柚月裕子のレビュー一覧
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ネタバレ東北大震災の中、殺人犯として追われる身になった青年。
自身も被災した刑事は、青年の人生を辿りながら彼を追う。
第173回直木賞候補作。
はあ~ このやるせない読後感は「教誨」と似てますね。
真柴が不憫で、どうしても”たられば”を考えてしまう。
手紙を読めたことは救いになったんでしょうか。
災害時、自衛隊や警察消防の方は辛いですね…理代子の立場だったら同じようになるかもしれない。小さい娘が亡くなった極限の状態で、頭ではわかっていても「探さなかった」事が許せないかもしれない。
そんな中でも陣内が真柴やその父に自分を重ね、心に寄り添って捜査していたのが印象的。 -
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新刊発売時に買ったものの、なんか暗そうだしなぁ…と読むのを日延べしていた一冊。読み始めたら2日で読み終わりました。
田舎の良くないところがこれでもかと煮詰まったように出てくる作品。別に田舎だから悪いわけではないのだけれども。物事には良い面と悪い面があるので、良くも悪くも人は社会動物だから社会の中での評価と共にしか生きられない存在なのだよなぁと思い知らされる感じです。こういう共同体というか息苦しいほどの密な社会を嫌って、都会に出て戻らない人がいるのはよく理解出来る気がする。
後は男の身勝手さ、横暴さが非常にわかりやすく表現されている。一昔前の昭和の男どもってこんな感じの考え方だったんだろうなぁというのを諦めもありつつ納得するというような。その一方、教誨師の僧侶など心ある人ももちろん出てくるので、一方的に男性だからという訳ではないのだろうけれども。
母親が守りたかったもの。娘が守りたかったもの。母の愛というものはかくも重いものか、と思いながら読み終えました。それにしても母娘に救いのない話でした… -
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ベテランケースワーカーの殺人をきっかけに、新人ケースワーカーがその理由に辿り着くまでを描いている。
生活保護受給者の後ろで糸を引く暴力団は人の弱みに漬け込んで精神的に支配し、真っ当に生きようとする生活者の足をつかんで離そうとしない。
結果的に貧困ビジネスに加担する事になる猪又や佳子も、きっかけはどこにでもありそうなエピソードで、魔がさせば自分も道を踏み外してしまうかもしれないと感じた。
経営が苦しく不正受給に手を染めなければ生き残れなかった菅野病院も、一回の判断ミスが後戻りできない所にまで行ってしまったと思うと、つくづく暴力団に関わるきっかけができると果てしないんだと恐ろしくなった。
裏切れば金田のようになってしまうという事を知ってる佳子も逃げることはできない。
そんな事がわかっていても生活保護受給者の自立を諦めなかった山川には、高級腕時計をつける事で自分を奮い立たせていたのかもしれないと思った。 -
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ネタバレ自分の子供と他の子供を殺した死刑囚の遺した言葉の真意を探る物語
読み終わっても、響子が許されないことをしたことに変わりはないけれど、そうするに至った経緯を作ったのはその周りの人間であることは間違いないと思った。
彼らのほとんどは事件後も決して自分の非を認めず、あたかも自分は無関係です、みたい感じで自分たちの行為を振り返ることはないんだろうなと想像した。
今作のテーマとは少し外れているかもしれないけど、印象的だったのがいわゆる「いいとこの家」の人間たちの持つ高いプライドからくる自分たちより下の身分の者たちへの傲慢な態度だった。
過去自分たちが地主やその家系だったからといって嫁入りしてきた真面目な千枝子や響子を蔑ろにして、こき使うくせに自分勝手な自分たちの身内には甘い、という差別も嫌だった。
そういう姿勢でいることって何か得があるのかな、身内との関わりを深くして時には助け合うこともあるんだろうけど、それ以上にその他を傷つけて嫌な思いをさせて根深く人生を歪めることのほうが圧倒的に多そうだなと考えたら。 -
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26年夏休み、一気読み、おもしろかった。
岩手、南部鉄器の職人一家、というか工房で、家庭裁判所の補導委託を引き受ける話し。春斗は、粗野で悪質な手に負えない非行少年という感じはしない。ずる賢さがあるわけでもなく、多くはこういう非行少年なのかな。孝雄と悟との親子関係も、悟は職人を継いで腕を磨いてるわけだし、それほど深刻な葛藤があるようには思えなくて、いまいち物語に没入できない感じがあった。ただ、話の展開に合わせて春斗が変わっていく様子がおもしろくて、一気読みだった。
いくら親が子のためと思っても、子どもは思い通りに動かない。別人格ってこと、忘れがち。それでもなんとかしたいと思ってしまう。それが親子。一方で、親子関係に自分自身が投影されてしまう怖さもある。親も、子離れが必要。子も、どこかで親を乗り越えるステップが必要なのかな。
もし、この一家に出会わなかったら、春斗や父、達也や母、緑はどうなってたかなと考える。やっぱり家族、親子関係だけの子育ては危うい。社会の力が必要。 -
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久々の佐方弁護士シリーズ。過去と現在が交互に、きちんとそれぞれの時系列どおりに進んでいくので、早い段階で事件の真相は分かる。あとは法廷でどのように明らかにしていくのかっていうところに期待があったが、わりと普通だった⋯。ほかの方の感想にもあるが、たまたま目についたとはいえ、この人を狙うか?みたいな⋯諸悪の根源を狙うべきでは。え、こんな下っ端?しかもずっと顔覚えてたんだーとか。
最後は救われる終わり方だったけれども、八方丸く収まる、無難な終わり方という気も。きっとおもしろいはずだ!と思っていた分やや期待外れ感は否めない。無難におもしろくはあった。