柚月裕子のレビュー一覧
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親友に裏切られた――。
口止めしたはずの泉は、その事実に愕然とする。
警察職員の泉は、同期の磯川刑事とともに独自に調査を始める。事件を追ううちに、そこには思いも寄らない醜い闇が潜んでいることがわかってくる。
なんだか、登場人物が次々と殺されたり、職を辞めたり、左遷されたり……。誰も報われない物語だなと思った。
そして、泉の最後には「えーっ、そっちなのー」と思わず声が出そうになった。事件がすっきり解決するというより、思いも寄らない方向に着地したことに驚いた。
読んでいて強く感じたのは、組織というものの怖さだ。
組織の中では、上層部の人たちが守られ、都合の悪いことは下の人間に押しつけられてしまうように感じる。
だから、どれだけ真正面から組織を変えようと頑張っても、一人の力ではどうにもならない。そもそも、組織そのものを変えることは難しいのかもしれない。
そう考えると、本当に変えようと思うなら、組織の中で声を上げ続けるだけではなく、いつかは自分が組織をつくる側に立たなければならないのかもしれない。
事件の結末だけでなく、「組織とは何なのか」を考えさせられる作品だった。
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Posted by ブクログ
単なる法廷ミステリーの枠を超え、人間の深い悲哀と正義のあり方を問いかけてくる傑作です。
印象的だったのは、息子・卓を亡くした高瀬家の描写。息子の死後、残された家族の時間がそこで止まってしまっている感覚、過去と現在の境目が曖昧に溶け合うような独特の時間感覚が見事に描かれています。日常のふとした瞬間に過去の光景が迫り出してくる演出は、身近な人を失った遺族が今も引きずり続けている「心の現実」そのものであり、胸に迫るものがありました。
そして、その背景にあるのは私利私欲のために揉み消された真実。
権力や保身によって事実が歪められ、正義であるはずの機関にまで蓋をされた絶望の中で、佐方が「最後の証人」を証言台に立たせるためにかけた言葉が重く響きます。
「誰でも過ちは犯す。しかし、一度ならば過ちだが、二度目に犯した過ちは、その人間の生きかただ」
一度目の過ちは悔やんでも取り戻せないかもしれない。けれど、今ここで再び目を背ければ、それは「過ち」ではなく己の「生き方」になってしまう。
相手の良心と誇りに訴えかけ、闇から真実を引き出す佐方の真摯な凄みが、この一言に凝縮されています。
真実が暴かれ、復讐が果たされたとしても、失われた命や奪われた7年間の時間が戻るわけではありません。スカッとするような救いはなく、残るのは虚しさと静けさです。それでも、闇の中に葬り去られようとしていた真実を白日のもとに晒し、踏みにじられた尊厳を取り戻すことだけが、止まっていた時間を動かす唯一の道だったのかもしれません。 -
Posted by ブクログ
世の中には頑張れない人がいる。
頑張るにはエンジンが必要で、エンジンをかけるにはガソリンを注がないといけない。
そのガソリンは愛情。
誰かに無条件で愛された記憶はその人が生きるための力となる。
子を産む、親との人生を生きていくらからこそ、
無条件に愛してあげたい。
生きる原動力となり支えとなってあげたいと強く思った。
◾️人は誰もが帰る場所を探しているのかもしれない。それは生まれ故郷かもしれないし、愛しいものがいる場所かもしれない。
人それぞれ違うけど、誰もが帰る場所を求めて生きている。
なにが悪いわけでもないのに、うまくいかない人っているのよ。
真面目で逃げるのが下手で不器用。
もっと狡く生きればいいのにって思うけどそれが出来ないんだよね。
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死刑囚、響子が最期に残した「約束」の正体を探るミステリー小説。400ページと読みやすいボリュームだったため、若干展開が早かった。響子は何をやっても幸せになれない、誰にも認められない不憫な女の子で、彼女の壮絶な人生を知ると居た堪れない気持ちになった。自分はそのような境遇に陥ることはおそらくないが、そういった人が周りにもいることを理解しないといけないと感じさせられた。実際、小学校の頃にはいじめにあっていた人を横目で見ていた。話の中にも度々話題に上がった、狭いコミュニティならではの強い帰属意識はそういったいじめの温床なのかもしれない。小学校の頃は自分自身も友達がいなかったため、何もできなかったが、これからはそういうった不憫な人を助けたいと思う。