柚月裕子のレビュー一覧
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裕月裕子さん著「慈雨」
自分にとって約一年振りに読む著者の作品。積読本だらけの本棚の中から長年眠っていた本作にようやく手を伸ばした。
物語は刑事物のミステリーであるのだが、それ以上にヒューマンドラマの要素が重厚な物語だった。
主人公神場の愚直な刑事らしさと人間臭さとが混在して描かれている。
特に妻の香代子、娘の幸知との神場の家族愛の物語展開がお見事。素晴らしかった。
神場が退職してお遍路巡礼していく最中という背景も素晴らしかった。
16年前に起きた事件に対しての後悔からきている物なのは最初から解っていたが、結願に向けて妻に対しても娘に対しても神場の本心が読み取れていく。
事件と共に本心を妻 -
Posted by ブクログ
上巻では、白骨死体の遺留品捜査を担当する刑事の視点と、幼くして高い棋力を示す佳介、そしてあるきっかけで佳介と出会い、世話役を担うことになった唐沢夫妻と佳介が過ごす時間とが交互に描かれる。時代は昭和で、聞き込み捜査はアナログそのもの。なかなか進展しない捜査の過程が、かえって味わい深い。
唐沢夫妻と佳介が過ごす時間の描写は、読みながら涙が止まらなかった。子に恵まれなかったが子ども思いの老夫婦と、自分の子どもの面倒も見ない実の親。最低な親であっても、唯一の親からの愛を求めてしまう幼い子どもの姿が胸に迫る。
また、かつて奨励会に入会しながらもプロ棋士になれず、退会後に警部となった佐野が、遺留品の駒