柚月裕子のレビュー一覧
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佐方貞人シリーズ
検事の佐方さんの短編集。
米崎検察で刑事担当から判事に。
事務官の増田さんの視点だった。
「まっとうに罪は裁かれるべき」
裁判にあたり、内部や周囲の軋轢も辞さずに事件を捜査する。事実と真実は別、という。
そこで判明する繊細な事実の数々。それにより判決も変わる。ただ罪をまっとうに裁くために佐方さんは足を運び人と会い、話を聞く。
佐方さんの誠実な仕事ぶりに思わず姿勢が良くなる気持ち。事件に隠れた人の汚さや苦しみ、悲哀、それから優しい心情。
本当にこういう検察官ばかりなら、世の中はきれいになるかもしれない。
これと言って激しいアクションもホラーもないが、とても読み応えがある。嬉しい -
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柚月さんのデビュー作にして「このミス 大賞」という大評判となった作品。粗削りではあるが、確かに力作。
臨床心理士の佐久間美帆は新人でありながら、救急隊員への暴力を振るった藤木司の治療を行うこととなった。「共感覚」という、人の感情が色で見えるという藤木に、最初は信じられなかった佐久間が徐々に信じて行くことから事件が動き出す。
強引すぎる佐久間の事件への傾注や、障碍者に対する性的暴行などあり、読み味としてはスッキリしないが、事件の黒幕探しは楽しめた。
犯人は途中から分かったが、この犯人の動機や佐久間への暴行がグロ過ぎる。新人の女性作家が良く書けたなと思う。 -
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前作、前前作に引き続き、男臭い一冊でしたねー。
いや、男でひとまとめにしてしまっていいのだろうか?こんなに不器用で自分を曲げない昭和臭漂う男、います?いや、いません。
主人公佐方貞人のこの気質は父から受け継いでいるということがよく分かりました。義理堅くて真っ直ぐな男なのだけど、正直、家族にいたら厄介です。家族の苦労はいかばかりなことだっか。
でも、検事として、弁護士として、曲げてはならない信念は確かにあると思います。というか、そんなの当たり前なんじゃないの?と素人は思ってしまいますが、組織が絡んでくるとそうも言ってられないのですかね?
真っ直ぐな男、佐方貞人がヒーローなんて思われない世の中にな -
Posted by ブクログ
『最後の証人』の弁護士佐方貞人の検事時代の短編集。
佐方貞人がいかにして佐方貞人になったのか、短編とは思えない情報量と人物描写でどっしりと読者に伝えてきます。
短編一つ一つの事件も、ぶっちゃけ佐方検事が違うと言ってるんだからきっと犯人は別にいるのだろう‥‥と思いつつも、なんで?どうして?と先を読まずにはいられない見事なストーリー展開でした。
そしてなんといっても、佐方貞人の過去。
少年佐方貞人にこんなことがあったのか‥‥それで今の佐方貞人があるのか‥‥
常に真実を追い求める佐方貞人。でも、それ以上に大切なのは恩と義理。
『最後の証人』だけでも面白かったけれど、本作を読むことでグッと深さが増しま -
Posted by ブクログ
ネタバレ全てを読んだ後の「解説」がよかった。
「あしたの君へ」というタイトル、各章には個人名と年齢が書かれている。ともすれば、その個人名が主人公の物語と普通は思う、思った。しかし読み進めるといかに人はひとりで構成されていないと痛感する。いろいろな人が絡み合いひとりの人生になっている。「裁判」と聞くと白か黒か、と結論をつけたがる、そう考えたくなるところを耐える、そこがいかに難しいことか、本当の意味で共に悩むとは大変なことだ。主人公の大地と様々なケース、柚木先生の作品ではあるが解説までが絡んでくる、ある意味でこの本としての味が出ていたように感じた。