柚月裕子のレビュー一覧
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弁護士・佐方貞人シリーズの第1作。
殺人罪に問われた男の弁護を通して、佐方は事件の背後にある、過去に葬られた真実と、権力によってゆがめられた司法の姿にたどり着く。
かつて検事だった佐方にとって、その真相は自らの過去とも無関係ではなく、強い覚悟と信念をもって法廷に立つ姿が描かれる。
本作は、1つの殺人事件を軸に、交通事故、飲酒運転、信号無視、公安委員長という社会的立場、余命宣告を受けた人間の選択、そして復讐心など、さまざまな要素が絡み合いながら物語が進む。
誰が加害者で、誰が本当の被害者なのか。その境界線が揺らぎ、読者自身にも「正義とは何か」を問いかけてくる。想像していたような単純な法廷劇で -
Posted by ブクログ
柚月裕子の作品としては珍しい(初めての)医療ミステリ。
読み始めた最初の方では「白い巨塔」のような病院内政治の権謀術数が渦巻き、自らの医療ミスを隠し正当化するような話かと思っていた。
結論から言うと「白い巨塔」とは全く違うものだ。主人公の西条は自らの技量に自信を持ち、周囲からもエースと認められ、病院内での権力争いにも人並みの思いは持っているが、所謂ヒール(悪役)ではない。平等かつ安全な医療の普及を目指し、患者を治すことを最重要視している至極真っ当な医師だ。対する真木とは考え方が異なるだけでどちらも命を預けるに足る優れた医師と言ってよい。
この作品では地域医療のあり方や医者の倫理観などが問われて -
Posted by ブクログ
ネタバレ2025.06.明石組の組長の武田が義誠連合を率いる国光によって殺害された.そんな中,日岡は晶子の店で国光と会い,国光は,「いつか目処がついたら日岡の手で手錠を嵌めてもらう」と言う.日岡が左遷されている田舎の駐在所近くのゴルフ場建設現場に国光たちが隠れていた.しかし,警察に見つかり国光たちは立てこもり人質として日岡を要求する.その後,日岡と国光は盃を交す.明石組と心和会が手打ちとなったのを確認して,国光たちは警察の前に出て,日岡に手錠を嵌められる.国光は旭川刑務所に拘留されるが,その後,国光の親分の北柴が誰かに殺害されたため,国光は日岡に犯人探しを依頼する.日岡は犯人を割り出し,国光たちが処刑