白井智之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★3.9
倫理も常識も、すべて茹でて捨てた。
タイトルからして、「え、なんて?」と心をざわつかせてくる。その名に恥じぬ狂気の連作短編集。
これが、エログロナンセンスか…
異形の“ミミズ人間”が実在する世界。他にも、油染み出す”アブラ人間”、脱皮を繰り返す”トカゲ人間”など、むず痒くなるような設定のオンパレード。
主人公は刑事・ヒコボシ。
彼は“ミミズ人間”であった妹の不可解な死に復讐心を燃やし、女子高生探偵マホマホと協力して真相に迫っていく。
もちろん少女は自宅に監禁中だ。倫理観はすでに茹でて捨ててある。
舞台設定もキャラクターも、あまりにも振り切っていて、「もう全員どこか壊れているのが当たり前」な世界。
なのに、そこに仕掛けられる謎解きだけは、やけにガチだ。
エログロにスラップスティック、ナンセンス。
そのすべてが、ミステリという形式に“まとわりついで”くる。
どの話も、開始時点では「絶対ふざけた話だろ」と思うのに、終盤になると、思いがけず緻密なロジックが立ち上がってくる。
この落差こそが、中毒性の源。
真相に先回りしようとしても、こちら側の思考回路では到底不可能、無理難題。
中でも最終話「後始末」は、“ミミズ人間”という設定そのものに対する倫理的な問いかけすら含み、読者の気分をさらに悪くさせる(褒め言葉)。
異形への恐怖も、排除も、同情も、支配欲も。
全部まとめて茹でたのち、ぐつぐつ煮詰めたような一冊。
「少女椿」とか江戸川乱歩、平山夢明、伊藤潤二が好みならこの作品もぶっ刺さるのではないだろうか。
倫理観と胃袋の耐久テストを兼ねて。
あなたは何分で煮崩れるだろうか? -
Posted by ブクログ
ネタバレ・最初の事件
主人公が「名探偵」に「なりたい」「小学生」
タイトルも含め、どれもが結末へのミスリード
推理バトルもネタがみっちり詰まっている
・大きな手の悪魔
舞台設定が奇才でディテールも笑える
二転三転する終盤
・奈々子の中で死んだ男
ここまでの3つでダントツの傑作
確かに君も該当するわ!というタイトルにもやられたが、これ見よがしに置いている伏線をすっかり忘れさせてしまうのは多分筆力なんだよなあ(ファン目線
それを短編でやってるのがまた
「げろ」も健在
死んで生き返った男は「そして誰も死ななかった」の主人公を思い出した
・モーティリアンの手首
・天使と怪物
この2つはイマイチだった
舞台設定は良かったけど -
Posted by ブクログ
ネタバレそれ目的で買い、彼の短編と解説部しか読んでいないため、白井智之の「誰も読めない」だけのレビューです
作品自体は先行して
「もの語る一手」講談社刊 アンソロジー
に掲載済みだが、購入を迷っていたところだったので安価なこちらは有難い
ストーリーは
プロ棋士が対局中に拉致され、ある男に冤罪を証明して欲しいと頼まれる
彼の正体は、弟子を取らないポリシーがかつて一度だけ揺らいだ、将棋イベントで出会ったことのある家庭環境の思わしくない少年だった
現在と過去の対局シーンや駒の動きが本気めで描写されているし、ミステリー要素にもゆるく絡んでくるので将棋が全くわからないという方には読みにくいかも
有名な戦術くらいは分かる自分でも読み流したけど、序盤から僅かに作風の違和感があるなと思った
エロ なし
グロ なしと言えるレベル
下品 微弱
げろ 異なる表現でアリ
やはり作風を変えているのかな
固有名詞の名前(全ておかしいが特に玉城ジャコモ海・玉城バルトロメオ洋)には声出して笑ったし、多重推理パズルに「らしさ」はあるんだけど
変化球を投げてきているので評価は分かれそう、はっきり言うと否が増えそう
乾くるみが、いみじくも黒白井ならぬ「白白井」と表現していたが、それダメなやつやん(笑)
※ど素人の個人の感想です
読み終わる前から星5確定の「ぼくは化け物きみは怪物」を併読しているところなので、相対評価なら星3かな
大ファンというバフが掛かっていても星4どまりです -
Posted by ブクログ
ネタバレ将棋がテーマのアンソロジー。
お気に入りは青山さん「授かり物」
有名な棋士と、同じ年で同じ誕生日の息子を持つ松原芳枝。シングルマザーとして息子を育てていたが、20歳になった歳に漫画家のアシスタントになると言い出し…
ひょんなことから出会った将棋を指す老人と出会い、将棋の奥深さにハマっていく芳枝。これまでの人生と将棋を掛けた描写にじんわりきました。
綾崎さんの「女の戰い」
あくまで棋士を目指す朱莉。女流棋士とは違い狭き門で、保険で東大へ入学できるのも凄いです。
ライバルだけど、友達以上恋人未満な関係の京介が心地よく、認めてくれる人がいるだけで強くなれる関係がまた更に朱莉を上へ連れてってくれる気がしました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。デビュー作から世界観は確立されて完璧に出来上がっていることに驚いた。
クローン人間を食べるという設定が設定だけに先が読めず、これからどうなるんだろうというワクワク感が増した。なんでもありだけれど話に筋は通っていて、きちんと納得させてくれるところが良い。グロ要素は他作品に比べて少なめに感じたが、慣れてしまっただけかもしれない。
柴田和志と河内ゐのりの2人が交互に話を進めていて、最後まで中心人物はこの2人だけなのか?と途中で疑問に思ったが、実際は4人だったというわけだ。話に出てくる2人はどちらの和志でどちらのゐのりなのか、読み直して確認してしまった。
チャー坊改めレイのことも、風俗嬢のゐのりのことも、気づけば好きになっていた。この2人のおかげでラストがなんだかカッコいい。また別の作品で活躍する日が来たらいいのになと思う。 -
Posted by ブクログ
これがデビュー作とは。
今から10年前に、新型コロナウイルスにやられた世界を描く。全身に黄色いイボができちゃうんだって。
そして対人間は即効薬ができるが、他の動物には全く効かない。
でも肉を食べないと栄養不足になるから、食用のクローン人間の製造が法制化された世界。
でも顔を食べるのはやはり抵抗あり、クローン人間培養センターから首を切り落とされた自分の食用クローン肉が届く。
そして、法制化を推し進めた本人の家にある日クローン人間の死体と共に、生首も届いてしまって…。
なんでそんな作品でデビューしようと思ったのか?
デビュー作からエログロゲロ全開。
最高ですよ、ほんと。
エレファントヘッドと名探偵のいけにえを読んでしまった後には物足りなさあるが、
十分な多重解決、シュールな皮肉、既に世界観確立。
満足。 -
Posted by ブクログ
有栖川有栖デビュー35周年企画。
レジェンド作家へのリスペクトを胸に、気鋭の人気作家が執筆した、豪華トリビュート。
2024年が有栖川有栖さんのデビュー35周年という事で、その記念企画で豪華作家陣が一堂に会したトリビュート・アンソロジーです。
ひと言でいうと、めっちゃ豪華な有栖川有栖作品二次創作アンソロジーって感じ。
それぞれの作品も、前情報なく読んだらご本人の作品だと思わず考えてしまうような「完コピ二次創作」から、ホラーミステリ、ダークな雰囲気と作家さんのカラーがしっかり出たものまで。バラエティに富んでいて面白い。
個人的なお気に入りは、作風の完コピに徹した青崎有吾さん『縄、綱、ロープ』と、ほろっと心にしみる一穂ミチさん『クローズド・クローズ』。あえて記念アンソロジーでそんなタイトルにするかっていう、夕木春央さん『有栖川有栖嫌いの謎』も茶目っ気があって好き。
私は有栖川有栖さんの作品を網羅しているというほどには読めてはいないんですが、有栖川有栖さんファンならもちろん、それぞれの作家さんのファンでも、もしくは全くの初見でも十分に楽しめる一冊だと思います。