あらすじ
結婚詐欺容疑で介護士の冬香が逮捕された。婚活サイトで知り合った複数の男性が亡くなっていたのだ。美貌の冬香に関心を抱いたライターの由美が事件を追うと、冬香の意外な過去と素顔が明らかになり……。
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Posted by ブクログ
無国籍児の児童虐待(暴力、ネグレクト、性的虐待)と成人後に犯した罪にまつわる話し。すごく丁寧に事象と心情を描写しています。手を抜かずに書いている丹精作。
登場人物の誰にだって、背景や抱えている気持ちがありました。
児童虐待や児童福祉について考えさせられる物語でした。
今林由美は事件を犯人とされる主人公の生い立ちや事情を丁寧に取材し検証し、事件の終局に、主人公の複雑な背景を考証した記事を書こうと決心しました。しかし新聞社の片芝から「ペンがどれだけの力を持ってるってんだ」と言われてしまいました。これに今林は「どのくらいの力があるかはわからないけれど、無力じゃないことは、片芝さんならよくご存じのはずです」と返しました。
無関係な者だって何かに取り組んでいい・考えて言い、無力じゃない、意味が無いことはない、という希望も素晴らしいし、そんな風に日常生活を送りたいし、そんな職業倫理を持ちたい。
Posted by ブクログ
結婚詐欺容疑で介護士の冬香が逮捕された。婚活サイトで知り合った複数の男性が亡くなっていたのだ。美貌の冬香に関心を抱いたライターの由美が事件を追うと、冬香の意外な過去と素顔が明らかになり……。
面白かった。無戸籍の子供の入れ替えトリックや冬香の生い立ち。北陸とのつながりが見えてくるシーンや、人々の繋がりが綺麗な感じがした。しかも、その中に毒親と子供たちの苦悩やその中で育ったことからか社会的な共感性の欠如や姉妹の共依存関係などの問題提起もなされており面白かった。
もう少し姉の話があっても良かったかな。
Posted by ブクログ
結婚詐欺容疑で捕まった冬香が何故、結婚詐欺をしたのかを追っていくうちに、30年前の児童虐待とその父親の死亡事件にたどり着く。亡くなったはずの姉は戸籍を変えて生きていたが、それが分かった頃には妹の心はすでに壊れていた。
どうすれば児童虐待を防げたのか?親権者に任せる事は正しいのか?共依存故に、道を正せない関係とは?最後には複雑な人間関係が炙り出される。
Posted by ブクログ
今林由美
栄公出版社。ニュース週刊誌「ポインター」の外注のフリーライター。康子とは二十年前は同じ新入社員だった。結婚で一度会社を辞めたが、バツイチで、昔の職場のコネを使いながら仕事をしている。
長谷川康子
由美を今ちゃんと呼ぶ。ポインターの編集長。
円藤冬香
介護福祉士。佐藤孝行と交際中に、別の男性とも親しくしていた。ふたりのほかにも、ここ数年のあいだに複数の男性と交際していた。そのうちの何人かが不審な死を遂げている。結婚詐欺容疑と複数の男性殺害への関与疑惑で逮捕されている。四十三歳、独身。松戸在住。社外福祉法人光祥会、特別養護老人ホームしらゆりの苑勤務。両親は幼いときに事故で亡くなった。施設で育った。
佐藤孝行
練炭死した被害者。自分の口座から冬香の口座に五百万におよぶ金を振り込んでいた。
津田憲吾
都内で編集プロダクション「トップアウト」を経営している出版プロモーター。由美がフリーライターになったころからの付き合い。
片芝敬
千葉地方新聞社、千葉新報の報道記者。現在、県警記者クラブのキャップを務めている。
泉圭一
独立U局の神奈川テレビ・ブロードキャスティング、KTBの子会社であるエフェクトプロダクト、通称エフプロに勤めている。テレビ局の下請けカメラマン。
北条佐紀
タレント。由美と同じ歳。
笹岡
冬香が働いている老人ホームの職員。
伊予マサ
三年前に認知症が進み、施設へ入所した女性。先日、肺炎のため九十五歳で亡くなった。
川岸
明清印刷の総務部長。冬香が通っていた中学の卒業アルバムを制作している。
及川省吾
冬香とは中学三年生のとき、同じクラスだった。
佐々木智子
冬香と同じ美術部。
沢越早紀
東尋坊から電話をかけた少女。
与野井啓介
三国町役場の児童福祉課に勤める傍ら、命のボランティア「あしたの光」も担当している。四十九歳。
認知症の症状が進み、「特別養護老人ホーム ソーレあわら」に入居。
幸江
啓介の妻。四十八歳。隣町の養護施設で働いていた。
古森美幸
「あしたの光」の会員。与野井と同じ三国町役場の町民課で働いている同僚。勤続五年目。
同じ職場の男性と結婚して本庄という姓になった。
沢越剛
早紀の父親。
圭子
沢越の妻。結婚してから七年後に病死。旧姓唐菅。
山村兵吾
巡査長。三国北駐在所勤務。
雅子
兵吾の妻。
小川
刑事課の巡査長。
前田
刑事課の警部補。
冬香
早紀の妹。
田中
地元の消防団員。
原田
消防団員。
江田知代
円藤冬香が日常で使っていた携帯の履歴に残っていた相手。鎌倉の由比ヶ浜に住んでいる。夫は小洒落たレストランを数軒、経営している。福井出身。養護施設で育った。旧姓本田。二十六歳のときに結婚。
小林
「青葉の園」の職員。
坂下
「光陽の家」の施設長。
大場
沢越剛に借金の保証人なってもらい、返済せずに姿を消す。
郁子
施設に入所している子供。
千絵
施設に入所している子供。
林郁美
施設の職員。
亜紀
施設に入所している子供。
島田一恵
市の福祉課。
新山
海谷基樹
千葉県警の捜査一課員。
本田亜希子
四十七歳。定年退職するスクールカウンセラーの代わりにやってきた臨時職員。
本田昭
亜希子の夫。
江田友宏
金沢市内にあるイタリアンレストランのシェフ。知代が会社に勤めて五年目のときに知り合った。
宮本尚二
婚活サイトで知り合った男。六十二歳。バツイチ。
青田進
厚木市に住む、七十二歳になる独居老人。
Posted by ブクログ
一章は正直面白くなくて全然進まなかったけど、二章に入ってからはページをめくる手が止まらず一気に読んでしまった。
途中までは面白かったけど、ギャンブル依存になって借金し始めたあたりからはうーん、って感じだった。
ありきたりというか、面白みがないというか、作者は虐待されてきた子供のリアルなその後を書きたかったのかもだけど、自分には合わなかった。
でもこれが現実なのかも。
一番悪いのはもちろん父親だけど、虐待してた親に子供を返しちゃいけないよね。改心したから返してくれなんて虫のいい話はないだろ。
Posted by ブクログ
蟻の菜園(アントガーデン)は、南米の蟻と植物の「共依存」の関係のことで、自分が存在するために相手の存在を必要とする事象。幼い頃に壮絶な体験をした姉妹の関係を暗示する。
「一見、助け合っているように見えるが、実はそうじゃない。共倒れの坂を転がり落ちているだけだ」
奇数章の現代(2010年頃)と偶数章の過去(昭和54年)の話が交互に展開されるが、過去に起きた過酷な虐待の描写がきつくて読み進めるのが苦しかった。読書で同じ時間を使うなら、辛い架空の話を追体験するよりも心温まる話が良い。
Posted by ブクログ
初めての柚月裕子さんの作品。
そして久々に事件ものの作品を読んだ。
序盤から事件の内容に引き込まれて、どうして?なんで?とどんどん続きが気になった。
そして、当事者たちの目線だけじゃなくて、それを記事にしようと過去を遡って取材する由美の目線もあったことがより面白さを引き出していた。
姉の妹を思う気持ちが随所に現れてて、本当に切ない一方で、それでも無実の人を殺してしまうのは罰せられるべきだなとか、子供時代の環境がその人の人生に与える影響とかいろんなことを考えさせられた。
私的に姉の改名後の名前に冬華を使ったところも、やはり妹がずっと気になってたのかなとか思った。
Posted by ブクログ
婚活サイトを舞台とし結婚詐欺容疑で美人介護士・円藤冬香が逮捕された。そして彼女と知り合った男性は相次いで死亡していた。彼女は容疑を否認、アリバイも完璧だった。 フリーライターの今林由美は冬香の過去を辿って行く。
円藤冬香には姉がいて、姉の名前は堀越早紀だったが、今は円藤冬香と名乗っている。婚活サイトで円藤冬香と名乗っていたのは実は江田知代で、昔は堀越冬香で早紀の妹で…と、途中で頭がこんがらがりそうになりました。
どちらも美人で、側から見れば何の不自由もなさそうに見えますが、実は過去に壮絶な人生を歩んでいます。特に父親である剛からレイプされるシーンは読み進めるのが辛かったです。
与野井や古森美幸などの周りの人の助けも報われず、普通の人生を歩むことができなかった姉妹。
出所後は、今度こそ人生をやり直せるといいと思います。