すべての高評価レビュー
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Posted by ブクログ
10年以上ぶりの再読。二作品とも難しかった。長ったらしく、理解できなかったところも多い。それでも、今回の読書で確かに受け取ったものがあった。
『惜別』
文学という新しい進路の発見は、最高の喜びだったはずだ。しかし太宰治は、単なる希望や成功の物語として描かない。
異国の地で、中国人は魯迅ただ一人。祖国への思いも、自分の抱える苦悩も、周囲の誰にも本当の意味では理解してもらえない。そこには孤独がある。そして、夢を諦めた人間は何よりも孤独なのだと思う。
かつて信じていたものを自ら否定しなければならない。だから冷笑するしかない。
新しい道を見つけたとしても、失ったものがなくなるわけではない。恩師の藤野先生に本当のことを告げられなかったのも、かつての自分を信じてくれた人に、その自分を捨てたことを伝えるのが耐えられなかったからではないか。
だから嘘をつくしかない。
人と人とは確かにつながっている。それでも、分かり合えないことがあり、大切に思っていても別れなければならない。他者との関係の儚さを感じた。
客観的には良いことのはずなのに、悲しくなることがある。何かを得ることは、何かを失うことでもある。なぜ太宰がこのように描いたのか、わからない。しかし、よく共感できる。人生の割り切れなさがよく描写されていると思う。
また、津田の人間臭さも印象的だった。太宰自身を思わせるような、甘えや滑稽さを持った人物だったことも大変魅力的だった。
『右大臣実朝』
こちらも難しかった。しかし、不思議なほど実朝が目の前にいるように感じられた。
特に残ったのは、実朝の生きることに飽きてしまったような姿だ。政治への関心を失い、何事も十年で十分、あとは余生だという。そして鎌倉を離れて宋へ渡ろうとする。
若くして、もう人生でやることがなくなってしまったかのような実朝。そこには小説家の鬱々とした厭世気分にも似たものを感じた。
また、公暁が蟹を食べる場面が忘れられない。蟹を殺して食べる。ただそれだけの行為なのに、どうしようもなくグロテスクだった。
歴史上の人物を描いているのに、実朝も公暁も生々しい。実朝の内面をすべて理解できたわけではないが、その存在感は強く残った。
どちらも長く、難しく、読み取れなかったものも少なくない。
それでも、歴史上の人物がただの偉人ではなく、孤独や諦め、矛盾を抱えた一人の人間として立ち上がってくる。
太宰治は、そういう人間を描く最高の作家だと改めて思った。 -
購入済み
相変わらずかわいいリネット。アルフレッドはちょっとぎこちないけどリネットは素で、かわいらしく甘えるし、放っておけない感じが良いなあと。今でもこんな感じなのにちゃんと気持ちが通じたら、甘々になるのでは。、
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Posted by ブクログ
主婦、ワーキングマザー、育休パパ、高齢主婦、独身などなど色々な立場の登場人物たちが登場してて、あとがきに書き終わるまでに5年かかったとあり、それくらいかかるよな〜の納得。
前作の定時で帰りますもそうだけど、感情に任せて分断へ進むのではなく、協力しながら共存していこうという姿勢が一貫していて、読み進めながら感情に流されがちな自分を戒めてくれるような読み応えだった。
主婦の主人公である詩穂が、なんだかんだ理想の主婦すぎはするけどね。あんな大らかで性格の良い主婦だったらいいけど、みんなああではないからなぁ。こういう人は働いても職場では可愛がられてうまくいくタイプでしょう。と思ってしまう。こういう雰囲気の人であることも才能だよな。
印象に残ったのは、高齢主婦の坂上さんの『苦手な人ほど仲良くしておくの。コネになるかもしれないから。味方増やしておくのも主婦の家事のひとつ』という言葉。すごい刺さった。その通りだなと思った。
昔読んだ、おいしい関係って漫画で主人公の母親が夫が死んだあとに身を寄せた先で苦手な親戚への態度を変化させて仲良くするのと同じだなぁと思った。
でも、主人公の父親は変わらないと思う。いないよりいる方がマシなのかなぁ。私はそうは思わないから捨てた方がいいんじゃないかなと思ってしまうよ。 -
Posted by ブクログ
泣いた。
石神は相手に愛されることを求めていない。
感謝されることも、自分の気持ちを理解してもらうことも、望まない。
普通、誰かを愛するときって、心のどこかに「自分の気持ちをわかってほしい」「自分の存在を認めてほしい」という願いがあると思う。
でもその願いさえも手放して、自分がどう思われるかよりも、相手が幸せに生きられることを優先する。
それは究極の愛情の形かもしれない。
でも、相手の幸せを願うあまり、自分の人生を犠牲にする。
相手を守るために、その人が真実を知る権利まで奪ってしまう。
では、それを知った時の苦しみは一体どれだけのものか。
ガリレオシリーズはドラマが好きで、本は未読だったけどこれから追って行こうと思う。、 -
購入済み
素朴な感じのリネットも、悪女に擬態しているリネットもどっちも素敵!
意志の強そうな感じが結構好みだなあと思いました。そのうち実情をバラすのかな。
続きも楽しみです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった、、、、、、上中下巻と3冊ぎっしりで初めての貴志裕介さんで読み切れるか不安だったけど待った問題ない、一気読みだった
人間が自分たちを神様と呼ぶ世界。
じわじわと迫る気持ち悪さ。
これぞドキドキ(ゾクゾク?)ワクワクという感じで映像を頭です思い描いちゃうのが怖い時もたくさんあった…!
最後に人間が優勢になっても、ああよかったハッピーエンド、とは全く思えなかった。
友達で信頼できるはずの覚がバケネズミ相手になると惜しみなく滲み出す殺意と狂気。
バケネズミが人間に反逆したことを心の底から疑問に思っている主人公たち。
人間の味方をしたい気持ちと、どうしても味方になりきれなさがずっとあって、野狐丸の言っていることの方が納得感があるのも、なんだか悲しかったけど、戦争が終わって主人公たちがバケネズミの昌泰に気づいた時、うわぁぁって色んなパズルがはまっていった。
人間の自分達は神なのだというあまりに醜い傲慢さを突き付けてくる物語。
最後の最後まで面白く、感情をかき乱された。
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Posted by ブクログ
いや〜長かったけど読んでよかった。
推し活文化批判の本と思ってたけど、批判というか推し活をするようないわゆる「視野の狭い人」と社会問題に目を向けたり、仕事で冷静を保つ「視野の広い人」それぞれの良いところ、悪いところを見せてくれる本だったな。
本の中でも言ってたように正解なんてない。どっちがいいもないし、正しさを求めて選んだものは本当に自分が欲するものなのか。という疑問も浮かぶ。
なんだか正欲と繋がっているような気もしてきた。
自分はそれこそ、コロナ禍で「陰謀論」と言われていたものに目を向けるようになって真実が分からなくなった。でも当時は、あまりにも新しい情報が一気に自分のところに正解のように降りてきたから、それを強く信じきった。でも懐疑的な視点も持ちつつ、視野を広くしようとしていた。世界の問題に目を向けてた。でもそうした結果生まれたのは孤立、孤独。
せっかくの高校生活、誰とも分かり合えないと思いながら過ごした。みんななんで真実に気づけないの?と見下す気持ち、もどかしい気持ちを抱えて過ごしてた。
当時、私が見下していた何もコロナのことを気にせず推し活をしていた友達の方がよっぽど幸せな高校生活を送ってたと思う。
この世界はあまりにも広すぎる。自ら視野を狭くし選択していくことが人生を形作るのだと思う。
世の中には色んな活動、色んなお仕事がある。それも全部だれかが視野を狭くした結果生まれたものだと思う。
コスパ社会について話すYouTube動画でも、映画とかのパイオニアはコスパが悪い、後から出てくるものはみんなコスパ良いが故にflopするって言ってた。
視野を狭く、コスパ悪く、なにかを愛することや夢中になることこそが人生の豊かさだと私は思う。
逆に自分の視野を狭くしてくれる何かに感謝し、全力で向き合いたい。
でもこれももちろん正解ではなく、私がやりたいと思う生き方。
なにかに夢中になると、それを失った時の辛さや本日は大きい(りんファミが狂ったように)
刺激もリスクもない人生を選ぶか
刺激とリスクで溢れた人生を選ぶか
これだけシンプルなことな気がする。
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