【感想・ネタバレ】名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件―のレビュー

あらすじ

病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒は、次々と不審な死に遭遇する。奇蹟を信じる人々に、現実世界のロジックは通用するのか? 圧巻の解決編一五〇ページ! 特殊設定、多重解決推理の最前線!

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Posted by ブクログ

序盤の日本での推理合戦から一転、ガイアナの密林に舞台を移し、怪しい教団の調査が始まる。
調査は順調かに見えたが突如発生する連続殺人。しかもいずれも不可能犯罪。主人公たちはこの謎が解けるか?そして教団の行く末は…?

密林にある謎の教団という舞台もよく、有能そうな人物が容赦なく退場させられる展開も怖ろしい。謎解き編は、すべての事件に複数の推理を用意し、どれもそれなりに納得感がある。教団の力を信仰する場合、しない場合によって二種類の推理を用意するなど、かなり読み応えがある。
ラストに明かされる真相は、荒唐無稽のような気もしつつ、妙な納得感と余韻を残す。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

宗教施設という舞台設定、二転三転する展開など、描写は少し複雑で付いていくのが大変ではあったけど、最後に思わずうなってしまう緻密さ。作者が事前にしっかり練りに練ったことが伝わってくる良作。

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2025年10月07日

匿名

ネタバレ 購入済み

これぞ多重解決ミステリーの最前線。幾度となく覆る推理には唸ったし最後の結末は驚愕した。論理と奇蹟、あなたはどちらを信じる?

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2025年08月14日

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帯には「畳みかけるドンデン返し」
出たよ、ネタバレじゃん楽しみ奪わないでよ
なんて思いながら読んでると、なるほど確かに…あれ?まだページあるのに終わるぞ?
て、天才だ
なんなんだこの本は
この本読んだ人、これ以上のタイトル思いつく?
読み終わってしばらくしても、いやすごい本読んじまったと。白井智之の初期は読んだ、苦手
なんて人は読んで欲しい。どこから考えて書き出したんだろうとかもうずっと忘れないであろうオールタイムベスト作品

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

うわ〜、こういう話好き……。キャラが良いから余計に。カルトvs探偵ってよくある感じするんだけれど、新基軸だった。

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2025年04月29日

購入済み

これぞ多重解決ミステリーといった怒涛の展開。
物語のラストがタイトルの意味に繋がる感じは気持ちよかった。

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2025年04月22日

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なるほど。
さすがだ。
終盤のロジックによる解決がなぜ多重構造てあるのかと、ラストでわかるタイトルの意味と『名探偵のはらわた』に繋がり。
さすが。

2857冊
今年85冊目

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2025年03月30日

Posted by ブクログ

これは凄い。
タイトルから分かるように実際に起きた事件を基にしている。あの有名な「人民寺院集団自殺事件」だ。物語は始まってから昭和の怪しくもいかがわしく、それでいてはち切れそうな熱量を持って走り出す。それでいて集団自殺事件に不可解な事件を加えて物語はとんでもない方向へと走り出す。もしかしたらあったかもしれない事件のif、これには痺れた。面白い。

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2025年03月04日

Posted by ブクログ

最後で「そうくるのかー!」と。
(「名探偵のはらわた」再読しておいて良かった)

りり子の推理と、大時(変換できない…)の推理と、とにかく多重解決すごくて、最後は圧巻だった。人民教会事件モチーフでこんなに大掛かりなミステリになるのがすごい!

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2025年02月28日

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タイトルの意味がわかった瞬間震えた…
構成も映画のようで、読み終わって間もない今はただただ圧倒されている。
白井智之さんの作品は初めてだったけど、仕事中も常に続きが気になってしまうほど隙があれば読んでいて夢中になれたから、おもしろい作品に出会えたという達成感がすごい

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2025年02月18日

Posted by ブクログ

探偵の大塒(おおとや)は、渡米後に消息を絶った助手の有森りり子を追って、中米ガイアナ共和国に辿り着く。そこには信仰宗教「人民協会」の本拠地「ジョーデンタウン」があり、りり子は調査団の一員としてここに送り込まれていた。教祖ジム•ジョーデンの“奇蹟”を信じる信者達が暮らす「ジョーデンタウン」で、やがて事件が起きる…

1978年にガイアナ共和国で実際に起きた事件をベースに描かれた本格ミステリ。
本格ミステリの面白さは1.不可解な謎、2.謎解きの論理性、3.結末の意外性 の三つの尺度で私は測る。本書はそれら三拍子がハイレベルで融合した怪作。1は密室や切断死体といった王道の不可解殺人に加え、物語中盤で衝撃的な展開を迎える。2はカルト宗教の奇蹟信仰VS一般社会のロジック対決という多重解決の展開に、脳を震わせる酩酊感を味わえる。そして3。多くは語れないが、序盤から布石を打ちつつ最後の最後でタイトルの意味に慄然とさせるプロットにはただただ脱帽。うん、面白いっ!

著者お得意の?“げぼ”は出てくるものの(笑)、エログロ描写は控えめなので、「エレファントヘッド」を受け付けなかった人にもオススメ。強いて言うなら、登場人物が多い(しかも日本人は難読で、カタカナ名の米人が多い)ので、リーダビリティは高くないのが難点。

某人物の語る“探偵とは”が比喩表現含めて秀逸。
「悪いことには二種類ある。やったらいけないことと、見つかったらいけないことだ。警察はやったらいけないことをしたやつを捕まえる。おれは見つかったらいけないことをしたやつを見つける。警察がやってるのが鬼ごっこなら、おれがやってるのはかくれんぼだ」

週刊文春ミステリーベスト10 2位
このミステリーがすごい! 2位
本格ミステリ・ベスト10 1位
SRの会ミステリーベスト10 1位
ミステリが読みたい! 4位
リアルサウンド認定国内ミステリーベスト10 1位
本格ミステリ大賞受賞(2023年)
ほんため文学賞【たくみ部門大賞】 受賞

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2025年01月15日

Posted by ブクログ

ここ2年で読んできたミステリーの中で1番ハマった。
解決したかに見えた後の真の解決編150P、2度のどんでん返しのお陰で一気に読めたし、冒頭の事件を思い起こさせるいくつかのシーンは最っっっ高に気持ちよかった!
特にりり子さんは、頭が良いのにちゃんと正義の人で大好きです。

第23回本格ミステリ大賞 小説部門、2023本格ミステリ・ベスト10国内編1位、このミス2023年2位、ほか受賞。
あらすじは、海外のとある宗教団体へ調査に行ったきり帰ってこない助手を助けに行く探偵の話。
参考になった事件同様、かなり人が死ぬので、苦手な人はご注意を。

まず何より、助手なのに探偵よりも探偵らしい有森りり子さんが格好いい。
頭が良いキャラクターは沢山いるけど、平等に、相手のためにも正しくあろうとする人、注意する時も気遣える人は多くないと思う。
性格に少し難がある方が話は転がせる、読者の共感も引き出せる、そんな楽な道を選ばなかった作者さんに拍手。

信者たちの目には見えている「奇跡」、現実はそれが通用する理由をひねり出してた。
信者当人たちにはプラスに作用した良いことだったけど、マイナスで「奇跡」みたいな事が起こってる人、現実にいるよね。
よく目が合うし俺のことが好きはなず → 告白したけどフられる → 色目使うビッチはコチラから願い下げだ!
みたいな、合ってるかな…。
後付けで、自分が納得できる理由を作る人は居る。

自分が途中まで推理してたのは「Qが本当の教祖で、ジムを通じて宗教団体を運営していた」説。
別の漫画で恐縮ですが「一勝千金」の本郷姫奈的な。見事に外れました。

以下、強めのネタバレ注意。





集合体恐怖症(トライポフォビア)や成長障害など、一部のオタク心をくすぐる症状が出てきてニヤニヤしてしまった。
(病気を面白がる意図はありません。念のため。)

正直、大塒の「あんな奴にりり子が負けるなんて」の気持ちは分からない。
ライランド議員たちを襲撃した時点で、横薮さんを殺した108号の被害者数11人と同じくらいになってたんじゃないかな?
集落での被害者4名、議員含めたクルー3名、シスコの記者1名、脱退希望者1名、計9名。
同じくらい、だと「負け」になるからと、自分の信念のためにジムを殺しに行こうとしたりり子さん(大塒視点だけど)、その本人が望んでないのに900人殺す大塒。人として大アウトだけどキャラクターとしてはあり。

とにかく、ここ2年でガッツリ読書してきた中で頭ひとつ飛び抜けて面白かったです。

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2025年02月12日

匿名

購入済み

うーん、なんとなく予想ついたなあ…と思っていたら最後でびっくり!
最後の最後まできれいに伏線が回収されて、読後は爽快感すらあります。

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2022年11月09日

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謎解きが行われる度に、これタイトルとどう関係してくるんだ…?と思ってたけど、それがわかった時のそういうことか!感にちゃんと感動した

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2025年10月26日

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ネタバレ

グロいのが得意な作家さんと聞いていたけど、グロくなくて安心。
奇跡を起こすという教祖のいる新興宗教の町に名探偵が潜入して、そこで起こる殺人事件のナゾに挑む物語。

犯人やトリックが提示されたかと思うと別の解決手段が示されたりして、多重構造のような感じ。

教祖や信者たちの人間像はあまり語られず、そのあたりもっと知りたい感もあるけれど、そこのボリュームを削いだおかげでスピーディーで読みやすい話になっていると感じた。

終盤の怒涛の展開にビックリ。タイトルである名探偵のいけにえの意味にもビックリ。読み終えて呆然。
名探偵は加害者にもなりうるという一節が印象的。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

探偵こそやや変化球だがシチュエーションや事件はコテコテの本格ミステリ。
カルト教団の設定や舞台作り、演出もしっかりしており、文句なく没入できる。冒頭の集団自殺で面白いことを確信できた。
古典的かつ派手な死体にこれまた大掛かりな推理ショーでパフォーマンスもしっかりしながら、本格ミステリ的な何重ものロジックも完備。
非常に満足な作品でした。
敢えて難を言えば、パズル性にこだわり過ぎて小説的には浮いた要素がちらほら。

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2025年08月29日

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名探偵VS宗教団体は大好物
この作者やはり頭がおかしい(良い意味で)
何度も事件の真相が上書きされていくせいで後半疾走感が落ちてしまったけれども、最終粋なタイトル回収がよかった。
面白い。

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2025年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

★4.0
めっちゃ面白かった。伏線の回収が見事…綺麗さっぱり全部拾ってた。集団幻影についてはあまりよく分からなかったけどそれ以外は最高でした。カルト集団が自分たちだけのコミュニティを築いているという怖さが面白い設定だと思ってたら、参考文献に教祖と同じ名前の人が出てる著書があって「まさかこれのモデルになった事件があるの…」と思ったらありました怖い。被害者の数もなんでこんな具体的なんだろうと思ったらモデルの事件から来ていて、なるほど感と同時に著者の書きたいことを垣間見れた気がした。

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2025年04月27日

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まさに「信仰」の物語

ある意味では歴史小説に近いのもおもしろい
というか、ほぼノンフィクションという衝撃

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2025年03月24日

Posted by ブクログ

なるほどなあ、と唸ってしまう読後感。タイトルの名探偵は誰なのか、なぜいけにえなのかの回収がうまい。
トリックはなんというか強引なところもあるが、何パターンもトリック解説が読めたのも満足。

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2025年03月23日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃ面白いミステリー。人民教会の信者たちは病気や怪我を認識できない。そういう集団妄想によるひっくり返され方が面白かった。余所者からしたら意味わからないけれど、本当にそういう集団妄想があるのだとしたらあまりにも興味深い。Wがレイモートン校長なの普通に騙された。だって髭もじゃの人が校長なんでしょ?!と思って読み返してみたら、めちゃくちゃ叙述トリック仕込まれてた。Wと校長二人が存在すると誤解するよう巧妙に描かれてる。
何回違う推理披露するんだよと思いつつ、これが多重解決ミステリかぁーと。面白かった。タイトル回収もきれいだった。全部読んでから表紙を見たらゾッとする。りりこを失ったのは大きすぎるよね。
Q→浦野灸で、「名探偵のはらわた」に続いているそうなのでぜひ読みたい。

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2025年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本文の最後でタイトルの意味が分かるようになっているのは中々良かった

少年Wと校長のレイ・モートンが犯人なのは良いとして
この二人が実は同一人物って言うのはちょっとおかしくないだろうか?
これは叙述トリックの体を取っているんだろうけど、この描き方だと二人の人物がいるように読者はとらえてしまうと思う
この辺りが釈然としなかったのが残念に思う

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2025年02月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

真相の可能性をすべて説明し、それをひとつひとつ潰していってくれる、ミステリー初心者が入りやすいミステリー。
最後はきれいにまとまっており、読後感もいい。

ストーリーは文句なく面白かったけど、辻褄が合わなかったり、心理描写が微妙なところは残念。
でもこれは登場人物たちの感情が薄いだけかもしれない。調査団の人たちは推理にしか興味がないし、主人公?(大塒)は自分とりり子にしか興味がない。親友が目の前で撃ち殺されているのに、ちょっと怒っただけでケロッとしてしまう大塒には感情移入できなかった。

何度読んでも理解できないことがある。
P217の「男は言った」の前後にあるセリフがどっちも男のものとは思えない。
男が「校長だ」と名乗っていることから、男が校長で、子どもが生徒だということが分かる。とすると、あのセリフはどちらも男のものではなくなるはずだが……?
もし男が校長ではなく他の教師だとしたら、自分を校長だと誤認させるようなことを信仰者に言ったことになり、これもまた不自然。

「変わった呼ばれかたをする」の返事が「捻りのない呼びかた」であるというのも疑問だし、もし「変わった」が最初のセリフに対しての言葉だとすると、男のセリフは2番目ということになり、それもまたおかしい。
叙述というにはあまりにも分かりにくすぎると思うのだが?

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2025年02月19日

Posted by ブクログ

ボリュームのある本。実際、ミステリ数冊分の推理が繰り広げられる。先に「エレファントヘッド」を読んでいたのでなるほど多重解決が得意な作家さんだなと納得。推理一つ一つはやや小粒だったり強引なものもあるけれど、それをいくつも並べてまとめあげている構成力が凄い。死の描き方が軽くて内容がグロテスクなのは白井氏の持ち味のようなのでそこが受けいれられるかで好みが分かれそう。

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2025年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いや、!王道のミステリーですなぁ。

序盤のワクワク感、事件発生のドキドキ感、調査推理編のモヤモヤ感、解決編でのどんでん返し、後日譚での...

途中ダレることなく、続きが気になるばかりで、サクサク読めてしまいました。
少し、推理が強引なところがありましたが、それも良き。

参考文献にあるように、実際にあった出来事(人民寺院)のようですね。※この物語自体はフィクション

本格ミステリ大賞受賞しただけあります。
おすすめします。

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

探偵の推理にそうだったのかと思ったら別の推理を披露され、一体どうなのよ! な感じ。優秀なりり子の活躍がもっとみたかった。

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2025年11月01日

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「人民寺院」事件をモデルに、ガイアナのジャングルに作られた宗教団体のコミューンに調査に訪れた調査団の面々が次々と殺害されるというミステリ。

奇蹟を信じるか信じないかで異なる解決を提示するというアイデアは面白いが、各々の推理はちょっと強引過ぎるような。

この手のミステリにはありがちだけど、人の死が軽すぎるというか、自分が頼んで着いてきてもらった幼なじみの友人が目前で殺されても平然としてるのはどうかと思った。特に結末を読むと余計に・・・

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2025年11月01日

Posted by ブクログ

 謎解きに少々無理があるようなきがしたが、奇跡を信じる人とそうでない人との視点でトリックや犯人が変わるのは非常に面白かったです。
 また、読み終えるまで知らなかったが、実際の事件を元にした作品のようです。

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

秘境の地に楽園を気付いたあるカルト教団。黒い噂の絶えない教団への調査団として派遣された助手を救うため、現地に向かう日本の探偵。
しかし殺人事件に巻き込まれ…
実際の集団自決事件をモチーフにしたカルト教団VS探偵のミステリー。
タイトルの意味には驚愕。

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2025年07月09日

Posted by ブクログ

タイトル回収の仕方は好きだった。なんとも残酷で傲慢で粋なタイトル。
ただ、これは自分が悪いのだけどちまちま読み進めすぎて臨場感に欠けた。多重解決という構造上理解に少々頭を使うので記憶いちいち遡っていたのが良くなかった。そのせいでオチの解決編で得られるおお!という感情が半減、、、。一気読みか、せめて1週間以内に読み切れていれば面白さ3割り増しだった気がする。

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2025年03月15日

Posted by ブクログ

最後まで読んでこの本のタイトルの意味が理解できた。作中に散りばめられている伏線をラストで回収していくのが面白かった。推理小説はあまり読まないジャンルで、整理しながら読み進めたので理解するまでに少し時間がかかった。

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2025年03月05日

Posted by ブクログ

頭脳明晰な推理に自分が追いつけない
それぐらい、ものすごく緻密に考えられてできた作品なのだと思います。
横文字の登場人物を整理しながら読み進め
ようやく半分くらいきたところから加速し始める
気にいるか否かは分かれるでしょうが
挿絵があったりと僕は結構好きでしたよ!

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2025年02月22日

Posted by ブクログ

 大塒宗。私立探偵。
 幼い頃、クニオという叔父の自由で型破りな生き方に憧れて、高卒後に叔父と同じ探偵業に就いた。

 業務も叔父と同じく浮気調査専門で行くつもりだったが、押しかけ助手の有森りり子が超優秀。カルト集団絡みの大掛かりな詐欺事件を解決に導いたのを皮切りに、8件もの難事件を解決。
 図らずも探偵・大塒の名は、犯罪捜査の名手として轟いてしまったのだった。
          ◇
 りり子がアメリカで開催される学会に行くことになったと大塒に報告したのは、探偵仲間の横藪祐介が殺された事件を ( りり子が ) 名推理で解決し事務所に戻ってからだった。
  
 りり子は現役の東大生であり、学会参加のためなら大塒も認めないわけにはいかない。減らず口を叩いて送り出した大塒だったが、帰国予定日を過ぎてもりり子は帰って来なかった。
 不審に思った大塒が、りり子のマンションに侵入して手がかりを探そうとしていたところ……。 ( 第1章「発端」) ※7章と前日譚および後日譚からなる。

      * * * * *

 初読みの作家さん。大量に人が死ぬ ( というよりその描写 ) のが苦手なのでプロローグで怖気づきながら頑張って読み進めました。

 第1・2章は期待どおりでワクワク。でも第3章「訪問」でいきなり乃木が撃ち殺されるのです。嫌な予感。そして、それは的中します。

 結論から言うと、この作品は重要な人物が簡単に死にすぎると思います。
 ジョーデンタウンで調査団の面々が暗殺されるのは史実に即したことでやむを得ないにしても、りり子まで殺してしまうことはないでしょう。
 おまけに最終章では主人公であるはずの大塒まで退場してしまいます。918 人を殺したことが立件されれば、アメリカなら終身刑、日本に送還されたなら死刑は間違いありません。「皆殺し」の異名を持つ田中芳樹さんでも、主要人物をこんなに粗末に扱わないでしょう。

 確かに史実をもとに入念に組み立てられたストーリーであるのはわかります。しかも巨大カルト集団やトビー症候群が重要な鍵になっているほか、数々の伏線の張り方もうまいと思います。

 それでも本作は ( 自分には ) 刺激が強すぎました。「後日譚 (ニ)」で、灸くんが日本で大塒の探偵事務所を受け継ぐエピローグは魅力的だけれど、白井さんの作品に親しむのはかなりの勇気を必要とすることは肝に銘じます。

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2025年06月01日

匿名

ネタバレ 購入済み

うーーーん

好評価のレビューに釣られて読んでみましたが、私には合わなかったな......
トリックを明かすのがとにかくまどろっこしい。舞台が外国だからか、しゃべり言葉が不自然にも感じて世界観に入れず。
タイトルの意味回収もそんなに驚きなかったし、そもそも一人称なのか、三人称なのか分からない文章でモヤモヤしてたら、最後の犯人でやっぱりねと思ってしまったし。
それにしても、宗教絡んでるミステリーで当たり引いたことないなぁ......

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2023年12月12日

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