白井智之のレビュー一覧
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ネタバレはじめの方は「2年連続大傑作を拵えてきたシラユキ先生でもたまには凡作も書いちゃうよね…(安心)」と油断していたら………
『最初の事件』
掴みとしてはかなり良い、なんたって小学生名探偵の最初の事件だからね。ここからアフリカ・韓国・時間兵器…etcとお話が広がっていくかと思いきや、ぶつ切り!もったいない!!
『大きな手の悪魔』
「尼崎事件」が元ネタか。狡猾な老婆と紳士な悪魔の頭脳戦。いくらなんでも紳士すぎるでしょ山羊さん…
『菜々子の中で死んだ男』
犯人探しの遊郭巡りと飛躍ロジック楽しく、最後に浮かび上がるタイトルの意味もお見事。
『モーティリアンの手首』
まさかの地学ミステリ。化石に執着する男とその貴婦人、それぞれの思惑は3万年の時を超えて地層に生き続ける。設定がいつもよりSF特化。いつかハードSFとかも読んでみたいね。
『天使と怪物』
1つ1つの密室は既出のアイデアであるが、本作の凄さは3通りの不具者に適した3通りの真相、多重解決に対する新たな試み、異様な現場の状況に筋を通す真犯人の動機。何から何まで計算され尽くさている。密室に対して数通りの解を出し、多重解決を意味のあるものに昇華させた。ああ、怪物とは白井智之だったんだな…
短編でここまでの完成度の作品は正直見たことがない。
ただ、短編集としてみると『死体の汁を啜れ』の方が上かな。
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人気ミステリ作家たちによる有栖川有栖作品のトリビュート短編集。
恥ずかしながら有栖川有栖作品をほぼ読んだことがなかったのですが、この短編集のあまりのクオリティの高さに本家もぜひとも読まねばとなった次第。
中でも、青崎有吾「縄、綱、ロープ」は本格ミステリのお手本のような短編。犯人が被害者を拘束するために使用した証拠品として縄、綱、ロープとそれぞれに対応した容疑者が浮かび上がり、そこから鮮やかな解決をつけるだけでなく、キレイなオチまでつけてしまうところがあまりに見事。
もう一つ、白井智之「ブラックミラー」も容疑者が一卵性双生児で、2人の共犯によるなりすましが疑われる本格的なアリバイ崩しもの。本格でありながらもあまりに白井智之らしいトリック、そしてその犯行描写に顔をしかめつつも、想像の斜め上を行くトリックの出来栄えには感嘆せずにはいられない。有栖川有栖自身が書いているように、他の作家も含めてトリビュート作品に出すにはもったいないようなすばらしいアイデアを惜し気もなく作家陣が投入しており、そういう点でも有栖川有栖リスペクトを感じずにはいられない。 -
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白井智之に酔える短編集
もはや匂いすら充満する酷い内容
名探偵のいけにえで初めて読んだ人が次にこれを読んだらどんな作家やねんと突っ込みたくなるだろう
とにかくグロい(しかも汚い)のでまったく万人向けではないのだが、この短編集にとんでもないのが混じっている
「げろがげり、げりがげろ」
タイトルだけで嫌な予感しかしない
しかもタイトル通りの異臭SFミステリー
僕は完全にこのげろがげりにやられてしまった
出てくる映像は最悪の一言、汚いったらありゃしないのに
ものすごく感動してしまった…これは卑怯
げろとげりとアダルトビデオの展開からなんでこんな話になるの
イかれてる、ゆえに愛してる、初期の最高傑作じゃないかなあ
まったくオススメはしないけど -
Posted by ブクログ
またしてもとんでもない特殊設定てんこ盛りのミステリ短編集。どれもトリッキーでとてつもなく邪悪な作品ばかりです。
お気に入りは「奈々子の中で死んだ男」。郭町の連続毒殺事件の謎を解くばりばりのミステリなのですが、これが一番下品な作品かも……お気に入りと言ってしまうのがためらわれもするのですが、しかし仕掛けは一級品。「やられた!」としか言いようがありません。最後の最後まで邪悪で素敵でした。
「天使と怪物」もミステリ度がかなり高いです。フリークショーでの密室殺人。その多重解決に驚かされ、しかしそもそもの動機が何だったのか、という点も美しい解決でした。 -
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話題作、人気の作家たちによる"新しい法律ができた"の一文から始まる短編集。同じような短編集の5冊目。めくる度にうわっ、今度はこの人か~とワクワクしながら読めます。個人的に一番良かったのは五十嵐律人さんの憲法のお話でした。
殺人や男女関係のエピソードあり、中学校から。
金子礼介「ルパちゃん」
日野瑛太郎「推し活制限法」
朱野帰子「日本国民に英語の勉強を義務づけへ」
阿部智里「つるべを取られて」
真下みこと「こんにちは、チャッテー」
須藤古都離「虚法」
嶋戸悠祐「国家殲滅フットボール法」
多崎礼「復讐者は振り向かない」
風森章羽「コロシヤとユキオンナ」
名倉編「Touch law if you can」
真梨幸子「ある死刑囚の回顧録」
東川篤哉「『ラ禁法』ディストピア」
霜月流「忘却加害」
矢樹純「密室の獣」
高田崇史「御首塚の風」
潮谷験「ネーミング」
献鹿狸太朗「試み」
高田大介「魔法罪」
大沼紀子「もう、ディストピア」
矢部嵩「自転車武装条例」
柾木政宗「ありがとう、虎太郎」
くどうれいん「ショートケーキの夜」
白井智之「ぜんぶミステリのせい」
赤川次郎「帰り道の行先は」
五十嵐律人「革命夜話」
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「将棋」をテーマにしたアンソロジー。
大好きな伊奈めぐみさんの装画が可愛すぎるし。
大好きな青山美智子さんから始まるのだけど、初っ端から泣きそうになった。
「授かり物」
天才棋士と偶然同じ生年月日の息子が、唐突に漫画家になると言い出すお話。
普通の人生って何なんだろう。
分からないのに、「才能」みたいなものを必要とされる職業に就くことに、不安を感じる。
将棋は、「王」を取るゲームではなく、「玉」を取るゲームだったかもしれない、という解釈も、ストーリーに合っていて良い。
他にも、ちょっと怖い話や、奨励会員をめぐるキリキリする話など、豊かで面白かった。
将棋に関する小説が増えてきたような気がする。