柚月裕子のレビュー一覧
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面白かった。殺人やミステリーを扱うイメージの柚月さんですが、本作はさの字もミの字も出ません。いわゆる人間ドラマ作品です。岩手南部鉄器の工房にて、とある非行少年の補導委託を請け負い、その少年と主人公親子、そして工房で働く人物達との関わりの中で生まれる人間ドラマが展開していきます。ご都合主義感は否めませんが、内容や人間関係、キャラクターもわかりすくて好きな作品でした。割と長編ですが、セリフのやりとりも多いため読みやすい作りになっています。セリフのクダリが多い所を踏まえると映画化を狙っているのかはわかりませんが、普通に出来そうな印象ではあります。やるとしたら主人公の孝雄は、また役所広司あたりになりそ
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Posted by ブクログ
ネタバレ死刑の執行前に残した「約束は守ったよ、褒めて」という言葉が気になり、読んでみた。
自分の娘と、もう一人の女の子を殺した死刑囚の死刑執行後、解明されなかった犯行の動機に迫っていく。
父親からの虐待、いじめ、狭いコミュニティや親戚関係での悪習。
そうした環境によって人格が歪められ、精神を病み、誰にも頼れなかった
そんな残酷な人生の果てに彼女は罪を犯した。
二人の女児を殺害したという許されない罪を負った響子の人生を追うことで見えてきたのは、“二番目の殺人者たち”ともいえる人々。
手にかけたのは響子だが、虐待やいじめ、閉ざされた社会の中で彼女を追い詰めた人々もまた、無関係ではない。
殺人を許すこと -
Posted by ブクログ
大地震に襲われた東北。トラブルに巻き込まれて傷害事件で拘留、震災後処分保留で釈放されるが図らずも人を殺めてしまい逃亡する真柴亮。震災で娘が行方不明となるが、事件捜査のために娘の捜索に加勢出来ず親族に非難される陣内刑事。震災で妻と親を亡くし、幼い一人息子の生存を信じて探し続ける漁師・村木圭祐。彼らの運命はいかに…?
もしも震災の最中で殺人が起こったら?しかも故意ではなく不可抗力による殺人で…という設定。
フィクションだが東日本大震災を真正面から扱っている。最愛の人の行方を探すことよりも職務を優先せざるを得ない警察官の葛藤や、心身ともに疲弊して感情のコントロールができない被災者の様子がエモーショ -
Posted by ブクログ
前々作、前作を読んでからだいぶ時が経っていたため、あれ?大上さん死んでなかったっけ?と違和感を覚えながら読み進めていくことに。
「孤狼の血」よりも前の時代設定だったんですね。
今作の主人公?である沖の逮捕前後で大上・日岡が入れ替わる展開。その時点で大上さんが亡くなり、そこで時代設定を完全に理解するという乏しい私。
そんなこんなで沖、三島、重田の三人が半グレとしてヤクザを相手に立ち回るが、日岡の見せ場が少ないように感じ、大上の後継者としての役割がかすんでしまった感がある。
終盤までは話も入り組んでいて面白かったが、サクッと終わってしまったラストに少し拍子抜けしてしまった。 -
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ネタバレ読み応えあった。
西條や真木をはじめとする医師たちの、医療や患者に対する真摯な姿勢に救われる思いだった。
ミカエルに全幅の信頼をおき、未来に期待していながらも、ミカエルの瑕疵の可能性に思い至った時に、患者のことを考え、真木に助手に立ってもらうことを選択した西條の心の柔軟性が良かった。
反発してるようでいて、出会った時から真木の医師としての姿勢をリスペクトしてしまう西條の人間性。
あと、西條が雨宮と安易に恋仲になったり、体の関係を持ったりすることがなくて安堵。もしそんなチープなことになったら興醒めだなと薄っすら戦々恐々としながら読み進めたけど、さすが柚木裕子、そんなことには一切ならず。よかった。 -
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警官をテーマに、七人の作家が競演する書き下ろし警察短編集
「上級国民」葉真中顕
葉真中さんらしい、人間の陰をえぐる短編。
現代社会の問題を踏まえながら、「下級国民」の強かでしなやかな生息を描きます。
「許されざる者」中山七里
刑事犬養隼人シリーズのスピンオフ的短編。
コロナ禍の東京オリンピックを背景に、不祥事の数々を折り込みます。
「Vに捧げる行進」呉勝浩
あのコロナ禍当初の、息苦しい近隣・職場・日本、そして世界。
「死を捨て街に出る」その衝動を描きます。
「クローゼット」深町秋生
性的嗜好を隠して生きる“クローゼット”。
レイプ事件の被害者と加害者、それぞれの告白を前に、刑事は自らの