白井智之のレビュー一覧
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館をテーマにしたミステリアンソロジー。さまざまな読み心地だけれど、どの作品に登場する館も魅力的です。
お気に入りは恩田陸「麦の海に浮かぶ檻」。やはり大好きなあのシリーズ路線なので。この雰囲気がたまらなく素敵です。
井上真偽「囚人館の殺人」も凄かった! オカルト路線かと思いきや、最後まで読むとしっかり本格。ものすごく伏線がいろいろとあって、やられたなあ、と。事件の凄惨さと真逆の静かな読後感も印象的でした。
そしてこれまたある意味凄すぎるのが白井智之「首無館の殺人」。よくぞこれほど鬼畜でグロテスクなトリックを考えつくものだなあ……真似できません。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編集。白井智之らしさ爆発なんだけど、不思議と読後感が良かった…。もちろんどれもなんというか救いのない話ではあるんだけど、あっさりしてるからかなぁ。結構グロいしきついんだけど、何故か読みやすい。不思議。
『最初の事件』 日本のどこかで起きる小学校のクラスメイト襲撃事件と、北アフリカの独裁政権とがどう交わるのかと思いきや。結末、ギョッとした。
『大きな手の悪魔』 特殊設定ミステリ、と言えるんだろうなぁ。人類滅亡に向けての一手一手がきついのに、なぜかスルッと読めてしまう。本当にきついんだけど…。実在の事件もうっすらと連想したり。怖いししんどいのになぜ読めるのか。
『奈々子の中で死んだ男』 ほんとにストレートに酷い話。結末も救いがないというか、悲しい…。でも、なんかあっけらかんとしてる。主人公を救うとかないよね、白井智之には。
『モーティリアンの手首』 特殊設定というか人類滅亡後三万年経った後の地球の話っていう。すごい面白かった。最後、つまり地下のものが地上に出て彼らもまた滅亡するっていうことなんだろうけど、三万年経っても放射性廃棄物は致死的な放射性を維持してるんだろうか?とちょっと思った。白井智之にそんな隙なさそうだけど。
『天使と怪物』 短編でこんな多重推理楽しめると思えず驚いた。かなり面白かった! そしてこういう胡散臭い宗教家の描写が異常にうまいのは何…。
結末まで含めて一番好きな作品。すごくよかった。 -
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ネタバレ主人公は幸せな家庭を築き、何もかも上手く行っている精神科医が実はとんでもない倫理観の持ち主で、家族を守るという名目で非人道的な所業を平然とやってのける。いわゆるサイコな主人公である。
ある日、主人公は家族に自分の不貞行為がばれかけ、たまたま入手した謎の薬を飲んで時間遡行をする。実は時間遡行に成功した自分と失敗した自分が分岐していて、パラレルワールド同士の自分と意思疎通が可能になる。思いがけず日常が崩れたら不思議アイテムで帳消しにしながら逃げおおせる話かと思いきや、逃げおおせられなかった自分が現れるのである。
時間遡行に成功した主人公は不貞行為がばれるのを未然に防いだが、家族が次々と死亡してしまう。それまでの経緯から、ある世界である人が死ぬと、別の世界で同じ人物が同じように死ぬ「連鎖反応」が引き起こされる事がわかっていた。こうして主人公は、誰が家族を殺したのかを突き止めようとする。
しかし、主人公は家族を守ろうとしたというよりは、平穏な自らの日常を守ろうとしたに過ぎなかったことが次第に露見してくる。主人公にとっての日常は家庭だったが、日常は家庭の外部にもあることを理解していなかったことに主人公の落ち度があったように思う。
一点、違和感が残ったのは、終盤で主人公にレイプされて妊娠した人物の描写で、胎児の父親が主人公でないと明らかになったところで果たして胎児を産んでもよいと考えるのだろうかと、疑問に思ってしまった。何か読み落としたのかもしれないが、もう一度読もうと気にはならない。
推理の方は読みながら考える醍醐味があるかもしれないが、これを解く人はいるのだろうか? というくらい複雑に思われるので、時系列を整理する図表ももう少し入っていたら理解の助けにはなったかもしれない。推理目的で読みたい人には一気読みをおすすめする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ白井智之氏の作品で二番目に良かった。
食用人間の話ではあるがグロいのは冒頭と由島が死んだときくらい。殺人自体はそんなに起きないが「生首を入れたのは誰か」という突拍子もない疑問から始まり、そこからどんどん謎が増えていくのが面白い。 チャー坊に小説を与える描写でわざわざ知識摂取させるの馬鹿すぎると思ったが、案の定チャー坊にしてやられた。ゐのりやクローンの入れ替えは予想できたが、多重解決の結末は実にシンプルだが激情だ。 でも一番驚いたのは二〇一四年の作品なのにコロナウイルスが蔓延した世界が舞台という意図せず予言してしまったことかも。 -
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最近流行り(?)の、豆本サイズの一冊
ネーミングセンスだったりキャラクター造形だったりに独特のノリが
可坊市(べらぼう市)、波外駅(なみはずれ駅)、寸床堂書店(ずんどこどう書店)などなど、こういった感じです
なかなかの力業トリック好き
作品のノリも含めて、こうやって一冊にするならこれくらいやっとかないとな、といったような塩梅を感じました
そして一番好きなのはラストの第8章
読んでいて笑いながら感心してしまいました
こんなオチかい!と
こういうの大好き
ちょうど手元に同じ豆本の『目が』(作:梨)があるのでサイズを比べてみたら、これちょっと違うんですね!
出版社が違うので多少は違うとは思っていたのですが、想像以上に本作の方が小さかったです