白井智之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
もっと有栖川さんを読んでから…そう思ってずっと楽しみに温めていた一冊。
気付けば33作品読んでたので、そろそろいいかなと解禁。
■夕木春央『有栖川有栖嫌いの謎』
タイトルがすごい。勇気がすごい。引きつける力がすごい。途中でやめられない。
「なぜ有栖川有栖をそこまで嫌うのか?」が気になって気になって、一気読みで止まらなかった。そしてセリフが強烈すぎて何度も笑った。夕木さんってこういう作品も書くんだ。
「三部作」と「蓮野シリーズ」の作風の違いにも驚いたけど、この作品でまた違うテイストに驚く。まだまだ引き出しがたくさんありそう。
そして、これはさすがに有栖川さん怒ってないかなと心配したけど大丈夫そう笑。
優しい有栖川さんだから、こういう自由な作品も書けるんだろうな。
■青崎有吾『縄・綱・ロープ』
途中で何度か青崎さんの作品だということを忘れてしまった。アリスと火村の性格も、セリフも文体も展開も、すべて見事に完コピされていて楽しかった。
■一穂ミチ『クローズド・クローズ』
普段の火村とアリスなら言わないようなことを言っているのが新鮮だった。
女子高に少し戸惑っている感じも面白い。
火村ワールドに一穂さんの個性が出ていて、それもまた良かった。
■阿津川辰海『山伏地蔵坊の狼狽』
火村でも学生アリスでもない、マイナー?な山伏地蔵坊の安楽椅子探偵を使うところがさすが。『ブラジル蝶の謎』も出てきてニヤリ。
最後にそれぞれの作品を有栖川さんがどう読んだのか、その感想まで読めるのが嬉しい。
有栖川さんが楽しんで面白がっていて、それを読んでまた温かい気持ちになった。
最高な企画。またこんな企画があったら嬉しい。ここに出てきた未読の作品も読みたくなった。 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。
できるだけ前知識を入れずに読んだ方がいい。あらすじや感想を詳しく調べず、何が起こるのか分からない状態で読んだ方が、この作品の驚きを一番楽しめると思う。
序盤から何度も予想を裏切られ、一気に物語へ引き込まれた。短い中に驚きが詰まっているのに、無理やりどんでん返しを入れている感じがなく、どれも自然なのがすごい。
設定がとても面白かった。
最初はかなり非現実的な設定に感じたけど、作品内でその仕組みが説明されることで、「この世界ではそういうものなのだ」とある程度納得しながら読み進めることができた。
もちろん細かく考えれば、「本当にそうなるのか?」と思う部分もある。
ただ、SFミステリーはそもそも現実には起こらないサイエンスフィクションを前提とした物語なので、提示されたルールを受け入れ、そのルールの中でどんな物語が作られるのかを楽しむのがいいのかもしれない。
特にすごかったのが、何度も「これが真相なのか」と思わされるところ。
一度納得したはずの推理や前提が次々とひっくり返され、そのたびに物語の見え方まで変わっていく。
ここまでどんでん返しが詰め込まれた小説は初めて読んだ。
エログロな描写がかなり多くて、人によっては苦手かもしれないけど、ただ刺激が強いだけではなくて、作品全体の不穏さや異常さをより強く感じさせる要素になっていた。自分はこういう要素のあるミステリーが好きなので、そこもかなり楽しめた。
『殺戮にいたる病』のような、一つの巨大などんでん返しによる衝撃とはまた違い、『エレファントヘッド』は何度も何度も読者の足場を崩してくるような面白さがある。
これだけ複雑な物語を破綻させず、一冊の小説としてまとめ上げているのが本当にすごい。
どうやったらこんなストーリーを思いつくのだろうか。
読み切った勢いのまま感想を書いてたら、思ったより長文になっちゃった -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後はあー、なるほど!それでこのサイズの本を出したってわけね!!
となりつつ、読み返したら最初の叔父さんたちの会話がただのミスリード??関係なく恋人が??そんなことある??となってしまってモヤモヤ……と……ジオラマを見て…などが推理しやすくしてくれていたのかな、とは思いつつ、叔父さんたちは結局自分たちが手を汚さずに甥っ子たちを一掃できて良かったね的な感じなのかな……???
とか思っていた私が馬鹿でした。
他の方の感想を読んで、4回くらい見返したらちゃんと「クソガキ」が「クソ垣」のことで、確かに甥っ子たちが話している様子にもちゃんと当てはまりましたー!
なるほどね、納得納得!!私がぜんぜん気付いて無かっただけでしたわー! -
Posted by ブクログ
ネタバレ表紙とタイトルからホラー作品を連想するかもしれないが、中身は本格ミステリ。
(人によっては特殊設定ミステリかもしれない)。
しかも「全ての描写に意味がある」大好物なタイプのミステリだ。
目を覆いたくなる冒頭から、日本での密室殺人の現場へ移り変わる掴みは衝撃的だったが、これはまだお通し。
徐々に冒頭と主人公達のストーリーが繋がっていき、第一の犠牲者が出てからが前菜だ。
ちなみに前菜が来るまでの間も飽きが来ないよう、様々な工夫が凝らされている。
ここまで読んで「この物語、主人公より助手のりり子の方が魅力的じゃない?」と思っていたのだが、後から考えるとそう感じる人が多くなるよう設計されていたのかもしれない。
メインの推理が始まりへっぽこ探偵の私でも「あれはどういうことだったの?」と疑問符が浮かぶ場面があったが、本作は多重解決モノ。
違和感は全て後の推理で回収される。
「そんな所まで伏線だったんだ」と思わされるのは序の口で、「そうだったんだ!」と納得してもまだその先があり何度も驚かされる怒涛の解決編だった。
ここまででも充分満足できるミステリだったが、どんでん返し部分で本書は傑作だと確信した。
動機は大人としてあまりに幼稚。だからこそ想像の埒外にあり推理できない。
だが最後まで読むと善悪や共感は抜きとして、心情として理解させられてしまう。
面白いミステリを探している人に是非布教したい一冊だ。