白井智之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
人間シリーズ第二作。
これは相当な特殊設定かつノワール。
人によっては嫌悪感で受け付けない作品かと。
男女が文字通り結合して一つの個体である「結合人間」となり3メートルの身長、4つの目、4本の腕、4本の足で生活する世界。稀に脳の融合過程で障害が発生してまったく嘘が付けなくなる「オネストマン」となってしまうことがあり、そうなってしまった場合は社会生活に支障をきたすので保護対象となってしまう。そんな世界で、オネストマンのみを集めて、テラスハウス的な無人島共同生活を送る番組企画があり、参加者が予期せね遭難で、孤島に辿り着き、連続殺人事件が…。
も〜設定が特殊過ぎるが、いわゆるクローズドサークルで、嘘を全く付けないオネストマンがいる世界ってのが面白さのポイント。
ミステリー的にも面白く、かつノワールものなので、一捻りあって最高の面白さ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ奇書が読みたいアライさんのオススメ読み漁りシリーズその2
設定もキャラも世界観も何もかも狂っているんだけど、ミステリとしての誠実さは十分に果たされている。いや、そんなとこで正気に戻るな…。
ミミズ人間、アブラ、トカゲ病…そういったグロテスクな設定と異常な事件。ありえない異界の(つまりファンタジー)の話と思いきや、不可思議は一つずつ説明され私達の理解できるものになっていく。これらの可笑しな設定は、私達の世界と地続きなのだな。
だから、事件の解決はむしろ不安を呼び起こす。ああ、この小説がファンタジーであったらどれだけ良かったことか…。
こういった部分を含めての奇書であり、まぁ作品の魅力なんだろう。怖いもの見たさというか。
面白いけど、食事しながら読むもんじゃないな!耐性がある僕もちょっと避けるくらいには読む人を選ぶかもしれない…。 -
匿名
購入済みぶっ飛んでる
エレファントヘッドがあまりにも面白く、そして誰も死ななかった、名探偵のいけにえ、と読んできました。
この3作ですらグロさや変な固有名詞に戸惑いながら読んだのに、「お前の彼女は〜」のエグさや珍妙さはそれらを上回ります。
現実味が一切なく、読みづらいと感じる固有名詞や、少しバカっぽく軽い口調は、
登場人物に血を通わせないことで、えげつない殺戮が行われても、
読者が同情や感情移入といった辛い思いをすることなく読める効果があるのかなと。
(この作品と同時進行で読んだ「正体」(染井為人)がとても辛かったので)
短編集かと思ったら、全て繋がっていて。
毎度のことながら、よくこんな話を書けるなぁと…本当にすごい。
感情タグにグロいを追加してほしいな。
-
Posted by ブクログ
5つの短編集(+文庫版用の超ショート3作)。少女20人×5作品で計100人の大量かつ凄惨な中に理路整然とした真相が隠れたミステリー。内容がグロすぎて全くお薦めは出来ないが、普通は書こうとは思わないし、そもそも思い付きもしないトンデモ設定を論理的に構築する、白井氏の突き抜けた才能を感じさせる。まず「少女を殺す」方法ありきで、そこから物語を逆算しているような内容で、「木を隠すなら森」的なぐちゃぐちゃで無茶苦茶な殺害方法も白井氏ならでは。この状況下で推理して真相解明することに意味があるのかと思いつつ、真実にハッとさせられる筆力。恐るべし。
作品別に見れば「少女教室」は短いながらもかなりしっかりとした本格的ミステリー。「少女ビデオ 公開版」はほか作品と比べて不条理ではなく理不尽な、ある意味現実味がある部分もあり、それゆえに本作品の中でも最も狂気に満ちた展開に思えるが、常軌を逸した展開の中に潜む真実と人間のドラマが俊逸で、本作品が一番好みであった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ毛色の違う短編集でお得!でもエレファントヘッドとか死体の汁を啜れと比べると弱い。それぞれで騙されたあと連作短編がつながる気持ちよさを知ってしまうと戻れない……。
・グルメ探偵が消えた
想像を凄まじく超えた不穏なラスト。ナッツスムージーを喜ぶ母への感情が反転することになるとは……。罪を忘れた語り手の誠実さが残酷。
・げろがげり、げりがげろ
読むまでカエルの鳴き声みたいな擬音語だと思ってた。流行りの異世界転生書いてみた、って感じなのか……??最悪の世界に妹を巻き込んだことを忘れそうなくらい綺麗なラストシーン。その後の地獄を考えると……
・隣の部屋の女
何回騙されたらいいのか?若干フェアじゃない気はする。陰鬱。
・ちびまんとジャンボ
フナムシ。言葉通り復讐しに行っててつい笑ってしまった。感覚が狂う。
・ディティクティブ・オーバードーズ
幻覚が証拠になる論理すごい。探偵それぞれのラリった記述も見どころ。最後に薬物援交JC探偵岡下いろり出してくるの要素が濃すぎて論理的消去法推理が薄れるレベル。この子で1冊書けたのでは? -
Posted by ブクログ
全編オリジナル(小説推理 双葉社には掲載)の贅沢な短編集。ただ、ちょっと胸くそ悪い系のお話が多かったので、好みは分かれるかも。双葉社のThe どんでん返しシリーズはこれが6冊目(自薦3巻+新鮮、特選、斬新)みたいですが、どの本も豪華な執筆陣なので、他にも手にとって新しい作家さんとの出会いを楽しみたいです。解説で本作品の解説とともに、他の著作に触れられているのも良かったです。
芦沢央「踏み台」
アイドルグループで巻返し必要な位置にいるみのり。色を出すために麻雀を趣味にして、そこで出会った洸平のことが好きになってしまい…。
阿津川辰海「おれ以外のやつが」
おれはカメラマンで殺し屋。今度の仕事は双子のコンビ作家の片方を殺すことだ。
伊吹亜門「遣使船は西へ」
嵐ではぐれ、荷を捨てた四の船遣唐使船で、追い討ちをかけるように起こった密室殺人。命運は?犯人は?
斜線堂有紀「雌雄七色」
母の遺品を整理し始めた息子が疎遠な父に送った母の書いた虹色の封筒。色の順に読むと気持ちが通じるという恋愛や本願成就の想いが込められた神社で売られているもの。
白井智之「人生館の殺人」
遭難し辿り着いた山荘は放置され、回りは人食いクマがいるとんでもない馬車だった。そこで起きる、物証の少し残った密室殺人。犯人は? -
Posted by ブクログ
アンソロジー作品が新しい作家との出会いになり、更に決められたテーマでこの作家はどの様な作品を発表するのだろうという面白さに気がついてしまい、過去含め様々な作品集を読む事にした。今作はどんでん返しがテーマであり、短い作品、しかもどんでん返しがあると読者が分かっている状態でどれだけ読み手を感嘆させてくれるかが楽しみだ。
踏み台 芹沢央
アイドルを目指しアイドルになった女性。ストーカーの様になってしまった元彼。彼はプロ雀士の夢をもちながら、主人公はアイドルとしての武器を磨く為出会い、そして別れ、現在の様な関係になる訳ですが、設定はありきたりに見え、どの様にどんでん返しをするのかと興味津々だったが。主人公と同僚との争い、アイドルの厳しさからまさかこうなるとはと怒涛の展開。長さも読みやすく驚きも大きい面白い作品だ。人の人生は誰かの犠牲に成り立っていると痛感させられる作品で、ある意味完全犯罪型。
おれ以外のやつが 阿津川辰海
短編が面白くどんでん返しが上手いと評している阿津川辰海の作品だったが、やはり今回も好みにあった作品だった。
主人公が殺し屋綺羅(綺羅、星の如くの由来も好きだ)であり、表の顔はカメラマン、日本語に造詣の深い人物で、あらゆる糸を使い依頼をこなす。
人物像も魅力的でシリーズとしても、長編にしても面白そうな世界観で是非読んでみたいと思った。フーダニットの面白さ、真相の面白さが良く、下手に正義感の様なものがない事も好印象だ。
遣唐使船は西へ 伊吹亜門
設定は遣唐使時代の帆船の中。船団から取り残されてしまった一船。食料も底をつき、船員のモチベーションも落ちていく中、一人の僧侶が説法を説き、船員達は息を吹き返す。そんな折、僧侶の弟子が師の異変に気付き部屋を確認すると師が部屋で殺害されている事に気づく。部屋には小さい窓が一つ。入口は弟子が一日中監視の状況下、如何に、そして何故僧侶は殺されたのか。
設定の影響で読みにくいが、結末は納得してしまった。彼はこの後とどうなるのだろうか。
雌雄七色 斜線堂有紀
虹の色を模した7枚の手紙。亡くなった母親の遺品を整理し、離婚しており、有名な構成作家の父親へ息子が渡した手紙。虹の雌雄の話は知らなかったが、こういうタイプのミステリーだろうと想像はついてしまった。それぞれの色の手紙で語られる母親の真実。結末について、もっと恐ろしいものになるのではと期待していたが、そのまま真っ直ぐに着地してしまった。このくらいの話であれば面白いがどんでん返しには至らないと思った。
人喰館の殺人 白井智之
何だかめちゃくちゃにあれもこれも入れ込んだ作品。軸が整理されていない為、短編である事の必要性が感じられなかった。
地震で遭難し、近隣のホテルに避難した人々。脱出を試みるが外では巨大なヒグマがあらわれ人々を襲う。絶対絶滅の中、とある男女が性行為の最中に射殺され、更には救助隊と共に逃げようとしていた数人がヒグマに殺されてしまう。語り手もどんどん変わり、誰が死んでしまうかスリリングだが、長編でこその作品と感じてしまった。ヒグマの恐怖感がもっと強ければ少し印象が違ったが、あっさりヒグマが出てきて人間がぐちゃぐちゃになりましたでは面白さに欠けている。