本ばかり読んでいるように思われるかもしれませんが、別に暇なわけじゃあありません。
大学2年の頃から深刻な活字中毒なんです。
そのくせ、読み終わって2、3日もすると内容を忘れてしまうのですから、ホントしょーもないです。
あ、こっちの話です。
数多ある文学賞の中で、群を抜いてメジャーなのが芥川賞でしょう
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本書は、「直木賞研究家」の肩書を持つ著者が、芥川賞の歴史について書いた著作。
第1回の石川達三「蒼氓」から、第155回の村田沙耶香「コンビニ人間」までカバーしています。
受賞作の内容そのものよりは、選評も含めて受賞作を取り巻く状況に視点を当て、その歴史を追っています。
読後、感じたのは、この賞のつかみどころのなさ。
一応、純文学の新人を対象にその期で最も優秀な作品に贈られる賞ですが、そんなに単純なものではありません。
基準もあってないようなもので、たとえば優れた作品であっても、選考委員が「食傷気味のテーマ」と感じれば、まず選から漏れます。
直木賞と並んで数少ない国民的な文学賞とあって毎回、耳目を集めますが、そんな私たちだって受け止め方は様々。
普段、文学とは無縁の生活を贈る人には新鮮な驚きを持って迎えられることもしばしばある一方で、堅物の文学ファンの中には芥川賞そのものを白眼視する向きも少なくありません。
考えれば考えるほど不思議な賞ですね。
本書を読んで、そんな感慨を深くしました。