柚月裕子のレビュー一覧
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ネタバレヤメ検弁護士だった佐方貞人が、検事だった頃の話。
新任検事時代から始まり、話者は佐方ではなく、彼の周りの人物の視点で、彼の人間像を炙り出していく……という形式。
ところどころ時代背景を感じるが、はっきりとは時代性を示す表現がないので気にせず読める。
5話が収録された短編集だけど、それぞれの話がまるで長編のように密度が濃い。
5冊読んだ気分になった。
・樹を見る
連続放火犯を追う刑事、南場の視点。
18件の連続放火事件のうち、1件だけ犯人像が異なる……という疑問から、放火事件で唯一死人を出した1件だけは別の犯人がいると突き止めた佐方の手腕。
・罪を押す
スリの常習犯が、出所してすぐにスリで捕 -
購入済み
検事を主人公とした中編5編。優秀で硬骨で人情深い検事が活躍するお話。
それぞれ工夫を凝らして、単純な謎解きや勧善懲悪に堕さないストーリーテリングはお見事だった。
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購入済み
交通事故で息子を失った夫婦が復讐する。正しく罪を裁くとは‥後半の佐方弁護士の最終弁論は素晴らしい。
被告も被害者も弁護人を睨みつけるという面白い展開でした。 -
Posted by ブクログ
柚月 裕子さんの医療ミステリー。
文句無しの★5つです。
500ページを越える長編ですが、グイグイ引き込まれます。
二人の天才心臓外科医の葛藤を軸に、様々な謎が描かれます。
一人は、北海道の総合病院で手術支援ロボット『ミカエル』を駆使する西条医師。方や、ドイツ帰りの開胸式手術のプロである真木医師。
難病の少年の治療方針を巡り、激しく対立する二人。そんな中、ミカエルにある問題が発覚する。果たして、医療の未来は?そして、二人の対決はどうなるのか?
プロローグの雪山のシーンが、最後のエピローグに見事に繋がりました。なるほど、だから雪山のシーンなんですね。 -
Posted by ブクログ
暴力団×警察の物語
暴力団の抗争を止めるべく動く警察。その中で一際目立つ大上 なぜ大上はここまで権力を持っているのか疑問に思いながら読み進めていた。
そして、物語後半に明かされるガミさんの真実。
ガミさんがここまで権力を持っているのに警察内部は、誰も刃向かえない理由に衝撃を受けた。
善し悪しは置いておいてガミさんの生き様に惚れた。まさにパンドラの箱だった。
リアルな広島弁の怒号がすごく面白かった。
世界観は映画の「仁義なき戦い」や「県警対組織暴力」と似ていて、映画と本の関係性が現れていてそこもひとつ魅力的に感じた。
続編の「凶犬の目」を早く読みたい。 -
Posted by ブクログ
佐方貞人シリーズ第4作目。検事時代の3作目。
相変わらず面白い。大好きなシリーズの一つだ。
本作は正に佐方の「信義」が強烈に表現されている。ベテラン検事の「検事の責務は罪を犯した者を糾弾することだ」という発言に対して、佐方は「そうは思わない。なぜ事件が起きたのかを突き止め、罪をまっとうに裁かせる。それが私の信義だ」と言い切っている。この言葉こそがシリーズ全体で一貫している佐方の信念であり信義だ。その信義を貫いたために検事を辞めることになったのだろうが、そこがまた佐方らしい。
もうこれでシリーズも終わりかと非常に残念に思っていたが、今度は弁護士編の新作「誓いの証言」を連載中だという嬉しい情報があ