柚月裕子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
やっぱり佐方さん好きだなぁ
シリーズ新刊出るのいつも楽しみにしています。
弁護士になった佐方が大学時代の友達の性犯罪弁護をすることになる。
自分のしっている友達の姿と今の評判の落差に戸惑いながらも真実を見つけていく。
読みながら何度も涙を流しました。
香川の最高級石材「蕃永石(ばんえいせき)」の存在も知りませんでしたが、その石を長年仕事としてきた職人の死と事件が絡み合う。
仕事に誇りを持って取り組む人達、時代の流れに逆らえず、埋もれていく人達…
助けたいけど、自分の家族のことを考えて助けられない悔しさ…それぞれがそれぞれの立場で苦しみながら生きている姿に胸が痛くなりました。 -
Posted by ブクログ
人の感情を色として感じ取る「共感覚」を持つ青年・藤木司を担当することになった臨床心理士・佐久間美帆。親しかった少女の死は自殺ではないと訴える司の言葉をきっかけに、美帆はその真相を追い始める。
人の心理を読み取り、理解しようとする心理士と、人の隠された感情まで見えてしまう青年。この二人を組み合わせた設定がまず面白い。
そして事件の核心に触れてからの後半は、緊迫感が凄まじい。主人公が追い詰められていく展開にはハラハラさせられ、ページをめくる手が止まらなかった。そんな中で特に心に残ったのが、理解できないものを無理に理解したふりをせず、それでも相手を信じ、冷静に行動する人物の姿。人と人との信頼が伝わってくる展開には胸が熱くなった。
立場も目的も異なる登場人物たちが、それぞれの「真理」を追い求めていく物語でもあったと思う。しかし、真理にたどり着けば、すべてを理解できるわけではない。犯罪へと向かった心理は読み取れても、それを理解することは到底できなかった。人の心理を知ることと、その人を理解することは同じではない。そう考えると、『臨床真理』というタイトルが読み終えて一層深く響いてくる。
知的障害というデリケートな題材を扱い、共感覚という特殊な設定を物語に溶け込ませながら、時には目を背けたくなるほど過激な描写にまで踏み込んでいく。それでいて、登場人物の心模様や組織のあり方、行動に至る動機は丁寧に描かれている。
社会の暗部にも、人間の心の奥底にも容赦なく踏み込み、最後は圧倒的なサスペンスで読ませる。これがデビュー作とは驚かされる。後の作品で何度も感じてきた「柚月裕子さんらしさ」は、すでにこの一作目からあったのだ。
読み終えて改めて思う。やはり私は、柚月裕子さんの作品が好きだ。 -
Posted by ブクログ
大学時代の同期である久保利典弁護士から佐方弁護士に電話が入り、自らが犯した事件の弁護を依頼される。
久保はクラブホステスのユウカから不同意性交等罪で訴えられ、逮捕されていた。
2人はバーに立ち寄り、そこでユウカがトイレに立った時、飲んでいたカクテルに薬物を混入され意識朦朧の状態となり、ホテルに連れ込まれて犯されたという事件だった。
勾留されている警察で佐方と接見した久保は、彼女と一夜をともにしたのは事実だが、あくまで合意のうえだったと主張する。
香川県の蕃永石は、全国的には然程知名度があるわけではないが、美しさでは類を見ない程で、採石した石を美しく仕上げるためには石職人の高度な腕が要求される。
職人の中でも一目を置かれる原じいは、両親を交通事故で亡くした5歳の孫娘・晶の面倒を見ることになり、溺愛して育てていた。
晶も原じいの仕事に憧れ、大人になったら石職人になると言い、原じいを喜ばせていた。
その原じいを心酔しているのが石職人の大橋猛で、亡くなった晶の父親と同級生だったこともあり、晶を思いやって娘のように接していた。
そのうちに蕃永町の蕃永石を巡って組織内に波風が起こり、原じいは石職人としての仕事を続けることが難しい局面を迎えることになる。
果たして久保の判決はどうなるのか⋯
佐方は久保の無実を勝ち取ることになるのか⋯
香川の蕃永町で起こった蕃永石を巡っての波風の問題と、久保事件との繋がりが浮かび上がってくる。
検察側の勝訴と世間は決めつけている事件だが、久保の弁護人である佐方は、やはりずば抜けての敏腕弁護士だった。 -
Posted by ブクログ
医師ではない作家、柚月裕子さんが
魂込めて書き上げた医療小説。
医師が読んでも「完璧」と唸るほど、
見事な医療現場の描写。
どれだけリサーチしたのだろう。
脱帽としか言いようがない。
手術支援ロボット「ミカエル」での心臓手術で院内での地位を確固たるものにした西條。そこへ、ドイツからの刺客、真木がやってくる。ロボット術か旧術か。
ライバル2人の生い立ち、患者への想い。野望。
院内の人間関係。
真木が山で見たものとは?
柚月裕子さんの筆致は、とても淡々としている。
性別を全く感じさせない冷酷さがある。
だからこそ、浮かび上がる登場人物が抱えた苦悩。
ストーリーは勿論のこと、
そのクールな文体に引き込まれた。
柚月裕子さんは東北出身。
祖父母も両親も津波で亡くなったそうだ。
生まれ育った土地柄や環境も
妥協しない作風に反映しているのかもしれない。
山のシーンの描写。
映画のように映像が浮かんだ。
ラストシーンの書き方も、いい。
感情に流されない強さを感じた。