柚月裕子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ幼い二人の子供の命を奪った響子は、世間からすると“毒親”で最低な奴だと思われても仕方ないと思う。だけどこの物語でも描かれていたように“誰もが目に見えるものだけで決めつけて、その裏にある事情なんて考えもしない。目に見えないものにこそ、大事なことが詰まっている”という考え方はこれから大事にしていきたいと思った。
響子は、父親からの暴力・父親を機嫌を伺う母親・周りからのイジメなど幼い頃から育った環境が恵まれていない上に、逃げる道がなかったから壮絶な人生を歩まざるを得なかった。そんな人生を愛する我が子の愛理ちゃんに歩んで欲しくないと思い、最終的な逃げ道として「死」を選んだと思うと本当に環境は大事だし -
Posted by ブクログ
我が子と、同じ年頃の子供との二人を手にかけた母(またある時は娘)の、犯行から死刑執行当日までの視点を、本人と従妹の二つの視点から追い、その考えを辿っていく物語。視点が行き来するものの、整理されているせいか読みにくさや混乱はなくすっきりとしている。世間の所謂「子殺し」の事件に多いように、本書でも「夫=父親」の存在は透明化され続けていたが、これが意図的なものかそうでないかはわからない。個人的な感触として恐らく前者であろうとは思われる。
当然ながら殺人を犯したことはないため想像でしかないのだが、本人に殺人に至る強い動機がなく、また犯行時の記憶がないことが逆にリアルに思われ、それらの記憶を手繰って最後 -
Posted by ブクログ
幼い心臓手術に先端医療の手術支援ロボットを選ぶか、従来からの人間の手による手術か、患者の選択を重視するか執刀医の決断を問う。その背景には手術支援ロボットミスによる仲間医師の自殺があった。瀬戸際まで油断を許さない前代未聞の心臓外科手術での心の選択を問う。
現実、これからの医療改革は最先端のロボットを使うのは自然の動きになるだろうが、人が作った「メカ」には必ず誤動作、劣化がつきものである事を忘れてはいけない。常にプログラムとメカのアップデートが必須であり、100%、先端医療でも完全なものは無いと思わなければならない。小説内で気になった言葉「先のことはその時に考えればいい、今は目の前ある事をするだけ