北海道中央大学病院に勤める西條は、手術支援ロボット「ミカエル」を使った心臓手術のスペシャリスト。
患者のダメージを最小限に抑え、短時間で結果を出せるその術式は、理想の医療を実現するするために必要不可欠なものであると考えていた。
ある日、辞職する教授の後任に、ロボットを使わず従来の術式で高く評価されて
...続きを読むいる心臓外科医の真木が就任する。
真木を推薦したのは、ロボット支援下手術を推進していたはずの病院長、曾我部だった…
なんだろうこの引力…
ミステリーというわけでもないのに先が気になって仕方がなかった。
見えない力に引っぱられるように、けっこう分厚いこの本を2日で読んでしまった。
とにかく描写がすごい。
専門用語がたくさん出てくるのにわかりやすい。
これまでに読んだ柚月裕子さんの作品は、将棋の棋士、刑事、家裁調査官と、どれも全く違う世界の主人公だ。
それでも毎回、その世界にどっぷりと浸れる描写力に本当に驚かされる。
この作品は、西條のその後を読者の想像に委ねる形で終わっている。
ここは好みの分かれるところだと思うが、希望が持てるエピローグ、とてもよかった。