柚月裕子のレビュー一覧

  • 検事の死命

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    読み始めはなんだか、微妙かなと思ってたんだけど、読み切るとその微妙な部分の必要性を感じました。なるほど、とおもいました。伏線回収のなるほどじゃないです。出だしの1,2章のストーリーは多分なくても話は通じます。だけどあることによって3,4章のストーリーに深みが出ます。柚月さんの作品はやっぱり面白いです。

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    2025年11月27日
  • チョウセンアサガオの咲く夏

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    柚月先生の短編集は初めて読んだが、相変わらず無駄がない洗練された文章でとても読みやすく、短い中でも伏線とその回収がなされているのが本当にすごいと思った。馴染みの佐方さんの名前が出てきた時は嬉しかった。

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    2025年11月26日
  • 検事の本懐

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    短編集で読みやすかったです。検事左方貞人の風貌と人間性に引き込まれます。法曹界の上下関係は今の時代もあるのでしょうね。

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    2025年11月26日
  • パレートの誤算

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    本来受給対象である人が受けることが出来ず、悲しい結末のニュースがある一方、不正受給の話も聞くことがある。以前から関心のあるテーマ「生活保護」
    書かれてる内容は、きっとどこかで存在することのような気がした。同時にケースワーカーは本当に大変な仕事だと思う。人数が足りないのに受給する人は増えている現実。訪問調査で細かい状況を把握するのも難しいのではと思ってしまった。
    ストーリー展開はテンポ良い。なんとなくこの人かなという人が犯人だったけど、保身の為にまさかの理由(繋がり)で罪を犯したとは…

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    2025年11月26日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    柚月裕子さんの作品は幾つか読んでるけど、どちらかというと映画というより2時間サスペンスのイメージ(虎狼の血シリーズは別ですが)です。この作品も、

    設定が重いし、犯人の境遇も重い。「運が悪い」で片付けられてしまうが、最初のチンピラといい、巻き込まれた感じで不幸さを感じる。こういう境遇の人は少なからずいるんだろうなと思ってしまう。犯人の気持ち、東日本大震災、まだ春ではない、粉雪の降る季節、全てが重い話でした。

    日本人は基本的に仕事人間なのはわかるが、職務を優先した主人公の陣内には、どうにも共感できない。

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    2025年11月24日
  • 月下のサクラ

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    警察広報職員から刑事に拾ってもらった森口泉。配属当日に会計課の金庫から現金が紛失する事件が、捜査の途中。容疑者と見られる人物が死亡。その現場にはいち早く公安が、事件の真相や公安の関与。上司の謹慎で更に事件を困難にする。
    泉の正義への誇り、真っ直ぐな行動が事件を突き止める糸口に
    柚月裕子先生らしからなるハードなラスト(アクション?)も新鮮。

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    2025年11月20日
  • 盤上の向日葵(下)

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    上巻から終盤への流れをイメージしていたが、見事に裏切られた。
    とても良かった。
    読み終えた後の爽快感になるほど、スッキリした感じになった。
    映画ではどうなるか。映画を観てみたいと思えた。

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    2025年11月20日
  • 孤狼の血

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    昭和63年の広島を舞台に、型破りな刑事大上と新米刑事の日岡がやくざの抗争を止めるために奮闘する物語。

    柚月裕子さんの名前は知ってたけどちゃんと読むのは初めて。
    濃厚な広島ヤクザの仁義なき戦いの世界に没頭した。最初は組織関係図が頭に入ってこなくてなかなか進まなかったけど、途中からグイグイ物語に引き込まれた。
    終盤まで警察VSヤクザの物語として読んでいたのに、本当の敵はそっちじゃなかったってところが闇深で鳥肌立った。章の冒頭の日誌の削除部分の意味が明かされて、ガミさんの孤狼の血が日岡に受け継がれるエピローグ、胸熱。
    私は広島弁が好きなので、ガミさんのコテコテの広島弁(大阪弁以外をコテコテと表現す

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    2025年11月20日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    良かった。個人的には、救いのない所に、救いが見いだせました。不運な人間だからこその最後の悟りに行けるのかと。ただ、ラストはもう少し盛り上げてほしかった。
    柚月裕子の本を読んだの初めてでしたが、悪くない。でも、人物描写がぬるいというか、もう少し輪郭を出してくれると、もっと没入できるかと思いました。他の作品はどうなんですかね。。。

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    2025年11月19日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    震災を扱ったクライムサスペンス

    人質を取って立てこもった犯人を建物の外から見張るSATの描写から物語は始まる

    震災の混乱に乗じて罪を犯した極悪人と思わされるが、順を追って見せられると犯人の真柴はたまたま犯罪を犯してしまっただけの被害者にすら思えてくる

    真柴自身も、あのときああしていれば、こうしていなければ、自分は殺人などしなかったと振り返る

    とにかく「ついてない」人だったのかなと思うとやりきれない

    読み終わったとき、犯罪を犯した犯人、その被害者、震災の犠牲者、いろんなものに思いを馳せた

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    2025年11月19日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    読後が良いとは言えないが素晴らしい本であった。
    改めて著者の筆力に脱帽する。
    東北大震災をテーマとした本として女たちの避難所(垣谷美雨さん)の本と何となく似ているような感じがした。
    但しストーリーは全く異なる。
    人間、皆、平等だ、、、、などという綺麗事とは全くの真逆。
    ちょっとしたきっかけから人生が予想外に展開してしまう。
    最後の自分の人生を振り返る部分が心にしみた。

    どうしてこんなことになってしまったのか、考えた。いったい誰を恨めばいい。娘を失った悲しみのあまり、自分に間違った父親像を植え付けた祖父か。車に轢かれた高齢者か。酒を飲んでいながら、車を運転した父親か。
    甲野が店で半グレと揉めな

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    2025年11月18日
  • 教誨

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    「約束は守ったよ、褒めて」

    逆境のなか幼い二人の命を奪った死刑囚は、執行の直前にこう漏らした。
    遺骨引受人となった遠縁の主人公はこの言葉に違和感を覚え、事件の舞台となった青森の小さな町を訪れる。

    物語は、かなり社会性の強いテーマで進む。

    人の出入りの少ない田舎、閉鎖的な環境の中の小さな学校で起きる“イジメ”……多くはその親の感情が子どもたちを動かしている。また、大人たちも目に見えない束縛から逃れられない。

    世間は自分では判断できない事象に当たると、わかりやすい解釈に飛びつく。
    それは報道であり、報道もまたわかりやすい解釈に飛びつく。
    いまはそれがネット
    誰もストップをかけられないその世

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    2025年11月18日
  • 検事の信義

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    検事の佐方貞人を巡る四話
    正義感が強く検事としても疑問を持った事件には徹底して真相を究明する
    たとえ上司の逆鱗に触れても

    それが第四話によく現れている
    介護と認知症の問題は
    今の日本では殺人事件まで起こるくらい社会的な課題でもある
    検事の目を通して社会の事も考えさせられる
    けっこう深いストーリー

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    2025年11月17日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    「どこまでいっても不幸から抜け出せない」主人公の背負わされている理不尽や不条理といったものは東日本大震災での被災の全てを象徴しているかのようだ。

    冒頭で、一般男性と警察官の計2名を殺害して逃亡する主人公にSATの出動からこんな感涙の物語が展開されるとは思わなかった。

    自身も津波で両親を失った作者が描こうとしたのは「理不尽な目に遭いながらも必死に生きようとしている人」であり「他人を思いやれる心」だろうと思う。

    社会派サスペンスとして、水上勉の「飢餓海峡」(タイトルからわかるように戦後の貧困という社会的背景があり、実際の沈没事件や大火をモチーフにしている)や後半の立てこもりの緊迫した場面では

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    2025年11月15日
  • 風に立つ

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    舞台は、岩手県盛岡市の南部鉄器工房「清嘉」。職人の自宅兼工房。職人の家族が中心。中心人物は小原悟、38歳。悟の父であり親方でもある孝雄。この工房で長らく職人を続けている林健司。悟の妹である由美は、居酒屋の店主である里館太郎と結婚し、その店で働いていた。

    第1章。物語は動く。それは、孝雄が補導委託を受けるということから。このことを孝雄の判断で決めていた。驚き、戸惑う悟。できれば補導委託を撤回させようと考える。孝雄の本心は分からないけれど、孝雄なりの理由があるのは伝わってくる。しかし、悟には伝わっていない。その曖昧なところがどうなっていくのだろうと思う。親子でありながら、師匠と弟子である関係。そ

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    2025年11月16日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    あの該当者なしだった直木賞の候補作だったうちのひとつ。

    やっと予約が回ってきました(^^)



    なんだか急に本がバタバタと届いていて、
    読まずに返すことになりそうかなと思いましたが
    どうにか読めました(・_・;

    読めてよかったです(^^)




    これは1人の逃亡者の物語であり
    東日本大震災の物語でもありました



    生まれながらにして不運を背負っているような主人公真柴。
    先輩の喧嘩に巻き込まれ、会社をクビになり、警察に捕まってしまいます。

    そこから、次から次へと不運に不運が重なります、、、。

    真柴に悪意があるわけではないのです。
    ただ不運に巻き込まれているのです
    ほんのちょっと違

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    2025年11月13日
  • 盤上の向日葵(下)

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    緊迫した対局シーンが印象的でした。「真剣師」東明との一番、壬生との一番。激しくも静かな対局シーンと圭介の心の葛藤。
    想い焦がれた将棋に身を投じた圭介だけれど、どんどん沼にはまっていく。
    生まれた時から因縁を持ち、不憫な人生を送らなければならなかった圭介が哀れで仕方ない。
    将棋に出会ったのは幸せだったのか、不幸だったのか…
    柚月裕子さん作品は初読でしたが、おもしろかったです。他の作品も読んでみたいです。

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    2025年11月13日
  • ミカエルの鼓動

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    柚木さんの書く男性は、いつも賢く冷静沈着で、少し影があって、多くを語らない。そこがかっこいいのですが、本作の西條も真木も変わらずかっこよかったです。
    医療ミステリーだと思い込んで読み始めましたが、医療をめぐる人間ドラマでした。医療ドラマなので、明るい内容ではありません。
    500ページの大作ですが、ストーリー展開は早く、中だるみすることなく読み終えました。
    続編はなさそうな終わり方ですが、ふたりのその後が気になります

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    2025年11月13日
  • 臨床真理

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    柚月さんのデビュー作であるが、読みごたえがある。かたくて重いが話しの中に引き込まれ没頭して読んでしまった。
    ただ後半で性描写が頻繁に出てきて、なんだかスッキリしない。こういうのもありかな?
    でも柚月さんの小説は何度もいうように話に引き込まれ好きだ。

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    2025年11月12日
  • あしたの君へ

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    初めて家庭裁判所調査官という仕事を知った。
    人に寄り添い、人の背景を見極め、判断をする。
    人との関わりが苦手な主人公がこの経験を糧に成長していく姿がとても美しかった。

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    2025年11月10日