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Posted by ブクログ
柚月裕子さんの、作家生活15年の軌跡が詰まった文庫オリジナルエッセイ集です。カバー装画はGLAYのTERUさんの描き下ろし。素朴ながら柚月さんの心情に寄り添っていると感じました。
私の柚月さん像‥見目麗しい女性作家が、なぜあんな骨太な男臭い物語を描けるのか、そこに萌えますし、またある時は、主人公が(佐方シリーズのように)自分の正義を貫く姿に快哉を叫びました。
本エッセイは、柚月さんの喜怒哀楽が散りばめられたバラエティに富む内容で、とても新鮮に感じました。各紙や小説誌等に掲載された以前のものも多くありながら、古さを感じさせません。
特に、柚月さんの創作にまつわる裏話は興味深いものがありました。また、猫をはじめ、柚月さんの好きなもの・ことの話も多く、ファンの皆さんには必読ではないでしょうか。
個人的に最も刺さったのは、震災の辛い経験を経て、表題につながったであろう終末部分です。
◯「ふたつの時間」(震災の日で止まったままの
時と、そこから流れている時)
◯「ふたりの自分」(震災後の日常を送る
自分と、あの日から動けずにいる自分)
このくだりを読む程に、柚月さんの根底にある、世の中の理不尽や不条理に向き合い続ける姿勢が、痛いほど伝わる一冊でした。
Posted by ブクログ
柚月裕子『ふたつの時間、ふたりの自分』文春文庫。
2008年のデビューから2023年現在までの15年間の軌跡を辿る著者初となるエッセイ集。
作家と主婦の『ふたりの自分』という自身のことを綴ったエッセイと東日本大震災で父親と祖母を失ったことを切っ掛けに東日本大震災前後の『ふたつの時間』を綴った二部構成のエッセイ集となっている。
年代的に近いこと、同じ岩手出身ということもあってか、妙に納得するところが多い。自分も2年間、父親の仕事の関係で釜石に暮らしていたことがある。夜の町に光る新日鉄の工場、いつもゴーっというかワーンというような工場の操業する音が聞こえたものだ。
最初のエッセイ『記憶の中の料理』に登場する中津川は盛岡の市内を流れる中津川なのかと思うのだが、特に説明も無く定かではない。しかし、後のエッセイ『道の記憶』と『思い出の道』に盛岡で幼少期を過ごしたことが描かれているので、やはりあの中津川だったかと納得する。柚月裕子が釜石生まれであることは知っていたが、盛岡でも暮らした経験があったことを初めて知った。
柚月裕子は『想像する原点を思い出す五冊』というエッセイの中では、五冊の中の一冊に北方謙三の『逃れの町』を選んでいる。自分も北方謙三のハードボイルドの中では一番好きな作品だ。柚月裕子も書いているが、冬の軽井沢のシーンが良い。
勿論、柚月裕子の小説は好きで、文庫化されたものは全て読んでいるが、柚月裕子の人と成りを垣間見ることが出来て、面白かった。
本体価格820円
★★★★
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