文芸春秋 新人賞作品一覧

  • ハンチバック
    3.8
    1巻1,400円 (税込)
    私の身体は、生き抜いた時間の証として破壊されていく 「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」 圧倒的迫力&ユーモアで選考会に衝撃を与えた、第128回文學界新人賞受賞作。 打たれ、刻まれ、いつまでも自分の中から消えない言葉たちでした。この小説が本になって存在する世界に行きたい、と強く望みました。 ――村田沙耶香 小説に込められた強大な熱量にねじ伏せられたかのようで、 読後しばらく生きた心地がしなかった。 ――金原ひとみ 文字に刻まれた肉体を通して、 書くという行為への怨嗟と快楽、 その特権性と欺瞞が鮮明に浮かび上がる。 ――青山七恵 井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。 両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす――。
  • Schoolgirl
    4.2
    1巻1,500円 (税込)
    第166回芥川賞候補作!令和版「女生徒」 どうして娘っていうのは、こんなにいつでも、 お母さんのことを考えてばかりいるんだろう。 社会派YouTuberとしての活動に夢中な14歳の娘は、 私のことを「小説に思考を侵されたかわいそうな女」だと思っている。 そんな娘の最新投稿は、なぜか太宰治の「女生徒」について――? 第126回文學界新人賞受賞作「悪い音楽」を同時収録。
  • 私にできるすべてのこと
    4.6
    1巻950円 (税込)
    AIが人の仕事を奪うだなんて誰が言ったのだろう。 『プリンセスメゾン』の池辺葵、SFへの挑戦! 『繕い裁つ人』や『プリンセスメゾン』で、社会の同調圧力に屈せず孤高の道を行く女性を描き、熱い支持を集めてきた著者の新境地。 大量生産から20年、ヒト型AIが世界中で廃棄される中、少女・和音は喫茶店で働いていた。人とAIが共に暮らし、交錯する中できらめきを見せる、命あるものたち――。 誰かを、何かを愛しく思うのは、ヒトの特権ですか? 池辺葵(いけべ あおい) 2009年デビュー。同年より、『繕い裁つ人』(講談社)の連載を開始する。14年、『どぶがわ』(秋田書店)で第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞。この年、『プリンセスメゾン』(小学館)も連載開始。18年、『ねぇ、ママ』(秋田書店)で第22回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。ほかの代表作に『かごめかごめ』(秋田書店)、『雑草たちよ 大志を抱け』(祥伝社)などがある。現在、『FEEL YOUNG』(祥伝社)で『ブランチライン』を連載中。
  • 神は銃弾
    3.9
    「このミス」第1位! “暴力の詩人”ボストン・テランの輝かしきデビュー作。 元妻とその再婚相手をカルト教団〈左手の小径〉に惨殺され、娘を誘拐された刑事ボブ・ハイタワー。元薬物中毒者の女性ケイス・ハーディンの助けを借りて娘の足跡を追い、教祖サイラスと〈左手の小径〉に復讐を誓う。 愛と憎悪、セックスと暴力、そしてドラックと銃弾。鮮烈な文体で描き出す銃撃と復讐の宴。神なき荒野で正義を追い求めるふたつの魂の疾走。 発表と同時に大きな反響を呼び、アメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞候補作となり、英国推理作家協会(CWA)最優秀新人賞を受賞。 日本でも「‘02年版 このミステリーがすごい!」第1位に選出。日本冒険小説協会大賞を受賞した。 解説・池上冬樹
  • アイスネルワイゼン
    3.4
    32歳のピアノ講師・田口琴音は、さいきん仕事も恋人との関係もうまく行っていない。そんな中、ひさびさに連絡をとった友人との再会から、事態は思わず方向へと転がっていく――。静かな日常の中にひそむ「静かな崖っぷち」を描き、心ゆすぶる表題作(第170回芥川賞候補作)。 選考委員の絶賛を浴びた文學界新人賞受賞作「アキちゃん」を併録。「すべての結果としてこの作品は、新人離れした堂々たる手腕を示すことになった」(川上未映子氏の選評より)
  • 芥川賞物語
    4.0
    一冊で芥川賞まるわかり。芥川賞の全歴史とエピソードが一冊に。 市井の愛好家が、愛と外からの冷静な目で著した芥川賞“非公認”本を、文春文庫から堂々刊行。 賛辞も非難もすべて盛り上がりの血肉にしてきた恐るべき文学賞・芥川賞。 1935年の創設から八十余年、第1回から第155回まで、受賞者、選考委員、候補者、マスコミが繰り広げてきた壮大なドラマを、著者独自の愛と棘ある視点で描き、「日本一有名」なこの賞の秘密を解き明かす。 いちばん面白くて読みやすい芥川賞史。 事件上等!文運隆盛!の八十余年 ・「新人賞」なのに世間では破格の扱い。 ・派手な受賞は叩かれる。地味な受賞は嘆かれる。 ・太宰治の怒り、車谷長吉の「五寸釘」!? ・そして「火花」の250万部突破―― 「文藝春秋がなぜこの本を文庫にしようと思ったのか、いまだによくわからない。 もしかしたら、これが芥川賞の恐ろしさなのかもしれない」(著者)
  • 阿弥陀堂だより
    4.1
    ようやく新人賞はもらったものの、執筆に行き詰まっている作家の孝夫は、医者である妻・美智子が心の病を得たのを機に、故郷の信州へ戻ることにした。山里の美しい村でふたりが出会ったのは、村人の霊を祀る「阿弥陀堂」に暮らすおうめ婆さん、そして難病とたたかっている明るい娘・小百合ちゃん。静かな時間と豊かな自然のなかで、ゆっくりと自分を回復してゆく二人が見つけたものとは……。極上の日本語で語られる、大人のためのおとぎ話。2002年秋、映画化原作!
  • 行け広野へと 【文春e-Books】
    -
    2012年「行け広野へと」で短歌研究新人賞次席、2013年歌壇賞受賞。 注目の歌人・服部真里子の第一歌集『行け広野へと』(2014年本阿弥書店刊)を電子書籍化。  三月の真っただ中を落ちてゆく雲雀、あるいは光の溺死  雪は花に喩えられつつ降るものを花とは花のくずれる速度  春だねと言えば名前を呼ばれたと思った犬が近寄ってくる  八月をすぐ遠景にしてしまう日暮れの舟のしずかな離岸  遠雷よ あなたが人を赦すときよく使う文体を覚える 19歳から27歳までの8年間に作られた歌から、全289首を収録。 現代歌人協会賞受賞作。
  • イッツ・オンリー・トーク
    3.5
    引っ越しの朝、男に振られた。やってきた蒲田の街で名前を呼ばれた。EDの議員、鬱病のヤクザ、痴漢、いとこの居候――遠い点と点が形づくる星座のような関係。ひと夏の出会いと別れを、キング・クリムゾンに乗せて「ムダ話さ」と歌いとばすデビュー作。第96回文學界新人賞受賞作。高崎での乗馬仲間との再会を描く「第七障害」も併録。「やわらかい生活」として、豊川悦司、寺島しのぶで映画化された話題作です。
  • いやしい鳥
    3.5
    1巻1,152円 (税込)
    『爪と目』で、第149回芥川賞を受賞した注目作家のデビュー短編集 文學界新人賞受賞作『いやしい鳥』を含む三作を収録 鳥に変身した男をめぐる惨劇を描いた文學界新人賞受賞作「いやしい鳥」、絶滅したはずの恐竜に母親を飲み込まれた女性の内面へ踏み込んだ「溶けない」、愛とヴァイオレンスが奇妙に同居する「胡蝶蘭」。奇想天外な発想と作風で魅了する三作品
  • abさんご
    3.9
    「途方もないものを読ませていただいた」──蓮實重彦・東大元総長の絶賛を浴びて早稲田文学新人賞を受賞した本作は、75歳の著者デビュー作。昭和の知的な家庭に生まれたひとりの幼子が成長し、両親を見送るまでの美しくしなやかな物語である。半世紀以上ひたむきに文学と向き合い、全文横書き、「固有名詞」や「かぎかっこ」「カタカナ」を一切使わない、日本語の限界に挑む超実験小説を完成させた。第148回芥川賞受賞作。小説集『abさんご』より表題作のみ収録。
  • N/A

    N/A

    3.7
    1巻1,400円 (税込)
    選考会で異例の満場一致!  第127回文學界新人賞受賞作 松井まどか、高校2年生。 うみちゃんと付き合って3か月。 体重計の目盛りはしばらく、40を超えていない。 ――「かけがえのない他人」はまだ、見つからない。 優しさと気遣いの定型句に苛立ち、 肉体から言葉を絞り出そうともがく魂を描く、圧巻のデビュー作。 ★★★ 文學界新人賞・全選考委員激賞!! ここには誰のおすみつきももらえない、肉体から絞り出した言葉の生々しい手触りがある。――青山七恵 安易なマイノリティ表現への違和感の表明であり、同時にそのような表明の安易さへの批判でもあるという点で、まさにいま求められる文学なのではないか。――東浩紀 本作には紛うことなき現代を生きる人間が、そして現代がぶち当たっている壁が克明に描かれている。――金原ひとみ 世界が傷つくとみなす事項に対する、最初からの「傷ついてなさ」が、ぐっとくるのだ。――長嶋有 満場一致の受賞となり、今後の活躍を楽しみにしている。――中村文則 主人公にとって、また小説にとって、とても重要なもの、安易に言語化できないものたちが、物語の力によって、この小説の中に確かに存在している。――村田沙耶香
  • オブ・ザ・ベースボール
    3.8
    1巻544円 (税込)
    「道化師の蝶」で第146回芥川賞を受賞した円城塔氏のデビュー作が登場。ほぼ一年に一度、控えめに見ても百人を下ることのない人間が空から降ってくる町、ファウルズ。単調で退屈な、この小さな町に流れ着き、ユニフォームとバットを身につけ、落ちて来る人を「打ち返す」レスキューチームの一員になった男の物語。奇想天外にして自由自在な文学空間。表題作は文學界新人賞受賞。
  • 癌だましい
    4.0
    生きることは食べること――治療を一切受けず、食べる欲求だけで病気に立向かう主人公の壮絶な生き方。自ら末期癌と闘いつつ、最期まで創作を続けた著者の作品集。第112回(2011年)文學界新人賞受賞作。食道癌を患う中年女性の食への執着を壮絶に描いた表題作と、受賞後に自ら癌で死去する直前まで推敲していた絶筆「癌ふるい」を収録。凄まじいエネルギーが読む者を圧倒する、新たなる闘病小説の誕生。
  • ギブ・ミー・ア・チャンス
    3.6
    1巻754円 (税込)
    「人生やりなおしたい!」と思ったことありませんか。 人生の転機を迎えた人々の悲喜こもごもを掬いあげる、笑いと涙の「再チャレンジ」短篇集。 尾行しても、すぐに気づかれてしまう残念な元相撲取りの探偵。 (「探偵には向かない職業」) 超人気連載マンガのアシスタントを務めながら、連載の終了におびえるマンガアシスタントの苦悩。 (「夜明けはスクリーントーンの彼方」) テレビに出る夢をかなえたい……こどもの頃の夢に突き進む元柔道少女。 (「追いしれの国の女王様」) CAからグリーン車のキャビンアテンダントに転職した女性の奮闘。 (「アテンションプリーズ・ミー」) 小柄ゆえ不人気ゆるキャラ「たけぴよ」の""中の人""に決まった若手公務員の話。 (「たけピヨサイドストーリー」) 営業のドサ回りをする売れない演歌歌手の本当の夢。 (「冬燕ひとり旅」) 夫の殺害方法を考えながらミステリー新人賞に応募し続ける妻。 (「リリーベル殺人事件」) 相方を失っても、コンビニのバイト中にツッコミ練習を続けるお笑い芸人。 (「ギブ・ミー・ア・チャンス」) 短篇8編に著者書き下ろしの「あと描き」も特別収録!
  • 源平六花撰
    3.0
    平家滅亡の直前、女院らとともに西海に逃げた松虫と鈴虫の姉妹。松虫が屋島の戦いで、源氏方の那須与一に扇を射抜かれたことから姉妹は疎まれ、浜で暮らすようになるが、さらに公吏としてやってきた那須兄弟の宴席に侍ることになる(「平家蟹異聞」)。落日の平家をめぐる女人たちを華麗な文体で描いた短編集。オール讀物新人賞受賞のデビュー作。NHKラジオドラマ化原作(出演:西田敏行、竹下景子)。
  • こちら文学少女になります
    4.0
    文学少女の私が、青年漫画の編集者に!? 青年漫画誌に配属になった新人女子。大御所を怒らせ、童貞の作家に戸惑う日々だが――。 25歳期待の新人による長編エンタメ! 「漫画なんて、くだらない」 入社一年目、ザ・文学少女山田友梨が配属されたのは、男だらけの青年漫画誌「ヤングビート」編集部。 大物作家を激怒させ、長寿連載「解決屋一平」はまさかの終了。 童貞が主人公のエッチ漫画「いまだ、できず」の人気は急降下。 雑誌を牽引する大ヒット作「キヨのひらく箱」には激しく心を動かされるが、担当なのに作者とは一回も会えない。 第16回ボイルドエッグズ新人賞受賞の新鋭が描く、イタくて深い、新感覚!青春感動物語
  • 最後の息子
    3.7
    新宿でオカマの「閻魔(えんま)ちゃん」と同棲する「ぼく」。友だちのオカマがホモ狩りにあって殺された事件を契機に、気楽なモラトリアム生活がうまくいかなくなってしまう。家族との関係、元彼女との再会、閻魔ちゃんとの生活……自分がどうしたいのかわからないまま、ビデオ日記を見返してゆく。そこに映っていたものは? 文學界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちの夏の一瞬を爽やかに描いた「Water」、「破片」を収録。
  • シェア
    4.0
    1巻1,119円 (税込)
    新人登場! 「いま」を描ける才能がここにある。 IT企業、シェアハウス……クールな文体でスタイリッシュな世界が秘める真実の感触に迫る! 文學界新人賞受賞作&芥川賞候補作。 吉田さん、綿矢さんが、その才能を高く評価しています。 吉田修一 「触れればすぐに破れる「今」という薄い膜に、作者の指は慎重に触れようとしている」 綿矢りさ 「新しい扉を目の前で開けてくれる」
  • 静かな雨
    3.7
    忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない。 映画化決定(主演・太賀、衛藤美彩)、本屋大賞受賞作家の瑞々しいデビュー作。 行助は美味しいたいやき屋を一人で経営するこよみと出会い、親しくなる。 ある朝、こよみは交通事故の巻き添えとなり、三ヵ月後、意識を取り戻すと新しい記憶を留めておけなくなっていた。 忘れても忘れても、二人の世界は少しずつ重なりゆく。 文學界新人賞佳作に選ばれた瑞々しデビュー作。 *文庫版には「日をつなぐ」(角川文庫『コイノカオリ』収録)も併録しました。 解説・辻原登 ※この電子書籍は2016年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 週刊文春ミステリーベスト10 2017【文春e-Books】
    -
    年末恒例の人気企画「ミステリーベスト10」が今年も電子書籍化! 通算41回目の今年、国内部門では度肝を抜く「本格推理」の新人が登場。 主要新人賞で受賞作が出なかった中、一人気を吐いた。 海外では「華文ミステリー」の新星が栄冠に輝く。 1977年の創設以来「週刊文春ミステリーベスト10」では、これまでアジア圏の作品がベストテンにランクインしたことはなく、 41年目にして初のランクインで第1位という快挙を果たした。 その他、ベテランも大活躍の強力ランキング! 全国のミステリー通、書店員といった目利きたちが選んだ2017年の国内・海外のミステリーのベスト20を一挙紹介。
  • 就職戦線異状なし
    -
    1巻495円 (税込)
    4人の大学生が繰り広げる就職大狂騒、「就職杯・内定獲得レース」を制するのは?  暴走する若さ、純情きわまる愚行の限りを尽くす大学生たちを襲う、実社会の試練“就職”。講談社、文藝春秋、新潮社からフジテレビ、NHKなど、大手マスコミ入社へ向けての大奮闘。高額初任給とやりがいのある仕事、恋愛まで、はたして就職戦線の勝利者となるのは誰か?  空前の売り手市場と言われたバブル期、就職活動に奔走する若者たちの姿を描いたユーモア青春小説。1991年に公開され大ヒットした同タイトル映画(金子修介監督・織田裕二主演)の原作が、ついに電子で復刊! ●杉元伶一(すぎもと・れいいち) 1963年、埼玉県生まれ。早稲田大学社会科学部中退。大学在学中に『東京不動産キッズ』で小説現代新人賞を受賞。現代を鋭く切りとる才筆で文壇の注目を浴びる。著書に、映画化された『就職戦線異状なし』『スリープ・ウォーカー』(講談社)などの他、漫画原作として『国民クイズ』(太田出版)がある。
  • 終点のあの子
    3.9
    オール讀物新人賞を受賞し、繊細な描写が各紙誌で絶賛された、注目の著者のデビュー作。「揺れ動く思春期の心理を見事に描いた秀作、というより力作だ」(篠田節子選考委員)と賞された受賞作「フォーゲットミー、ノットブルー」は、中高一貫女子校を舞台にした青春小説。級友に対する憧憬がいつしか憎しみに変わる様子を、柔らかく繊細な文章で描く。ほか、連作3篇を含む全4篇を収録。
  • 小隊
    3.6
    ★「ブラックボックス」で芥川賞を受賞した作家の衝撃作&デビュー作が合本に。 ロシア軍が北海道に上陸。自衛隊の3尉・安達は敵を迎え撃つべく小隊を率いて任務につく。避難を拒む住民、届かない敵の情報、淡々と命令をこなす日々――。そんな安達の”戦場”は姿を現したロシア軍によって地獄と化す。「自衛隊の戦争」を迫真のリアルさで描く表題作ほか、元自衛官の芥川賞作家による戦争小説3篇。 【収録作】 「小隊」(第164回芥川賞候補) 「戦場のレビヤタン」(第160回芥川賞候補) 「市街戦」(第121回文學界新人賞受賞) ※この電子書籍は、2019年1月刊行の単行本『戦場のレビヤタン』、2021年2月刊行の『小隊』、「市街戦」を収録した文庫版を底本としています
  • 素晴らしい一日
    3.6
    「わあ、奇遇だなあ。二年ぶり?」「お金、返して」。三十路目前でゲットした恋人に逃げられ、勤務先は倒産、貯金残高は減るばかり。ドツボにはまった幸恵は、昔付き合った男・友朗に貸した金を取り立てて、人生を立て直そうと考えたが……(「素晴らしい一日」)。卓抜なユーモアがたまらないオール讀物新人賞受賞作を含め、憂きことばかりの人の世をもがきながら生きるダメ男とイコジ女たちにエールをおくる、傑作ビタースィートコメディ。平安寿子のデビュー作!
  • 世界が青くなったら
    3.9
    1巻1,599円 (税込)
    もし朝起きたとき、大事な人が消えていたら? もしあの時、別の決断をしていたら? もしもう二度と会えないと思っていた人と会うことができたら? 人生で誰もが出会うifを問いかける物語 ある朝仲内佳奈が目を覚ますと、彼氏の坂橋亮が世界から消えていた…… LINEに履歴はないし、電話帳の中の番号もなくなっている。不安になって亮のマンションに行ってみるが、亮の部屋はずっと空室だという。親友に亮の話をしても「そんな人には会ったことがない」と言われてしまう。 自分の頭がおかしくなってしまったのか、それとも世界の方が壊れてしまったのか? 佳奈は混乱しながらも、亮の手がかりを探し始める―― 『響け!ユーフォニアム』シリーズは累計170万部を突破、『愛されなくても別に』で吉川英治文学新人賞を受賞。人気、実力を兼ね備えた気鋭が放つ、ハラハラドキドキのファンタジー青春恋愛小説。
  • 「世界の大富豪」成功の法則
    3.0
    彼らが大金持ちになるには「理由」があった! 世界の大富豪に君臨するITの王者ビル・ゲイツ、 メキシコの通信王カルロス・スリム、投資の神様ウォーレン・バフェットは言うに及ばず、 伝説の大富豪、ロイヤルファミリー、IT成金たちの先見性、直観力、決断力、独創性……、 その「成功の方程式」を明らかにする。 【著者紹介】 城島明彦(じょうじま・あきひこ) 作家・ジャーナリスト 1946年三重県生まれ。早稲田大学政経学部卒。東宝(映画助監督)を経て転職したソニー勤務時代(宣伝部門・広告部門)に書いた 短編小説「けせらんぱさらん」で文芸春秋の「オール讀物新人賞」(第62回)受賞。“ソニー初の文芸賞受賞者”となり、著述業に転身。 著書に『吉田松陰「留魂録」』『広報がダメだから社長が謝罪会見をする!』『ソニーを踏み台にした男たち』『恐怖がたり42夜』など、小説・ノンフィクションの著書多数。近著に現代語訳『養生訓』がある。 【目次より】 第1章◆世界長者「ピラミッドの頂点を極める成功方程式」 第2章◆伝説の大富豪たちの「人を出し抜く一攫千金の法則」 第3章◆華麗でリッチなロイヤルファミリーのバランスシート 第4章◆IT成金になる「チャンス鷲掴みの原理原則」 第5章◆ウーマン・ビリオネア&ファミリー「遺産相続の鉄則」 第6章◆躍進著しいアジア圏の「成り上がり必勝法」
  • 蒼龍
    3.9
    大人気時代小説家・山本一力の傑作中篇集。途方もない借金を背負う若夫婦が、起死回生を狙って茶碗の新柄の公募に挑む。その顛末は――。貧しい暮らしの中で追いかける大きな夢。武家社会の心意気、商人の気概。誠を尽くせば、身分の差を越えて人は分かりあうことができる。生きる力と明日への希望を与えてくれる感動作。「オール讀物」新人賞を受賞しデビューのきっかけとなった表題作は、著者自身の新人賞に応募していた当時の心情が色濃く反映され、胸に迫る。その他、『あかね空』以降に執筆した四作品を併録。
  • 球は転々宇宙間
    -
    1980年代終わり、日本のプロ野球は3リーグ18チームの時代を迎えていた。原は横浜、江川は浦和、掛布は千葉へとそれぞれにトレードされていく。大都市集中ではない地元密着のチーム、それは日本の真の地方の時代の幕開きでもあった……。根っからの野球好きである著者が、自らの夢を託し、プロ野球の将来の発展を願って書いたこの処女作は、吉川英治文学新人賞を受賞し、野球ファンからも熱烈に歓迎された。いわば走者一掃の三塁打的後味さわやか近未来野球小説である。
  • 駐車場のねこ
    4.0
    1巻800円 (税込)
    「オール讀物」新人賞受賞作「姉といもうと」を含む傑作短篇集。 幸田文の『流れる』に憧れる家政婦の姉と、指がないが活動的でラブホテル受付をする妹。 つぶれたスナックの女性店員たちが開いた競馬場での同窓会。 職人気質のクリーニング店主と常識外れの若い女性客。 駐車場の猫に餌をあげている布団屋の妻と、“役者のような美男子”の夫……。 おもわずほほえんでしまうユーモア。人間観察からあふれでる、生きることへの“姿勢の良さ”がにじみ出る。 解説・森絵都「どんな個性も大らかなユーモアをもって包みこむことで、マイナスをもプラスに転化させる。これぞ嶋津マジックだろう」 何気ないやりとりから生れる違和感がクセになる、オリジナリティ溢れる全7篇。 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本『スナック墓場』の文庫版を底本としています。 文庫化にあたり、改題しました。
  • 鉄騎兵、跳んだ
    3.6
    オール讀物新人賞を受賞した佐々木譲さんのデビュー作『鉄騎兵、跳んだ』。モトクロスに青春を懸ける青年、貞二の挫折、恋、多感な時期の葛藤を描き、当時の選考委員にも絶賛された瑞々しい作品です。他にも『246グランプリ』『パッシング・ポイント』『ロウアウト』など全5編を収録。これが佐々木譲の原点だ!
  • てらさふ
    3.0
    自分がまがいものであることは承知の上で、スーパースターになって2010年代を疾走することを夢想する堂上弥子(どうのうえやこ)。 耳の中で鳴る音に連れられ、どこかに行きたいというきもちがつねにうねっていた鈴木笑顔瑠(すずきにこる=ニコ)。 北海道の小さな町で運命的に出会ったふたりの中学生は、それぞれ「ここではないどこか」に行くため、一緒に「仕事」で有名になることを決める。その方法は弥子が後ろに回り、ニコが前面に出るというもの。最初の仕事は読書感想文コンクールでの入選。弥子が書いてニコの名前で応募した感想文は見事文部科学大臣奨励賞を受賞、授賞式にはニコが出席した。 ふたつめの仕事は、史上最年少で芥川賞を受賞すること。ニコの曽祖父の遺品の中にあった小説を弥子がアレンジして応募した小説「あかるいよなか」は、芥川賞の登竜門となる文芸誌の新人賞を受賞する。作品はその後順当に芥川賞にノミネートされるが、それは「てらさふ」仕事を続けてきた、ふたりの終わりのはじまりだった――。 てらさふ――とは「自慢する」「みせびらかす」こと。「てらさふ」弥子とニコがたどり着いた場所とは? 女の子の夢と自意識を描きつくした、朝倉かすみの野心作。 解説・千野帽子
  • 夏目家順路
    3.2
    北海道在住の元ブリキ職人の夏目清茂、74歳。ある日、若い友人とスナックで1杯やっていたところ突然脳梗塞の発作を起こし、昇天。その死を悼む娘・息子、遠い昔に別れた元妻、そしてさまざまな友人・知人たち……。葬儀の日まで、そして葬儀の際に彼らが思い出す清茂の姿は、機嫌がよく、優しく、世話好きで――謎の部分もあった。清茂の葬儀を中心に、いくつもの人生が追憶と回想の中で交差する。『田村はまだか』で吉川英治文学新人賞を受賞した著者の傑作長篇小説。
  • 花晒し
    4.0
    元芸者の右京は、亡き夫の後を継いで広小路を仕切る元締となった。ある日、美人で評判の娘が行方知れずになり、数日後に家に戻っても引きこもってしまう、という出来事が続いていることを知り、調べを始めたが……(「花晒し」)。急逝した著者の最後の連作短編のほか、新人賞を受賞した幻のデビュー作を特別収録。
  • 文春ムック 西村京太郎の推理世界
    3.5
    1巻1,100円 (税込)
    西村京太郎の推理世界 空前絶後のベストセラー作家全軌跡! 追悼 レジェンドに贈る感謝とお別れの言葉 赤川次郎「0・1ミリの違い」 東野圭吾「小説家として」 特別対談 『殺しの双曲線』『名探偵が多すぎる』『華麗なる誘拐』…… 綾辻行人×有栖川有栖 「僕らの愛する西村作品ベスト5」 オール讀物推理小説新人賞受賞作全文掲載 歪んだ朝 歳月を経ても色あせない社会派推理小説が原点だった 第2回オール讀物推理小説新人賞決定発表 受賞のことば 「嬉しさでいっぱい」西村京太郎 選評 有馬頼義/高木彬光/水上勉/松本清張 随想 ベストセラー作家前夜 「推理小説新人賞」の頃 「瞼の師」長谷川伸 オール讀物傑作選 美談崩れ 一九六五年九月号 見舞の人 一九六七年三月号 夜行列車「日本海」の謎 一九八二年十二月号 事件の裏で 一九八三年七月号 座談会 「オール讀物」と推理小説の90年 北村薫×北上次郎×戸川安宣 作家同士で語り合った四方山秘話 山村美紗「事実は推理小説より奇なり」 佐野洋×三好徹 司会・大沢在昌 「ミステリー界の巨人たち」 阿川佐和子「唯一無二の同志兼恋人」 赤川次郎「ミステリーを書き続ける幸せ」 トラベルミステリーと歩み続けて 宮脇俊三「ミステリーはローカル線に乗って」 インタビュー 鉄道と小説を愛して 絶筆 「SL『やまぐち』号殺人事件」の日々 作家活動の歩み 家の履歴書 思い出アルバム 蒸気機関車と 文士とカメラ 妻への手紙 生涯647冊全著作リスト
  • 崩壊の森
    3.5
    1巻1,001円 (税込)
    日本人特派員、土井垣が降り立ったソ連は“特ダネ禁止”の地だった。 謎に包まれた帝国で監視の目を潜り、取材を開始する土井垣。しかし、その周囲では次々に不可解な出来事が起こる──。 ソ連崩壊という世界的スクープを報じた斎藤勉をモデルに、魑魅魍魎が蠢くソ連崩壊前夜を圧倒的リアルで描き尽くす。 今、読むべき本物のインテリジェンス小説!  諜報、盗聴、罠、駆け引き、裏切り…… “ソ連崩壊”を世界に先駆けて報じた 日本人記者が見た「真実」とは?   「どうやら、この国のことを少し甘く見ていたらしい──」 吉川英治文学新人賞を受賞した『ミッドナイト・ジャーナル』、直木賞候補となった『傍流の記者』。 気鋭の著者が放つ、極寒の氷をも溶かす熱き闘いの物語! 解説は、保守派に換金されたゴルバチョフの生存情報の第一報を伝えた、当時、在ソ連日本国大使館の三等書記官だった作家の佐藤優さんです。 ※この電子書籍は2019年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 虫封じ〔マス〕
    4.0
    オール讀物新人賞受賞作待望の刊行! 時は文政。江戸の長屋でつましく暮らす少女・お夕のもとに現れたのはひょろりとした一人の侍。お夕が世話する近所の子供が疳の虫で泣き叫び、死んでしまうのではないかと思われた時、その侍は何やら呪文を唱えると、あっという間に虫を封じてしまった――。 それ以来長屋に住んだ虫封じの侍・影郎はお夕を助手に、江戸の人々の心の闇に巣食う虫を退治してゆきます。ある時は殺人者の、ある時は金の亡者の、ある時は関係のこじれた夫婦の……。 新しい江戸・ファンタジー、新しいヒーローの誕生。
  • 猛スピードで母は
    4.0
    1巻447円 (税込)
    「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小6の慎は、結婚をほのめかす母をクールに見つめ、母の恋人らしき男ともうまくやっていく。現実に立ち向う母を子どもの皮膚感覚であざやかに描いた芥川賞受賞作に加え、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんと小4の薫の奇妙な夏の日々を爽やかに綴った文學界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。子どもの視点がうつしだすあっけらかんとした現実に、読み手までも小学生の日々に引き戻される傑作短篇2篇。
  • 私たちの願いは、いつも。
    3.0
    === 私たち、十四歳の二倍も生きてんのに、どうしてこんなに人生に不器用なんだろう――。 === 中学二年のときに同じクラスだった、いまは二十八歳の女性三人。 設計士として「住まいを作る」仕事と向き合いながらも、突如豹変した母親との関わりに悩む曜子。 結婚し、娘を保育園に通わせる幸せな日々のはずなのに、なぜか満たされない紀子。 優雅な実家暮らしだが、誰にも明かせない“秘密”を一人で抱えている朋美。 仕事、家族、恋愛──同窓会で再会した三人の人生はひそやかに交錯する。 朋美が、神社で不思議な「小さいおじさん」を観たと話したことから、それぞれの日々が少しずつ変化し始めて……。 ※本書は、第十五回ボイルドエッグズ新人賞を二〇一三年二月に受賞し(受賞時タイトル「あしみじおじさん」)、同年十月に文藝春秋より刊行された単行本『小さいおじさん』を、改題のうえ文庫化したものが底本です。 解説:北上次郎  カバー装画:谷川史子
  • ワンちゃん
    3.7
    1巻478円 (税込)
    中国人女性の「王愛勤」ことワンちゃんは、名前のとおりの働き者。女癖が悪く働かない中国人の前夫に愛想を尽かし、心機一転、日本人と見合い結婚をして、はるばる愛媛へやってきた。家事に夫の送り迎え、病気の姑の世話と働きながら、生活力たくましいワンちゃんは、四国の独身男性を中国への「お見合いツアー」に誘うのだった──。日本語を母語としない作家として、初めて芥川賞を受賞した著者のデビュー作! 文学界新人賞を受賞した表題作のほか短篇「老処女」を収録。

最近チェックした本