柚月裕子のレビュー一覧
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昭和63年の広島を舞台に、型破りな刑事大上と新米刑事の日岡がやくざの抗争を止めるために奮闘する物語。
柚月裕子さんの名前は知ってたけどちゃんと読むのは初めて。
濃厚な広島ヤクザの仁義なき戦いの世界に没頭した。最初は組織関係図が頭に入ってこなくてなかなか進まなかったけど、途中からグイグイ物語に引き込まれた。
終盤まで警察VSヤクザの物語として読んでいたのに、本当の敵はそっちじゃなかったってところが闇深で鳥肌立った。章の冒頭の日誌の削除部分の意味が明かされて、ガミさんの孤狼の血が日岡に受け継がれるエピローグ、胸熱。
私は広島弁が好きなので、ガミさんのコテコテの広島弁(大阪弁以外をコテコテと表現す -
Posted by ブクログ
読後が良いとは言えないが素晴らしい本であった。
改めて著者の筆力に脱帽する。
東北大震災をテーマとした本として女たちの避難所(垣谷美雨さん)の本と何となく似ているような感じがした。
但しストーリーは全く異なる。
人間、皆、平等だ、、、、などという綺麗事とは全くの真逆。
ちょっとしたきっかけから人生が予想外に展開してしまう。
最後の自分の人生を振り返る部分が心にしみた。
どうしてこんなことになってしまったのか、考えた。いったい誰を恨めばいい。娘を失った悲しみのあまり、自分に間違った父親像を植え付けた祖父か。車に轢かれた高齢者か。酒を飲んでいながら、車を運転した父親か。
甲野が店で半グレと揉めな -
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「約束は守ったよ、褒めて」
逆境のなか幼い二人の命を奪った死刑囚は、執行の直前にこう漏らした。
遺骨引受人となった遠縁の主人公はこの言葉に違和感を覚え、事件の舞台となった青森の小さな町を訪れる。
物語は、かなり社会性の強いテーマで進む。
人の出入りの少ない田舎、閉鎖的な環境の中の小さな学校で起きる“イジメ”……多くはその親の感情が子どもたちを動かしている。また、大人たちも目に見えない束縛から逃れられない。
世間は自分では判断できない事象に当たると、わかりやすい解釈に飛びつく。
それは報道であり、報道もまたわかりやすい解釈に飛びつく。
いまはそれがネット
誰もストップをかけられないその世 -
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「どこまでいっても不幸から抜け出せない」主人公の背負わされている理不尽や不条理といったものは東日本大震災での被災の全てを象徴しているかのようだ。
冒頭で、一般男性と警察官の計2名を殺害して逃亡する主人公にSATの出動からこんな感涙の物語が展開されるとは思わなかった。
自身も津波で両親を失った作者が描こうとしたのは「理不尽な目に遭いながらも必死に生きようとしている人」であり「他人を思いやれる心」だろうと思う。
社会派サスペンスとして、水上勉の「飢餓海峡」(タイトルからわかるように戦後の貧困という社会的背景があり、実際の沈没事件や大火をモチーフにしている)や後半の立てこもりの緊迫した場面では -
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舞台は、岩手県盛岡市の南部鉄器工房「清嘉」。職人の自宅兼工房。職人の家族が中心。中心人物は小原悟、38歳。悟の父であり親方でもある孝雄。この工房で長らく職人を続けている林健司。悟の妹である由美は、居酒屋の店主である里館太郎と結婚し、その店で働いていた。
第1章。物語は動く。それは、孝雄が補導委託を受けるということから。このことを孝雄の判断で決めていた。驚き、戸惑う悟。できれば補導委託を撤回させようと考える。孝雄の本心は分からないけれど、孝雄なりの理由があるのは伝わってくる。しかし、悟には伝わっていない。その曖昧なところがどうなっていくのだろうと思う。親子でありながら、師匠と弟子である関係。そ -
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あの該当者なしだった直木賞の候補作だったうちのひとつ。
やっと予約が回ってきました(^^)
なんだか急に本がバタバタと届いていて、
読まずに返すことになりそうかなと思いましたが
どうにか読めました(・_・;
読めてよかったです(^^)
これは1人の逃亡者の物語であり
東日本大震災の物語でもありました
生まれながらにして不運を背負っているような主人公真柴。
先輩の喧嘩に巻き込まれ、会社をクビになり、警察に捕まってしまいます。
そこから、次から次へと不運に不運が重なります、、、。
真柴に悪意があるわけではないのです。
ただ不運に巻き込まれているのです
ほんのちょっと違