柚月裕子のレビュー一覧

  • あしたの君へ

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    家裁調査官を題材にした小説はあまり読んだことがなくて。正直、今まで仕事の内容は漠然としか知らなかったですが、非常に重いお仕事なんですね…。
    若い調査官補さんが悩んで成長していく姿がなんとも初々しくて応援したくなります。

    同じく柚月さんの小説で「風に立つ」という補導委託のお話があるかと思いますが、それに通ずるような作品でした。

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    2026年08月19日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    2025年の直木賞候補作として注目されていたので読んでみました。主人公の青年は、故意ではないにしても2人の命を奪ってしまいます。この殺人に至った経緯があまりにも運が無さすぎで、悪い職場の先輩とその喧嘩相手の半グレの方がよっぽど悪役でした。生まれてからずっと運に見放されていた青年の最後の最後まで運が無い物語でした。震災被害者の心情を描きつつサスペンスに仕立てた割と惹き込まれるお話でしたが、直木賞とまでは言えないかなぁ?!と思いました。実際2025年の直木賞は該当無いとの事でした。

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    2026年08月17日
  • 教誨

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    ネタバレ

    自分の子供と他の子供を殺した死刑囚の遺した言葉の真意を探る物語

    読み終わっても、響子が許されないことをしたことに変わりはないけれど、そうするに至った経緯を作ったのはその周りの人間であることは間違いないと思った。

    彼らのほとんどは事件後も決して自分の非を認めず、あたかも自分は無関係です、みたい感じで自分たちの行為を振り返ることはないんだろうなと想像した。

    今作のテーマとは少し外れているかもしれないけど、印象的だったのがいわゆる「いいとこの家」の人間たちの持つ高いプライドからくる自分たちより下の身分の者たちへの傲慢な態度だった。

    過去自分たちが地主やその家系だったからといって嫁入りしてきた真面目な千枝子や響子を蔑ろにして、こき使うくせに自分勝手な自分たちの身内には甘い、という差別も嫌だった。

    そういう姿勢でいることって何か得があるのかな、身内との関わりを深くして時には助け合うこともあるんだろうけど、それ以上にその他を傷つけて嫌な思いをさせて根深く人生を歪めることのほうが圧倒的に多そうだなと考えたら。

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    2026年08月15日
  • 誓いの証言

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    久々の佐方弁護士シリーズ。過去と現在が交互に、きちんとそれぞれの時系列どおりに進んでいくので、早い段階で事件の真相は分かる。あとは法廷でどのように明らかにしていくのかっていうところに期待があったが、わりと普通だった⋯。ほかの方の感想にもあるが、たまたま目についたとはいえ、この人を狙うか?みたいな⋯諸悪の根源を狙うべきでは。え、こんな下っ端?しかもずっと顔覚えてたんだーとか。
    最後は救われる終わり方だったけれども、八方丸く収まる、無難な終わり方という気も。きっとおもしろいはずだ!と思っていた分やや期待外れ感は否めない。無難におもしろくはあった。

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    2026年08月15日
  • 誓いの証言

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    ネタバレ

    柚月さんの本は幾つか読んだけど、どれも暗かった…。この本は重苦しさはなくて読みやすくて、一気読み出来た。
    でも、事件の動機が弱いかなぁ…若社長や大さんを嵌めるなら理解できるけど、少し関わっただけの若い弁護士を身を挺してまで今更嵌めるなんて、不自然に感じた。久保は復讐する相手では無いやろ!と思いました。

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    2026年08月11日
  • 誓いの証言

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    シリーズの前作を読んだのは随分前だから あまり覚えてないんだけど 佐方の魅力はもっと胸に込み上げる熱いものがあったような。今回はそれが感じられなかった。
    それまでの不幸続きが嘘みたいなハッピーエンドもなぁ。2時間ドラマを見終わったような読後感だった。

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    2026年08月11日
  • 合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明

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    天海祐希と松下洸平が出演した連続ドラマ原作のシリーズ第2弾。
    不祥事で弁護士資格を失った上水流涼子は、IQ140でめちゃくちゃアタマのキレる貴山伸彦をアシスタントにして探偵エージェンシーを運営する。
    涼子のモットーは「殺しと傷害以外はどんな依頼も引き受ける」。本日も「あり得ない」依頼が舞い込む。
    ・物理的にあり得ない 依頼主が中身を教えない不明の積み荷乗せたクルマの捜索を頼まれる。
    ・倫理的にあり得ない 別れた元夫から息子の親権を取り戻して欲しいという女性だが。
    ・立場的にあり得ない 情報を融通し合っている所轄の刑事が摂食障害になった女子大学生を助けて欲しいと。


    読みやすい文体と、3編のストーリーということで1つずつ区切っても読みやすい。あいた時間などにもオススメです。

    どの話も良いのですが、もっと二転三転したりするのかと思っていましたが、若干肩透かししてしまったかな。キャラが立っていてそういう意味では面白いし、映像で見るのもよさそう。個人的にはもっとひねった話かと思っていたので★3にしました。カジュアルに読みたい時にはいいと思います。

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    2026年08月10日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    震災さえなければ、殺人を犯すこともなかった。

    恵まれない人生を歩んできた主人公の上にも、災害は平等に降りかかる。
    少しは報われて欲しいと、読み進めたのだけど、最後まで本当に可哀想なままだった。直人との出会いやお父さんの手紙が唯一の光だっただろうか。

    周りの人達も、家族を亡くしているからなんとも言えない気持ちになった。

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    2026年08月09日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    抜け出せない負のスパイラル、真柴の人生が読んでいて辛い。
    「生きている」とはどういうことなのか、自分はなぜここに存在するのか、答えはない。
    だからこそ、答えを持ってるかもしれないキッカケの人に縋りたくなる。

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    2026年08月09日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    ネタバレ

    ・震災当時のことを思い出した、数キロ離れた沿岸部の悲惨な状況と少し内陸側にいたから生きている自分。自分が生きていてもいいのかなと引け目を感じていた

    ・冷静に判断すれば、最悪の結果にはならなかったのかもしれない。父親と同じ運命をたどろうとしている主人公が不憫だった

    ・直人君がなぜ主人公に信頼を寄せたか知りたかった

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    2026年07月28日
  • 凶犬の眼

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    暴力と緊張感に満ちた物語なのに、気づけば登場人物たちの信念や覚悟に目が離せなくなっていました。読後は「正義とは何だろう」と考えさせられる一冊でした。

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    2026年07月18日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    流されるように犯罪を犯す羽目になった亮。しかしそこには抗いきれないとは言い難い自分自身の決断があったことに気がつく。
    大震災の記述と家族を亡くした多くの方達の様子が切ない。

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    2026年07月18日
  • 教誨

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    ずーっと暗い。トンネルの出口の光が小さく見えているのに、どれだけ歩いても大きさが変わらないような暗さ。
    小島町の寒さや寂しさを、読者の私も最初から最後までずっと感じながら読んだ。

    東京育ちの自分には、千枝子や響子の気持ちはわからない。最後の約束も到底納得できなかった。

    でも現世で不遇な経験をして疲れ切ってしまって、糸が切れてしまったんだろうな。もう頑張れなかったんだろうな。
    田舎の呪い、女であることの呪い、私自身は経験してなくても、それらは幻ではなかったってこと忘れちゃいけないな。


    読んでから一夜明けて追記。響子がいかに不遇だったとて特に2人目の殺人は到底同情できないとは思った。そんな事件無かったらその子は大人になれていて、そのことで親はどれほど心を痛めただろう。
    人の親になって子供を愛する気持ちを知ったのに、なんて鬼畜なことをしているんだと。
    恵まれない環境はたしかに影響しているかもしれないけど、罪を悔いているからといって死後は安らかに地元で眠りたいだなんて、そんなの図々しいと思ってしまったよ。
    死後の人間に罪人も関係ないってお坊さんは言ってたし罪を犯さない人なんていないと思うけど、
    それでも私は小さな子供をもつ親として、どうしてもかわいそうだけで終われなかったな。

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    2026年07月17日
  • 教誨

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    香純は遠縁の死刑囚響子の身柄引受人となり、遺骨、遺品を引き取ることになった。
    響子の本家に遺骨を引き取ってもらおうとしたが、断られる。香純は自分の持つ響子の記憶からは、なぜ響子がそのような仕打ちを受けなくてはならないのか納得がいかなかったため、響子がどのような人だったのかたしかめることになる。
    狭い町での古い人間関係の底辺に位置した人はそこから逃げ出す術がなく、悪意もなかったはずなのに罪を犯してしまう悲しい姿が描かれる。

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    2026年07月14日
  • パレートの誤算

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    面白かったけど、なんかイマイチというか、うーん。
    面白いんだけどなんだろなんか好きな感じの話じゃなかったのかな。

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    2026年07月12日
  • 朽ちないサクラ

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     警察もののミステリーだが、主人公は警察広報職員というあまり他ではない視点だからおもしろい。
     しかし読んでいて、そこ最初に気づいて捜査するでしょって思うところがあったり、トリックや話の厚みに物足りなさを感じる。
     そもそも巨大組織や正義の裏の黒い部分、的な話は既に溢れており、他でたくさん見聞きしているので、このテーマでめちゃくちゃおもしろい!ってなるのはもう難しい気もする。
     けれど続編もあるし映像化もされているので、楽しみは続くし気にはなる。

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    2026年07月09日
  • 教誨

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    家族と地域(ムラ)の束縛と呪縛の話。

    ムラに縛られてる親
    親に縛られてる子
    自由にできない身体
    悪いようにしかならないピースが揃い
    最も無垢な存在が犠牲になる悲劇

    そして、彼らを嫌悪することしかできない
    現在の人々も悲劇的だと思った。
    不幸なやつに全部不幸を背負わせればいい
    という神様の意地悪が酷い。

    最後もあれで良かったのだろうかと
    自由な身の自分から見ると疑問が残る。

    ママのところで
    男とプライベートで関わらずに
    元気に生活ができてれば
    全然違った結末になってたかもと
    思わなくもない。


    事件を悔いる(教誨)がメインではなく、
    事件の真相を辿るストーリーだったのが
    まぁそうなるか…という感想。
    わりと聞きなれない制度だから、
    もっと取り上げてほしかった。

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    2026年07月05日
  • 教誨

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    暗く、哀しい物語
    我が子を含む二人の女児を殺めたとされる死刑囚の響子。
    死刑執行後、響子の遠縁にあたる香純は、響子の遺品と遺骨を受け取るとともに、響子の教誨師の下間の力添いを受けて、遺骨を響子の本家の墓におさめようとします。

    そこにあった、村社会の闇。さらに、彼女の最後の言葉、
    「約束は守ったよ、褒めて」
    その真相は?
    という展開です。

    香純が掘り下げていく響子の母親やその過去。
    地方の村社会、差別、虐待とこれでもかというぐらい、辛く哀しい生い立ちです。
    その連鎖からは逃れられないのだと感じました。

    哀しいものがりでした。
    あんまり、お勧めできない...

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    2026年07月05日
  • 盤上の向日葵(下)

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    ネタバレ

    辛い。上巻は可哀想ではありましたが、まだ核心まで進んでいなかったので、これからちょっとはいい話とかあるかな、なんておもっていました。
    甘かった。少年、佳介はどこまでも親からは逃れられず、東明には巻き込まれ、最後も解放されたかのようではありますが、救いがない。。
    来世はめちゃくちゃ幸せになってほしいです

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    2026年07月01日
  • 検事の本懐

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    前作の「最後の証人」がすごく良かったので続きも読破。

    5つの話の短編集だけど、どの話も内容が濃すぎて、長編を何作か読んだレベルの満足度。

    佐方検事の人柄にさらに惹かれてしまい、やっぱり周りの荒波に飲まれずに自分の信念を貫ける人は凄くかっこよくて好感度が上がりっぱなしです。

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    2026年06月30日