仕組みや、受給者の家をまわるケースワーカーの仕事内容、さらに不正受給の実態についても知る事ができました。
特定の職業を取り上げている作品を読んだあとは、いつもその職業に憧れたりするのですが、残念ながら今回はケースワーカーではなく、警察のほうがカッコいいと思いました(ケースワーカーに憧れている方、すみませんm(_ _)m)。
特に三章での若林警部補。市民を救うために自分の首をかけて無茶振りをする彼の存在が、ラストシーンへと一気に盛り上げてくれました。
サスペンス調の話はとても面白く、気になる展開が続く -
Posted by ブクログ
400ベージの長編だった。
犯罪を犯した少年を更生させる手立てとして、事業所等で少年を預かる補導委託。
この補導委託で万引き等を重ねた春斗という少年を受け入れることになった盛岡の鋳物職人の孝雄。
そんな話は聞いていなかった息子の悟。
春斗という少年を通して孝雄と悟の親子もわだかまりが解けていく。
孝雄も悟も不器用、上手く自分の気持ちが伝えられない。
春斗の両親もまた同じようだ。
親子だからこそ、近すぎてうまくいかない事は多々ある。
みんな色んな事を胸の中に抱えて行きているんだ。
言葉だけでは分かり合えないけど、言葉がなくっちゃもっと分かり合えない、そんな気がした。
八重樫というお金が無くなる