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  • ミッドウェー
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    ミッドウェー海戦は惨憺たる敗北であった。戦前、量よりも質をモットーとし、「寡(か)をもって衆を制する」ように訓練し、準備されてきた日本の連合艦隊が、「衆をもって寡に敗れた」のである。海戦の主導権は我にあった。参加兵力は米太平洋艦隊のそれに比して圧倒的に優勢であった。戦争の主役を果たした航空部隊の質は、必ずしも米軍のそれに比して劣ってはいなかった。しかもその敗戦は、近世の日本海軍が未だかつて経験したこともないほど決定的なものであった(初版まえがき)。……実際にこの作戦に参加し、つぶさに辛酸をなめた両著者が、この海戦に関するおおやけにされることのなかった詳細な報告文書と資料とをもとに書き上げた空前絶後の戦史! 本書は多くの言語に翻訳されて、世界的にも戦史の古典とみなされている。

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    フォロー
  • カラマーゾフの兄弟 1
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    1~3巻792~924円 (税込)
    フョードル・カラマーゾフは金と女にしか興味のないような悪魔的な男だったが、彼には3人の息子と1人の私生児があった。長男ドミートリイは27歳の退役士官で、婚約をむすんだ娘がありながら、妖婦グルーシェンカに恋慕して父親の恋敵になる。次男のイワンは合理主義者、無神論者である。三男のアリョーシャは幼いときから僧院に入って修業し、キリストの愛によって肉親を和解させようとする。私生児のスメルジャコーフは癲癇の発作もちで、悪がしこく、自分の出生に恨みを抱いて生きている。入り組んだ愛憎のもつれのなかで、フョードルが何者かによって殺害される。あらゆる証言からみて状況はドミートリイにとって不利なことばかりで、結局彼は起訴され裁判にかけられる……人間の獣性と神性をみごとに描きつくした大作。

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  • ネルーダ詩集
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    ネルーダはチリ生まれの詩人であり、政治家。1971年にはノーベル文学賞を受けた。ネルーダの声ははじめ、恋に破れた若者の死ぬばかりの嘆きをうたい、孤独をうたっていたが、マドリードの鋪道に流された子供たちの血を見て、その声はヒューマニズムの叫びとなり、ひとびとの怒りと涙をうたい、ひとびとの根ぶかい生活と希望を大きなスケールで反映したものとなった。
  • バイロン詩集
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    18世紀末から19世紀初頭にかけてのヨーロッパの激動期、不世出の詩人と仰がれて活躍したイングランドの貴族出身のバイロン。長編物語詩「チャイルド・ハロルドの遍歴」などを発表してロマン派の旗手となったが、オスマン帝国からの独立をめざしたギリシア独立戦争に加わり、病に倒れた。「最初の近代人」といってもよいバイロンの詩は、今日のわれわれにも共感できる。
  • ヘッセ詩集
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    ゲーテ、ハイネとつづくドイツ抒情詩の伝統に従って、自分の生活感情を単純素朴な詩句によってあらわすことに重きをおいた詩人ヘッセの全貌をうかがうことができる詩集。ヘッセは自分の病める魂の悲しみや嘆きや訴えを、天からさずけられた自分のリズムによってかなでる天成の抒情詩人だった。その詩は、人間の孤独感と、そこからせつなく響いてくる憂愁のしらべにつらぬかれている。
  • ブーベ氏の埋葬
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    セーヌ河岸の古本屋で版画集を見ている最中に突然倒れたブーベ氏。通りかかったアメリカ青年が、息絶えた氏の写真を新聞社に売り込んだことからこの物語は始まる。身寄りのない老人だと思われていたブーベ氏に、一人また一人とおよそ意外な関係者が名乗りをあげる。ブーベ氏の幾多の経歴に翻弄され、葬儀を出すこともままならない。そして次第に、戦中から戦後にかけての暗黒の世界が開陳されてくる。ブーベ氏とは、いったい何者だったのか。
  • 闇のオディッセー
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    ジャン・シャボは、金持ちを上得意とする産科クリニック医師で、パリ大学の教授でもあった。揺るぎない社会的地位と潤沢な経済基盤を持ち、自信に満ちた人生を送ってきたが、家中をめぐる人間関係に失敗し、医療過誤におびえてもいた。それを癒やしてくれた唯一の若い女「熊のぬいぐるみ」が自殺したとき、そして匿名の男からの脅迫にさらされたとき、彼は拳銃をポケットに一切の決着をつけるべく夜の町へと出かけていった。シムノンのサスペンスが冴える。
  • アドリア海の復讐(上)
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    オーストリア帝国の支配下、祖国ハンガリーの独立をめざして画策していたサンドルフ伯爵は、自邸にもぐりこんだ裏切り者の密告によって、同志ザトマール伯爵、バートリ教授とともに牢獄につながれ、死刑を宣告される。三人は裏切り者の正体を知って、脱獄を決行する。だが脱獄は失敗、同志ふたりは殺され、サンドルフ伯爵は追い詰められて海の藻屑と消え、生死不明となる。作者ヴェルヌは本作をデュマの「モンテ・クリスト伯」へのオマージュとして書いたと述べている。
  • ちびの聖者
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    貧乏な少年が有名な画家になるという、なかば自伝的な小説。舞台はベル・エポック時代におけるパリの労働者階級の住むごたごたした街だ。ルイは6人の子供のうち下から二番目で「ちび」だ。小学校へ入学すると、どんないたずらをされても絶えず微笑んでいるので、《ちびの聖者》という綽名をもらった。子供たちは成長するにつれて、一人ずつ家から出ていった。ルイは絵を描くのが好きだった。ふとしたことから画商の目にとまり、次第に売れていく。そして天賦の才を見事に開化させる。シムノンの最高傑作という評もある。
  • 倫敦から来た男
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    ディエップの港湾駅で働くマロワンはある夜、船でロンドンから来た男が、相棒の男をドックの中に突き落としたのを、転轍操作室の塔の中から目撃した。相棒は小型スーツケースを持ったまま、ドックの底に沈んでいった。マロワンが小型スーツケースを回収してみると、中には大金が。殺人現場を見られたと悟った男は、いったんは逃げたが、マロワンを疑い、彼の家の近くを徘徊する。妻や娘がいる普通の家庭生活と、殺人犯の大金を横取りした男の不安と恐怖は極限に…強烈なサスペンスが漂う名作。
  • シャーロキアン殺人事件
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    ホームズの世界を楽しめる作品。名だたるホームズ嫌いがアメリカ映画「まだらの紐」の脚本担当になったため、「ベイカー・ストリート・イレギュラーズ」の会員からの非難が相次いだ。一計を案じた会社は嘱託として会員をハリウッドに招待する。ところが、パーティの席に現れた当の脚本家が殺される。しかも、死体が消えた! 暗号・密室・国際的陰謀……シャーロキアンがもてる知識をフル動員して推理に当たる。
  • スペードの女王/大尉の娘
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    1巻770円 (税込)
    カルタにはいっさい手を出さなかった青年将校ゲルマンは、フェードトヴナ老伯爵夫人が必勝法を知っていると聞くと、老夫人の書斎へ忍び込み、ピストルまで突きつけて秘伝を教えろと強要する。老夫人はショックのあまり死んでしまう。ある夜、夫人はゲルマンの夢枕にあらわれて、「三」「七」「一」の順で張れと教える。ゲルマンは「三」で勝ち、「七」で勝ち、最後に「一」を張る。だが、出たのは…。「大尉の娘」はプガチョーフ反乱をバックに辺境の砦の大尉の娘マリアをめぐって展開される歴史小説と家庭小説をミックスさせた物語で、プーシキンの最大傑作といわれる。
  • さすらいの青春
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    この作品の原題は「ル・グラン・モーヌ」(でかのモーヌ)という。生徙たちの敬愛を一身にあつめた「でかのモーヌ」は、ふとした偶然から、ふしぎな冒険にまきこまれる。見知らぬ古い城館にまぎれこみ、そこで「この世の人とも思えない」美しい女性にめぐり会う……。未知なるもの、永遠なるものへの止みがたい憧れに満ちたこの小説は、宝石の輝きにも似た美しさをたたえる、二十世紀青春文学の傑作だ。作者フールニエはこの作品だけを残して28歳で死んだ。
  • 夜はやさし
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    スイスの診療所に入院していたアメリカの富豪の娘ニコルは、若いアメリカ人の医師ディックを恋し、やがて二人は結婚する。だが、ニコルには暗い過去があり、精神を病んでいた。ディックも夫と付添医師という二重の役目を負わされる。二人の子にも恵まれた平穏の暮らしのなかへ、ハリウッドの新進スター、18歳のローズマリーがあらわれ、ディックはその誘惑に抗しきれなくなる。深酒にふける彼のモラルの崩壊はこのときから始まる。だが、夫の愛情が冷めてゆくにつれて、ニコルは精神の健康をとり戻し、以前から秘かに彼女への思慕をつづけてきたトミー・バーバンへ走る。…「ジャズ時代」の申し子であった作者の野心作であり、すぐれたドキュメンタリーな作品ともいえる。
  • 楽園のこちら側
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    この作品は自伝的要素がこく、主人公のアモリーは作者と同じ年で、同じ年にプリンストン大学にはいり、同じ年に参戦したりする。しかし、その恋愛遍歴は作者のそれというより当時の青年のそれをよくうつしたものであった。酒、ペッティングなどの大学生活の描写は、当時としては、初めて、しかも、大胆に行ったもので、お上品な時代に育った親たちを驚倒させた。だが、大学生活を愉しんでいた青年たちには受けて、ベストセラーとなった。フィッツジェラルドは失ったゼルダの愛をとりもどし、「ジャズ時代」を謳歌し、フランスへ渡る。「華麗なるギャツビー」はそこで生まれた。
  • 怒りの葡萄(上)
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    砂嵐の猛威と旱魃、大資本の進出に父祖の土地を追われたオクラホマの小作農ジョード一家は、一片の宣伝ビラの文句に誘われて「緑なす、たわわに果実の実る、職のある」カリフォルニアを目指して長い旅路につく。売れるだけの家財を売り払い、二頭の仔豚を屠って塩漬けとし、中古おんぼろ車を急造トラックに仕立て、一族12人に元説教師をくわえた一行13人は国道66号線をひたすら走る。だが、国道は同じように西へ移住しようとするトラックでいっぱいだった。災厄がつぎつぎと降りかかる。次男トムとおっかあは知恵をしぼり、気力をふりしぼって一家の苦難を支える……カリフォルニアは確かに「緑したたる」場所であった。だが、そこは夢にみた楽園ではなかった。俗語や卑語を駆使し、全体状況をさしはさむテンポのよい構成で、力強くうたいあげた社会小説、家族小説。ピューリッツァー賞を受けた、スタインベックの代表作のこの作品は、20世紀アメリカ文学の金字塔である。
  • 赤い風 チャンドラー短編全集1
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    正統派ハードボイルドの巨匠レイモント・チャンドラーの中短編全集第1巻。本巻には、チャンドラー自身の序文を巻頭に置き、「脅迫者は射たない」「赤い風」「金魚」「山には犯罪なし」の傑作4編を収めた。哀愁とサスペンスを背に不朽の主人公フィリップ・マーロウがロサンゼルスのネオン街を歩き去る。「レイモンド・チャンドラーはアメリカについて語る新たな方法を発明し、それ以来我々にとってアメリカは全く違ったものとして映るようになった」ポール・オースターはこんなふうに書いている。
  • 犯行以前
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    ショッキングな書き出しではじまる本書は、妻を愛し、歓心を得ようとしながら、妻の心とはうらはらな言動をする異常性格の夫に献身的につくす健気な女の、内心の葛藤を描く犯罪心理小説。「世の中には殺人者を生む女もあれば、殺人者とベッドをともにする女もある。そしてまた、殺人者と結婚する女もある。リナ・アスガースは、八年近くも夫と暮らしてから、やっと自分が殺人者と結婚したことをさとった……」
  • 秘密の花園
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    コレラで両親を失ったメアリーはヨークシャーの叔父のもとへひきとられた。荒野のはずれにある屋敷は陰気で謎めいていて、夜になると風まじりに子供の泣き声がきこえてくるような寂しい場所だったが……心に悩みをもつ少年と少女が、豊かな自然の恵みにふれることで、明るさと健やかさをとりもどしてゆく。全編から太陽の光と土の匂いが香りたつようなバーネット夫人の傑作。
  • マーロウ最後の事件
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    ハードボイルド派の代名詞となった感のあるチャンドラーの作品は、その枠を超えて親しまれている。長年その作品を味読してきた訳者は、本書において4つの中編を選び、「この1冊でチャンドラーのすべてが解る」と、控えめながら自負を語る。チャンドラーの魅力を紹介し、あらためてそれを確認する最適の作品集。「湖中の女」「女を裁け」「翡翠」「マーロウ最後の事件」を収録。
  • 盲目の理髪師
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    大西洋をイギリスに向かう豪華客船のなかで盗難事件が起こり、奇怪な殺人事件が発生する。死体が消えたあと「盲目の理髪師」が柄に描かれた、血まみれの剃刀が残っていたのだが、これはいったい何を意味するのか。そんなこととはおかまいなく、船上ではあれやこれやのドタバタ劇が続発、笑いのうち肝心の事件は消え失せるかに見えたのだが…真打のフェル博士が安楽椅子探偵となって登場する、円熟味を加えたカーの名編。
  • 恐怖への旅
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    第二次大戦下、英国の兵器製造会社からイスタンブールに派遣された技師グレアムは、トルコ海軍の軍艦再装備計画に加わっていた。だがそれはドイツ、イタリア、ロシアの知るところとなり、グレアムの身に危険が迫る。トルコ秘密警察の手引きによって民間汽船で逃れたグレアムは、ギリシアから乗船してきた男がドイツの意を受けたルーマニアの暗殺者ベーナトであることを知った! だが、グレアムの秘密をつかもうと暗躍していた者は、それだけではなかった。スパイ小説史上に輝くアンブラーの初期傑作。
  • 火星の笛吹き
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    SFからファンタジー、ミステリ、怪奇、幻想小説まで、ジャンルにとらわれない幅広い活躍で知られるブラッドベリ。その初期のスペース・ファンタジー20編を収録するユニークな短編集。時間を止める能力を持つ青年のひき起こした悲劇「ホラーボッケンのジレンマ」は、これまで紹介されなかった幻の処女作だ。編者推奨の佳編は「よみがえるラザルス」「地球のはぐれ者」である。
  • わたしの修業時代
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    華麗なベル・エポックのパリを舞台に、若き日の愛と別れ、作家としてのデビューを鮮やかに描いた回想録。田舎出の20歳のコレットはパリで14歳年上の流行作家と共同生活をはじめたが、奇癖を持ち放蕩者でもあった夫との愛は破局へ。そして文壇への単独デビューを果たす。社交界を彩る高級娼婦、作家、芸術家たちの面影を存分に描き、往時を眼前にほうふつさせる一代の回顧録。
  • 裏切りへの道
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    第二次世界大戦直前のイタリアを舞台に展開されるスパイ戦! 時は大戦勃発直前の北イタリア。英国人の若い技師マーロウはスパータカス工作機械株式会社ミラノ支店のマネージャーとしてミラノに着いたばかりだった。同社はイタリア政府に軍需物資を供給する英国の会社だ。だが、彼の先任者が夜半、何者かの操縦する車に轢殺されたのだということを、マーロウは知らなかった。やがてマーロウにも、何か奇妙な事件が、自分のまわりに起こりかけていることがわかって来る。婚約者に出したラヴレターが、何者かの手で開封されているのを知ったのである……。アンブラーの独壇場である本格スパイ小説の傑作!
  • ディミトリオスの棺
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    派手なアクションを避け、地道にスパイの心理を追うスパイ小説の王道を切り開いたアンブラーの初期の代表作。「探偵小説味のある作品を書いている現役の作家で、文学者として最も優れた人は誰かと考えてみると、英のグレアム・グリーン、仏のジョルジュ・シムノン、それから英のエリック・アンブラー、この三人が特別に際立っている」江戸川乱歩はこう書いた。イスタンブールを訪れた英国人作家ラティマーは、秘密警察長官から、国際的犯罪者ディミトリオスが死んだことを聞かされる。だが、ディミトリオスの死体を眺めているうちに、ラティマーはこの男の謎につつまれた過去を洗ってみようという衝動にかられた。
  • シートン動物記1
    5.0
    シートン(1860~1946)は動物文学の作家として、アメリカが世界に誇る存在である。英国生まれだが彼が六歳のとき一家をあげてカナダに移住し、トロントの大学と、ロンドンのローヤル・アカデミーで教育を受けた。父の意向もあり、画家として身をたてたが、幼いときから大自然へ興味をもち、好きな野生動物の観察と研究に打ちこみ、ついにはその結果を文としてまとめるようになった。この動物記は、シートンの代表作を全4巻にまとめた決定版である。本巻には「狼王ロボ」、「銀の星」(烏)、「ぎざ耳小僧」(兎)、「街の吟遊詩人」(雀)、「スプリングフィールドの狐」、「怪物コウモリ」、「少年と大山猫」、「大灰色熊の伝記」の8編を収めた。動物たちへの愛情あふれる記述とともに、生きることの真の厳しさと、人間社会との深い関わりが浮き彫りになっている点が大きな特徴である。
  • 太陽がいっぱい
    -
    米国の貧乏青年トムはひょんなことから、富豪グリーンリーフに息子を連れ戻してほしいと頼まれ、礼金欲しさにイタリアへと旅立った。現地でトムが出会ったのは、金にも女にも恵まれた放蕩息子ディッキーだった。裕福で自由奔放なディッキーに羨望を抱くトムは、自分を下男同様にこき使うディッキーに殺意をも抱くようになる。そしてディッキーの許婚マージをも手に入れようと画策する。自分とディッキーの容貌が酷似しているのに気づいたことが、そのきっかけに……。サスペンスの巨匠ハイスミスの代表作。ルネ・クレマンの映画で有名になったが、原題は「才子リプリー」で、典型的なピカレスク・ロマンだ。
  • ニューヨーク・ブルース
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    サスペンス・スリラーの第一人者ウィリアム・アイリッシュの傑作の粋を集めた短編集の続編。本書には、表題作のほか「三時」「命あるかぎり」「特別配達」「ハミング・バード帰る」「送って行くよ、キャスリーン」など11編を収めてある。大都会のなかの人間の孤独と、しのびよる死の影……意表を突く技巧とバラエティに富むテーマに加えて、なによりも光る哀切な雰囲気描写と緊迫したサスペンス……読者の心をつかんで放さない。
  • 世界一周ツアー事件
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    一世を風靡したチャーリー・チャン・シリーズの代表作。平和な世界一周観光団の中に突如として殺人事件が発生する。アメリカ、デトロイトの自動車業者がまずロンドンのホテルで絞殺され、観光船がパリ、南仏、イタリアと移動するにつれて、船内の殺人鬼はつぎつぎに犠牲者を血祭りにあげる。事件は未解決のまま、やがてロンドン警視庁ダフ警部の手からハワイ警察のチャーリー・チャン警部にひきつがれる。中国のことわざや警句をときおり引用するチャン警部の推理は、英知の輝きをみせてついに難事件を解決する。
  • 見知らぬ乗客
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    ハイスミスの処女長編。若い建築家ガイは、妻と離婚するため故郷へ向かう列車の中でチャールス・ブルーノーと名乗る青年に出会う。彼は富豪の息子で、異常なまでに父を嫌っていた。それを打ち明けられたガイはふと、妻とのトラブルに悩んでいると話す。彼の妻ミリアムは、他人の子供を身ごもっていたのだ。ガイに同情したチャールスは、驚くべき計画を持ちかける。彼がガイの妻を殺すかわりに、ガイに自分の父を殺してくれと言うのである──異常な状況に置かれた人間たちの心理と行動を綿密に描き出した、心理小説、サスペンス小説の傑作。
  • 殺人者登場
    -
    探偵劇「鼠と海狸(ビーヴァ)」のクライマックスでは、ガードナーとライヴァルの俳優サーボネイジアが激しく言い争う。ガードナーは台本どおりにアーサーに拳銃を付きつけて発射した。だが、弾が込められていないはずの拳銃からは実弾が発射され、アーサーは即死した…新聞記者のナイゼルとアレン警部はガードナーから招待され、目の前でその事件を見たのだった。「マーシュ女史の作品はどの一場面を取り出しても脚色する必要もなくすぐにそのまま舞台で上演し、映画化することができる」これは有名な評論家ヘイクラフトの言葉だが、演劇通マーシュ女史ならではの機智に富んだ会話でスピーディに展開されていく本格推理長編。マーシュはクリスティ、セイヤーズ、アリンガムと並ぶ黄金期の四大女流作家のひとりである。
  • 従兄ポンス(上)
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    1~2巻770円 (税込)
    バルザックの小説集『人間喜劇』中の長編小説。主人公のポンスは名声を失った老音楽家で、同じ音楽家で親友のドイツ人シュムケとともに貧乏暮らしを送っていた。だが彼は骨董の目利きで、パリで一、二の収集品を隠し持っていた。もう一つの彼の道楽は美食だったが、こちらのほうは毎晩金持ちの親戚の食卓に顔を出すことで満たしていた。ある日、ひょっとしたことが原因でポンスはひどく侮辱され、死病の床に伏してしまう。それと同時に、ポンスの収集した骨董が莫大な財宝であることが明らかになる。それを機に、この遺産を手にしようと策謀うずまく人々の暗躍が始まる……パリを舞台に富裕な一族と貧しい従妹との間におこるドラマを描いた『従妹ベット』とならぶバルザック最晩年の傑作。
  • マンスフィールド・パーク(上)
    -
    作者オースティンの作品は、すべて田舎に住む紳士階級の適齢期の娘たちの身の振り方を中心とし、それを取り巻く田舎の小世界の人間関係を題材としている。本作の主人公ファニー・プライスをめぐる物語もまったく同じである。彼女は伯母の嫁ぎ先のバートラム准男爵家に引き取られる。きびしい伯母の監視の目があるなか、ファニーはバートラム家の2人の兄弟と2人の姉妹、そこに顔を出す親友知人らとのさまざまな関係のなか日々を送る。ファニーはいつしか次男エドマンドに恋心をいだくようになったが……オースティンならではの皮肉とユーモアが光る代表作のひとつ。その世界では、「金のために結婚するのは愚かなことながら、金なしで結婚するのは、なお愚かなこと」(ある批評家の言)なのである。
  • デヴィッド・コパフィールド(1)
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    ディケンズの自伝的要素あふれる代表作。デヴィッドが生まれた時、すでに父は死亡していた。大伯母は、女の子誕生を信じていたが、裏切られて家を出ていった。陽気な乳母ペゴティーはデヴィッドを兄の暮らすヤーマスへ連れてゆき、デヴィッドは好青年ハムや幼い恋心をおぼえたエミリーに出会う。母はマードストンと再婚する。マードストンとその姉はわがもの顔で家に居座り、母は心身衰えて死亡する。デヴィッドは寄宿学校に入れさせられるが、そこで二人の生涯の友を得る。怖いもの知らずのスティアフォースと愉快なトラッドルズだ。デヴィッドは学校をやめさせられ義父がロンドンで経営する商会に小僧に出される。デヴィッドは貧乏人ミコーバーのもとで暮らすが、やがてミコーバーは借金のため牢獄へ。デヴィッドは逃げ出して徒歩で大叔母の住むカンタベリーへ向かう。大伯母に保護されたデヴィッドは、その友人である弁護士ウィックフィールドのもとに寄宿し、その娘のアグネスと親しくなり、不気味な人物ユライア・ヒープに出会う。デヴィッドは地元の学校に通うようになる。
  • 時果つるところ
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    「超原爆」の副作用によってミドルタウンは未来へ吹き飛ばされ、数百万年先の寒冷化した地球に取り残された。人類はすでに地球を捨てて銀河系に広がり、恒星連盟を作り上げていたが、その連盟からの宇宙船が到着し、市民たちを「適切な惑星」に移住させようとする。が、ミドルタウンの市民たちはこれに抵抗する。彼らは連盟の方針に対抗して「特殊な核反応により惑星を内部から暖め直す」方法によって地球を再び居住可能な場所として復活させる。ハミルトンのシリアスものの代表作。
  • レスター・リースの冒険
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    弁護士ぺリー・メイスンで有名なガードナーの生み出した怪盗レスター・リースを主人公とする短編集。下男スカットルが用意した新聞の切り抜きを見て、リースは犯罪の真相を見破る。ただし、警官でもなく、「犯罪をなくすためには犯人を逮捕処罰するよりは、盗品を掠奪してやるのが一番よい」と考えているので、下男に注文しておいた何に使うかも分からないような品々を使って盗品を奪い取る。そして抜け目なく2割くらいの手数料をいただいて、残りは慈善事業に寄付する。上質のB級エンターテイメント6編を収録。
  • M・R・ジェイムズ怪談全集1
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    ジェイムズは近代イギリス怪奇小説の巨匠。ケンブリッジ大学教授としての研究生活のかたわら興のおもむくままに怪談を創作し、友人や学生たちに語り聞かせた。古物や古書をめぐる話題など、扱われている題材や時代は古いが、簡潔な描写と迅速な展開で文章はテンポがよく、歯切れがよい。この第1巻にはラヴクラフト絶賛の名編「マグナス伯爵」はじめ、動く絵の怪異を語る「銅版画」、ありえない部屋の話「十三号室」、庭園の迷路に潜む禁忌を描く「ハンフリーズ氏とその遺産」など、名編15編を収めた。
  • オッド・ジョン
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    発育不全児といえるジョンは、高等幾何学を解し、一般相対性原理を論ずる、おそるべき神童で、オッド(奇矯)とよばれた。それも不思議ではない。ジョンは、テレパシー、催眠術などの超能力をもつミュータント〈超人類〉だったのだ! 人間を劣等種属とみなす彼は、遠大な計画のもとに、仲間を結集して、独自の世界を建設しようと試みる。新しい人類によって地球を引き継ぐために! だが……ステープルドンの〈超人類〉テーマの傑作。
  • 私ひとりの部屋
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    「論文というより、エッセーに近く、エッセー小説風の描写スタイルで、それまで暖めてきたテーマが一気に噴出した、といった強い情熱がひしひしと伝わってくる作品ではあるけれども、そこは熟達した小説家らしく、具象的で、実際的であり、ふんだんに散りばめられた辛辣なジョークに思わず笑いも誘われる。従来の男性優位思考に対する、手厳しい皮肉と嘲笑と諷刺をからめた論詰が、とぼけた表現の随所に潜んでいるので、聞き手の若い女性たちはさぞ胸のすく思いをし、会場に笑いの渦を巻き起こしたに違いない」(エッセイスト高沢英子氏のことば)…講演をもとにしたウルフの女性論。
  • アンクル・アブナーの叡智
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    アンクル・アブナーはエドガー・アラン・ポーの生んだオーギュスト・デュパンに続いてアメリカが送り出した名探偵だ。彼が登場する作品は1911年から「サタデー・イブニング・ポスト」などに発表された。本書には、代表作「ドゥームドーフ殺人事件」「ナボテの葡萄園」のほか、18編を収めた。前者は古典的かつ独創的な密室トリックで知られ、後者は見事な最後の裁判のシーンがすべての作品の集大成となっている。当時の巡回裁判法廷の情景と民主主義確立途上のアメリカ人気質を生々と描き、正義を信じるアンクル・アブナーの面目躍如! 牧歌的な牧草地帯も好ましい背景になっている。
  • 判事への花束
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    アリンガムの作品には、現代の社会的背景が巧みに取り入れられているものが多いが、本作では、イギリスの出版社の内幕が詳細に描かれていて、特異なバックグラウンドをなしている。デリケートで、しかも鋭い性格描写、物質的な謎でなく性格にもとづく謎、老練な技巧による流動的な文章など、探偵小説として第一級のものであるばかりか立派な文学的価値をもつ傑作。『幽霊の死』に続くアリンガムの長編。
  • 幽霊の死
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    死後の忘却を憂慮した画家ラフカディオは12点の作品を未発表のまま残し、死後10年を経過した時から毎年1点ずつを公開するという遺志を残した。社交界の人々が集まるレセプション当日、殺人事件が起き、遺族の友人でもある探偵アルバート・キャンピオンが犯人究明に乗り出す。画家、批評家、画廊などをめぐる美術界の実状が詳しく描かれ、それだけでもおもしろく読める。アリンガムはセイヤーズ、クリスティとともに、イギリスの三大女流推理作家の一人に数えられる本格派の代表格である。
  • 若き日の芸術家の肖像
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    ジョイスの若き日を描いたとみられる自伝的要素の強い作品。主人公スティーヴン・ディーダラスが自分の周囲、肉親、恋人、友人、先生とたもとを分かち、アイルランドの郷土、民族、宗教、政治から決定的に訣別して、芸術に奉仕するコスモポリタンな人間として生きることを選び取るまでの息苦しい苦闘を描く青春文学の力作。この作品の中の多くの要素はすぐあとに続く「ユリシーズ」へと引き継がれた。
  • クロイドン発12時30分
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    倒叙ミステリーの代表的傑作。クロイドン発12時30分の旅客機の乗客アンドルー老人は、パリに到着したとき死んでいた。甥(おい)のチャールズが計画した完全犯罪だった。作者クロフツは犯人の目を通して、犯行の計画と遂行の過程を緻密に再現する。細緻な心理描写には、完全犯罪を妄信する浅はかさ、絶望的なまでの喪失感、次第に変化していく自己弁護が混じり、読者は思わず犯人の心の動きに一体化しているのを感じさせられる。
  • 百万に一つの偶然
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    スコットランド・ヤードの他の課が持て余した事件を引き受ける「迷宮課」の事件簿、第2弾! 恋人を奪った友人を殺した男があるが、殺しを目撃したのは友人の飼い犬だけだ。犬を始末しさえすれば完璧だった。死んだ犬が警察に通報さえしなければ……だがそんなことが起こったのだ。この表題作のほか、鮮やかな幕切れに終わる到叙ミステリー9編を収録。リアリティのある犯人のドラマ!
  • 明暗
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    1巻770円 (税込)
    漱石の死とともに未完に終ったこの作品は、文字通り漱石文学の総決算であり、近代日本文学の最高傑作のひとつである。客観的な態度で醜悪な人間性を過不足なく描破しながら、その背後に著者が意図したものは、「則天去私」という悟りの境地であった。
  • 時の娘
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    負傷入院中の経験豊かなロンドン警視庁の警部が、見舞客が持参したリチャード3世の肖像画を見たことから、英国人なら誰でも知っている王の残虐性に疑問をいだく。彼は若いアメリカ人を助手に使い、関係資料を吟味してその実像に迫る。そして明らかになったのは! 歴史の常識を覆す探偵小説として今もなお名作の名に恥じない傑作。
  • オペラ座の怪人
    -
    夜ごと華麗な舞台が繰り広げられる世紀末のパリのオペラ座。だが舞台の裏では大道具主任の首吊り死体が発見され、公演中の天井のシャンデリアが落下する惨事が起こり、おまけに主役の歌姫が舞台から忽然と消え去るという奇怪な事件があいつぐ。座中で最近うわさになっていた「幽霊」のしわざではないかと誰もが疑心暗鬼になった。だが果たして真相は? 愛する歌姫を追ってオペラ座の奈落の底へ分け入ったシャニイ子爵が出会ったのは、この世ならぬ哀切な愛の姿だった。数々の映画化、ミュージカル化で話題をさらったルルーの傑作長編。
  • マゼラン
    -
    私は大自然に対して最初に戦いをいどんだ、あの大航海時代の人々のことをもっとくわしく知りたいと思った。そのなかで、ただ一つだけがこの上なく私を感動させた。それは、世界探検史上、もっとも大規模な事業を果たしたと思われる男、すなわちフェルディナント・マゼランの偉業であった。彼は五隻のとるに足らぬ小帆船でセビーリャから出航し、全地球を一周した――おそらく人類史上もっともすばらしいオデュッセイアと言えるであろうが、堅い決意を抱いて出帆した265名の男たちのうち、わずか18名のみが朽ちはてた船に乗って故郷へ帰りついた。そこに彼の姿はなかったが、その船のマストには偉大な勝利の旗が高くかかげられていた。
  • 宇宙の深淵より
    -
    宇宙の高等生物と地球人類の接触をさまざまな視点から描いたユニークな傑作短篇集! 金星の密林を徘徊する、内気で迷信深い緑色人の話(『内気な虎』)、テレパシー能力を持つ高慢な火星人の物語(『人間やろう』)、美しい緑の惑星に罠を張って、人類を窮地におとしいれる小妖精の話(『虹の彼方』)、人類の絶滅し果てた地球に単身帰還した宇宙飛行士の感動的なドラマ『第二創世紀』など、傑作SF8編を収録!
  • サテュリコン
    -
    古代ローマのネロ帝時代、主人公エンコルピウスと友人のアスキュルトス、2人のあいだを往来する美少年の奴隷ギトンの3人が、地中海の港町を何かの罪の意識に追われながら彷徨する。これにさまざまの猥雑な人物、情景がからまり、頽廃のローマを垣間見させる物語。ただし現在残るのはごく一部である。第二部「トルマルキオの饗宴」は、当時のローマの風俗と淫蕩ぶりを描いて、なかでも有名。
  • 無関心な人びと
    -
    モラヴィア21才のときの処女作。出版と同時に、イタリア文壇未曾有といわれる反響を呼び、一般読者からも熱狂と興奮とで迎えられた。だが、この作品は、一部の顰蹙と反感をも買い、のちにカトリック教会によって禁書とされた。以下の紹介文がすべてを語る。「モラヴィアはスタンダールのごとく偏見がなく、観察鋭く、非感傷的・人間的であり、まとに貴重な現代作家の一人である」(ニューヨーク・タイムズ)、「非常に刺激的で、異常な本…モラヴィアはあらゆる可能性を秘めている作家だ」(ニューヨーカー)、「これほどの問題作はない…一読をおすすめする」(パリ・マッチ)
  • ムーン・プール
    -
    白い光に包まれて忽然と船上から消え失せた友人フロックの残した地図を頼りに、グッドウィン博士が到達した異世界は、百花が咲きみだれ、樹陰に荘大なパヴィリオンが建ち、貝殻のような奇妙な乗物が行き交い、緑の小人たちが闊歩する楽園にちかい地底の世界だった。だがそこは、南太平洋の先史遺跡、ナン・タウアッチの地底世界だった! そこは楽園とは程遠い暗黒の世界、光を駆使して築かれた世界であり、消えたスロックは、この世界を支配する絶対神「輝くもの」の生贄に供されたのだった。博士一行のひとり、オキーフがみめ麗わしい地底の美女に恋したとき、彼らには恐るべき危機が迫っていた。SF黎明期に君臨した幻想冒険作家の最大傑作とうたわれるファンタジー巨編!
  • 超生命ヴァイトン
    -
    スウェーデンの科学者ビヨルンセン教授が急死した。急性の心臓病と診断された。ついで、イギリスのガスリー博士が、舗道で友人と話している最中に倒れて死んだ。やはり心臓病だった。二つの怪死は謎だったが、カメラ会社の工場が大爆発を起こし、同工場のビーチ教授が写した、正体不明の奇怪な光球生物が浮かび上がることによって、これらすべては地球外生命による襲撃と判定された! 超生命ヴァイトンの挑戦に、人類は絶滅の危機にさらされる! エリック・フランク・ラッセルの代表傑作。
  • おびえる女
    -
    資産家の未亡人は、毎夜自室に侵入するコウモリ、雀、ネズミにおびえていた。フラー警部の頼みで未亡人の部屋番となった敏腕看護婦ヒルダは、砒素を盛られたと主張する老婦人の奇妙な生活習慣に目をみはる。その背後には無職の長男夫婦、離婚した長女とその前夫、二人の娘ジャニス、召使い、お抱え医師などが織りなす複雑な人間模様があった。こうしたなかで老夫人が殺害され、ついでヒルダの監視の眼をくぐって次の殺人が…
  • 武家の生活
    -
    天保に生まれ昭和まで生きた、唯一の大名生活経験者、もと広島藩主の浅野長勲(ながこと)侯の貴重な聞書きにはじまり、武士道にたいする独自の見解を示した「武士道についての話」、大名気質を探った「殿様の研究」、大名の経済問題を探った「お大名の蔵入り」、さらには「武家の暮し向き」「御家人生活を説明する古着屋」など、興味深い十六編を収録した独自の「武家生活事典的」論考。
  • 悪霊(上)
    -
    巻頭に、悪霊にとりつかれた豚の群れが湖に飛びこんで次々におぼれ死んだという聖書の引用を置いた本書は、無神論的革命思想を中心に、さまざまな「悪霊」が破滅へと沈んでいくさまを壮大な構想で書き上げた作品。作者はこの作品について、「主人公は一生のあいだに無神論者、信者、狂信家、または異端者に、そしてまた無神論者になっている」と述べたが、知力・体力ともに傑出した悪魔的な超人スタヴローギンは、次々と友人を巻き込みながら「破滅への道」をひた走る。「悪霊」は欧米版では「憑かれた人々」というタイトルになっている。

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  • すばらしい新世界
    -
    試験管内受精プラス「ボカノフスキー処理」によるガンマー、デルタ、イプシロン階級の創出、すべての階級に向けての厳密な条件反射学習と睡眠学習による行動と思考の動機づけ、家庭・一夫一婦制の廃止にともなう完全なフリーセックスの実現……その究極の目的は「共有・同一・安定」をモットーとする社会の建設であり、それはフォード紀元元年に開始された! SF史上に燦然と輝く古典であり、奇想と機知を縦横に駆使して描かれた「暗いユートピア」は、笑ってしまえる喜劇的未来記でもある。

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  • トリフィドの日
    4.3
    緑色の流星雨という珍しい天体ショーに見とれた人々は、みな盲目となった。そのとき有用植物トリフィドの栽培場で働いていたビルは、たまたまトリフィドの毒を持った鞭で目をやられて入院中で、眼帯をかけていたため、盲目をまぬがれた。盲目の人でいっぱいの大都市ロンドン! 追い討ちをかけるように、得体の知れない疫病が発生し、3本足で歩行するトリフィドが次々と脱走して人間を襲いはじめる……イギリスの鬼才SF作家によって1951年に書かれた破滅テーマの傑作SF。

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  • 告白(上)
    -
    著者はキリスト教神学の集大成をなしとげた初期キリスト教会の教父。「神を賛美する」とも題されるこの書は、みずからがたどったキリスト教信仰への道のりを、隠すことなく率直に述べた稀有な自叙伝。幼年時代に学業をさぼったこと、青年期の女への執着と放縦な生活との葛藤、キケロの著作によって目をひらかれ、アンブロシウスの説教に心を動かされ、キリスト教に目覚めてマニ教から足を洗ったこと をつぶさに記し、最後には永遠の休息を神に希求して神への賛美を高らかにうたう。

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  • ドアは語る
    -
    錆びた真鍮(しんちゅう)のノブが付いたペンキ塗りの木製ドアが見ていた殺人犯の姿! 巧みに組み立てられた計画が、最後にドアひとつのために粉砕されようとは。事件後すでに何ヶ月も過ぎて、無数の手がノブに触れた。ドアのペンキも塗り直してあった…だが。

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  • 試行錯誤
    -
    「ロンドン・レヴュー」誌の寄稿家トッドハンターは、大動脈瘤であと数か月の寿命と宣告された。彼は熟考のすえ、余命の残るあいだに「有益な殺人を犯そう」という結論に達する。めざす人物はすぐに見つかった。それは「吸血鬼」とよんでもいいような酷薄非情な女だった。ファローウェイ一家はその犠牲となってあえいでいた。彼は拳銃を忍ばせて夕闇のなか女の家を訪れ、椅子にすわる女めがけて発砲した…「殺意」とならぶバークレーの代表作。

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  • 七面鳥殺人事件
    -
    ビンゴとハンサムは、ピカピカの車で、意気揚々とハリウッドをめざしていた。だが途中の田舎町で、二人は道路に飛び出してきた七面鳥を轢き殺してしまう。この突発事故で、二人はとんでもない殺人事件にで巻き込まれてしまう…脱走犯、狂った美女、兇暴な七面鳥などが入りまじって、奇想天外の大騒動! クレイグ・ライスの真骨頂。

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  • アーサー王宮廷のヤンキー
    -
    そもそもの発端は喧嘩っぱやいヤンキーが頭にくらったバールの一撃だった。世界がパッと暗くなり、再び正気にかえってみると、なんと時は伝説のアーサー王の時代。騎乗の騎士たちや、すそをひきずる女たちの中で背広姿が目立たぬはずはない。たちまち囚われの身となり死刑の宣告! しかし彼は進んだ知識を身につけた近代人。突然まよいこんだ中世で科学を駆使し、アーサー王と円卓騎士団をけむにまくヤンキーの活躍やいかに? マーク・トウェインがSF的発想で描くユーモアあふれる異色作。

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  • ビルマの日々
    -
    オーウェルはイートン校を卒業後、19歳で警察官となり、当時英国の植民地だったビルマに赴任、各地で5年間の駐在生活を経験した。本書はそれを元に、帰国してから7年後の1934年に書かれた長編処女作。沸騰する現地の反帝国主義感情、原地民を毛嫌いする英国人たちのなかにあって、チーク材会社に勤める英国人主人公フローリーは揺れ動く気持ちのままに墓穴を掘っていく。

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  • 徳川幕閣盛衰記(上)―野望の下馬将軍
    -
    三代将軍家光の遺志をついで幼少の四代将軍を補佐する忠臣幕閣たち、下馬(げば)将軍と称され強権を振るった酒井忠清(ただきよ)、これに対抗して五代綱吉を盛り立てた堀田正俊(まさとし)……だが、本書は権力闘争のみを記したものではない。この巻にかぎっても、由比正雪の乱や、「振袖火事」など同時代の大きな出来事が詳しく描かれ、江戸時代の全体を俯瞰する好個の読み物となっている。笹沢左保の語りが冴える。

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  • マルーシの巨像
    -
    1931年、ミラーは友人ローレンス・ダレルの招きをうけてギリシアを訪れた。アクロポリスの丘やアガメムノンの墓をめぐるうち、輝く太陽とそこに生きる原型的な男女に深い感銘をうけ、そして成ったのがこの作品である。これは紀行文ではない何か大きなものをもった作品である。ミラーの代表作のひとつ。

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  • あめりか物語
    -
    1巻770円 (税込)
    この作品は1903~07年(明治36~40年)の4年間、荷風が渡米したときの旅行記ともいえる短編集。そこに移民として、あるいは会社員、留学生として暮らした日本人を中心として、当時のアメリカ社会の一断面が、鮮やかに描きだされている。明治41年、発表と同時に大きな話題となり、荷風の名を有名にした処女作。「ふらんす物語」と姉妹編をなす。「ただ行かんがために行かんとするものこそ、真個(まこと)の旅人なれ。心は気球の如くに軽く、身は悪運の手より逃れ得ず……」このボードレールの詩が巻頭を飾っている。

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  • 黄金のロバ
    -
    原題は「変身譚」で、魔法によってロバにされてしまった若者ルキウスの遍歴を描く。ロバのルキウスはつぎつぎと競売にかけられて飼い主の変わるなか、あちこちと連れまわされ、何度も命を脅かされながら当時の世態を目の当たりにする。バラの花を食べて、ぶじに人間の姿にもどれるのは、はたしていつの日か? ルネサンス時代に再発見されて以来、愛読されてきた、風刺のきいたファンタジー。

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  • 一九八四年
    4.0
    1984年、世界は三つの超大国に分割されていた。その一つ、オセアニア国では「偉大な兄弟(ビッグ・ブラザー)」に指導される政府が全体主義体制を確立し、思想や言語からセックスにいたるまで、すべてを完全な管理下に置いていた。この非人間的な体制に反発した真理省記録局の役人ウィンストンは、美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、思想警察の厳重な監視をかいくぐり、禁止されていた日記を密かにつけはじめる……個人の自由と人間の尊厳の問題を鋭くえぐる二十世紀文学の最高傑作のひとつ。辛らつなSFであり、最高のホラー小説でもある。

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  • 死体を探せ
    -
    海辺を散策していた推理作家ハリエット・ヴェーンは、遠望する岩礁のうえに動かない人物を発見した。それは喉を剃刀で切られた男の死体だった。だが、浜辺には男のものと見られるひとすじの足跡しかなかった。やがて死体は満ちてきた潮に流されて行方不明になる。……錯綜する謎また謎。ウィムジー卿はこの難事件を解けるのか? シリーズ屈指の重厚な長編。

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  • 福翁自伝
    -
    幕末から明治への激動期に生き、しかも徹頭徹尾、市井の人の姿勢を貫いた希有な指導者・思想家の福沢諭吉が、往時を回顧して語りつくしたおもしろさナンバーワンの自伝。

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  • 大地 第一部
    5.0
    清朝末期から中華民国成立までの動乱の時代を背景に、貧農出の王一家の父子三代にわたる変遷をたどる家族物語。1931年、「大地」は出版と同時にベストセラーとなりピューリッツァー賞を受賞、各国語に訳された。 貧しい農夫、王龍(ワンルン)と阿藍(オーラン)一家の暮らしにようやく明るさが訪れようとしたとき、飢饉が襲う。二人はやむなく町へ出、それぞれ車夫と乞食になって糊口をしのぐ。そのうちに二人は、折からの暴動の勃発によって思いがけぬ大金を手にする。一家は再び故郷に帰り、没落した地主から土地を買い入れる。さいわい引き続く豊作にめぐまれて王龍は大地主にまでなるが、余裕ができると女遊びに走り、ついには妾を家に入れる。阿藍はただ黙々と働きつづける。子供たちは大きくなり、一家の暮らしはしだいに変容し、やがて二人にも死が。

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  • ヴァレロンのスカイラーク
    4.0
    恒星間宇宙の無限の果てを驀進する宇宙船ヴァイオレット号――そこに搭乗する二人の地球人と一人のフェナクローン人。彼らはフェナクローンの超弩級艦を一隻拿捕し、天才青年科学者シートンを葬り去って、地球上に独裁国家を建設しようと、恐るべき計略を企んでいた。一方、シートンの乗るスカイラーク3号は広大な宇宙空間で、絶体絶命の危機に陥っていた。そこから脱出するため、シートンは四次元の世界へ転移したのだが……。宇宙の果てで繰り広げられるスリルとサスペンスに満ちたスペースオペラ最大の傑作。

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  • スカイラーク3
    -
    デュケーンは執拗に未知の金属Xを奪おうとするが、その企みはすべて失敗、恐るべき目的を胸に秘めて宇宙に飛び出していった。その頃、オスノーム惑星の皇太子夫妻が地球を訪れる。オスノームは第14太陽の第3惑星の侵攻をうけて、破滅寸前にあるという。シートンは最新の《スカイラーク2》を駆って、救援に向かう。だがそこには全銀河系文明の壊滅をはかる、凶悪な宇宙の敵が待ち受けていた!

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  • 三惑星連合軍
    -
    消えたアトランティス大陸、ローマ帝国の滅亡、二度の世界大戦の勃発、その後の水爆戦争も、すべては宇宙を支配する二大勢力アリシア人とエッドール人の戦いが地球におよんだ結果だった。しかし地球上には将来、レンズマンとなって銀河パトロール隊を組織するキニスン家の血統が絶えることなくつづいていたのである。全巻を俯瞰するレンズマン前史!

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  • ファースト・レンズマン
    -
    時をさかのぼって銀河パトロール隊創成期の危機を描くシリーズ第5弾! 太陽系評議員バージル・サムスと銀河パトロール隊司令長官ロデリック・キニスンは当初、銀河パトロール隊の創設に尽力する。サムスは謎の惑星アリシアへおもむき、神秘な力をもつレンズを贈られて史上初のレンズマンとなった。だが、麻薬組織を背後にあやつる北米のボス、モーガンは大統領選に勝って銀河パトロール隊を手中にしようと狙っていた……

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  • レンズの子ら
    -
    キニスンとクラリッサのあいだには1人の息子と4人の娘が生まれ、20年が過ぎた。このとき、惑星大統領の誘拐、「宇宙の地獄穴」など、不穏・不気味な現象が頻発するようになった。キニスンと第二段階レンズマンでさえ手を焼く、ボスコニアの最高種族エッドール人の反撃であった。特別な教育を受けた「レンズの子ら」は死闘を開始する!

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  • 第二段階レンズマン
    -
    グレー・レンズマン、キニスンは、銀河文明の敵ボスコーンの本拠、惑星ジャーヌボンを撃滅したが、意外にも敵は超空間チューブを通じて、地球に大攻撃をかけてきた。宇宙海賊の根拠地を必死に探索するキニスンは、ついに奇妙な女家長制種族が支配する惑星で有力な手がかりをつかんだ。第二段階レンズマンに成長したキニスンは、第二銀河系の奥へと潜入をはかる。

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  • グレー・レンズマン
    -
    キニスンの決死的活躍によって、宇宙海賊ボスコーンの首領ヘルマスの基地はついに陥落した。だが、ヘルマスの身辺にあった謎の球体エネルギーから、キニスンはヘルマスよりもさら上部にある機関を予想し、その所在の確認に乗り出す。目標は「第二銀河系ランドマーク星雲」……宿命の対決のとき迫る!

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  • 銀河パトロール隊
    -
    銀河文明の擁護者であり大宇宙の警察である銀河パトロール隊の精鋭「レンズマン」。彼らは超高速無慣性飛行を駆使して、強敵宇宙海賊ボスコーンを捜し、銀河系から銀河系へと移動する。隊長は、英雄キニスン中尉! ボスコーンとは人間なのか、異生物なのか。海賊を追うレンズマンのまえに、デルゴン惑星の怪獣、車輪人間が立ちふさがる。レンズマン危うし!

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  • 里見八犬伝 巻1
    -
    ときは戦国。安房国(千葉県)を領する里見義実《よしざね》は安西景連《かげつら》に攻められる苦戦のなかで、たわむれに犬の八房《やつふさ》に向かい、「景連の首をとってくれば娘の伏姫《ふせひめ》を与えよう」といった。この冗談が現実となったばかりか、八房はほんとうに伏姫を欲しがる。伏姫は犬を殺そうとする父を制して、八房と一緒に出奔する。二年後、義実は娘の救出にむかい、犬と一緒にあやまって娘をも銃で撃ってしまう。伏姫は死ぬまぎわに妊娠していることを告げるが、けっして八房に身を汚されたことはないと誓い、身の潔白のあかしに切腹する…と、白煙があがり、伏姫の「仁・義・礼・智・信・忠・孝・悌」の八字を彫った数珠が天空にのぼって光を放って飛び散った。その後、各地に八つの玉のそれぞれ一つを持った八人の犬士が生まれる。本巻には「仁の巻」と「義の巻」を収める。早くも四人の珠の所有者があきらかになる。

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  • 明治開化 安吾捕物帖(上)
    -
    開化期の興味津々の世情・風俗をバックにした異色連作ミステリー。ホームズ役は旗本の末孫で洋行がえりのハイカラ男、結城新十郎、これに、右隣で町道場をひらき巡査に剣術を教えている泉山虎之助、左隣に住む人気戯作者、花廼屋因果(はなのやいんが)がからむ。そしてきわめつきは当時氷川(ひかわ)に隠居暮らしをおくる勝海舟。虎之助が難事件のはなしを勝に報告すると、勝は独自の見解を披瀝して事件を推理する。しかし、最後に事件のなぞを解くのは新十郎である。本巻には「舞踏会殺人事件」から「冷笑鬼」まで10編を収録。

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  • 千夜一夜物語 巻1の1
    -
    「アラビアン・ナイト」の無削除完全版として有名なバートン版を、大場正史氏の生涯をかけた翻訳で贈る。「アリババ」や「アラジン」や「シンドバッド」は誰でも知っているが、本来の「千夜一夜物語」はそれだけのものではまったくない。女性に対する不信から、夜ごと一夜妻を殺し続けるシャーリヤル王。その夜伽《よとぎ》に選ばれた才女シャーラザットは、「明日の晩はもっと面白い話があります」「こんな話もあります」といって一夜ずつ身の破滅をのがれる。話の内容は千変万化、ファンタジーあり、恋愛譚あり、悲喜劇あり、人情話あり、猥談あり

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  • ある詩人への挽歌
    -
    舞台は寒風吹きすさぶスコットランドの人里はなれたエルカニー城。そこの当主で異常な吝嗇家ラナルド・ガスリーが、クリスマスの朝に胸壁から墜死しているのが発見される。ガスリーはかなり前から死に瀕した詩人ウィリアム・ダンバーの「詩人への挽歌」を憑かれたように口ずさんでいるところを目撃され、近くの村ではもっぱら気がふれたという噂が流れていた……全体を圧倒するゴシック・ロマンの雰囲気のなかに展開する謎につぐ謎、そしてどんでん返し。いち早く江戸川乱歩が第一級の名作として紹介しながら、翻訳されなかった古典ミステリ期の代表作。最初の一章は少し堅苦しいが、その後、テンポは軽快になり、クライマックスまで一挙に読ませる。

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  • ゴリオ爺さん
    -
    パリのうらぶれた一画にある、うらぶれた下宿屋ヴォーケル館にうごめく人たち。自分はしみったれた暮らしを送りながら、嫁いだ二人の娘の言うままになって全財産をつぎこむゴリオ、いつの日か、社交界に打って出るか、学位をとって出世しようと、野望をたくましくする田舎出の青年ラスティニャック、反社会的な言辞をろうする得体の知れない四十がらみの大男ヴォートラン……徹底したエゴと妄執を描くバルザックの「人間喜劇」の代表作のひとつ。

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  • 森の生活(ウォールデン)
    -
    ソローはマサチューセッツ州生まれ。ハーヴァード大卒業後、小学校の教師。ついでエマソンに私淑し、徹底した個人主義の実践としてウォールデンの池のほとりで2年間にわたって独居生活を試みた。本書はその報告であり、自然とともに生きることの意味を新たに問いかける。正式なタイトルは「ウォールデン…森の生活」という。

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  • ガラス玉演戯(上)
    -
    精神的なユートピア「カスターリエン」にあこがれ、その指導者となる運命に導かれるクネヒトの伝記というかたちをとって、戦争と雑文文化の20世紀に対する文明批判を盛りこんだ未来小説。だが、「ガラス玉演戯名人」という最高位に昇りつめたクネヒトは最後に、現実遊離の精神性だけの生活に疑問をいだき、現実の世界のなかでの「教師」という奉仕の道を選びとる。……作家ヘッセの最後の長編。

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  • ベルリン空輸回廊
    -
    第二次世界大戦後の東西冷戦の緊張がたかまるなかで、ソ連は米英仏の管理下にある西ベルリンを封鎖した。ベルリンそのものはソ連支配下のドイツ東部に位置していたため、西ベルリンは陸の孤島となった。200万にものぼる西ベルリン市民を救うため、西側諸国は空前絶後の大規模空輸作戦を開始する。第二次大戦の英雄フレイザーは低燃費エンジンを開発して空輸事業に参入し、一攫千金を狙おうとするが…

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  • アンナ・カレーニナ(上)
    -
    モスクワのオブロンスキー公爵家では、夫のステパンの不倫を知って、妻のドリーがいっしょに暮らせないと言い出す。ステパンはペテルプルグにいる妹のアンナに助けを求める。同じころ、ステパンの親友で田舎暮らしのレーヴィンが、ドリーの妹キティーに求婚しようとモスクワにやってくる。しかし、キティーには意中の人、ウロンスキー伯という美貌の青年士官があった。そのウロンスキーは母を迎えに出た駅で、ペテルブルグからやってきたアンナ夫人と出会う。アンナの到来で、オブロンスキー夫妻の仲はまるくおさまる。ペテルブルグに帰る前日の舞踏会でアンナはふたたびウロンスキーに会い、二人は楽しげに踊る…これがアンナの破滅への序章だった。文豪トルストイが心血を注いで完成させた名作。

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  • モンテ・クリスト伯(1)
    5.0
    青年エドモン・ダンテスは「ファラオン号」の次期船長の有力候補として、希望に胸ふくらましてマルセーユに帰港する。そこにはフィアンセが首を長くして彼の帰りを待っていた。だが、足取りも軽く父親とフィアンセのところへと急ぐダンテスの背後には、「ファラオン号」の会計士ダングラールの食い入るような憎悪のまなざしがあった。…ダンテスが知らずして託された手紙が陰謀の引き金をひく。ダンテスは無実の罪を着せられ、死の牢獄「シャトー・ディフ」に幽閉される。囚人三十四号としての十四年の獄中生活! だがダンテスはついにチャンスをとらえて脱獄する。まず知りたいのはフィアンセのこと、父のことだ。せめて獄中で知り合ったファリア神父から聞いたスパダの秘宝を手に入れることができれば…雄大な構想で展開する波瀾万丈の物語。 全5巻。
  • 死せる魂
    -
    ロシアのN市にあらわれた男は招待を受けた紳士のもとを順に訪れ、「死んだ農奴を売ってくれ」と申し出る…いったい何のため…巨大なロシア文学の森の出発点となった記念碑的作品。全体は良質なミステリーでもある。

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  • 白痴(上)
    -
    霧ふかいある冬の朝、ペテルブルグの終着駅へと、列車が疲れきったかっこうで物語を運んでくる。三等車の座席に三人の男がいる。色あせた包み一つをかかえてスイスから帰国途中のムィシキン公爵と、熱病やみの男で、着のみ着のままでプスコフからわが家へ帰るラゴージン、そして、赤鼻、吹き出物だらけで、何のために列車に乗っているのか見当もつかぬ、抜け目のないレーベジェフだ。列車の到着後、その日のうちに主人公はほとんどすべての登場人物と会う。…純真な子供のような眼をもつムィシキンを、ひとは「白痴」よばわりする。だが公爵は常にその曇りのない大きな空色の眼に微笑をたたえているのである。……「しんじつ美しい人物を描こうとした人は常に失敗しています。なぜなら、それは量り知れぬほど大きな仕事だからです」ドストエフスキーのこの決意が結実した傑作。

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  • 神風特別攻撃隊
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    ミッドウェー海戦で4隻の空母を失い、じり貧となった日本艦隊機動部隊は、決死のマリアナ沖海戦で壊滅的打撃をうけて、実質的に「機動力」を完全に失った。太平洋戦域は徐々に後退し、フィリピンが南方の石油供給確保のための最後の砦となった。制空権を完全に奪われ、残存航空機も少なくなった日本軍には、米空母を主目標にした航空機による「体当たり攻撃」という選択肢しか残されていなかった。こうして結成されたのが「神風(しんぷう)隊」、すなわち神風特別攻撃隊であった。本書はこの作戦に最初からかかわり、多くの若者を「雲流るる果て」に送り出した指導者2人がつぶさに語る痛哭と鎮魂の戦記であり、各国語に翻訳されて大きな反響をよんだ。

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  • 神州纐纈城
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    1巻770円 (税込)
    武田信玄のお気に入りの家臣土屋庄三郎は、ふらりと思い立った夜桜見物で、老人から声をかけられ、見事な深紅の布を売りつけられた。これは、古く中国で人血で染められたという纐纈布だった! だがこの紅巾には、今は行方知れずの庄三郎の父の名が浮いて見え、ひらひらと飛ぶ紅巾に操られて、庄三郎はいつしか富士山麓をさまよっていた。そこには、仮面の城主が君臨する纐纈城があり、神秘的な宗教団、不思議な女能面作り師が隠れ棲み、毎日人を斬らずにはすまない陶器師がうろつき、まさに魑魅魍魎の跋扈する魔界だった。怪異と妖美の世界をめくるめく筆致で描いた、不滅の伝奇文学。

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  • アラゴン詩集
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    アラゴンはフランスの詩人・小説家。パリ大学医学部卒。第1次大戦後のダダイスム・シュルレアリスム運動の推進者であったが、モロッコの植民地独立運動弾圧に反対して共産党に入党。第2次大戦中はレジスタンス運動に加わった。この詩集は多彩なアラゴンの詩を時代を追って集めてある。巻末には訳者による詳細な解説を付した。
  • ヴェルレーヌ詩集
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    ヴェルレーヌは、マラルメ・ランボーらとともにフランス象徴主義の代表的詩人だ。終生飲酒・遊蕩の悪癖に悩まされ、貧窮のうちに施療病院で死んだ。妻を捨ててのランボーとの同性愛事件は有名で、ピストルでランボーを傷つけ2年間の獄中生活を送った。その詩は日本でも古くから紹介され、上田敏の「海潮音」をはじめ、永井荷風や鈴木信太郎らの訳詩によって親しまれた。
  • 天路歴程
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    「破滅の町」に住むクリスチャン(キリスト者)という男が、「虚栄の市」や破壊者アポルオンとの死闘など様々な困難をくぐり抜けて、最後に「天の都」にたどり着くまでの旅の記録の体裁をとった寓意物語。「この世より来たるべき世への巡礼の旅」が正式なタイトルだ。キリスト者が人生において経験する葛藤や苦難、そして理想的なキリスト者の姿へと近づいていく過程を描き、プロテスタント世界で最も多く読まれた宗教書である。
  • ソーンダイク博士の事件簿1
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    フリーマンは、ソーンダイク博士を主人公とした推理小説で人気を博した。倒叙推理小説の創始者として有名だが、他にも多くのソーンダイクものがあり、それらの中から短編を選りすぐって2巻にまとめたのが本書だ。なお、倒叙形式の作品だけ5編を集めた短編集「歌う白骨」全訳は、このタイトルのまま弊社から刊行されている。その最初の作品「オスカー・ブロズキー事件」を除く4編は、本書1にも重複して収められている。「ソーンダイク博士が、頭のはたらきのにぶいワトスン役のジャーヴィス医師にともなわれて、庭を散歩するようにロンドン中を歩きまわるすばらしい描写」については、レイモンド・チャンドラーがとくに指摘している。

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