柚月裕子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ亮がただただ可哀想でならなかった。生まれてから、苦労の連続。親に捨てられたという思いで、親しい人もいなくて、正社員になれそうな矢先に暴力事件に巻き込まれて、そして…と、物語が展開していく。
不幸な人生を呪い、いったい誰を恨めばいい、と自分に問いかける。最後亮は、「誰のせいでもない。その時々で道を選んだのは自分だ。これは、なるべくしてなった結果だ」と思い至る。気持ちを変えて償おうと思った矢先に発砲されて、射殺されてしまった。しかし、最後の最後に父親の思いがわかったことが救いだった。
震災時のリアルな状況、被災者達の心にもふれ、とても考えさせられる小説だった。ぐいぐいと読まずにはいられない柚月 -
Posted by ブクログ
冒頭でバッドエンドが予想されるシーンから始まり、運命が先細りしていくように結末に向かっていく中、物語がひっくり返るようなどんでん返しがあるわけでもなく、ストーリー自体は切なさを感じるだけであった。しかし舞台となる震災直後の現地の描写や社会の雰囲気、被災者の心理描写が生々しく、当時の雰囲気が伝わってきた。当時は自分も被災し、家族と連絡が取れない中で、任務を遂行しなければならない立場に置かれたため、この本を読んで色々と考えさせられた。結果家族の無事を確認でき、この登場人物と比べると自分の被災は足下にも及ばないが、近しい人ではないにしても仲間の家族が亡くなったり、本人が亡くなる中、公か私かを自問自
-
Posted by ブクログ
錦旗島黄楊根杢盛り上げ駒
「錦旗島黄楊根杢盛上駒(きんきとうつげねもくもりあげこま)」とは、最高級の将棋駒で、「錦旗(きんき)」という格式高い書体を使用し、木目が美しい**「島黄楊(しまつげ)根杢(ねもく)」という希少な木材に、漆を厚く盛り上げて文字を表現する「盛上駒(もりあげごま)」
「菊水月(きくすいげつ)」は、将棋の希少な駒の名前であり、小説・映画『盤上の向日葵』で重要な役割を果たすアイテムです。
2018年本屋大賞2位!
著者渾身の慟哭のミステリー、ついに文庫化!
平成六年、夏。埼玉県の山中で白骨死体が発見された。遺留品は、名匠の将棋駒。叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ棋士を志