【感想・ネタバレ】蟻の菜園 ‐アントガーデン‐のレビュー

ユーザーレビュー

ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年01月13日

途中の章で出てくる、沢越冬香(妹)を「あなた」と二人称で呼んでいる主体が何であるか、というのは、最後まで行き着く前にだいたいあたりが付きました…そういう意味では「3人」の共犯による殺人事件だったってことで、よく似た構造のサスペンスドラマを昔々に読んだような記憶があります。

周りの人物の創り込み具合...続きを読む、時代を行きつ戻りつする物語の進め方がとても心地よくて、読み始めたらあっという間に読み切ってしまいました。

柚月裕子さんの筆の力に、ただただ圧倒されている今日このごろです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年10月27日

柚月先生の作品を読むのは初めて

最近、女性作家の本をよく読むのだが、結構、家庭内の性的暴行を描かれている事がある
自分は男性だし、幸いにもそういった世界を身近に感じて生きてきていないので、この事実がどれほどあるのか分からないのだが、一定程度は事実としてあるのでしょうね
おぞましいというかやりきれな...続きを読むいというか

本作もその辺りを題材とした作品

ある女性が結婚詐欺で捕まる
主役的立場の女性記者がその事件に興味を持って追っていく
女性はとても綺麗な女性だったのだが、なぜ結婚詐欺などしなければならなかったのか
そこを明らかにしたいと思ったのだ

事件を追っていくと北陸富山県が関係している事が見えてくる

シーン変わり
作品では東尋坊付近で暮らす女の子も描かれていく
こちらは結婚詐欺で捕まった女性の幼少期なのだが、ちょっとしたトリックみたいなものもある
女の子は早紀という名前で、妹がいてこちらは冬香という名前
そして結婚詐欺の犯人が冬香という名前
読みすすめる中では妹の方が結婚詐欺の犯人なのだと思わせられる
のだが、、、実際に捕まったのは姉の早紀の方
でも実際に結婚詐欺をしたのは妹の冬香の方
まぁこの辺は色々トリック的な事があるのと自分の文章力では単純文章化できないので読んでいただくとして、、、

幼少期に父親から性的暴行を受けていた姉妹
姉は外に助けを求め、現実的かどうかは不明だが新たな戸籍を得て新たな生活を送る

妹は施設に預けられ、父親が改心したところで一緒に暮らし始める
が、すぐに元の木阿弥
酒に溺れて性的暴行を繰り返す
説明はされていないが姉は死んだのだろうとなんとなく悟っていた

そこで姉妹再会
妹が陵辱されている事を知った姉は父親の殺害を計画し実行
成功して妹は再び施設に
妹は目立たぬように生活を続け、高校時代に養子縁組して違う名前を得る

姉妹は表立っては会わないようにしていた
父親とはいえ人を殺しているので時効までは危険を犯さないようにしようという姉に従っていた

そして妹は結婚
相手は事業で成功している人物で、一般的にはかなりの幸せを掴んだのだ

姉は自分がした事ではないが、不当な方法で戸籍を手に入れたという事実を理解し、介護士という仕事につき目立たぬように普通の暮らしを続けていた

15年たち時効
その後はそれほど多くは無いものの姉妹は時々会うように
妹の頼みの綱は姉のみ
妹は姉に会う事を楽しみにしていたが、いつからか辛いようになる
父親との辛い思い出を姉に会うと思い出してしまうのだった

そういった事から逃げるためだったのかパチンコに手を出す
妹は一家のお金管理を全て任されていたようで、事業家として成功している夫の収入を大量にパチンコに注ぎ込んだ

が、いつまでも続くものではない
お金が尽きたらよくある話で消費者金融に
そこからはお金を返すために別の消費者金融から借りるという自転車操業を繰り返す

それもどうにもならなくなったところで、婚活サイトで結婚詐欺という手法を思いつき実行に移す
結婚もしている自分の身元ではマズいと思い、姉の身元を使ってサイト登録する

最初はドキドキしながらだったが慣れてくると大胆になる
そしてそのお金を消費者金融に返すが、それとともにまたギャンブル癖が

相手の男性からも「いい加減にしろ」「警察に駆け込むぞ」と言われ始める
そこで姉に相談

姉は常に妹の味方
「じゃ殺そう」と言って計画をたてる
姉は介護士なのでそういったクスリの知見があり、普通の人よりは簡単に入手もできる

クスリを用意するのは姉、実行するのは妹
実際に交際しているのは姉という事になっているため、姉は実行時間に完璧なアリバイづくりをする
それを繰り返した

が、ある時に実行犯の妹が失敗
練炭自殺に見せかけるつもりが、車の鍵を持ち帰ってしまう
鍵がないのに鍵がかかっている事から警察では第三者の犯行と思わざるを得ない状況になる

そこから姉が結婚詐欺で逮捕されたという流れ

逮捕には主人公的な女性記者の取材もかなり貢献した
女性記者はネタ元として紹介されたおじさん記者と情報を共有していたが、そのおじさん記者が警察とつながっていて、警察からもらった情報を女性記者に提供することもあればその逆もあった
その辺りは結構実際の警察と記者の関係性でもあるのかもしれないなと知らないながらに感じました

最後の最後でタイトル蟻の菜園の説明
蟻の菜園とは、南米だかで果物がなっているところに蟻が巣を作り、蟻の糞などを食べる細菌とかが増える
細菌は細菌で果物を育ててくれ、蟻がその果物を食べるとかなんとか言う話だったかな。。。

つまるところ「共依存」の事を指しているようで、本作の姉妹もそういう状態だったと
妹は姉がいないと駄目、姉には全幅の信頼をおいていた
姉は常に妹の味方だったが、それも依存の一つの形だったのかもしれない
あとは妹は多重人格になっていて、本作でもその「本来の自分では無い自分」の視点で描かれた部分がある
その「本来の自分ではない自分」とも共依存だったと言っていたのかもしれない

非常に面白かったです
巻末に柚月先生の代表作として「盤上の向日葵」という作品があるという事だったので次はそちらを読んでみたいですね

ちょっと調べたところ柚月先生おきれいな方ですね
将棋の知見が多いのか、将棋観戦の記事があったり、ひふみんとの対談記事があったり
盤上の向日葵も将棋に関連した小説のようです

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Posted by ブクログ 2019年09月22日

無戸籍児、児童虐待、児童養護施設、個人情報保護法の壁、等々、現代でも広く深刻の度を増しているテーマが、主題となったミステリー。北陸福井の方言が、事件解決の糸口になっていくあたりは、巻末の解説にもあるように松本清張の『砂の器』へのオマージュか?

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Posted by ブクログ 2019年09月19日

柚月裕子さんにハズレ無し!

しかし…救われない話
━どうすれば彼女たちは救われたのだろう。

児童相談所や福祉事務所 児童養護施設は、どんな状況であっても 親と暮らすことが一番いいって 本気で言ってる( -_・)?ですかね。

そして、何を彼女たちは求めていたのでしょうね。

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Posted by ブクログ 2019年08月30日

結婚詐欺から人を殺めた容疑者の過去をライターが追いかけるストーリーですが、この小説の本質は、容疑者である児童虐待を受けた幼い姉妹の生き様を描いたもので、社会への警鐘。
謎が明らかになっていくハラハラドキドキの構成は凄いの一言。一気読みです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年08月16日

慈雨を読んで柚月さんの本をもっと読みたくなり購入。
過去と現在が交互に描写されるのは同じ感じだが、内容はさらに深く作り込まれていた。
事件に関わる女性二人の年齢から、なんとなく読んでいる側にはもしかしてと想像がついてしまうところがあったにも関わらず、ではどのようなしてこうなったのか?を知りたくて読む...続きを読む手が止まらなかった。
途中から出てくる「私」と「あなた」で「私」は誰なのかと考えながら読んでいたが、終盤に差し掛かってもしやと思っていたら案の定だった。
それほど苦しく辛い耐えられない状態に追い込まれてたのだなと改めて思わされた。
しかし、パチンコに依存してしまうところと、人を殺すことに躊躇わなくなってしまったところはどうにかならなかったものかと残念。

おじさん記者と若すぎもしないフリーの女性記者の組み合わせで、内容の重さに比して少し軽快に感じられたのが良かった。
この人たちならひどい記事にはしないだろうと思わせる感じもした。
かなり重い内容にも関わらず、読後感は結構良く何か救われたかなと思わされた。

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Posted by ブクログ 2019年07月30日

柚月裕子の小説なのに何とも切ない悲しい姉妹の物語。
31年前の姉妹の悲しい境遇とその後の生い立ちが、今起きている結婚詐欺殺人事件を追う一人の雑誌出版社のフリーライターにより解き明かされていく。
東京と千葉の県境で起きた結婚詐欺殺人事件は明らかな結婚詐欺の証拠により、43歳の美人の介護職員が逮捕された...続きを読む。連続結婚詐欺殺人事件の可能性があった。しかし容疑者には完全なアリバイがあり、生活は慎ましやかであった。疑問に思ったフリーライターはある方言のきっかけで北陸福井へ取材に飛ぶ。
福井で起きた31年前の父親による幼い姉妹への虐待事件と姉妹の姉による父親への傷害事件、その後行方不明の姉、地元の養護施設で育った妹。当時行方不明の姉に深く関わった児童福祉課の職員で今は特養に入所している老人から情報を得る。
過去と現在が徐々に繋がっていく描写に興奮する。そしてフリーライターが独自に築いた千葉の地方新聞の報道記者の協力者とその記者が懇意にしている刑事との連携で真相に一気に迫る。
興味深く進行していくストーリーに熱中するが、冷酷な殺人事件の真相がわかると切ない悲しい気持ちだけが残る。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月05日

社会派ミステリー。無戸籍、児童虐待、解離性同一性障害、アルコール依存、ギャンブル依存、共依存...。同時進行で現在と過去が進みながら犯人が明らかになっていく。心理的に追い込まれていく犯人に同情はするものの、過去に刻まれた深い傷をぬぐうにはどうすればいいか。

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Posted by ブクログ 2020年03月03日

柚月裕子作品、いつもながらワビサビが半端ない。
実父から性的虐待を受けた姉妹早紀と冬香の物語。

読めそうで読めない交換殺人のトリックは記者目線で一気に引き込まれたが、虐待シーンは目を塞ぐほど切ないし、完全なアンハッピーストーリーで辛くなる。
しかも、最終的な転落のきっかけは、パチンコと出会い系、、...続きを読む、身近でリアルだけど、そんなことでここまで転落するかと思うと、一層辛くなる。

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Posted by ブクログ 2020年03月01日

結婚詐欺の事件を追う女性ライターが主人公。容疑者は犯行を否定、さらにアリバイもある。しかも騙し取った金の使途も不明。不可解な事件を女性ライターは容疑者の生い立ちから調べていくことに。なぜこのような事件を起こしてしまったのか。地元紙記者と共同戦線を張り、容疑者の周辺を探るうちに容疑者の出身は千葉なのに...続きを読む福井というキーワードが浮上する。福井で取材を続けるうちに彼女には妹がいることが判明。点と点を結びつけていくとある仮説が浮かび上がったが、それは姉妹の悲しい生い立ちだった。

ライターってここまでやるのかというのが正直な感想。警察の聞き込みと同じようなことをやり、仮説を立てさらにそれに沿って関係者を洗い出しさらに聞き込み。警察はここまでやらないんだろうか。
誰にも助けを求めることができなかった幼い姉妹。姉は自分が犠牲になってま妹を守るという信念を貫き通す。妹は姉に頼り切り。お互いにとってなくてはならない共依存の関係。それが悲劇を生み出すのだが、その根本は幼い頃の境遇にある。こういった不幸の連鎖はどうにか断ち切れないものか。

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Posted by ブクログ 2020年02月16日

舞台は冬の福井。アル中の父親との放浪生活。虐待。一日三度の食事という概念がないカレーの話は虐待生活を際立たせる話でした。過酷な境遇は「砂の器」と重なります。その境遇で支え合ってきた二人が陥る新たな関係が蟻の菜園だった。タイトルはそういう意味なのかと最後に理解できました。重苦しくやりきれない話ですが...続きを読む深いです。

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Posted by ブクログ 2020年01月23日

姉妹の壮絶な過去は読むのが辛かった。婚活殺人の動機が養護するにはちょっと無理があるような気がした。情状酌量からの…。一気に尻すぼみ感がでた。一生懸命生きている姉が不憫に思えた。でも面白く読めた

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月20日

▼結婚詐欺殺人事件で逮捕された遠藤冬香。その事件は不可解な点が多い。
フリーライターの今林由美は隠された真実を知るため、冬香の育った東北に向かう。
そこでの聞き取りで判明したのは、冬香とその姉の早希、2人の凄惨な過去だった。
姉妹の過去が明かされると共に、事件が少しずつ紐解かれていく。


▼隠され...続きを読むていた真実を突き止めると、由美は事件が起きた原因を執筆する。
それは、「2人が幼少期に劣悪な環境で育ったこと。
また父親の虐待に対して国が助けず見放したことにより、冬香の精神状態に影響し事件を起こすきっかけとなった」と書き上げた。
事件の全容ではなく、事件の背景にある国の対応の不手際を痛烈に批判する記事だ。

この記事は雑誌の連載となり、のちに小説『蟻の菜園』として出版される。


▼登場人物の関係性がいまいち分かりづらかったが、最後まで読むときちんと繋がってくる。
犯人の幼少期を知ると、殺人を犯したことは確かだが同情を覚えてしまう。

何が本当の悪なのか、考えされられる小説だった。



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Posted by ブクログ 2019年11月17日

再読。

美人で男には不自由なさそうな円藤冬香が結婚詐欺容疑で逮捕された。男性の連続不審死にも関与が疑われる。興味をもったフリーライターの今林由美は事件について調べ始めた・・・。
事件の真相。その原因となる過去。読み進めるととても苦しく悲しい。
改めて読んでも、やっぱり面白いと思った。
柚月さんは、...続きを読む文書や構成はとても上手、とは言えないけれど、それでも読ませてくれる、考えさせてくれる作品が書ける作家。

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Posted by ブクログ 2019年09月29日

犯罪背景を描いた、やるせない気持ちにさせられる作品でした。
作者の作品は今まで刑事ものしか読んでいなかったですが、新しい一面がみられ、別作品も読んで行こうと思います。

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Posted by ブクログ 2019年08月17日

読みごたえがあります。
姉妹が出てきて、名前がたくさん出てきますが、記憶力のない私でも、ちゃんとスーッと頭に入ってきて読みにくさを感じなかったので、それがすごい!と思いました(笑)
新聞記者が取材でしる内容をその前に事実として書くなど、読みやすさ、話の組み立てなどがすごくよくできてるなぁーと思います...続きを読む

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Posted by ブクログ 2019年07月25日

切ない話 「どーすれば彼女達はすくわれたのだろう」という由美の言葉はまさに読者の思い。
昨今の児童虐待を耳にしても、可愛そうという思いしかなかったが、こんなにも人格に影を落とすという当たり前の事を私達は知らない。
問題提起ではあるが、チョット重たい

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Posted by ブクログ 2020年05月02日

虐待、共依存など様々なテーマが詰め込まれ過ぎている印象。
辛い過去から結局は乗り越えられずに悪い方向へと解決策を導くことしかできない二人の姿が辛かった。

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Posted by ブクログ 2020年03月07日

佐方貞人シリーズが好きで、柚月さんの他の作品も読んでみた。
私は、辛くて救いがないのは、読後が苦手なので、少し評価が低くなっています。

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Posted by ブクログ 2020年02月23日

題材は比較的ありがちなものだが、ある細工を施しているためアクセントが効いて飽きることはなかった。終章に作者が伝えたいことが凝縮していると思う。

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