吉田誠一の一覧
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ユーザーレビュー
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タイムスリップSF+冒険活劇+ミステリ。
冒頭から悪魔と契約して、さっさと過去へ飛び出します。悪魔はおしゃべりな案外紳士風です…
過去で乗り移ったニック卿。その妻リディアは、なぜ殺されたのか?どうやって殺されたのか?がメインに置かれ物語は進む。フーダニットにハウダニットは、それなりにインパクトはあ
...続きを読むる。だが、この作品の魅力は、そんなところではない。
フェントンが我を忘れ怒ったとき、乗り移った先のニック卿が10分間蘇る。この設定が実にハマっている、全編とおして、ストーリーの盛り上げに買っているのだ。
ミステリの弱さなど、気にならない。
暴漢退治、執事との組手、夜間襲撃、ロンドン塔での決闘。手に汗握る戦いの数々。
17世紀の風俗、貴族の立ち振る舞い、召使たちとの絆、裏切り、報復、激情的なロマンス…小説の楽しみが贅沢に詰まっている。
主人公フェントンの人間性、正義の推進力、実に知性に溢れる発言(独り言が多い)、尊敬に値する教授である。
なにからなにまで設定が生かされた大傑作で、感動的なシーンが盛りだくさん。必読の作品です。
Posted by ブクログ
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一篇はたった5~6頁ほどですが巨匠ブラッドベリの手に掛かれば彩り豊かな宝石箱のような様相を見せます。22篇が収められた短編集は全体的に明るい作品が多め。そして日本語訳の表現も素晴らしい。もっと注目されてほしい一冊。
『穏やかな一日』
とある画家の絵画に想いを馳せるひとりの男性。バカンス先で起こった
...続きを読む奇跡の出会い。一瞬で湧き上がる興奮とその余韻すら楽しめる心躍る一篇。
『メランコリイの妙薬』
娘に舞い込んだ謎の病。この病ばかりは両親にこそ分かり得ない。
『すばらしき白服』
仕事も金もない男たちが“共有”した一着の白服を巡るてんわやんわの大騒動。純白のバニラ・アイスクリームのような、八月の月のような…白服の様々な表現が秀逸です。男たちの賑やかなやり取りを経た先にあるちょっぴり切ない、でも心に響くラストは幸せな気持ちになりました。この短編集のなかで一番好き。
『熱にうかされて』
僕の体が侵されていく…。前作と風合いは一変、ホラー調。
『誰も降りなかった町』
田舎町のプラットホームに降り立ったひとりの男性。緊迫の対峙に背中がひやりとする。
『金色の目』
崩壊の危機迫る地球を脱出し、火星へと移住したとある家族。地球から運んだ動植物、そして人間すらも少しずつ火星に“適応”し始める。新しい文化。新しい生き方。
『旅立つ時』
死にゆくために家を出ようとする気弱な老夫と、それをぎゃんぎゃんと止める気丈な老妻。相性の良い夫婦。
『すべての夏をこの一日に』
太陽はこの日、7年振りに1時間だけ姿を見せる。子供たちの純粋な残酷さ。美しいタイトルに反し心が締め付けられる…。
『贈りもの』
地球をあとにしたロケットの中でクリスマスを迎える家族。ツリーを、プレゼントを心待ちにしている息子にどう喜んでもらおうか画策した両親のひと工夫。
『たそがれの浜辺』
変わり映えのない毎日に海からやってきた不思議な生き物。あなたならどうする?
Posted by ブクログ
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カーの歴史ミステリの中、いやカー全作品の中においても屈指の面白さを誇るのが本作。私的カーベスト5、いやベスト3に入る作品と断言しよう。
本書では『火よ燃えろ!』同様、現代の人間がタイムスリップして中世に行き、その時代の事件を解決するという手法が採られている。しかし、作品が書かれた年代から云えばこちら
...続きを読むが先なので、逆に『火よ燃えろ!』が同様の趣向を取り入れたと云えよう。しかし本書のタイムスリップの仕方は一風変わってて、なんと主人公を務める歴史学者は300年前の殺人事件を調べるために悪魔と契約して、自身の魂と引換えに1675年のロンドンに送ってもらうのだ。悪魔と契約というところで、非常に読者を選ぶと思うが、これを深く考えず、単なる物語の設定と寛容に捉えていただければ、後は目くるめく物語世界が眼前に広がることになる。
歴史学者ニコラス・フェントンは300年前に自分の家の近くで殺人事件があったことを知り、そのときの家主が同姓同名の人物であること、当時の事件の詳細を記した文書が秘書ガイルズ・コリンズによって書かれていたが、抜けがあり犯人が解らなくなっていることに好奇心を書き立てられたニコラスは悪魔に魂を売り渡し、当時のロンドンへタイムスリップする。
ニコラスはニコラス・フェントン卿になりすまして毒殺された妻リディアの治療に専念する。その甲斐あって、リディアは回復し、そして犯人であった女中を追い払うことに成功する。しかしリディアが死ぬ6月10日にはまだ日があり、しかも悪魔の話では歴史は変えられぬという。そんな中、ニコラスは国を揺るがす陰謀に巻き込まれていく。果たしてリディアの命は救えるのか、そしてニコラスは窮地を見事に脱することが出来るのか。
数多くの密室トリック物はじめ不可能犯罪を取り扱ってきたカーはその作品性からトリック重視の作者と捉えられがちだが、実は物語作家としても定評がある。ただカーの場合はトリックを成立するために人物を配置させたような意図が見えてしまうのと、過剰なまでのサービス精神でドタバタ喜劇を展開してしまい、その濃度の高さから好き嫌いが分かれてしまっているのは認めざるを得ないだろう。しかし本書は歴史ミステリということでフェル博士シリーズ、HM卿シリーズとは趣を変え、不可能趣味よりも娯楽小説としての側面を前面に押し出しており、なおかつサプライズもあるというカーにしては稀有なまでの出来栄えとなっている。
『火よ燃えろ!』では過去に戻ることでの読者への先入観を利用した錯誤をトリックにしており、歴史ミステリである必然性があったが、本書も同様に現代の人物が過去にタイムスリップすることが最後のサプライズに大きく寄与している。あまり詳しく書くと未読の方にヒントを与えてしまいがちになるので、この辺で止めておくが、策士としてのカーの側面が活かされた内容だ。
そしてそれに加え、本作では物語自体が非常に芳醇である。タイムスリップしたニコラス、つまりニコラス・フェントン卿を取り巻く人物達と築かれていく信頼関係、特に日増しに募るニコラスのリディアへの思いなどロマンスの要素もさることながら、特に本書では剣戟場面が迫力満点で、単なる比喩でなく手に汗握ること間違いない。カーの筆も乗りに乗っていることは行間から明らかに窺え、数あるカー作品の中で最も躍動感に満ちたシーンといえよう。興奮冷めやらぬ体で読み終えた私は物語が終ることを惜しく思ったくらいである。
本書を手に入れたきっかけは当時山口雅也氏が早川書房の企画で作家お勧めの1冊かなにかで本書を取り上げたことから当時絶版だった本書が復刊されたことによる。この企画で山口氏が取り上げなければもしかしたら未だに手に入らなかったかもしれない。こんな傑作が絶版になっていることこそ出版社の怠惰だと思うが、それを発掘し、世に知らしめてくれた山口氏に感謝したいと思う。
Posted by ブクログ
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火竜(dragon )なんか、詩的に描写を重ねて世界と心情を作り上げていて、さすがレイブラッドベリだなーと思ったら、その描写自体をオチにするという、割と性格悪い話
だけど、詩的な表現は一級。憎い
綺麗な悪女、という本
あと、ブラッドベリにとって火星とはなんなんだろう。はっきり意味があるのは間違い
...続きを読むないがわからない
白い服は秀逸。テンション高い
Posted by ブクログ
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現代人が過去にタイプスリップする歴史ミステリです。
毒殺されるはずの貴婦人を助ける為、悪魔と契約して過去にタイムスリップしたフェントン教授が奮闘します。
特殊な設定を上手く活かした良く出来た大掛かりな作品だと思います。
歴史的事実を上手く取り込んだストーリーや心に残るエピソード、そして、迫力満点の活
...続きを読む劇等と見所は多々あります。
ミステリを含んだ冒険ロマンスものです。
Posted by ブクログ
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