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Posted by ブクログ
原作・柚月裕子、映画脚本・池上純哉、ノベライズ・豊田美加『小説 孤狼の血 LEVEL2』角川文庫。
映画『孤狼の血』のオリジナル続編映画『孤狼の血 LEVEL2』の脚本をベースにしたノベライズ小説。小説『孤狼の血』と『凶犬の眼』との間をつなぐ物語となっている。オリジナル映画のノベライズというと原作のイメージを損なうのではないかという懸念もあったのだが、そんなこともなく非常に面白い作品に仕上がっていた。
広島の裏社会の暴走を食い止めていた呉原東署の刑事・大上が亡き後にその意思を継いだ若手刑事の日岡秀一は再び広島の裏社会に新たな抗争の火種が燻るのを感じた。日岡が壊滅状態に追い込んだ五十子会を復興するために刑務所から出所した残虐で冷酷無比の怪物・上林が復讐のために形振り構わず動き出したのだ。
警察組織にも疎まれ、エスのチンタを失った日岡は上林と対決するが、その闘いの果てに待っていたのは……
本体価格620円
★★★★★
Posted by ブクログ
本作は小説であるが、小説のシリーズ第1作を原案にした映画の“続篇”として企画制作された映画の脚本を下敷きにしながら起こした小説となっている。「映画の尺」という分量の物語を小説化しているので、読み易い分量の小説に纏まっている。
『孤狼の血』のシリーズについては、映画を愉しく観たという経過が在り、小説の『孤狼の血』を読み、小説がシリーズ化されていたので第2作の『凶犬の眼』も読んだ。更に本の登場まで少し待った第3作の『暴虎の牙』も愉しく読んだ。
映画も、3作の小説も知る“一ファン”と「映画の2本目が在るなら?」と考えれば、第3作の『暴虎の牙』を下敷きに脚本が創られるというようなことを予想した。が、それが見事に「好い意味!」で裏切られた…この小説の下敷きになった脚本が新たに創られた訳である。
『小説 孤狼の血 LEVEL2』の物語は映画やその原案となった小説の物語が幕を引いた後、小説第2作の『凶犬の眼』の物語が始まる辺りの少し前の時期を想定していると見受けられる。
“シリーズ”という作品に関しては、自身のように面倒なことを言い出すファンが往々にして在るということで、ここまで面倒な能書きになっていることは御容赦願う…
国立大学を卒業後に県警に奉職している日岡刑事は呉原東署で、暴力団事案担当の“ガミさん”こと大上刑事と仕事をしていた経過が在った。暴力団抗争が燃え上がろうという情勢下、抗争を鎮静化しようと画策していた大上刑事は殺害されてしまっていた。その大上刑事の事件の後も日岡刑事は呉原東署で活動を続けていた。日岡刑事は、大上刑事の後継者を自認し、暴力団抗争を抑え込むことに腐心していた。
呉原では老舗の尾谷組に対し、広島の大勢力である仁正会の参加である五十子会が対立するというのが暴力団の業界の構造であった。そうした中、五十子会は会長が殺害されてしまって勢威が削がれていた。そんな街に、殺害された会長に最も可愛がられていた五十子会の幹部であった上林が刑期を終えて還って来たのだった。
そして猟奇的な殺人事件が発生する。ピアノ講師をしていた女性が無残な遺体で発見された。殺害された女性は、五十子会の上林が服役していた刑務所の刑務官の妹であった。
殺人事件の特捜本部が立ち上がった中、呉原東署から日岡が本部に召集された。殺害された女性が、五十子会の上林が服役していた刑務所の刑務官の妹であったことから、呉原の暴力団関係の事情に明るいという事情だが、この特捜本部の管理官を務めることになったのは、大上刑事が健在であった頃に色々と在った嵯峨であった。
凶悪な、或いは凶暴な破壊的暴力の権化のような上林が広島の暴力団の業界を瞬く間に席巻し、呉原に大きな抗争の火種が沸き起こる。それを阻もうとする日岡刑事は如何するのか?
という闘いの物語である。大変愉しく読んだ!!!
Posted by ブクログ
孤狼の血で大興奮、凶犬の眼で大興奮、そして本書、「孤狼の血level2」で....やはり大興奮した。おうおう、鼻からの出血多量で死ぬど?ぐぬぬ、全て最高ではないか...星が足りぬ。
と、めちゃめちゃに楽しんでいたのだがどうしても何かが物足りない。何だろう。あぁ、アレだ。「漢」の哀愁とそれに伴うアンニュイなカッコ良さだ。アウトローな武闘派だったヤクザ達は良くも悪くも肩身を狭くしていき、ゲスいビジネスで鎬を削る姿は嫌なリアルを纏っている。むむぅ、かっちょいくない...シリーズにて築き上げた「漢」の幻想が崩れてしまうではないか。
....なんて、この落胆はゴリゴリの武闘派上林の釈放によって盛大に破壊される事となる。安息をかろんじた数行前の自分を責めたくなるくらい、警察を巻き込んだ背筋も凍る壮絶なヤクザ抗争が待ち受けていた。ウヒョッ(歓喜の小声)
孤狼の血を一言で表すと「カッコ良い」だったのだが、本作はずばり「怖い」だ。映画のノベライズだから致し方ないが、演出に力を入れているご様子。柚月裕子作品では無い事実を明確に主張しているかの様だった。故に心理描写は軽薄で、人物に対して掘り下げた展開は望めない。しかし、それが凄く面白い。真のエンターテインメントの開幕だった。
ヤクザとズブズブに癒着していた大上の跡を継いだ日岡が繋いできた安息。これが上林の登場によって猛スピードで崩れ始める。終始暴力と血みどろな抗争に私の脳みそは私の眼球を休ませようとしない。即席ブラック企業の出来上がりだ。
なにより亡き大上刑事のリスペクトを強く感じる。やはり彼無しではこのシリーズを語る事は出来やしないだろう。日岡に被さる大上の背中は重たく、そして偉大だった。この調子だと近い未来私は、「大上」の名を聞いただけで涙を流せるくらいまで調教される事だろう。パブロフのなんちゃらだ。
展開は本の薄さに比例してスピーディだがやっつけ感は全く無い。むしろものの2.3時間でここまで内側からウキウキする事が出来るなんて、人は贅沢を極めたらこんな気持ちになるのだろうか。
上林と日岡を除くヤクザと警察の相関が完全にモブ扱いなのが非常に勿体ない。更に上林の行動理念が親父である五十子正平への忠義と仁義故の物なのか、はたまた自分本位の暴走なのか...真意が掴めなかった。彼の過去については時間が許すのなら何ページでも追い続けたい。だから是非、「異常な人」枠から抜け出してあげて欲しい。彼を主役にして欲しいのだ。もっと見ていたい。エピソードゼロ、孤狼の血LEVEL0を...あぁ、私の願望も暴走が止まりません。
「漢」の「人情」「仁義」を前作程に感じる事は出来なかったがエンタメの最高峰を堪能した。これを読んで映画を素通りする事は難しい。意地でも時間を作るぞぉ!(´﹃`)ジュル
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