「孤狼の血」の続編の作品。
大上の血を受け継いだ日岡がどう躍動していくのか楽しみにしていた作品。
今作品は日岡の主意と状況が偏ってはいるが絶対ではないという所からのスタート。
てっきり大上の血を受け継ぎ新たに躍動していくものだと思っていた。
しかし今作品で描かれた物は濃密で、日岡が国光の人となり
...続きを読むに触れ、その受け継いだ血を更に濃いものにする。凶犬の眼をも携えながら。最高の作品だと感じた。
警察官と極道の五分の盃。
絶対にあり得ない話なのだが、日岡と国光の二人の根本の血の脈の打ち方が同じなのだからお互いが凄く共感できるのであろう。
警察官とヤクザの間柄でもお互いの正義と仁義が交差して二人の中で惹かれあう。
信頼関係から故の盃、兄弟になる事で一般的な絆より更に強い絆、強い揺るぎなさを読み取る事ができた。それによって日岡の凶犬としての主意が更に濃いものになっていく。その行程が描かれていく感じが素晴らしい。
日岡の正義と国光の仁義、これが凶犬の二つの両眼だと読み取った。それはお互いの意識の中で存在し、思いあい尊重しあい絶対的に存在する眼だと思う。
国光亡き後も日岡の意識の中では国光はいつまでも日岡の片眼だろう。
そういう意味では前作の大上同様、もしくはそれ以上に日岡の今後の歩み方に大きく影響するだろうと感じた。
最高の作品、この後「暴虎の牙」も期待して読みたい。
前作では大上の血を、今作では国光の片眼を、そして最終章と銘打たれた次作は誰のどの様な牙を日岡は触れてそして得るのか?楽しみだ。