柚月裕子のレビュー一覧

  • 慈雨

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    ネタバレ

    四国のお遍路巡礼と女児殺害事件が同時並行で展開する構成である。主人公夫婦の巡礼を通して、十六年前の過ちと後悔、そして過去と向き合う決意を固める。

    ゆっくりと進む展開であるが、夫婦の絆と娘の出生の真実、元部下の成長など、主人公を取り巻く人間関係を丁寧に追う。巡礼を通した内省から、現在進行形で起こる事件の解決のヒントを得る場面は個人的に好みである。

    気になったのは、以心伝心のやり取りが多かったことだ。私が空気が読めないだけか、家族ならまだしも、仕事仲間の思考や感情をあまり細やかに読むことができないため、少し現実から乖離したような印象を持った。警察という特殊な環境ならではの密な人間関係がなせる業

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    2025年12月02日
  • 教誨

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    罪を犯した人の中には、響子と同じように幸せになりたくて現実から遠ざかってしまった悲しい人もたくさんいるんだろう。

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    2025年12月01日
  • 合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明

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    今回の上水流涼子の台詞で印象に残ったのは、「(自ら命を絶って)死ななければならなかった人も辛いけど残された人も辛い。 残された人はその辛さを抱えながら生きていかなければならない。」  それにしても、この探偵事務所、経営が成り立ちそうになくて小説のことながら心配です。

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    2025年11月30日
  • パレートの誤算

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    裏社会が舞台の本を読みたくて借りました。
    ヤクザになってしまった金田にフォーカスしたストーリーを期待していましたが違いました。
    でも、内容は面白かったです。

    主軸の「生保受給と闇社会の問題」と同時に、
    生活保護制度の意義がテーマになっているストーリーだと思いました。(貧困ビジネスの仕組みは、事例をもっとたくさん知りたかったです)

    本書とは別に、
    生保をどうしても受けたくなかった若者がいて、それでも一時的に生保受給をした事で、社会復帰できた記事を昔、新聞で読んだのを思い出しました。

    生活保護は恥ずかしいとかいう考えが少なからずあるせいで、
    本来生保受給が必要なのに、忌避感から、生保を受けな

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    2025年11月30日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    第一章から理不尽に理不尽が重なっていくのだろうと少し重い気持ち。
    働き始めて4年、真柴は正社員になれる希望が見えてきたところに、それを妬むどうしよーもない先輩に飲みに誘われ断りきれずに付き合う。そこから傷害の加害者になり、転がるように指名手配犯になってしまうとは・・・。真柴の転落ぶりが切ない。もっと愛情ある言葉のなかで育ったら、帰ることのできる支えとなる場所があったならと、あって当然のものがない辛さに今さら気がつく。
    体育館に立て籠った真柴に、刑事の陣内はまわりの反対を押し切って生き別れた父の手紙を届ける。父の手紙を読み、暖かいもので心を満たして旅立てたことが救いだ。
    真柴が連れ帰った子供なお

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    2025年11月29日
  • 朽ちないサクラ

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    親友の死の原因は自分なのか?警察の事務で働く主人公が、親友に漏らした情報。親友を信じられずに仲違いしたまま親友が殺されてしまう。警察官なみの行動力と推理力を発揮し、死の真相にせまる!ほんとこの人は警察官になれるーて言う素人ではない追い詰め方がスリル(* 'ᵕ' )☆

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    2025年11月29日
  • 慈雨

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    まず全体として、ミステリというより人間の心模様を描いている物語という印象。

    物語自体は、わかりやすい場面展開で、回収も早く読みやすかったと思う。

    ミステリだと思って読んでいたからか、
    結果わたしにはそこまでハマらず星3。

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    2025年11月27日
  • 慈雨

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    物語の展開は悪くない。骨太な警察小説に、一人一人が行動する理由が加わってミステリの枠に収まらない人間ドラマになっている。
    ただ、展開が遅いと取るかじっくりと腰を据えて物語を描写していると取るかで評価が割れてしまう。個人的には評価は前者で、分かりきった真実を前に尻込みしてなかなか前に進めない……というもどかしさがどうしても合わない。もちろんこれがないとドラマが成立しないというのはわかっているが、刑事ドラマだけではない人間ドラマとしても魅力はあるのだからひと工夫欲しかった。

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    2025年11月24日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    真柴の運の悪さは最後までどうしようもなく、、本当に「救い」のないストーリーに、何とも言えない感情になった。

    直人がなぜあれだけ真柴に懐くようになったのも意味がわからず、、、唯一の救いは、陣内が真柴を理解しようとした点くらい。。。

    震災でご家族を亡くされた柚月さんとしては、震災の残酷さ、非常さを伝えたかったんだと理解するものの、、、少し消化不良のストーリーでした。

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    2025年11月24日
  • 最後の証人

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    リアリティも相まって面白い作品だった。


    ホテルの一室で起きた殺人事件。
    絶対に反証不可能なほどの状況と証拠にある弁護人が挑む。
    そして繋がる過去の事件。
    鍵を握るのはある一人の証言。
    それが偏り切った天秤を翻す。

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    2025年11月23日
  • 慈雨

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    ネタバレ

    読み終わった後穏やかな気持ちにはなったが、全体的に難しい話だった
    神場夫妻のお遍路と純子ちゃん事件の進捗が同時並行で進んでいくが、関連性がどこにあるのかわからず、読んでいて難しく感じた

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    2025年11月23日
  • チョウセンアサガオの咲く夏

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     検事・佐方貞人シリーズのスピンオフ作品を含む、ジャンルを問わない11編収録の短編集。
     表題作などの特に短い作品は10ページほどなので、すぐに読めてしまうが、人間心理などなかなか奥が深い。

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    2025年11月23日
  • 凶犬の眼

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    ネタバレ

    悪漢刑事の闇の遺産(警察内部の不祥事のネタ)を
    引き継いで元監察の上司を脅したはずなのになぜか
    地方の駐在所に左遷された主人公、暴対法導入前の
    ヤクザ同士の抗争の後始末でピリピリしている現場
    から外れた田舎で巡査として地味な日々を送ってい
    たが、抗争の実働部隊が工事関係者に紛れてコンタ
    クトを取ってきた、好むと好まざるを問わずに次の
    抗争の火だねを抱える事になる

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    2025年11月21日
  • 孤狼の血

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    ネタバレ

    (ネタバレなので詠まないように)主人公は警察監査室の犬として県警でヤクザと癒着していると思われる悪党刑事の決定的な証拠をつかむべくバディ(昭和63年当時は言わない)を組み捜査に当たるのだが、ヤクザからシノギを取りそれを資金にマッチポンプ的な摘発を行い、警察内部の闇をつきつけ悪党を貫いた刑事を否定できず自分も悪党に向かう

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    2025年11月21日
  • 盤上の向日葵(下)

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    上巻で下巻への期待をおおいに抱きましたが、最終結末は今一歩でした。
    主人公上条圭介は壮絶な幼少期を経て東大生となり、社会でも勝者となりますが、たぐいまれな将棋の才能を持ち合わせており、遂にはプロ棋士最高峰の闘いまで歩を進めます。
    賭け将棋で生きる真剣師東明重慶との出会いから、恐るべし出生の事実を知る過程を経てラストシーンを迎えますが、ミステリー的な意外な結末にも乏しく少し物足りなさを覚えた読み終わりです。
    上巻から続く数奇なストーリーがラストに向かって少ししぼんでいく感じでした。

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    2025年11月20日
  • 朽ちないサクラ

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    なんだかもやもやする終わり方やなと思ったら、泉さんは刑事目指すのやね。
    「月下のサクラ」を先に読んでしまったから、そういうこと!と納得だけど、なんだかやるせないなぁ、国家警察てそうなん?

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    2025年11月19日
  • パレートの誤算

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    ★★★
    今月4冊目
    生活保護の貧困ビジネスでケースワーカーが殺されて闇を暴いていく話。
    ケースワーカーの仕事はマジで大変そうだよな
    感謝

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    2025年11月19日
  • 盤上の向日葵(下)

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    面白かった。ただ、終盤の展開は別の展開を期待していた。対局の決着があっさりした感じだったことが少し残念だった。

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    2025年11月18日
  • 盤上の向日葵(下)

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    下巻に入ってようやく主人公である桂介目線の物語が展開される。上巻に比べれば惹きつけられるのだけれど、一向に事件は起こらずに、その事件の真相に迫る刑事二人と、事件に至る桂介の物語が続いて、なかなか核心に触れてこないことにもどかしさを覚えた。そして今ひとつ僕の読書欲が湧かなかったのは、桂介に彼の恩師唐沢と同じような彼の幸福を願う気持ちを抱きながら読み進めていることと裏腹に、物語が最初から悲劇へと続く空気を孕んでいることも、大きく影響していた。
    桂介の母のことが語られるにしたがって、芥川龍之介とその母との関係を思い出していた。母の狂気が自分にも及んでいると考えずにはいられなかった芥川のことがオーバー

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    2025年11月18日
  • 風に立つ

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    あらすじ的に劇的な要素が見当たらないが
    親子関係を秀逸な文章力によって描いているため
    最後まで心地よく読む事ができた
    違う作品も読んでみたいと思った

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    2025年11月17日