あらすじ
結婚詐欺容疑で介護士の冬香が逮捕された。婚活サイトで知り合った複数の男性が亡くなっていたのだ。美貌の冬香に関心を抱いたライターの由美が事件を追うと、冬香の意外な過去と素顔が明らかになり……。
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Posted by ブクログ
無国籍児の児童虐待(暴力、ネグレクト、性的虐待)と成人後に犯した罪にまつわる話し。すごく丁寧に事象と心情を描写しています。手を抜かずに書いている丹精作。
登場人物の誰にだって、背景や抱えている気持ちがありました。
児童虐待や児童福祉について考えさせられる物語でした。
今林由美は事件を犯人とされる主人公の生い立ちや事情を丁寧に取材し検証し、事件の終局に、主人公の複雑な背景を考証した記事を書こうと決心しました。しかし新聞社の片芝から「ペンがどれだけの力を持ってるってんだ」と言われてしまいました。これに今林は「どのくらいの力があるかはわからないけれど、無力じゃないことは、片芝さんならよくご存じのはずです」と返しました。
無関係な者だって何かに取り組んでいい・考えて言い、無力じゃない、意味が無いことはない、という希望も素晴らしいし、そんな風に日常生活を送りたいし、そんな職業倫理を持ちたい。
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面白かった。サスペンス。
車の中で生活する父と、娘2人。10歳と6歳の設定だったから凌辱はないかな?とおもったけど。成長するにつれてあるよね、やっぱり。
養護施設はもっと積極的に動いてほしいよ。そういうことされた子供って言い出せないんだし。
女性ライターが駆け回って真相を明らかにする姿勢がいい。
最後には多重人格、で終わったわ。
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一気に読み切ってしまった。
すごくやるせない気持ちになった…。
虐待がこの世から無くなればいいのに。何があっても弱者を虐げていい理由にはならない。みんなが幸せになる方法はなかったのかな…。
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結婚詐欺容疑で介護士の冬香が逮捕された。婚活サイトで知り合った複数の男性が亡くなっていたのだ。美貌の冬香に関心を抱いたライターの由美が事件を追うと、冬香の意外な過去と素顔が明らかになり……。
面白かった。無戸籍の子供の入れ替えトリックや冬香の生い立ち。北陸とのつながりが見えてくるシーンや、人々の繋がりが綺麗な感じがした。しかも、その中に毒親と子供たちの苦悩やその中で育ったことからか社会的な共感性の欠如や姉妹の共依存関係などの問題提起もなされており面白かった。
もう少し姉の話があっても良かったかな。
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一見単純な殺人事件の謎を追うような感じの話しかなぁ、と思っていたのですが、ふゆかという名の女性を追うことから過去の事件を紐解いていくという、先の読めない展開にイッキ読みでした。
面白かったです。
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1つの事件をきっかけに2人の女性の過去と繋がりがあきらかになる。何度も驚かされた本だった。児童虐待がもたらすその後の人生への影響をすごく感じた本だった。
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名前を変え離れ離れになった姉妹 、早紀と冬香、実の父親から虐待を受け、幼少の2人は戸籍も届け貰えずワゴン車の中で暮らしていた。
自殺者をボランティアで支えていた与野井夫婦の元じに姉の早紀から助けを求めた電話が、時が流れ結婚詐欺容疑で円藤冬香という女性が逮捕起訴される。
フリーの記者、由美が事件の真相を記事に…
そして、早紀と冬香姉妹と虐待の父親が一本の糸で…
こんな過去があるなんて!
刹那い、やるせない!
考えれば考える程、やるせないくなる物語出会った。
Posted by ブクログ
・まあまあじゃないですかね。
・パレートの誤算よりはましかな。
・テンポもいいし、後書きにあるように松本清張感も醸し出している。
・やっぱり北陸って旅情を誘うよなあ。描写が上手い。これぐらいのスケール感の方がリアルに描けるから読み応えもある。
・メインの登場人物も絞られているから読みやすい。
・虐待のシーンは真に迫るものがあり、心がキュッとなってしまった。そこらへんも上手い。なんというか、描写に躊躇がないね。
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結婚詐欺の被疑者となった女性を追うフリーライターと、無戸籍児として虐待を受けながら生きる姉妹のお話が並行して進みます
なんとなく伏線から察したり、語り手の“私”の正体に気付いたりはしましたが、最後まではらはらしながら読めました
タイトルを“蟻の菜園”としたことに、筆者の思いややるせなさが感じられました
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◾️サマリー
・姉妹は共依存の関係を子供の時から築いてきた。
・父親からの虐待で生まれた解離性同一性障害。
・悪いのは父か、娘か、自治体か。
◾️感想
児童虐待、姉妹の共依存、ギャンブル依存、殺人という暗澹たるキーワードをベースにした暗い小説だった。
作者の作品を読むのは2回目である。前作の盤上の向日葵もまた、虐待のシーンが出てくる。
子を持つ親としては、何とも悲しい気持ちになる作品である。
子は親を選べないのだから、どのような形であれ、我が子には慈しみを持って接したい。
作品を読むと誰が本当に悪いのか分からなくなる。
虐待をした父親が悪いのか、虐待を背景に育ちあげく殺人に手を染めた姉妹が悪いのか、虐待を知りながら根本的な解決策を講じなかった自治体が悪いのか。読み終わった後も、ずっと考えている。
過去と現在を行ったり来たりしながら、作品は進んでいく。謎を解こうとする雑誌記者の今林の目線。
物語の犯人となる姉妹の目線(とりわけ妹)。
舞台は北陸地方の福井と東京。
立ち位置、場所、時間軸が変わりながら話が進むところは、作品に面白さが加わってとても良かった。
◾️学び
「人は誰かに頼らないと生きていけない。」
そんなこと、今更言われなくても分かっている。
でも、時々、そんな当たり前のことを忘れてしまう瞬間がある。
原理原則として、当たり前を当たり前と思わず生きていきたいと改めて思った。
Posted by ブクログ
読み終わって、無力感を感じ、複雑な気持ちになっている。
昨今、似たような事件をよく目にする。
そんなとき、どうすれば子供を救えるのだろうか?
実際に自分が遭遇したら、助けられるのだろうか?
今、法律がどうなっているのかわからないが、しっかりした法で子供を守れるようになって欲しい。
なんだか辛すぎて言葉にならない。
Posted by ブクログ
やるせない…
私の語彙力の無さのせいで
これくらいしか言い表せない
たぶん
今も沢越姉妹のような境遇に
置かれているこどもはいると思う
助けたいと思っている大人もいると思う
よく似た事件を目にするたび
どうして助けられなかったんだろうと思う
児相や自治体、地域、学校…
私は
お節介だと言われても踏み出す勇気を持とう!
それが誰かを救うかもしれないと思って
蟻の菜園…
知らない言葉だった
題名だけではとても思いつかない…
やっぱり柚月さんの作品好きです
Posted by ブクログ
結婚詐欺容疑で捕まった冬香が何故、結婚詐欺をしたのかを追っていくうちに、30年前の児童虐待とその父親の死亡事件にたどり着く。亡くなったはずの姉は戸籍を変えて生きていたが、それが分かった頃には妹の心はすでに壊れていた。
どうすれば児童虐待を防げたのか?親権者に任せる事は正しいのか?共依存故に、道を正せない関係とは?最後には複雑な人間関係が炙り出される。
Posted by ブクログ
結婚詐欺容疑で介護士の冬香が逮捕された。
婚活サイトで知り合った複数の男性が亡くなっていたのだ。
美貌の冬香に関心を抱いたライターの由美が事件を追うと、冬香の意外な過去と素顔が明らかになり……。
読んでると辛い場面が出てきて、心がえぐられる。
環境が異なるだけでこんなにも人生が変わってくるのか…と感じた作品だった。
本の世界だけど、自分はまだ恵まれているとも思うし、生き方を考えさせられる話だった。
Posted by ブクログ
読後は決して爽やかではない。しかしイヤミスではない。読むだけで胸が苦しくなるような悲劇の実態を描いた作品だ。
タイトルになっている「蟻の菜園」は共依存を表現したものだが、この作品の悲劇の根幹はそれではなく、胸糞が悪くなるような児童虐待だ。最近、巷間を賑わせているJ事務所の問題も児童虐待だが、この手の話は被害者が名乗り出ないと表沙汰にならないにも関わらず、被害者からの告発がないケースが多いようだ(J事務所の件はずっと以前から声をあげた人々がいたがマスコミが無視をしたという最悪のケースだが)。被害者が名乗り出ずに忍耐を続けているが故に虐待がエスカレートしていく。事案は違えど共通の構図だ。
世の中から少しでも児童虐待を減らすために私たちが出来ることは何だろうか。
多分そんな大袈裟なことではなく、知人や隣人にもう少しだけ関心を持つ。それが第一歩のように思う。
柚月裕子は昭和の雰囲気を持つキャラクターを描くのが上手いが、古き良き昭和のような周囲とのコミュニケーションこそが、悲劇を減らす切っ掛けだと作者は感じているのかもしれない。
Posted by ブクログ
最初は主人公由美のマスコミっぷりに、人のプライベートに自分の好奇心だけを引っさげて踏み込む厚かましさに、読んでいて疲れるところがあった。
だけど2章から姉妹の回想パートに突入し、一気に惹き込まれる。
その後、話が過去と現在の交互で展開し、先に過去で本人たちの思惑を知った上で現在パートで由美たちが謎を解いていくので、非常に読みやすかった。自分で、時折ページを繰る手を止めながら、散りばめられた伏線について思索するのもとても楽しい。
姉目線での話があまりないのと、妹があまりにも他人本意なので、終盤で少しイラッとしてしまったが、その偏見は私が恵まれているからなのかもと思ったりした。自分の軸を持ち他人に依存しないことは大切だが、この姉・妹に襲いかかった運命は、どうしたって1人では立ち向かえない。生きていく上で、妹は自分の中の別人格と姉に、そして姉は妹に、そして妹に無償の愛を注ぐ自分に依存することでしか、この世界を生きられなかったのだろう。
誰が悪いでもない(父親は擁護できないが)、彼女たちが生きた社会では、彼女たちの辿る運命は決まっていたのではないか。その社会を変えていくために、由美が最後にペンをとったのは希望があってよかった。
いやしかし、朝の通学バスで読み終えたが、このどんよりした気分はしばらく引きずりそう。
Posted by ブクログ
早いタイミングで不可解な事件の真相が分かるのだが、そこからラストまで一気に加速していく展開が、読者を飽きさせない。
北陸が舞台というのが、松本清張っぽくていい。
Posted by ブクログ
柚月裕子氏の作品、今回も楽しめました。児童虐待の悲惨さには同情しますが、パチンコ依存で殺人はダメでしょう。多重人格を盛り込む必要性が疑問でしたが、刑法39条で救済的発想?タイトルは共依存を表すが、姉は妹が必要だったのかな?
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初めての作家さん。
途中頭がちょっとこんがらがりそうになった(;^△^)
読み始めたら先が気になって気になって、一気に読んだ。
途中に生まれた謎も最後には分かったけど、もう一度最初から読み返したいなと思った。
子供たちは可哀想過ぎて、辛かった。実際にこの様な子供たちがいる事はニュース等でよくみる。
早く世の中からこの様な悲しい事がなくなればいいな。自分にも何か出来ないかな、、
新しい作家さんが知れて良かった。
Posted by ブクログ
へビーな話
途中までは早紀ちゃんどこ行ったー(泣)
最後は救われない話
空白の期間に早紀ちゃんは何してたんやー
ともあれ面白かったです。少し行間有りすぎて付いていけないけれど。
ネグレクトの話は心が元気じゃないと読んじゃダメです。
面白かった
もう一度読みたくなる。いつもこの作者さんの本は生い立ちなどがかわいそすぎて泣けてきてしまう。なぜだかわからないがいつも泣いてしまう。ザラザラした気持ちにもなるが前をむいてほしいなと心から思える作品だなと思う
Posted by ブクログ
あまりにも色々なことがありすぎた。連続不審死事件、結婚詐欺師、無戸籍児、児童虐待(性虐待)、アルコール依存、共依存、戸籍改ざんこれだけでも十分なのに、ギャンブル(パチンコ)依存に人格障害って。頭が疲れた、重い。
次は何?くらいの興味で読んでいないと落ち込む。特に性虐待のとこは辛かった。昔は、そういうことが珍しくなかったという部分も。
四章からは「あなたは・・」と語りかける二人称で描かれている。呼んでいるのは誰?それにつられ(こたえを知りたくて)どんどん読みにはまってゆく。絡みあった糸が解けていくような、パズルがするするはまっていくような、読ませられ感がすごいと思った。
貧困から父親(母親は亡くなった)から虐待を受け、戸籍も無く学校にも行っていない早紀と冬香の姉妹。
役場の与野井は、東尋坊の「命の電話」に助けを求めて電話してきた早紀を救う。戸籍を改ざんして別人に仕立て上げ遠くの施設に送った。が、残された冬香はアルコール依存症の父親と壮絶な日々を過ごすことになる。
老年、与野井は認知症になるのだが、早紀の幸せのためとはいえ、法を犯したことへの、良心の呵責に苦しみ続ける。しかも二人は複数の男に手をかけ殺めてしまった。
いつまでも心に引っかかる、というものは気持ちの悪いもので、正直に生きなくちゃだめだと思った。いまさらだが。
いくら毒親に酷い目に合わされようが、人を殺めてはいけない。どうしたら二人を救えたか、がテーマになっているが、一番親から愛されるべき時期に虐待を受けると、難しい。なんらかのサポートを受けないと。
一見美人姉妹が怖い。冬香は旦那がいる身で婚活サイトに登録し複数男性と付き合ったとは。そのような時間、労力あるんだすごいな(と妙な所に感心する)。
学校に行ってないって子がいるって、どこかでずっと前に聞いた気もするが、そうなんだとしか言えない。
Posted by ブクログ
蟻の菜園(アントガーデン)は、南米の蟻と植物の「共依存」の関係のことで、自分が存在するために相手の存在を必要とする事象。幼い頃に壮絶な体験をした姉妹の関係を暗示する。
「一見、助け合っているように見えるが、実はそうじゃない。共倒れの坂を転がり落ちているだけだ」
奇数章の現代(2010年頃)と偶数章の過去(昭和54年)の話が交互に展開されるが、過去に起きた過酷な虐待の描写がきつくて読み進めるのが苦しかった。読書で同じ時間を使うなら、辛い架空の話を追体験するよりも心温まる話が良い。
Posted by ブクログ
終始重い話だった…
子供が虐待を受けてしまうのは、やっぱり許せない。
親も人間なのでイライラもするし、怒鳴ってしまうこともある。
それは理解できる。
でも言葉は悪いが親の都合で子供を作っておきながら、過剰な体罰若しくはネグレクトなんて本当に許せない!
内容的には、⭐️4つけたいとこだったけど、なぜ最後に妹はパチンコにハマってしまったのか…
辛い幼少期を耐え、お金持ちの旦那さんと結婚もできたのに…。残念すぎるオチ
ただただお姉ちゃんが可哀想だ…
Posted by ブクログ
初めての柚月裕子さんの作品。
そして久々に事件ものの作品を読んだ。
序盤から事件の内容に引き込まれて、どうして?なんで?とどんどん続きが気になった。
そして、当事者たちの目線だけじゃなくて、それを記事にしようと過去を遡って取材する由美の目線もあったことがより面白さを引き出していた。
姉の妹を思う気持ちが随所に現れてて、本当に切ない一方で、それでも無実の人を殺してしまうのは罰せられるべきだなとか、子供時代の環境がその人の人生に与える影響とかいろんなことを考えさせられた。
私的に姉の改名後の名前に冬華を使ったところも、やはり妹がずっと気になってたのかなとか思った。
Posted by ブクログ
暗く悲しい話だった。人はなぜ犯罪を犯してしまうのか。幼少期の虐待が姉妹の人生を狂わせた。果たして親と言うだけで家に戻して良いものだろうかと言う作者の問いかけがあると思う。また、虐待が幼少期にあったとしても、困難を抱えながらも一生懸命に生きている人もいることを考えれば、ステレオタイプに読んではいけない小説だと思う。
Posted by ブクログ
婚活サイトを舞台とし結婚詐欺容疑で美人介護士・円藤冬香が逮捕された。そして彼女と知り合った男性は相次いで死亡していた。彼女は容疑を否認、アリバイも完璧だった。 フリーライターの今林由美は冬香の過去を辿って行く。
円藤冬香には姉がいて、姉の名前は堀越早紀だったが、今は円藤冬香と名乗っている。婚活サイトで円藤冬香と名乗っていたのは実は江田知代で、昔は堀越冬香で早紀の妹で…と、途中で頭がこんがらがりそうになりました。
どちらも美人で、側から見れば何の不自由もなさそうに見えますが、実は過去に壮絶な人生を歩んでいます。特に父親である剛からレイプされるシーンは読み進めるのが辛かったです。
与野井や古森美幸などの周りの人の助けも報われず、普通の人生を歩むことができなかった姉妹。
出所後は、今度こそ人生をやり直せるといいと思います。