あらすじ
ぶつかり合う二人の医師の志。命を救えるのはどちらの正義か
大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。
あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。
「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。
そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。
大学病院の暗部を暴こうとする記者が、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。
二人の医師の「志」がぶつかり合い、大学病院の闇が浮かび上がる。
命を救うための、正義とは――。
気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。
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単行本 2021年10月 文藝春秋刊
文庫版 2024年10月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
柚月裕子さんの16作目。重厚な作品。
大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。
あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。
「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。
そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。
大学病院の闇を暴こうとする記者は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。
天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。
西条の性格がイマイチしっくりこないが、面白かった。 最後の手術の臨場感が凄かった。
Posted by ブクログ
とても良かった!
私にとってかなり分厚い目だったが、読み始めるうちどんどん夢中になってあったいう間に読み終わってた感じがした。
読んでほしいと思います!
Posted by ブクログ
ずっと積読であったが、久しぶりに柚月さんの本を読みたくなって読んだ本。
柚月さんの初めての医療小説、読み応え十分。
全くの無知からよくこれだけの中味の濃いものを書けるものだと感銘!
印象に残った言葉
人生の意味は、自分が納得できるか。結果がどうであれ、自分が決めた道なら後悔はない。
さきのことはそのときに考えればいい、いまは目の前にあることをするだけ。
Posted by ブクログ
最新医療機器ミカエルと従来の手術方法で対立する西條と真木。手術方法を争う展開に引き込まれていきました。上層部の隠蔽は許せないな。西條の復活した姿を見てみたい。
Posted by ブクログ
柚月 裕子さんの医療ミステリー。
文句無しの★5つです。
500ページを越える長編ですが、グイグイ引き込まれます。
二人の天才心臓外科医の葛藤を軸に、様々な謎が描かれます。
一人は、北海道の総合病院で手術支援ロボット『ミカエル』を駆使する西条医師。方や、ドイツ帰りの開胸式手術のプロである真木医師。
難病の少年の治療方針を巡り、激しく対立する二人。そんな中、ミカエルにある問題が発覚する。果たして、医療の未来は?そして、二人の対決はどうなるのか?
プロローグの雪山のシーンが、最後のエピローグに見事に繋がりました。なるほど、だから雪山のシーンなんですね。
Posted by ブクログ
2作目にして、ひっさしぶりの柚月裕子さんの作品。
少年の命を救うのは、天才外科医の神の手か、手術支援ロボット”ミカエル”か。
ミカエルは、患者を救う天使か、それとも悪魔か…
めちゃくちゃ骨太な医療ミステリーでした!
まず驚いたのが、手術シーンが一工程ごとに事細かく描かれている事(柚月さん医師なのか?!)。
改めて心臓外科医は凄い存在なのだなと…
今作では、命の重さについてもストーリーの中で深掘りされています。
ミカエルの不具合が分かった時、主人公西條は、今後もミカエルを使い続ける事で患者を沢山救うか、不具合により患者を死なせないためにミカエルの使用を断念するかで、非常に葛藤します。
少年の渡の手術の際に不具合が起きた時の、西條の決断が胸を打ちました。(ミカエルの使用を断念し、ライバルの真木に執刀医を譲り、自分は助手に入る)
西條は、ロボット手術が普及することで、過疎化の進んだ地方の病院でも、都市部と同じだけのクオリティの医療を普及していきたいという意志を持っているのに対し、真木は未来の医療よりも今この瞬間の患者を救うことをとにかく考える。
お互いに考えが違う部分もあるが、そういう存在こそが医療を前進させていくんだなと感じました。
命とは何かという事について、考えさせられる作品でした。
ラストシーン、旭岳への登山にて辿り着いた、西條の答え(自分の意志とは無関係に、体は生きることを続ける)に、圧倒されました。
Posted by ブクログ
柚木さんの書く男性は、いつも賢く冷静沈着で、少し影があって、多くを語らない。そこがかっこいいのですが、本作の西條も真木も変わらずかっこよかったです。
医療ミステリーだと思い込んで読み始めましたが、医療をめぐる人間ドラマでした。医療ドラマなので、明るい内容ではありません。
500ページの大作ですが、ストーリー展開は早く、中だるみすることなく読み終えました。
続編はなさそうな終わり方ですが、ふたりのその後が気になります
Posted by ブクログ
ストーリー展開としてはそんなに意外性とか驚きはない中で、リアルな医療の世界をこの厚さを飽きなく、最後まで読ませる文章力や構成はうまく、凄い作家さんだと感じた。
Posted by ブクログ
2人の心臓外科医が最新型アームロボット「ミカエル」を主軸に真摯に医療の現場に挑む物語。
ミカエル操る西城の気持ちもグッとくるし、敏腕外科医の真木もかっこいい。
病院の中での政治はもちろん医療現場に携わるそれぞれの立場と気持ちがしっかり書かれていて面白かった。
Posted by ブクログ
手術のシーンでは、めちゃくちゃ描写が細かくかつ専門用語が飛び交って、作者は医療関係の仕事をされたことがあるんじゃないかと感心しまくりでした。
西條先生にはまた医療の現場に戻ってほしいな。
Posted by ブクログ
柚月裕子の作品としては珍しい(初めての)医療ミステリ。
読み始めた最初の方では「白い巨塔」のような病院内政治の権謀術数が渦巻き、自らの医療ミスを隠し正当化するような話かと思っていた。
結論から言うと「白い巨塔」とは全く違うものだ。主人公の西条は自らの技量に自信を持ち、周囲からもエースと認められ、病院内での権力争いにも人並みの思いは持っているが、所謂ヒール(悪役)ではない。平等かつ安全な医療の普及を目指し、患者を治すことを最重要視している至極真っ当な医師だ。対する真木とは考え方が異なるだけでどちらも命を預けるに足る優れた医師と言ってよい。
この作品では地域医療のあり方や医者の倫理観などが問われており、そこには利権や保身が絡んでいる。私たち企業に勤めるビジネスマンはコンプライアンス教育で「損得より善悪」というワードを何度も繰り返される。それでも世の中ではコンプライアンス違反が後を絶たないのは事実だし、何よりも損得(金銭)が全てという考えの人が多いのも悲しい現実ではある。
Posted by ブクログ
医療系の物語の最高傑作は白い巨塔だと思っているが、この本にも同じ医者の治すということへの熱量が描かれておりとても面白かった。
治療法をめぐっての意見のぶつかり合いはこの手の話の醍醐味でもっとドロドロ意見がぶつかることを想定していたがあくまで本筋はそこではなく、
医療への向き合い方や命を扱うとはどういうことか、考えながら読むことができた。
Posted by ブクログ
面白くて一気に読んだ。職業小説的でもあるのだけど、社内政治のドロドロしたところ、狡猾な病院長、天才医師など各登場人物が立っていて面白い。無駄な描写が少ないこともまたこの作者の小説のいいところかもしれない。
Posted by ブクログ
医療系は専門用語が多く話が難しいのだが、ストーリーに惹き込まれた。なかなか皮肉なタイトルだと思う。果たしてミカエルは天使か悪魔か、その答えを知るためにも是非読んでみてほしい。
Posted by ブクログ
手術の描写がすごい。まるで目の前で手術が行われているような錯覚に陥った。
西條と真木。得意な技術な異なるだけで、二人とも信頼できる医師で良かった。
Posted by ブクログ
手術シーンの描写の細かさが凄い。実際に手術を見ているのか、更にアドバイスも受けたのか、とにかく細かい。物語の基本筋は医師と権力、隠蔽、マスコミとよく見るものが並んでるが、この話を独特なものにしているのが医療支援ロボットミカエルで、これは映像化して欲しいと思った。まあまあ現実的な存在のミカエルを通して医療とは、という話が描かれているが、ソフトウェアに関わる立場としては、ミカエル問題の描き方には疑問で、こうはならないんじゃないかな。終盤はプロローグを結び付けるなど情緒的ではありつつも、長く厚い話に決着がつくのではないあたりは好みから外れるかな。
Posted by ブクログ
私は医療の知識がないけれど、実際に手術をしている場面、患者との対話場面が目に浮かぶような言葉が並べられていた。
最新技術に頼りすぎないように、という話かと思いきや、その裏にある医師たちの患者に対する温かい心も見られる話だった。
難しい医療用語もあったが、最後まで読み切ることでこそ医師たちの心や情熱の裏側にあるものが見えて良かった。
Posted by ブクログ
何作か読んでいる柚月さん。医療モノは初めて見かけた。帯の宣伝文句が気になり購入。
対立する二人の医師が白い巨塔のような、振り返ればやつがいるのような感じで(懐かしい)、とてもわくわくした。
いてもたってもいられなくなって読んでる間にサブスクに加入して白い巨塔のドラマ(唐沢さん版)を見始める始末。
財前に比べるとそこまで野心はないかな?と思うけど、主人公・西條がミカエルにこだわっている理由は患者を救うためだけではないのも事実で。
ちゃんと医者の人間らしさも描かれているのがよかった。
医者は神じゃない!
今まで読んできた柚月さん作品に比べると割とマイルドな展開かなと思った。
作中で人が死んではいるけど、結局西條がミカエルで手術した患者で死んだ人はいなかったからかな。(航くん助かってよかった)
それよりも西條の内省がしっかり描かれていた。
西條も真木も似たような生い立ちなのに、どこで道を違えてしまったか、というのがなんだか無性に切なかった。
でも最後に西條が生きるのを諦めなかったのはよかった。
「自分は全てを失った。微塵の価値もない人間だ。しかし、生きようとしている命を見殺しにすることはできない。それが他人でも自分であってもだ。」
エピローグより。
医者ならではの重みのある言葉ですねぇ。
お正月休みに何気なく手を取った本だったけど、舞台は北海道だし、雪山の描写が出てきて季節感のある読書ができてよかった。
それにしても、西條と真木が一緒に手術するのが、宿敵のライバルとの共闘のようで、医者版スラムダンクって感じ!と思ってしまった。
Posted by ブクログ
プロローグで語るのは誰?
と思いながら読み始めたのに、いつしか忘れていた。西條と真木2人の心臓外科医から目が離せない、気持ちが離れない。
命と向き合う2人の姿勢には共感することがあり、疑問を抱くこともある。
彼らが医療に向き合う真剣さは尊敬する。
そしてエピローグ
どうか…どうか…と願うだけ
Posted by ブクログ
西條目線で物語が進む。
揺れ動く心情が細かく感じられる。
真木と西條が共に行う手術のシーンが1番面白かった。自分の知らない世界だけど、外科医は患者の人生を左右するお仕事なので、ストーリーを読み進めながら色んな意味でしんどいな…と思った。
Posted by ブクログ
西條は素晴らしい医者だというのが素直な感想。
真木の「先のことはそのとき考えればいい、いまは目の前にあることをするだけだ。」というセリフに心が響いた。
Posted by ブクログ
北海道の医療機関で働いています。地域の描写もストーリーも身近に感じながら読むことが出来ました。
北海道の自然の豊かさのどかさ、そして厳しさがとてもよく伝わる表現が多かったと感じます。
少なくとも自分の医療機関では、みんな西條程度の野心や狡さは持ち合わせているだろうし、そこまでする西條が真面目で可哀想にさえうつりました。西條の再起を望み続編を期待したいです。真木のストーリーも読んでみたいです⋯
Posted by ブクログ
画期的だか中断が難しいものを導入する部分は、どこにでも起こり得る問題だと感じました。
また、姑息手術という言葉を初めて目にし、ネガティブな意味ではなく長期的に根治を目指すものなのだと学びました。
「不満はあったが、だからといって不幸せではなかった。」
「小さかった笑いは、哄笑になった。」
Posted by ブクログ
西條と真木、2人の天才心臓外科医の確執と共鳴。医療系の王道をいくストーリー展開だと思いますが、中盤以降の疾走感に圧倒される。特に、航の手術シーンは圧巻の臨場感で気づいたらすごい手汗。医療用語がわからなくてもこんなに楽しめるんだと。