柚月裕子のレビュー一覧
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歪んだ親子の最悪の結末だなと思った。
犯人を探すタイプのミステリーではなく、死刑となった犯人とその周りの人たちの物語。
最初から暗く重い内容。
昔の田舎は(いまもなのかな)良くも悪くも村、町人同士が近い。だから子育てするにもみんなで子供を育てよう。核家族化している現在、そういった意味ではいい風にみえるが、それは悪いことも筒抜け。村人の中でも武士時代のような上下関係。
嫁いだ千恵子、そこで生まれた響子は本当に辛かったと思う。2人を助けてあげる何かはなかったのかな。
子供は可愛いし、守るべき存在。守る、それが難しい。どこまで介入するのか。
とても重い内容だけど、守るとはなにか、考えさせられた。 -
Posted by ブクログ
柚月裕子さんの作品はものすごく久しぶりでした。
ストーカー被害をうけていた女性が殺害され、相談を受けていた警察の怠慢な対応が報道にスクープされる。
そんなところからはじまっていくお話でした。
物語としてはすごくおもしろく読ませていただいたんですけど、過去に実際にあった事件とも被るところがたくさんあるので、そう考えると気分が悪いというか腹立たしいというか、そんな印象が強かったです|( ̄3 ̄)|
まあ実際とは違うところももちろん多いとは思うんですけど、それでもやっぱりやるせない気持ちになりました。
まあでもこの作品は続編もありますし、このままでは終わらないと思います。
そんなところにも期待していきたいです。
ありがとうございましたm(_ _)m
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Posted by ブクログ
長く出口の見えなかった難解事件。その停滞した空気を切り裂いたのは、鋭いプロの鑑識眼ではなく、引退した刑事がふと立ち寄った「定食屋」での何気ない出来事でした。この設定の妙が、本作の最大の牽引力となっています。かつて第一線で戦った男が、現役を退いてなお消し去ることのできない「刑事の性」と、定食屋の温かな日常。その対比が、物語の導入から読者の心を静かに、かつ強く掴んで離しません。
【キャラクター:善意の包囲網】
本作を読み進めていて最も印象に残るのは、登場人物たちの「人の良さ」です。犯人を除けば、物語を彩る人々は驚くほど純朴で、善意に満ちています。
ともすればリアリティに欠けると批判されかねない設定ですが、この「善意の過剰さ」こそが、犯人の異質さや孤独を逆説的に浮き彫りにしています。定食屋の店主や常連客たちが醸し出す穏やかな空気感が、事件の冷酷さを際立たせる背景として、非常に効果的に機能していました。
【深化:お遍路参りと心境の変化】
そして、本作の影の主役とも言えるのが、定食屋での気づきをきっかけに主人公が踏み出す「お遍路参り」の描写です。
最初は、長年染み付いた「疑う癖」や事件への未練を振り払うための、なかば義務的な歩みだったのかもしれません。しかし、四国の険しい道のりを一歩一歩踏みしめるごとに、彼の心境には微かな変化が訪れます。
かつては「証拠」としてしか見ていなかった道端の景色や、すれ違う人々の無垢な挨拶。それらが、定食屋で感じた「人の温もり」と結びついたとき、彼の心にあった頑なな氷が溶け出していく様子が見事に描かれています。誰かを裁くためではなく、ただ寄り添うために歩く。この旅路を通じて、彼は刑事としてではなく、一人の人間としての「赦し」や「平穏」に近づいていくのです。
【構成と作風:削ぎ落とされたミステリー】
全体を通じた読み心地は、驚くほど軽やかでスムーズです。ページをめくる手は止まりませんが、一方で本格ミステリーにありがちな「緻密なトリック」や「壮絶な過去に根ざした重厚な動機」へのフォーカスは意図的に避けられているように感じます。
犯行のハウダニット(いかにして)やホワイダニット(なぜ)を突き詰めることよりも、事件が解決に向かうことで「止まっていた人々の時間がどう動き出すか」、そして主人公自身の魂がどう救われるかという、内面的なプロセスに重心が置かれています。
【総評:好みの分かれる「読後感」の正体】
この「ロジックよりもエモーション」を重視した作風は、読者の間で評価が分かれるポイントでしょう。
謎解きのカタルシスを求める向きには、解決編の淡白さが物足りなく映るかもしれません。しかし、一筋の公明が射した瞬間の温かさ、お遍路の旅路で得た静謐な余韻は、本作にしかない美点です。これは、事件を「解く」物語ではなく、傷ついた人々が日常を取り戻し、再び歩き出すための物語なのだと解釈すれば、このシンプルさこそが唯一無二の正解なのだと納得させられます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ背負う者
望月大地
福森家庭裁判所調査官補。少年事件担当。カンポちゃん。二十二歳。法学部出身。
鈴川友里
十七歳。
溝内圭祐
福森家庭裁判所調査官。少年事件担当。家裁調査官として八年のキャリア。
直子
友里の母親。
真鍋恭子
福森家庭裁判所に勤務する家裁調査官。総括主任。四十六歳。
藤代美由紀
大地と同期。
志水貴志
大地と同期。
小林正春
友里の窃盗の被害者。福森市在住の会社員。二十八歳。
杏奈
友里の妹。
隆司
友里の父親。三年前に他界。
名木沢
ネットカフェの店長。
横山雅恵
直子の義理の姉。
横山利男
直子の十歳離れた兄。五年前に心筋梗塞で急逝。
要綱
雅恵の姑。半年前から、市内の介護施設に入所。
浅井
浅井クリニックの院長。
瀬尾勝一郎
少年事件の担当裁判官。
抱かれる者
望月大地
溝内圭祐
藤代美由紀
九州出身。大学の専攻は発達臨床心理学。
真鍋恭子
志水貴志
星野潤
市内の進学校に通う二年生。十六歳。ストーカー事案で家裁に送られた。
相沢真奈
ストーカーの被害者。別の高校に通う一年生。
良子
潤の母親。旧姓は丹田。実家は福森市の伝統工芸品である乙部織の老舗。三人兄妹の次女として生まれ、地元の名門国立大学を卒業。
鈴川友里
譲
潤の父親。福森市から車で二時間ほど離れた飯多市に単身赴任している。
荻原
福森南高校の教師。潤の担任。
大井健斗
潤と同じ二年生。
縋る者
望月大地
ピノ
大地の実家の飼い猫。
夏海
大地の二歳下の妹。看護学校に通っている。
香苗
大地の母親。
耕太郎
大地の父親。六年前に脳溢血で他界。
大洋
大地の四歳上の兄。
伊藤三恵
同じ町内に住んでいた女性。家裁調査官。
志水
谷口
去年、福森家裁に家裁調査官として配属された。
西丘麻衣子
福森家裁に事務員として務める。
西島一成
大地の中学からの同級生で、中学高校ともに同じ卓球部。一番親しかった友人。地元の漁協に勤めている。
広樹
車の営業マン。
友也
写真部だった。県内の大学を卒業したあと地元のテレビ局に就職。
翔平
市内の施設で介護士をしている。
翠
中学時代、陸上部のエースだった。スポーツジムのインストラクター。
彩奈
手堅く地元の信用金庫に就職。
瀬戸理沙
二十三歳。中学時代の同級生。三年前に六歳上の設計士と結婚。
湧
理沙の息子。
早織
責める者
大地
真鍋
朝井可南子
三十五歳。専業主婦。離婚を望んでいる。
朝井駿一
四十歳。可南子の夫。保険会社の社員。
露木千賀子
福森家裁に転任して四年目の調査官。家事事件担当。
理沙
溝内
鷹尾政児
調停委員。六十八歳。男性。定年まで市内の公立高校の校長を務めていた。
桜井
調停委員。六十一歳。昨年、中学の教員を定年退職した女性。
戸川清次
裁判官。
千枝
駿一の母親。
勝信
駿一の父親。元刑務官。
加藤
駿一たちが、家を建てる前に住んでいた賃貸マンションの住人。
内藤悟志
可南子が通う内藤クリニックの医師。
迷う者
大地
美由紀
志水
露木
片岡朋美
三十五歳。離婚申立人
片岡伸夫
朋美の夫。四十六歳。
片岡悠真
十歳。
桜井
八田拓郎
調停委員。
戸川
澄恵
伸夫の母親。
忠
伸夫の父親。
高塚
朋美が住むマンションの管理人。
阿部孝史
朋美の交際相手。
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ネタバレ牧野聡美
社会福祉課職員。臨時職員として就職。山川の死後、仕事を引き継ぐことになる。
猪又孝雄
津川市役所福祉保健部社会福祉課の課長。
山川亨
社会福祉課職員。三十七歳。社会福祉課は八年目。ベテランケースワーカー。生活保護受給者の自宅に訪問中、火災に巻き込まれ死亡。解剖報告書では、火災が起きる前に死亡していた。
その後、ヤクザと不適切な関係を築いていた可能性が浮上する。
小野寺淳一
社会福祉課職員。三十歳。市役所に勤務して八年。この春に市民課から社会福祉課に異動した。
西田美央
社会福祉課職員。新卒で市役所に勤務して四年。
森口守
生活保護受給者。六十歳くらいの男性。
沢内憲吾
生活保護受給者。
倉田友則
社会福祉課職員。課長補佐。
高村大樹
社会福祉課臨時職員。
昌子
聡美の母
亮輔
聡美の三つ上の兄。銀行員。
吉村信吾
生活保護受給者。五十六歳。十年前に妻と離婚し、現在ひとり暮らし。五年前から生活保護を受けている。
桑田奈津美
生活保護受給者。二十二歳。三歳の子供がいる。二年前に離婚。
郷田久美子
生活保護受給者。四十六歳。未婚。派遣で生命保険会社の外交員をしていたが、五年前にリストラ。
中田翔太
生活保護受給者。二十五歳。高校卒業後、派遣のアルバイトで警備会社に勤めていた。酒に酔って階段から落ち、頚椎を骨折。
菅田
消防士。
若林
津川所刑事課。警部補。
谷
刑事。
金田良太
生活保護受給者。北町中村アパートの住人。亮輔の高校の同級生。火災後に行方不明。
恵美
聡美の友人。
小柳
人事課長。
徳田真
生活保護受給者。五十三歳。北町中村アパートが火災になり、市営住宅に移る。
安西佳子
生活保護受給者。三十五歳。北町中村アパートが火災になり、市営住宅に移る。
加藤明
生活保護受給者。五十一歳。北町中村アパートが火災になり、市営住宅に移る。
安田憲一
生活保護受給者。六十三歳。北町中村アパートが火災になり、市営住宅に移る。
西海友明
聡美が高校一年生のときに応援団を務めていた。金田と亮輔と同じ中学の卒業生で、学年はひとつ下。父親が経営している塗装業を手伝っている。
渋谷正晴
耳にピアスをつけ、学生ズボンを下着が見えるほどズリ下げていた。学校の問題児。金田と亮輔と同じ中学の卒業生で、学年はひとつ下。駅前のコンビニのフリーター。
門馬大地
亮輔が仲良くしていた同級生。
岩塚武
五十三歳。生活保護の申請に社会福祉課に訪れる。すぐに受理されないことがわかり刃物を出し暴れる。
白川正志
生活保護受給者。北町中村アパートが火災になり、市営住宅に移る。
立木智則
安西佳子の男。四十五歳。付き合いは十年以上。高坂組系、同和会の組員。
安西典江
安西佳子の母。十七年前に交通事故で亡くなる。
安西隆康
安西佳子の伯父。典江の兄。七十三歳。
翔
隆康の孫。
安西博子
隆康の妻。
理沙
隆康の娘。
竹本
小野寺の叔父。「シェ・エラン」という店を経営している。
務
竹本の兄。
菅野丈太郎
菅野内科病院院長。
佐賀兼敏
福祉保健部長。
スギ
八幡
防犯係課長。
東蔵
同和会組長。
湯川
八幡の部下。
大谷正吉
ポンキチ。同和会の古参組員で、組長の舎弟にあたる幹部。
圭吾
ポンキチの息子。
藤代
山川と金田殺しの合同捜査本部のしきをとっている本部長。
マサキ
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人は個である、との持論を西條は持っている。親でも兄弟でも、ひとりの人間だ。精神的な自立があり、その先に支え合いが成立すると思っていた。それは今でもかわらない
生きるとはどういう意味か、
心臓が動き、脳が正常に働き、呼吸をしていれば、生物学的には生きていることになる。が、医療に関する書籍を読み、実際に医療現場で働いている者から話を聞くなかで、生存と生きることは別なのではないか、と思うようになった。
本人に意識がなくとも、機器によって生命を維持していれば、生存しているとみなされる。が、それは果たして生きているといえるのか。逆に、肉体は滅びたが人々の記憶に残っている限り、死とはいえないのではないか、という考えだ。
命を救うことと、生きる意味を問うことは別だ、と西條もわかっていた。が、その考えが頭から離れず、ずっと自分に問いかけていた
思いつきの行動がいい結果をもたらすことは経験上なかった