柚月裕子のレビュー一覧

  • もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。
    6人の作家さん毎に色が異なる厚手の紙の本。
    写真はもちろんカラー。

    角田光代さん
    「トト」は2冊フォトエッセイを読んだので知ってる。
    「トトが来る前は自分中心で、辛いことがあると全身で向かい合っていたのでしんどかった。」が、
    「トトが来てからは、とりあえずトトにご飯をあげなきゃ、といった気持ちの逃...続きを読む
  • 合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明
     女性探偵が「あり得ない」事件の謎解きに挑む連作中編集。

     シリーズ2作目は中編3編からなり、5編構成だった前作より描写が細やかになっている。
             ◇
     台風一過後の青空を窓際に立って眺めていた涼子の背中に、領収書の仕分け作業を手伝えという貴山の不機嫌そうな声が掛かる。

     こ...続きを読む
  • 慈雨
    警察小説というよりは、重厚な人間ドラマですね。
    定年退職した元刑事の神場には、忘れられない事件がある。16年前に、おかしい…と思いながらも上からの圧力で終わらせてしまった少女誘拐事件。
    重いものを背負いながらの16年間。そして退職した後もその重さは変わらない。
    そして今また、あの時と酷似した少女誘拐...続きを読む
  • 風に立つ
    久々の柚月裕子さん

    いつも読み応えのある作品を
    しっかり書かれている印象

    なのでこちらも腰を据えて読まなきゃ!
    …と思っているとなかなか手が伸びず
    ご無沙汰でした。


    でも久々に読むととてもよかったー!


    補導委託を受け入れる、ある家族の物語。


    補導委託というのは
    問題を起こした少年を、...続きを読む
  • 風に立つ
    南部鉄器職人の父と葛藤のある悟は、自分の子供にも愛情のない父親が問題少年の補導委託を引き受けた事に納得いかなかった。
    やがて受け入れる事になった少年春斗の親子関係を通し、自分と親との関係を見つめ直していく。
    近すぎてよく見えない、老眼のような親子関係。
    言い得て妙です。
    子供への愛情は時によって親の...続きを読む
  • 月下のサクラ
    ジリジリと犯人に迫っていき、後半はスピード感が増していく。
    主人公は信念が強すぎる感じはあるが、チームメンバのキャラはそれぞれ良い。
  • 月下のサクラ
    警察小説でも稀な部署が舞台
    さすが柚木裕子、と思わせてくれる男性社会の微妙な駆け引きというか、信頼のあつさに惹きつけられます
  • 検事の本懐
    五話の短編集、どれも最高です。
    特に【本懐を知る】!

    結末がみえ易いのに
    不覚にも電車の中で
    熱いものが込み上げてしまい、
    涙を誤魔化すのに必死でした。






  • 慈雨
    半年に一度、とても仕事が忙しい時がある
    今だ

    それなのに、この本を選んだ理由はわからない
    楽しい気持ちになる本ではなかった
    フィクションだからこそリアルなところもあり、読んでいて辛くなることも多かった

    特に千羽鶴さんの話は泣けた

    神さんや緒方さんのような刑事さんだらけだったらいいのに
  • 風に立つ
    最初は分かり合えなかった孝雄と悟、そして春斗と達也次第に打ち解けていく…孝雄の過去が明らかになり本当の想いがわかった時、感動がグッと込み上げてきた
  • あしたの君へ
    おもしろかった!
    どなたかの本棚にあって、おもしろそうだと思っていたのですが、期待通りでした
    研修中の大地くんが、力のなさに悩みながらもその時々の担当した方たちに向き合う姿がよかったです
    最後にどんでん返しのようなこともあって、ちょっぴりミステリー要素も感じられ、推理しながら読みました
  • 教誨
    本作を読み終わってふと伊勢正三の雨の物語を思い出した。旧習深い田舎と地元に縛られる家族。個に生きようとしても息苦しい。とても悲しい物語でした。
  • 盤上の向日葵(上)
    ひとつの殺人事件に纏わる遺品と、時系列が全く異なるとある人物を展開する作品。事象の点と点が繋がり、遺品と重要人物の接点が徐々に交わる展開に手が進む。
  • 検事の信義
    検事。
    そんなに興味を持てるイメージがなかったり、堅苦しいイメージだったりして、最初のうちは読みづらかったのですが、どんどん引き込まれて‥

    「事実は真実ではありません。」

    「人には感情があります。怒り、悲しみ、恨み、慈しみ。それらが、事件を引き起こす。事件を起こした人間の根底にあるものがわからな...続きを読む
  • あしたの君へ
    家裁調査員の短編
    この仕事の大変さ苦労もわかり、書面上では解らない実態を紐解いていく。
    解説も含め良作。
  • あしたの君へ
    P167
    「人を救うためには、知識や経験も大事だけど、一番必要なのは、悩みを抱えてる人たちの力になりたいって気持ちだと思う。それがなければ、知識や経験があっても、相談者には寄り添えない」

    なかなか良かった。
    人の善意がそれぞれにあって、それがあったかかった。
    大地くんのその後が読みたいなぁ。
  • ウツボカズラの甘い息
    事件の結論に辿り着けそうで辿り着けないもどかしさが読み応えに繋がった。母親だからこその苦悩が全くの他人事では無いなと感じ、辛かった。ページ数の割にすんなりと読み進められるのは自分が当事者のように没入しているからだと思った。
  • 教誨
    この作品は、2006年に起きた秋田連続児童殺害事件の畠山鈴香服役囚(無期懲役)をベースにしているのでは、と思い関心を持ちました。

    物語は、遠い親戚に幼子を殺害した死刑囚がいて、その遺骨を引き取るために、拘置所へ主人公が向かうところから始まります。交流も無かったのになぜ遺骨引受人に指名されたのか? ...続きを読む
  • 孤狼の血
    昭和のヤクザ映画を観ているよう。映画館を出た観客たちと同じように、一気に読み終わる頃には私も、広島弁で肩いからせて…独特の世界にすっかりハマっていました。
    最後に「血」の意味が明かされ、次につながる展開。続編を探さねば。
  • 月下のサクラ
    並外れた記憶力を持ち、機動分析係に配属された森口泉巡査。丹念に捜査を積み重ねるうちにとんでもない事件にたどりつく。ストーリーにはリアリティがあり、結末は読者を十分に驚かせるだけにものがあって、大いに楽しめる。