あらすじ
寄り添う事で、人の人生は変えられるのか――
家庭裁判所調査官見習いの若者の奮闘を描く感動作!
家庭裁判所調査官として研修の間、九州の福森家裁に配属された望月大地。
そこでは窃盗を犯した少女、ストーカー事案で逮捕された高校生や親権を争う夫婦とその息子など、心を開かない相談者たちを相手に、懊悩する日々を送ることに……。
大地はそれぞれの真実に辿り着き、一人前の家裁調査官となれるのか!?
解説・益田浄子(家庭裁判所調査官)
感情タグBEST3
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初めて家庭裁判所調査官という仕事を知った。
人に寄り添い、人の背景を見極め、判断をする。
人との関わりが苦手な主人公がこの経験を糧に成長していく姿がとても美しかった。
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背負う者」「抱かれる者」「縋る者」「責める者」「迷う者」の計5篇の短篇を収録。
見習い家裁調査官補の青年が主人公で、人生経験の浅さからくる自信のなさで自分の判断に悩みながら、1件ずつ正しい判断をしようと努力を重ねていく。心が温まる佳作集。
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3.9
柚月裕子さんは良い小説を書くなーとつくづく思い知らされます。
家裁調査官という仕事自体知らなかったが、市民と裁判官を繋ぐ大切な仕事があるのを知れた。
主人公が凄くできる設定ではなく、愚直に取り組む姿勢が『それで良いんだよ!!』と応援したくなる。
続編もあれば読みたいです。
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主人公の大地は家庭裁判所調査官補。柚月さんの作品はどれもその職業についてしっかりと調べ把握されていて、なのでリアリティがすごくあるし、心情も伝わってくる。最後の章「迷う者」の少年がくれた手紙。「いつも心配してくれてありがとう」こんなんもらったら、泣いちゃうよね!
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「家裁調査官」とは、調停委員や裁判官をサポートする職で、問題を抱えた当事者の背景を調査して紛争を解決に導く専門職という。
その「家裁調査官」職に就く前に、2年間の家庭裁判所での実務研修を終えるまで、家裁調査官補として従事する必要があるとのことだ。
今回の主人公の望月大地は、2年間の養成過程研修として九州の福森家裁に配属された。
その大地が悪戦苦闘しながら、家裁調査官補としての真摯な仕事ぶりが5編の短編に綴られている。
色仕掛けによる窃盗犯の少女、カッターナイフで少女を脅すストーカー少年、男と女の行き違いによる離婚調停など、家庭裁判所には常に世にある問題が日々舞い込んでくる。
「家裁調査官」を目指す望月大地は、自分の能力にイマイチ自信を持てないながらも、悪戦苦闘しながら懸命に家庭内のトラブルに介入して解決の糸口を探って行く。
何となく気弱な大地の考えや行動に、周りの先輩や同期の仲間たちの支えもあり、不器用ながら真摯な姿勢仕事っぷりに、皆が応援したくなるのだろう。
望月大地の登場は、柚月裕子女史の新たなシリーズ登場に間違い無しとなる。
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見習いの家庭裁判所調査官の望月大地が担当の事件の調査から立ち会いなどして解決に導いていく。見習いゆえに中々思い通りにはいかない。それでも少しでもいい方向になるために葛藤し解決していく。精神的にも微妙な心を揺れを調べるのだから大変な仕事だ。これを実際に仕事としている人がいると思うと頭がさがる。
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少年少女の事案にしても、夫婦の問題にしても思い込みだけでなく、現地(現場)をきちんと調査・確認しないといけないんでしょうね。
家裁調査官だけでなく、自身の仕事においてもそうでないと・・・と思いました。
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裁判所職員採用試験に合格し、家裁調査官に採用された男性が主人公。正式に調査官になる前の研修期間『官補』(かんぽ)での物語だ。
九州にある福森家裁に配属された彼が少年事件を扱うことになり、窃盗の少女、ストーカー事案で逮捕された高校生、一見幸せそうに見えた夫婦。親権を争う父と母のどちらに着いていっていいのかわからない少年…様々なケースに向き合い、悪戦苦闘する…罪が無いのに不幸な境遇に生まれたしまった子供への対応には胸が痛くなる。
決してこれが正しいという結論はないが、相談者に向き合って寄り添う調査官。その仕事には机上の勉強だけでは学べないものがたくさんある。
慣れない仕事を始める時は誰もが『ああ、この仕事はオレには向いてないかも』と壁にぶち当たることもあるだろう。僕はサラリーマンという道を選び、まもなく終わろうとしているので、今更『何者になりたい』という選択肢はない。しかしこの小説の主人公のような家裁調査官という職業も大変だろうが、何か人のために役立ったという充実感が残れば、それが生き甲斐に繋がるのかなあとも思えた。主人公が前向きに相談者に寄り添う姿勢には、応援したくなるね。
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家庭裁判所調査官、大地の成長物語。
一つひとつの事例にある真実を
大地が丁寧に見つけていく
そうか、なるほどな、と思いながら
大地になったように、どんなふうに訊いたらいいか、考えながら読めて面白かった
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虎に翼で家庭裁判所に興味を持った。
密室になりがちな「家庭」では
事情も様々だし、人々の反応も様々。
ましてや、上手く表現出来ない人たちの上っ面の行動や現象だけを見ていては、上滑りな対応しか出来ないだろうと思う。
丁寧に寄り添ってくれる調査官の皆様に感謝。
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家庭裁判所調査官補の研修中にあった、様々な家庭模様と寄り添う物語。
家庭という領域は閉ざされた空間だと思うため、踏み込んで何が最適解なのか考えていくことは、難しく、本当にすごい職種だと思いました。
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続編があったら読みたいなと検索したら、残念ながら無い模様。家裁調査官という仕事は初めて知ったが、じっくり案件と向き合いながら調査し、自身も成長して行く大地の姿は、他シリーズの佐方と共通する魅力があった。
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全てを読んだ後の「解説」がよかった。
「あしたの君へ」というタイトル、各章には個人名と年齢が書かれている。ともすれば、その個人名が主人公の物語と普通は思う、思った。しかし読み進めるといかに人はひとりで構成されていないと痛感する。いろいろな人が絡み合いひとりの人生になっている。「裁判」と聞くと白か黒か、と結論をつけたがる、そう考えたくなるところを耐える、そこがいかに難しいことか、本当の意味で共に悩むとは大変なことだ。主人公の大地と様々なケース、柚木先生の作品ではあるが解説までが絡んでくる、ある意味でこの本としての味が出ていたように感じた。
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人間って、表面上では気づかない問題を抱えている人だらけですよね。そんな限界で生きている人たちを救う家庭調査官は素晴らしい仕事だなと思いました。
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少年犯罪や離婚の問題は社会的には「表面的」にしか賛同、批判されない。しかしこういう現場で働く人からすると、その「裏の背景」までしっかりと理解できる。タイトルからは想像し難いが、庶民であろうとそういう「悩み苦しむ人」を無下にする世の中になってほしくない。
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主人公は家庭裁判所調査官補の望月大地。不器用だが真面目な青年が、悩みを抱える人たちと真剣に向き合い、少しずつ確実に成長していくお仕事小説。ミステリー要素もあり、楽しめる。
連作短編(5篇)で読みやすいのもグッド!
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カンポちゃん。
保険会社のキャラクターみたいで可愛い響きだ。本作によると家裁調査官「補」のことをそう呼ぶらしい。
例えば刑事事件では検察官の補助を行う検察事務官がいて、検事の指揮下で捜査などを行う。その調査内容は検事がどうするかは決めるし、その後は裁判で争われるので検察事務官の調査内容がダイレクトに結果に影響する事は少ない。
ところが家裁調査官の調査結果は調停の場で直接判事の決定に影響を与える。言い換えると家裁調査官の調査如何で人生を大きく左右するとも言える。主人公が依頼人にどう寄り添うかを悩むのも、その影響の大きさを考えると当然だろう。
他人に頼れず窃盗に手を染めてしまう女子高生。夫のモラハラを他人に分かってもらえず苦しむ妻。離婚しても父と母のどちらも選べない子供。みんな弱い人たちだ。
カンポちゃんたちは寄り添い悩み考え抜いて成長し、立派な家裁調査官になるはずだ。
知らなかった職業の事がよく分かり、読後も気持ちが爽やかになる良作だと思う。
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家裁調査官補の大地は、二年間の研修の中で様々な事情を抱える人たちと面会をする。当初は事案の表層しか捉えることができず、この仕事を続けるべきかと葛藤するが、「悩みを抱える人たちの力になりたい」と真摯に向き合う中で成長していく。
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自分の家庭環境って恵まれてるのかなとも思えたし、人それぞれに人生があって、それの全部が前向きなわけじゃないよなっていうふうにも思った。
ただそういう人を支えて、明日のきみへって思ってくれる人がいる優しさも感じた。
とはいえ意外性見たいのがちょっと欠けたかも!なんとなく先も読めた感じするし
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読みやすくてさくさく読めた。映像化作品をいくつか見たことがあったから読んだことがあるかと思いきや、意外とはじめましての作家さんだった。内容は重いのもあるけど、淡々としていて変にお涙頂戴な感じがなかったのは好感。主人公のまっすぐな感じも良かった。最後は、ここで終わる??って言う感じではあったけど。。続編とかあるのかな?
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家裁調査官補佐官の短編集。
基本的に読みやすい文章でサクサク進めることができた。
主人公の当事者たちへの向き合い方の変わり方があり、カンポから調査官へ変わり様がよくわかった。
最初は自分の思い込みに引かれていていたが、次第に自分で当事者たちが話す言葉や調査結果だけでなく
他の面からも理解しようとするところなど。
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家庭裁判所調査官補が主人公で、
まだ研修生ながら、実際の案件を担当して勉強、実績を積んで成長していくお話。
病気の妹を助けるために窃盗してまで稼がなければならなかった話。
夫に見捨てられ、子供に過干渉のため、子供の心の居場所が狭くなり、他人を傷つけてしまう子。
モラハラ夫に苦しんで離婚したい妻。
親権争いをしていた夫婦と、どっちも選べない子供。
それぞれの事情や立場があり、生い立ちによって自分の主張すら言えない人達がいる。主張しても互いが譲らず、何が正解かわからないことも多いが、主張の裏に隠された「なぜ」を追い続け、お互いの和解点をみつけて、みんなの新しい人生に繋げていく仕事はすごいなと思った。
いかに心の声を拾い、事情立場を知り、その人をどれだけ理解することが大事か知った。
推測だけではなく、自分の目で確かめてみないとわからないことも多い。
この本から学んだことは、相手を理解するためには、その人の行動、主張には、色んな事情、立場、生い立ちがあるのかイメージし、実際はどうなのかコミュニケーションで探っていくしかない。本人もなぜそう思うのか、そう行動してしまうのかわからないこともある。対話で相手が自分のことを少しでも知るきっかけになれば、対話とはこの先AIのレベルが上がってきたとしても、必要な仕事になるんだなと思った。
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家庭裁判所調査官という職業は初めて知った。
研修中で調査官補の大地が様々な案件と向き合いながら成長していく。
固定観念や思い込みで判断せず真摯に調査をしていく姿勢が、初々しくもあり頼もしくもあった。
研修を終え、一人前の調査官になってくれているといいな。
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もっと怖い作品かと思いきゃ、
情にあふれる温かい物語で、それぞれの作品に引き込まれた。
人の立場にたつ仕事をしてる私自身も共感した。
他人に寄り添うと言う難しい職業であるから研修があるのだが、人それぞれの寄り添い方がある。主人公は誰しもが戸惑うシーンに向き合い、自分も見つめ直す。
面白かった
最期の短編が未解決。
これは読み手の想像にということか。
でもありそうな事象なんだよなあ。
ちょい不完全燃焼
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家庭裁判所調査官という役職は知らなかった
仕事での出会いを通じて自身と価値観を変えることのできる人は素晴らしい。苦労はあるものの、しっくりこないとか、違和感とか突き詰めて、解決に導くそんな仕事でのやりがいは良いものだろうな
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主人公は家庭調査官補。
家庭裁判において当事者の家庭環境を調査する機関を家庭調査官と言い、その調査官の見習いを調査官補という。
ミステリー関連の物語で裁判はつきものだが、家庭調査官という点にフォーカスを当てているのはめずらしく、ミステリーを読み慣れている人でも新鮮な観点だと思う。
裁判の内容そのものよりも、
関わる人間の心情/実情を正確に読み取り「人となり」を把握して事実を積み上げていく様が読んでいて興味深かった。
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家庭裁判所調査官
聞きなれない職業でしたが、本当にこんなに親身に調査してもらえたら、今、家裁で決着がつかず苦しんでいる人が救われる。っと思った。
後書きを読んで、実際のケースを、作者が対談されて得た内容だと知り、本を読むことで救われる人がいるのでは❓っと、思える作品。
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家庭裁判所調査官の仕事がどのようなものか、人の気持ちに潜む真実をどのように理解して掘り起こすかが、新人の調査官補の成長とともに丁寧に描かれていた。離婚に際する子どもの気持ちを知るエピソードは読んでいて辛かった。
淡々と
題材や登場人物、設定などは分かりやすく読みやすい。が、文章が淡々としている印象。そのため、「続きが気になって手が止まらない!」というところまでは引き込まれなかった。