柚月裕子のレビュー一覧
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こんなにも心温まる物語があっただろうか。
一生心に残しておきたい言葉もたくさん書かれてあって、私にとってとても大切な一冊になった。
刑事の妻として心の底から支えていく、覚悟をもった女性がとてつもなくかっこよく、こんな人間になりたいと思う。
人生、自分が得ることばかりを考えてはいけない。
損得を考えず与えられる人間になりたいと思えた。
◾️心に残った文章
あるときを境に人生とは目的を持って手に入れたものを一つずつ手放してゆかねばならない旅路となる。
それは遍路に通ずる苦行である。
自分のものであると信じて疑わなかったものを一つ一つ失いゆく。
望むと望まざるとに関わらず、その荷を背から下ろして旅路は終わりへと近づいていく。
最後には唯一無二の自分の命すら手放して一生を終える。
ずっと晴れとっても人生はようないんよ。
日照りが続いたら干ばつになるし、雨が続いたら洪水になる。
晴れの日と雨の日がおんなじくらいがちょうど良い。、
すべての人間が本人の意思とは関係なくこの世に生み落とされる。
望まれて生まれてくる命とそうでない命。
だが命の重さは変わらない。
どの命もこの世に生まれたことを祝福されるべきだ。
祝福される人間はひとりでも多い方がいい。
その人間が自分とは赤の他人の刑事であっても。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれまでAudibleでたくさんの作品を聴いてきたけど、胸が詰まって泣けてくるのは柚月裕子作品が多い。
静かに胸にじわじわ登場人物たちの感情が染み込んできて、あるポイントでそれが決壊する。
この作品は、短編が繋がっていて、少し冗長だなと感じたところもある。
でも、小さいパーツが繋がって、最後の章が活きるんだろうなと読み終えて納得。
佐方貞人という人物を深く知って、もっと好きになった。
まだ他の作品を読んでないけど、死なないで活躍を続けてほしい!
いい本に出会うと、こんな素晴らしい作品を生み出して、世に出してくれた人たちみんなに感謝したくなる。
ありがとうございました!!!!!!
あと、やっぱりいつも装丁が素晴らしいですよね。
検事バッジ、かっこいい。
このシリーズはまだあるようなので、本当に楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレお久しぶりの佐方さん。
女性の立場で考えた時、どんなに憎い相手でも、貶める手段として自分の体を使うかな、とは思ったけど、それすら厭わないほどの恨みと憎しみがあったのかな、ともとれるなぁと思った。
ただ、相手をSNSで晒すことでもって制裁とするのなら、痴漢とか盗撮とか、そういうものでもよかったのかな、とは感じた。
あと、佐方さんが、被告人と既知の仲で、「こいつはそんなことするはずがない」から入ってるからこの流れになるんだろうけど、「こいつならやりかねないよなぁ」という気持ちが少しでもあったら、この展開は望めなかったのかもしれない。被告人はそこも分かってて佐方さんに依頼したのかな。佐方さんと一緒にいた時期の時分はそんなことしない人に見えたはずだ、と。
そのくせ色々言い淀んでたしな。言いたくない、みたいなこというし。ひどい立ち居振る舞いをしてたのも事実だったし。
とにかく被告人は悪いのはたしか。それは間違いない。……
と、読んで色々考えさせられるストーリー展開でした。佐方さん、次回作も待ってます。 -
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小説のタイトルはウツボカズラとある。恐らく植物の名称なのかと想像しながら、調べてみると、「独特な袋状の捕虫器を持つ食虫植物」と書いており、犯人が甘い汁を好む犯罪小説なのかと思いながら、さらに調べてみると花言葉は「甘い罠」「魅惑」「危険な美しさ」だ。
甘い言葉には気を付けろ!
と思いながら文庫本の裏表紙に「戦慄の犯罪小説」と書いていたのでワクワク感を期待しながら本書を読み進めた。(実はこういう小説が好みなんです(笑)そして警察小説でもある。
基本はミステリの範疇なんだろうなぁ~と思い騙されまいと、読書ノートを書きながら付箋を貼ったりするのですが中判以降は物語の展開が速く大きく事件解明のため刑事が奔走する有様で、本来どんなに興味深くても、冷静さを失わない方なんですが、頁を捲る手が止まらなかった。そういう意味で熱中して読んだと理解してほしい。ミステリ小説が好きな方なら痺れるでしょうね。
勿論、後半になるまで犯人像が明かされませんが、警察の必死の捜査で物語が猛スピードで終結に向かう様は圧巻でした。長編にも拘らず読める作品でした。
傑作だと思う。
読書は楽しい。
仕掛けの匠が良いですね☺️
#幻冬舎文庫
#柚月裕子 #ウツボカズラの甘い息
【文庫版裏表紙のあらすじ】
家事と育児に追われる高村文絵はある日、中学時代の同級生、加奈子に再会。彼女から化粧品販売ビジネスに誘われ、大金と生き甲斐を手にしたが、鎌倉で起きた殺人事件の容疑者として突然逮捕されてしまう。無実を訴える文絵だが、鍵を握る加奈子が姿を消し、更に詐欺容疑まで重なって・・・・。全ては文絵の
虚言か企みか?戦慄の独罪小説。 -
Posted by ブクログ
大学病院を舞台にした小説といえば山崎豊子があまりに有名だから、これを書くのは大きなチャレンジだったかもしれない。でも権力闘争よりも医療の正義と命の大切さに向き合うことをメインテーマにしたストーリーは、いろいろと考えさせられるところも多かった。西條と真木という2人の心臓外科医の立場、生い立ち、対立、葛藤、協調等々が展開していって息をつく暇もない。札幌という土地、心臓疾患と手術、家族と仕事の間での生き方など、自分に関わることも少なくないこともこの物語に引き込まれた理由かもしれない。自分にはこんなに苦労しながらも理想を貫くかっこいい人生のカケラもないけど。
ミカエルと名付けられた手術支援ロボットも、調べてみればダヴィンチという実在するロボットがあるらしい。そういうことからも作者の記述の裏付けとなる調査研究には感服するところだし、そういったリアリティがこのストーリーをさらに迫真なものへと導いてくれたのだろう。今更ながら読むべき本に出会ってよかったと思う読後感。