柚月裕子のレビュー一覧
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上下巻合わせての、感想!
将棋のことは駒の動かし方くらいしか知らないけど、めちゃくちゃ楽しめた。気になって一気読みしちゃう系!
作中の石破警部補くらい将棋の知識がないけど、大丈夫だった(笑) もしかして将棋が分かる人が読めば、もっと対局のシーンが熱いのかもしれない……。
ミステリーっていうよりも、人間模様に重きが置かれているのかな。ハウダニットやフーダニットよりも圧倒的にホワイダニットが重視されていると感じた。主要な登場人物の人生が、かなり詳細に描かれていて、人間ドラマとして良かった。
時代背景が少し古いので、昭和〜平成の空気感に浸りたい人にもオススメできる。これぞ昭和の男!といえる価値観・生き様の男たちが出てくる。
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Posted by ブクログ
大学病院で手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。その前に、圧倒的な技術を持つ天才外科医・真木が現れる。難病の少年の治療をめぐり、異なる信念を持つ二人の医師が対峙する。
前半は院内の出世争いが色濃く、正直、西條にもあまり魅力を感じなかった。しかし読み進めるほど、その印象は変わっていく。人間の限界を越え、より多くの患者を救う――西條がミカエルに託した理念は決して間違っていない。そして彼は、大勢を救うために目の前の一人を切り捨てるような医師でもなかった。
ミカエルをめぐる謎を追う個性的なフリーライターもいい仕事をしている。病院の外から真相に迫ることで、医療ドラマにサスペンスとしての面白さが加わり、物語にぐっと引き込まれた。
「医療は完璧ではない」という言葉が印象に残る。天才医師も、最先端のミカエルも完璧ではない。それでも本作は先進医療を悪とはしない。不完全であること自体ではなく、その不完全さに人間がどう向き合うのかを問うているように感じた。
命を救うために生まれた技術。その崇高な理念より利益や保身が優先されたとき、私には大天使の名を持つ「ミカエル」が、人間の欲望に天罰を下したようにも見えた。先進医療の危うさ以上に怖いのは、それを扱う人間であり、巨大な組織なのかもしれない。
そして、ミカエルを扱い、どこかマシンのように見えた西條は、葛藤するほどに人間らしくなっていく。天才ゆえの苦悩を抱える真木もまた、単純な対立相手ではない。方法も信念も異なる二人が、対立の先で「患者を救う」という医師としての原点に立つ。その姿には胸が熱くなった。
『ミカエルの鼓動』――これは、人間の心臓を救う機械の物語であると同時に、マシンのようだった西條が、医師としての「鼓動」を取り戻していく物語でもあったように思う。 -
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「最後の証人」「検事の本懐」「検事の死命」「検事の信義」に続く「誓いの証言」は、佐方貞人シリーズ第5弾です。
私が柚月裕子さんの作品をよく読むようになったきっかけは、今思えばこの佐方貞人シリーズのおかげだったかもしれません。
検事から弁護士へ転身した佐方貞人は、「罪はまっとうに裁かれるべき」を信条とする、一本筋の通った人物です。
佐方は、事実と真実は異なるものだと考えています。目に見える事実だけではなく、事件の背景や動機までを含めた真実を追い求めなければ、本当の意味で事件は解決したことにならない、そんな信念に基づいて行動します。
そして、その真実が明らかになることで、加害者にも被害者にもわずかな希望の光が差し込むような展開に、ページをめくる手が止まらなくなります。これからも末永く続いてほしい、大好きなシリーズです。 -
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静かに熱い物語。
本作を一言で表すとこれに尽きると思う。
検察官佐方の造形がなんとも素晴らしい。男たるもの「かくありたいもの」だと憧れる。ここに描かれている五篇の短編はどれも素晴らしいが「罪を押す」と「本懐を知る」の二つが特に心に残った。両編とも陳腐な言い方ではあるが、ヒューマニティーあふれる物語にしあがっている。
本作は検察官佐方シリーズの第二巻らしい。本作では主人公佐方の成長過程や出生にまつわるエピソードも描かれていて、佐方という人間を理解することができる造りになっている、本作を読むことでシリーズ全体をより深く理解できる役割が与えられているのかもしれない。
第一作も読みたいし、続編も読みたい。今の所柚月裕子は僕の期待を裏切らない。 -
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私ってホントに理想的な読者よなーって自分で思う。ミステリーやサスペンス、面白いように騙されるもん毎回。漫然と読んでて特に謎解きとかに力入れないってのもあるけど、えーーっ⁈って毎度著者の意図通りに騙されて楽しい。それで中盤までは被害者と被告人とだけ法廷で…男性作家が書いてるようなピシッとしたところと女性作家的なウェットな部分とのバランス感も好き。あとがきで今野敏が言うように、男っぽい中年男性を描くのが上手い女流作家。あんなシブくてしつこくて熱さと冷静さを兼ね備えた、頭の回る仕事のできる男に若造のねーちゃんがかなうわけない。顔洗って出直してこい!って感じだけど、彼女の家庭の事情もいろいろあり思い詰めて猪突猛進になりがちなタイプながら根性もありそうだし佐方との法廷を経験してもっと人間を深く見つめる法曹人に育てばいいなと思う。電車乗ってる20分ぐらいにちょこちょこ読むのにピッタリなこの手の本、好き。楽しい通勤時間だった!
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昭和最後の広島の空気がとにかく濃くて、読み始めから作品世界に包まれるようでした。
広島弁の勢いに引っ張られ、しばらく語尾が「じゃのう」になりそうなほど没入。
これまでにもヤクザを扱った作品は読んできましたが、本作はその濃度が桁違いで、組の名前が次々登場するたびに相関図へ戻って確認する読書体験も含めて面白かったです。
大上の強烈なキャラクターには最初は距離を感じていたものの、日岡に対して妙に高い評価を口にする場面が続き、どこかで「この人は初めから日岡の本質を見抜いていたのでは」と思わされました。
その評価も、自分の側へ引き寄せるための駆け引きのように見える一方で、読み進めるほどに大上自身の中でも日岡への見方が変わっていった気配があり、その揺れが物語に深みを与えていました。
昭和の街のざらついた質感、警察と極道の緊張感、そして物語のテンポの良さが重なり、ページを追う時間が濃密でした。
終盤で「ここで一区切りかな」と思ったところからさらにもう一段階の展開があり、最後まで集中が途切れません。
清濁併せ飲むという姿勢が、時に人を動かし、物事を前へ進める力になるのだと感じさせてくれる一冊でした。