柚月裕子のレビュー一覧
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ネタバレ『業をおろす』では、前作『検事の本懐』の中の一話、『本懐を知る』で明らかとなった佐方の亡き父・陽世に纏わる真実に再びスポットが当てられるので、先にそちらを読むことが推奨される。
佐方にとっての父であり、祖父敏郎にとっての息子である陽世の「本懐」を守り続けなければならない佐方の苦しみ。何もできず歯痒い思いを抱き続ける佐方を優しく導く英心に心打たれる。
結果的に陽世の「本懐」は破られることになるが、現世の人々を正しく導くこれも住職である英心の「本懐」。
刑事部編と公判部編に分かれた『死命』は、佐方と彼の上司である筒井の検事生命を賭けた闘い。権力に屈することなく、正義を貫こうとする二人とそれを見守 -
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6人の作家さん毎に色が異なる厚手の紙の本。
写真はもちろんカラー。
角田光代さん
「トト」は2冊フォトエッセイを読んだので知ってる。
「トトが来る前は自分中心で、辛いことがあると全身で向かい合っていたのでしんどかった。」が、
「トトが来てからは、とりあえずトトにご飯をあげなきゃ、といった気持ちの逃し方ができた。」そうだ。
角田さんは犬が好きで、「トト」は犬の要素を持っていると言っていたのを思い出した。
他の猫よりも人懐っこいのかな。
村山由佳さん
猫が大好きなんですね。
「もみじ」に対する想いは尋常ではなく、エッセイを何冊も出しているみたい。
「もみじ」の生まれる瞬間にも立ち会ってるし、亡 -
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虎狼の血の続編。
前作で大上と組んでいた若い日岡が主役。はじめから日岡が山奥で僻地の駐在所に左遷されている。
極道と警察官が関わり合うとどうしても汚職と言いたくなるのが昨今だが、作品の舞台は今より少し昔の、携帯電話も発達してない時代。少しまだ、極道にもそれなりの筋ってもんが大事にされていた頃だと思う。ろまん。
正義ではなく仁義という義の立て方というか在り方というか。
仁義を通す国光と彼を慕う舎弟たちが、どこか懐かしく愛らしい。
ただ、仁義を通す者に真っ向から対立する仁義があるなら、それは衝突しかないわけで、そんな切ない結論になるとは。
そんなところが染みた。
面白いが、重い。でもそこが作者さん -
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ネタバレ社会保障制度の一つ、生活保護をめぐる問題にフォーカスした社会派ミステリー。
一人の同僚の死をきっかけに、その人物と関わりのあった生活保護受給者を当たっていく。素人探偵的な部分もありながらも、そもそもが彼らの職務の一環でもあるので、無理矢理感がないところが巧み。そこで見えてくる不正受給問題や、裏で暗躍する暴力団。
終盤に向かうに連れて手に汗握るサスペンスな展開で、一気読みしてしまう。
刑事も含めて、それぞれの職務に対する思いも熱く、聡美の信念だけでなく美央や小野寺の諦念もよくわかる気がする。
内通者が誰なのか、ということが少しずつ絞られていくところにじわじわくる怖さがある。 -
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柚月裕子さんの、作家生活15年の軌跡が詰まった文庫オリジナルエッセイ集です。カバー装画はGLAYのTERUさんの描き下ろし。素朴ながら柚月さんの心情に寄り添っていると感じました。
私の柚月さん像‥見目麗しい女性作家が、なぜあんな骨太な男臭い物語を描けるのか、そこに萌えますし、またある時は、主人公が(佐方シリーズのように)自分の正義を貫く姿に快哉を叫びました。
本エッセイは、柚月さんの喜怒哀楽が散りばめられたバラエティに富む内容で、とても新鮮に感じました。各紙や小説誌等に掲載された以前のものも多くありながら、古さを感じさせません。
特に、柚月さんの創作にまつわる裏話は興味深いものがあ