白井智之のレビュー一覧
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『テーマ小説の旨味が凝縮された至極の一冊』
将棋にまつわる8話のアンソロジー。総じて良かった。特に将棋の細かいルールがわからなくとも読めるのが良い。全体的に夢を諦めない姿勢と将来の不安に対する心の葛藤を描いた作品が多く、勝負師たちの手に汗握る緊迫感が伝わってくる。奨励会の描写は「ヒカルの碁」を思い出した。
●授かり物 青山美智子
親子の優しい物語、ブラマンが出てくるのは青山ファンに嬉しい
●マルチンゲールの罠 葉真中顕
賭け将棋師の物語、真剣勝負に手に汗握る
●誰も読めない 白井智之
本格ミステリー、アリバイ崩しのトリックと将棋の先読みを掛けた白井先生らしい作品
●なれなかった人 橋本長道
天才ではない2人の棋士を描く、勇気をもらえる良い物語
●王手馬取り 貴志祐介
30年前の真相を暴く推理小説
●お前レベルの話はしていない 芦沢央
棋士をドロップアウトした弁護士の物語、辞め際の難しさを描く
●女の戦い 綾崎隼
自分を信じる女性棋士と他人を信じる高校生棋士、一番良かった
●桂跳ね 奥泉光
もの語る一手にふさわしい作品 -
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半分ほど、読んだことある先生がいらっしゃった
有栖川有栖先生のファンなので、これは!と読んでみたらあらまぁ、なんて豪華なアンソロ!!
とても面白かった
特に「完コピ」をめざした青崎先生の
縄、綱、ロープ
1番すきだった
読みながらあー、有栖川有栖の世界だなぁと
あとがきで完コピ二次創作との記載をみて
なるほど、やっぱり、さすが
と思いました
主に火村先生シリーズだったけど、
今村先生の
型取られた死体は語る
の学生アリス、江神さんもよかった
懐かしいメンバーの名前に学生アリスシリーズを読み返したくなった
有栖川有栖先生のファンと言いながら全て読破してるわけではないので、心霊探偵気になる、
まだ読んでない火村先生の話も読まなくちゃ、と改めて有栖川有栖ファンになった一冊でした
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ネタバレ少女が大量に殺される5作品、プラス文庫特別収録の3作品。
『少女教室』と『少女ミキサー』が特に面白かった。
少女教室では、罪を隠すために更に罪の重い大量殺人を行うという無茶っぷりだったが、破滅に向かうその無謀さの描写に面白みを感じた。それが自分の意思というよりは生徒に暗に唆されていたこと、ラストでも元校長に利用されて犯罪のループに陥っていることから、犯罪者をいい気分にさせておかないところが小気味よい。
少女ミキサーでは、絶対に生き残るというしぶとさが明暗を分けていて力強いラストだった。
ほかにも残酷に殺されていくけれど、なんとなく登場人物たちがあっけらかんとしているために「そういうものか」と思わされていく。推理を楽しむための特殊な設定というおもむき。
『少女が町に降ってくる』で示された会津サトコという存在が、この5作品に不思議な繋がりを生み出していて、確認のために思わず要所を読み返してしまった。左半身に赤いあざのあるサトコたちは怪異なのか?それぞれの短編内で亡くなっているため同一人物ではないはずだから、生まれ変わりか何かなのかもしれない。
ひどい怪我を負っているメメメの少女たちがこの先どうなるのか、今後降ってくる少女たちのことも気になるラストだった。 -
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グロミスの極み!
鬼才、白井智之氏が放つ連作短編集
『死体の汁を啜れ』!!!
★4.5
『名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件』で、実際に起こった事件を元ネタに、特殊設定、多重解決推理の粋の極みを目の当たりにし、それによりワンツーをくらい
『エレファントヘッド』で、おったまげ~の、ぶったまげ〜の脳味噌ぶちまけのストーリーとこれまた多重解決の極限を披露され、ノックアウトされた口である
ということで、文庫化を機に本作を手に取ってみた
上記2作には到底及ばないが、至って上質なグロミスである
白井氏は、トリックもさることながら、ストーリーも一級品である。
おしりから読んでも面白いかも!!
蛇足!?余談!?ですが、東山篤哉氏の解説!
これまた最高!!
今まで読んだ解説で過去いちかも!
解説だけで立派な短編小説や〜ん
お見逸れいりましたm(_ _)m
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Posted by ブクログ
ネタバレ多重解決の推理の手がかりがすべて多重解決するためだけに用意されたものだった、という、それが許されたらなんでもありじゃん!という多重解決界の掟破りな本作。だいぶ邪道だが、新しいかもしれない。
メインの動機自体は、死んだと思っていたクローンが実は犯人で成り代わりを目指していたというオーソドックスなもの(バールストン先行法と言うらしい。最近知った)。クローンが合法に製造されているという特殊設定ならではの仕掛けではあるが、「自分自身のクローンを食する世界」である必要性はあまり感じられず、もっとカニバリズムありきのトリックであればより良かったかもしれない。
クローンチームの3人が、白井智之作品には珍しく品行方正で心の清い人物だったので読後感が清々しく、逆に「え、こんなに読後感さっぱりでいいの?」と戸惑ってしまった。
いいんだよ。 -
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名探偵にはなれそうもないけど、読者への挑戦がはさまれた作品は大好き。
推理に必要なものが全て提示されてからの真相の開示。
うん、楽しい。
東川篤哉と麻耶雄嵩や法月林太郎を1冊で読めるのはアンソロジーならではの贅沢さ。この、ある意味真逆ともいえる作品を立て続けに楽しませてもらった。
麻耶さんの作品は、ミステリはミステリでも、推理小説でない方のミステリっぽくてぞくぞくしたし、法月作品は親子で軽口たたいてるようでいて、なかなかに重いし。
市川憂人さんは、たぶん、初読み。雪の密室で、ちょっと切ないラストがよかった。米澤穂信さんのは、たぶん、小市民シリーズかな。名前だけは知ってても未読だのこのシリーズ、面白そう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「グルメ探偵が消えた」は特にこれといったトリックがあるわけでもない作品。”空腹と満腹が逆になる薬”というアイデアを膨らませるといつもの白井智之の魅力的な多重解決になりそう……だけど短編として提供されたってことはお焚き上げ的な意味なんだろうか。
「げろがげり、げりがげろ」は一番インパクトのある作品。口からうんこを出す、アナルでこんにゃくを食べる、のありえん光景が異常じゃなかった!の狂気は笑ってしまう。
特に、口の中に隠していたうんちを我慢できず吐き出すビジュアルは強烈で、読後も心に残り続けている。この作品が好きですと喧伝したくてもなかなかタイトルを口に出すのははばかれるのが玉に瑕。
「隣の部屋の女」は叙述トリック仕掛けてますよ感満載の挑戦的な語り口で、読者の想像する倫理観を作者が下回ることで勝利している。でもトリックとしては「思ったより作者の倫理観がない」ことしかないので、白井智之を既に知っているとあまり楽しめない。
「ちびまんとジャンボ」汚い。ひたすらビジュアルが汚い。でもここまで読んできた読者はおそらく既に汚物に対してゲシュタルト崩壊しているのであまり気にせず読めるのではないか。
「ディティクティブ・オーバードーズ」一転してビジュアル的には全然汚くない。むしろ綺麗まである。探偵集合という変なミステリ好きにはたまらないシチュエーションからさらに探偵たちが全員めちゃくちゃにキまってたら?という発想でドライブをかけていく。他では見たことがない名探偵たちの迷推理だけでもこんなんいくらあってもいいですよね!って感じなんだけど、そこからさらに、「推理の真偽を放置しながら」真相を消去法的に決定していく論理パズルの軽薄さは次世代を感じる。収録作中だと一番好きな作品。