アガサ・クリスティーのレビュー一覧

  • 邪悪の家

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    ネタバレ

    全員話が噛み合わなくて疑わしいのは、命を狙われているはずのニックが嘘ばかりついていたから。
    全員怪しんだのに、予想外の犯人でめちゃくちゃ面白かった。
    ニックとマギーの本名が両方マグダラなのが、日本語話者からするとわかりにくいが、英語圏だとしっくりくるのだろうか。

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    2025年02月19日
  • 予告殺人

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    『予告された殺人』なんてミステリーの醍醐味ですね。
    奇妙で不気味で奇抜な出来事から始まる先の見えない展開には、もう、ほんと「オラ、ワクワクすっぞ!」でした。

    そして衝撃の第一の殺人から始まる第二第三と続く連続殺人までスピーディに話は進みます。アガサ・クリスティーの作品を何冊か読んでいると、この人が犯人だなって分かるんですが、犯人を当てるよりまさかの真相に驚かされます。

    つくづくアガサ・クリスティーは人間の先入観を上手く突いて読者をミスリードする天才だなと思います。
    それに引っかかってしまっても、なぜか悔しいという気持ちよりも「まじかー、参った」と言いつつ心地良さを感じてしまいます。だから、アガサ・クリスティーのミステリーは読むのが止まらないです。

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    2025年02月19日
  • カーテン

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    ネタバレ

    うおおおおおおおーー!!めっちゃ面白い!!
    アガサクリスティに感謝が湧く。
    それでもポアロが大好き。

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    2025年02月16日
  • ポケットにライ麦を〔新訳版〕

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    マープルシリーズ長編6作目。今回の捜査担当は優秀なニール警部で、マープルはいつも通り協力者として途中から参加する。ただ今回は誰かに頼まれて参加するのではなく、被害者と知り合いだったことから義憤に駆られて自主的に事件現場にやってくる。これまでと気合が違う。この作品はなんといってもラストがいい。

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    2026年01月22日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    クリスティーの本で一番ページ数が多く、その厚さに二の足を踏んでいましたが、読んで良かったです。名作ですね。

    構成は、第一部「登場人物の紹介」と第二部「エジプト」の二部構成。第一部の丁寧な人物造形による前振りが、第二部での愛憎入り乱れたロマンスあり旅情ありの紀行ミステリとして、次第に人物像が明らかになっていくにつれて引き込まれました。

    取り立てて巧妙なトリックがある訳でもなく、犯人の見当も付きやすいですが、「あの件とあの件は、どうしたのかな?」と疑問に思っていたことが、最後にポアロの言葉での解説と犯人の語る動機を読んで、うなってしまいました。

    また、丁寧に描写された人間関係も相まって、エンディングに向かうほど読ませる力量は流石ですね。なお、犯人の最後は、なるべくしてなった結末ですが、その分を他の幸せで埋め合わせている対比が心憎い。やはり、二度映画化されているだけのことはあるなと感心してしまいました。

    あらすじ:
    相続により莫大な財産を有する、若くて美しい女性資産家のリネット・リッジウェイ。彼女は、友人のジャクリーヌ・ド・ベルフォールから、婚約者のサイモン・ドイルを奪って結婚してしまいます。二人はハネムーン先にエジプトを選び旅立ちましたが、旅先の同行者には、リネットに関係する様々な人たちがいました。中でも驚いたことに、行く先々でジャクリーヌがストーカーよろしくつきまとってきます。そして、彼らは同じ観光船に乗り込みましたが、その中にはポアロの姿もありました。そんな折、船上という密室で事件が起きてしまいます……。

    と、これ以上はネタバレになるので控えます。人物は多めですが、P253のカルナック号の船室見取り図が役立ちました。

    ところで、作中に『オリエント急行の殺人』で描かれた印象的なシーンの回想があり、ニンマリしてしまいましたが、登場人物のレイス大佐って誰だろうと、積読本の山(早く読め自分w)から表紙カバー裏の登場人物欄を見ていたら、『ひらいたトランプ』に諜報局員とありました。なるべく背表紙の番号順に読んだ方が楽しめるのかなと改めて思いました。

    ちなみに、会話の中で25章でヘイスティングズ、26章でジャップ主任警部のことがでてきますが、ヘイスティングズに関しては、ポアロの会話のネタとして、そのイジられキャラぶりが面白かったです。

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    2025年02月09日
  • 火曜クラブ

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    1932年の作品。
    ミスマープル初登場作品、表題の「火曜クラブ」を含む短編集。

    ヘンリー卿が初めてミスマープルと出会い、この田舎の老嬢の慧眼に敬服するところが読みどころ。
    まさに安楽椅子探偵の真骨頂!
    楽しい珠玉の短編集です。
    訳者のあとがきも、クリスティ作品に深い考察を加えていて、他の作品と合わせて読むのが楽しくなる。
    この短編集がのちの長編につながる元になっているものもたくさんあって、あとから知るのも面白い。
    女優のジュリアや、お手伝いのグラディスなど。
    何度も何度も読み返したい、まさに
    ポケットに「火曜クラブ」を。

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    2025年02月07日
  • ポケットにライ麦を〔新訳版〕

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    ミス・マープルシリーズ6作目。
    1953年の作品。


    ロンドンの実業家、レックスフォーテスキュー氏が何者かに毒殺された。ロンドン警視庁のニール警部は、フォーテスキュー氏と生活を共にしている家族の犯行と睨み、フォーテスキュー氏の住むイチイロッジの捜査を始める。このイチイロッジの周りを囲むイチイの木から取れるタキシンが毒の原因だったからだ。フォーテスキューの若く美しい妻アデルが容疑者と目されたが彼女もまた毒殺され、さらにメイドのグラディスも殺されてしまう。昔雇っていたメイドのグラディスの死を知ったミス・マープルは、彼女の仇を討つためニール警部の捜査に協力する。


    見立て殺人は本当にゾクっとして面白いですねぇ。
    イギリスの童謡、マザーグースの歌詞に見立て、黒ツグミ、ライ麦、洗濯バサミなどを使った殺人が行われます。
    ポワロシリーズでは5匹の子豚、そして誰もいなくなった、でも見立て殺人が出て来ますが、マザーグースに馴染みのない私にはイマイチピンと来なかったりします。
    それでも本当に最後までハラハラドキドキ楽しませてもらえました。
    犯人は気が狂った殺人者なのか?犯人が全然わからない!

    でもこの作品、ミス・マープルシリーズでは一番マープルの出番が少ないのでは?
    主人公はロンドン警視庁のニール警部です。クラドック警部とは違って切れ者の彼。クラドック推しの私ですが彼もまたかっこいい。かなりいいところまで真相に近づきますが、しょうがなく婆さんの力を借りるか…といったスタンスです。
    ニール警部の補佐役で、ちょっと抜けてるヘイ部長警部もいい味出してますねぇ。

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    2025年01月28日
  • 予告殺人〔新訳版〕

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    ミス・マープルシリーズ4作目。
    1950年の作品。

    「殺人を予告します」
    イギリスの田舎街、チッピングクレグソーンの地方紙ギャゼットの広告欄に殺人予告が掲載された。
    殺人の場所に指定されたリトル・パドックスの主人、レティシアブラックロックはこの予告を誰かのイタズラと思い、好奇心に満ち溢た客を迎える準備を始める。しかし、それは本当の殺人予告で、予告通り1人の男が殺された。
    この街にたまたま滞在していたミス・マープルは、クラドック警部に協力して事件の真相を突き止めるーー

    ミス・マープルシリーズ一のイケメン警部、クラドック警部の初登場作品です。
    サーヘンリーの名付け子であるクラドック警部は、サーヘンリーからマープルを紹介されます。
    このマープル登場までのサーヘンリーのマープル賞賛の言葉が最高なんですよ。

    「私の秘蔵のとびっきりすごい老嬢、
    老嬢中の老嬢だ」

    老嬢中の老嬢って!!

    老嬢といえば、この作品には老嬢ばかり出てきます。レティシア・ブラックロックにドラ・バンナー
    マーガトロイドにヒンチクリフ
    こんなに60歳オーバーのおばあちゃんばかり登場する物語も珍しい。
    地元紙の広告欄まで隅々目を通す好奇心旺盛で噂好きな愛すべきイギリスの老嬢たち!

    細部までウィットに飛んでいて、切なくもクスッと笑える大好きな作品です!


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    2025年01月21日
  • もの言えぬ証人

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    デビット・スーシェのドラマを見ました。
    白テリアのボブが可愛くて可愛くて。ボブに懐かれたポアロが、田舎には不釣り合いな完璧な紳士装束でボブのお散歩をする姿も可愛くて可愛くて。
    そこで原作も読みたくなりました。ボブは原作では出番は少なかったのですが、やっぱり、かわいい!
    ドラマでは、ポアロにボブを譲る話があったので「ポアロさん、ロンドンにつれて帰ろう!お散歩なら私がするから>▽<」と思ったですが、残念ながらポアロはボブを別のお宅に置いてきてしまった(´・ω・`)
    しかし原作ではボブをロンドンに連れて帰ることに!!わーい(^o^)

    ===
    ポアロの事務所にエミリイ・アランデルという老婦人から手紙が届いた。田舎の古風な名家の頑固でしっかり者のオールドミスらしい。ポアロが気になったのはその手紙の日付だった。書かれたのは2ヶ月前なのだ。彼女はなぜ2ヶ月間手紙を出さなかったのか?ポアロとヘイスティングスがエミリイの屋敷「小緑荘」に向かう。
    しかしエミリイ老婦人は1ヶ月前に持病により亡くなっていた。
    ポアロは、エミリイは身の危険を感じて自分に依頼しようとしたと察し、エミリイの死の真相を探ろうとする。依頼人は亡くなっているが、ポアロの矜持なのだ。

    エミリイは莫大な資産を持っていた。本来は三人の甥と姪に相続されるはずだったが、最新の遺言状でほぼ全財産が付き添い看護師のミニー・ロウスンに引き継がれることに変更された。当然甥や姪たちは猛反発。
    果たしてエミリイ老婦人の死には、誰かの悪意があるのか…。

    ●エミリイ・アランデル:地方の名家アランデル家の屋敷「小緑荘」の女主人。エリザベス女王時代の頑固な価値観の持ち主。
    クリスティの「前時代の頑強な老婦人」っていいですよね。
    ●ワイヤへアードテリアのボブ:エミリイ・アランデルの飼い犬。いたずらっ子。この物語はヘイスティングスの一人称事件記録なのですが、ヘイスティングスはボブの気持ちを代弁しているのがまた可愛いかわいい。「犬は私を見ると『やい、見かけないやつだな。噛みついてやる。それでそのボールを投げてくれよ』というように吠え立ててきた」みたいな笑

    遺産受取人
    ●ウイルヘルミナ(ミニー)・ロウスン: エミリイの付き添い看護師。ほぼ全財産受け取ることに。
    原作では、人々から階級も教養もあまり頭の良くない女性と見られていて、こんな人がそんな大金相続してもあっという間に騙し取られそう…と思った…

    親族とその関係者
    ●チャールズ・アランデル: 20代前半のエミリイの甥。享楽家で遊蕩三昧で常に金に困っている。ちょっとした詐欺や、エミリイ叔母さんのお金をくすねている。今回も「遺産を取り戻すためなら違法行為も厭わない」と公言。
    だが人間としては魅力的で、周りからの評判は割と良い。

    ●テリーザ・アランデル:20歳くらいだっけな。エミリイの姪で、チャールズの妹。美人で派手。現代っ子らしく生きることが大好き、今欲しいものが今欲しい、遊びもファッションも恋愛も最先端のため金欠。兄と同じく「遺産を取り戻すためなら違法行為も厭わない」しかしそれは自分のためだけでなく、婚約者で町医者のドナルドスンの成功のためでもある。
    眼の前の華やかな生活を送ってきたテリーザが、真面目で堅物っぽいドナルドスンとの婚約は意外でもあるのだが「最初の男ではないけれど、多分最後の男」と言い切る。高飛車で身勝手だが潔良くて割と好感を持てる…自分の近くにいなければ(^_^;)
    ●レックス・ドナルドスン:将来有望の医者で生真面目くん。エミリイのような老婦人からは「頭は良いかもしれないけど、男としてはなっちゃいない」という低評価。
    ヘイスティングの記述では、冷静で洞察力があると案外高評価。
    読者としても、全く正反対のテリーザとドナルドスンが愛し合っているのはなんか良いのよね。

    ●ベラ・タニオス:エミリイの姪。夫はギリシャ人で子供が二人いる。子供のことで頭がいっぱいの「ハサミ虫のような女」と言われるような(^_^;) 金欠をやりくりして一生懸命レリーザのファッションを真似っ子するが、センスが悪くて野暮ったくなってしまう(^_^;) 
    どうやら夫に頭が上がらないらしい。
    なんか、半径10メートルで生きる冴えない主婦って身につまされてツラい(^_^;)
    ●ジュイコブ・タニオス:ギリシャ人医師でベラの夫。この時代ギリシャ人は差別的な目で見られたが、陽気で親切でベラを「自分にはもったいないほどの素晴らしい女性」と賛美するので、ギリシャ人だけど話してみると案外いいやつ、みたいに
    思われる。でもベラのお金で投資に失敗し、エミリイの遺産分与を期待していた。

    村の人達
    ●キャロライン・ピーポディ:エミリイの昔からの友達の老婦人。ポアロとヘイスティングスはエミリイの死を探るために嘘をついて彼女に面会するんだが見破られている。そして道で出会ったヘイスティングの脇腹をパラソルで突っついたりする。ヘイスティングは嘘ついた負い目があるし、相手は老婦人なので逆らえない笑。食えない婆さんって感じで面白い。

    ●トリップ姉妹:霊媒師の中年姉妹。ドラマでは好き勝手に楽しそうに「きゃあきゃあ、お告げよお告げよ♪」などとやりたい放題だったが、小説では割と大人しめ・笑 しかし彼女たちが目撃したエクトプラズム?とかなんとかが解決のヒントに。

    今回のポアロは「本来なら自分に依頼されるはずだった事件」として自主的に捜査しています。何の権限もないし、殺人だとしたら犯人に疑われないように(第二の殺人を防ぐため)しなければいけません。そこで関係者に身元を偽ったりします。ヘイスティングスからすると「嘘」は良くないという価値観で、ポアロは「必要な口実(要するに嘘)は別に悪くない」という価値観が現れます。なるほど。

    しかしあくまでも「亡くなった依頼人だったらこういうことを望むだろう」ということを汲み取ったうえでの捜査と、始末の付け方をします。そしてポアロが出てこなければ起こるはずだった第二、第三の殺人も防いだことに。
    犯人は身勝手ですが、最後に明かされた殺人者への「ちょっと思いがけない墓碑銘」がなかなか切ない。

    この物語ではこの時代の、外国人差別、女性軽視、職業社会的地位による格差というものも現れていました。
    ギリシア人のタニオス医師に対して「アランデル家の女が外国人なんかと結婚するなんて」「ギリシャってアルメニア人を虐殺したんでしょ。あらトルコだったかしら?」という扱い。タニオスさんは明るいし医師としても優良なのでエミリイ老婦人もちょっと見直すようですが。
    ミニーの付添婦という職業も軽んじられています。「まともな人間が就く職業ではない」くらいの扱い。ミニー自身は悪意はない人(単純な人。悪いことを考える知能もないというか…)なんですが、彼女に余るほどの大金相続は、読者としても心配に(^_^;)

    そしてあとがきで書かれていた「ポアロは120歳くらいで死んだことになる」には笑ってしまった。これって横溝正史も「ポアロは計算したら120歳くらいってことになる。現実と合うかは気にしなかったんだろう」と書いているので有名なんだろうけどさ。

    そしてボブ(^ ^)
    ヘイスティングスには犬友達が結構いることが判明。きっと犬の散歩している人を見かけたら話しかけて犬を触りまくっているに違いない 笑
    そのためかボブの吠え声や仕草を代弁するのが楽しい楽しい。「ぼくはいい番犬だろ?ぼくが吠えたって気にするなよ。これがおつとめなんだからね」「ボールがそこにはないって?何言ってんだい。ボールは同じ場所にあるって決まってるのさ」などなど\(^o^)/
    ボブはポアロへの報酬のようなもの。しかしヘイスティングスに取られちゃったみたい笑
    ボブは他のお話には出てこないけど、今後ポアロ物を読むときには「お家に帰ったらボブがいるんだよね★」って思うことにします。(いませんが、いると考える)

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    2025年01月21日
  • パディントン発4時50分

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    ミス・マープルシリーズ長編7作目。
    1957年の作品。
    ミス・マープルの友人、ミス・マギリカディは、4時50分パディントン発の列車の車窓から、並走する列車の中で起きた殺人事件を偶然目撃してしまう。
    マギリカディから相談を受けたミス・マープルは、遺体が発見されないことから殺人犯は遺体を車窓から投げ落としたと推理する。その地点に敷地があるクラッケンソープ氏の屋敷ラザフォード・フォールに手がかりがあるのではないかと考え、有能な家政婦であるルーシー・アイルズバロウに屋敷の家政婦となって調査するように依頼する。ミスマープルの読み通り、屋敷の納屋から女性の遺体が見つかった。
    殺された女性の正体は誰なのか?クラッケンソープ一族と関係があるのか?


    まず、車窓から向かいの車内でまさに行われている殺人事件を目撃してしまうという導入から面白い!
    このミス・マープルのお友達の太ったおばさん、ミス・マギリカディのキャラもいいんですよねぇ。
    あと、なんといっても今回はミス・マープルの代わりに動いてくれるルーシー・アイルズバロウの活躍から目が離せない!
    殺された女性がどこの誰なのか全然わからないのも、手がかりが全然ないところから推理していくところも本当に面白いです。
    ミス・マープルシリーズでは、今まで出てきたキャラクターも成長して出てくるのでそれも面白いですよね。おお、あの子がこんなに大きくなったのね…成長を見守る親戚のおばちゃん的な心境になります。
    甥のレイモンドの息子の鉄道会社で働くディビッドだったり、牧師の嫁のグリゼルダの息子のレナードは地図が好きでミス・マープルに地図を貸してあげたりしてます。

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    2025年01月13日
  • エッジウェア卿の死

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    オープンニングで、ネタばらしをするのかと、思いながら読み進んでいくうちに、次第に、主たる登場人物が皆怪しくなり、裏があるのではと、勘ぐりを入れ次第に引き込まれて行くのが、楽しいミステリーです。
    主人公のポアロの疑問が解けるまで、慎重に行動し、何度も面会する手法や相棒の一言から、解決にたどり着く推理も見所です。

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    2025年01月11日
  • ポアロのクリスマス〔新訳版〕

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    最後の方まで犯人がわからなかった。クリスマスに読んで欲しい一冊。アガサクリスティのほぼ台詞だけで展開されていくのに世界観がしっかり描写されていく文章には本当に脱帽です。

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    2025年01月09日
  • ポケットにライ麦を〔新訳版〕

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    名作ミステリーというのがどういうものか考えるとそれは何度読んでも安心できる読後感があるものというのが私の中ではある。その名作とよぶにふさわしい作品の一つがこの「ポケットにライ麦を」である。
    まず題名がとても好き、とてもおしゃれで心を掴む。どんな話になるのだろう、どういう意味があるのだろうとワクワクする。
    マザーグースを用いた見立ての連続殺人、容疑者になる個性強めの一族、絡み合う謎を読み解いていくと一人一人の人間描写の素晴らしさを肌で感じる。「ポケットにライ麦を」の意味がわかるとき、マザーグースの意味がわかるとき、ゾワゾワとする。
    真犯人の犯行の手口や動機、それをマープルがどのように導き、そして解決に繋げていくか。ラストの終わり方の切なさ、悲しさ、怒り、そして喜びを肌で感じる一気読みになりました。

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    2025年01月06日
  • 葬儀を終えて〔新訳版〕

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    ネタバレ

    ポアロものの推理小説。一族の主人が亡くなり、遺産相続の舞台から始まる作品。まず、登場人物の多さ、しかもほとんどが親族なので登場人物の一覧とともに、家系図まで小説にあります。ただ、そこは素晴らしき小説家アガサクリスティー、最初のうちは誰だかどういう繋がりかがわからない登場人物が次第に混同せず読み解けるのはそれぞれの登場人物の人物描写、キャラクター性が素晴らしくわかりやすいところがあると思う。

    以下ネタバレ含む





    展開としては連続殺人だと思われていたのが、実は連続殺人ではなかった。動機も一族の財産分与ではなく、個人の問題であった。繋がりを示唆され繋がりを見つけようと読み進める中で、実は連続殺人ではないというのは見事。親族ではあるが面識はほとんどないことを生かした入れ替わりのトリックも納得のいくものであった。

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    2024年12月27日
  • パディントン発4時50分

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    久々に夢中で最後まで読み切った。
    隣の電車で殺人が起こっているのを違う列車から偶然、見ていた。という設定が斬新だったし、マープルはほぼ動かないけどクラドック警部やアイルズバロウが彼女の目や足となって動き回るという流れも、面白かった。

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    2024年12月15日
  • 火曜クラブ

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    ミス・マープルの初歩のような短編集でした。
    短編集なので日常の謎が多いのかと思ったらほとんどが殺人絡みで事件も推理も本格的でした。これを短編でどんどん出しちゃうとは本当にアガサ・クリスティーは引き出しが多いんだなあ。

    「迷宮入り殺人事件。」作家のレイモンド・ウェストは最近この言葉が気に入っている。ここはイギリスの田舎町セント・ヘアリ・ミードの老婦人ミス・マープルの居間。レイモンドはミス・マープルの甥で、古風で家庭的で居心地の良い叔母さんの家で集まりを開いたのだ。その場に元スコットランドヤードの警視総監、ヘンリー・クリザリング卿(サー・ヘンリー)がいたこともあり、参加者たちが自分が遭遇して解決まで知る不思議な事件の話をして、他の参加者が謎解きをする「火曜クラブ」の集いが行われることになった。

    『アスタルテの祠』語り:ペンダー博士(教区の老牧師)
    森に囲まれた屋敷で週末を楽しむ若い男女。森には古い宗教の神であるアスタルテの祠がある。一行は祠の前に集うが一人の男が倒れて死ぬ。

    『金塊事件』語り:レイモンド(そこそこ売れてる作家)
    コーンウォールの海岸に金塊を積んだまま沈んでいるという船の伝説がある。興味を持ちコーンウォールに向かったレイモンドは、宝探しのニューマンという男と知り合う。ニューマンは、ある夜怪しい男と阿知賀海岸沿いの洞穴に荷物を積み下ろししている様子を目撃したというのだが…。

    『舗道の血痕』語り:ジョイス・ランプリエール(若い女性画家)
    コーンウォールの海辺の村にスケッチに行ったジョイスは、夫婦と、夫の知り合いらしい女の三人組を見た。だがジョイスの目には、その三人組は不吉なものを感じる。翌日、ジョイスは、ホテルの前の白い敷石の舗道に赤い血痕のようなものを見る。そして隣村の浜辺に、夫妻の妻の溺死体があがった。

    『動機対機会』語り:弁護士ペサリック
    資産家のクロード氏は、霊能力者に入れ込み、遺産の大半を親族ではなく彼女に遺す遺言を書いた。だが実際に彼が死に、遺言状を開くとそれは白紙に変わっていた。
    遺言状を封入した場にいた霊能力者には、自分に有利な遺言状をすり替える動機がない。
    遺産を横取りされる資産家の親族には、すり替える動機があるが、その場にはいなかったので機会がない。

    『聖ペテロの指のあと』語り:マープル。
    マープルの姪のメイベルの夫が中毒死した。その近隣では夫婦仲が良くなかったことからメイベルに夫殺しの噂がたつ。マープルは姪の名誉を守るため、真相を調べる。
    …今まで読んだりドラマで見たミス・マープル物って、捜査はあくまでも警察が行い、マープルは事件のヒントになるようなことを言ったり、真相を伝え、警察が裏取りをするようなものだった。しかしここでは、夫の遺体を掘り返して死因となった毒物の再捜査を依頼するとか、関係者に事情聴取するとか、医療辞典で毒物を調べるとか、ほぼ警察。そしてこの時代、人が身元を偽ったり罪を犯すことができてしまうので、付き合いのある人たちはお互いを監視し、怪しい人物は排斥する。現在は監視カメラやSNSでの監視社会といわれるけど、この時代は近くの人の目で見張っていることが感じますね。



    1年後。ヘンリー・クリザリングは、セント・メアリー・ミードのアーサー・バントリー夫妻にミス・マープルの推理力の話をする。そこでバントリー家でもミス・マープルを含めた夕食会が開かれる。

    『青いゼラニウム』語り:アーサー・バントリー(晩餐会主催者)
    友人ジョージ・プリチャードの妻は、常に病気を抱え、気難しく癇癪持ちで文句ばかりで通いの看護師たちも次々に変える。最近はザリダという占い師に信心しているが、彼女は「この家は邪悪で、青い花は死の記し」とかいう不吉な予言をす。そしてある日、プリチャード夫人が部屋で死んでいる。そして壁紙の赤い花の一枚の花びらが青く変色していたのだ。

    『二人の老嬢』語り:ロイド医師
    カナリア諸島に保養地に出かけたロイド医師は、イギリス人資産家のミス・バートンと、コンパニオンのエイミ・ディラントの老嬢二人組を見かける。海水浴中にエイミが溺死する。しかしロイド医師はどことなく違和感を覚え…。

    『四人の容疑者 』語り:サー・ヘンリー
    ローゼン博士はある犯罪組織に潜入して潰したが、それによって報復を受け殺された。容疑者は同居していた4人に絞られたが、その中の誰なのか、どうやって外部から指令を受けたのか。
    事件が未解決では犯人と疑われた無実の者が被害を被る。はっきり無罪と証明されないとずっと疑われてその後の人生も変わってしまう。だからこそ真相を明らかにしなければならない。

    『クリスマスの悲劇』語り:ミス・マープル
    クリスマスに水治療院を訪れたマープルは、そこで見かけた夫妻を観察して、夫が妻を殺すと予見する。そして、予想通りに妻が殺されるが、夫にはアリバイがあった。
    …この時代の殺人犯への求刑は絞首刑。アガサ・クリスティの探偵たちは自分が犯人を暴くということはその犯人を死刑にするということを承知して悪を許さないという気持ちを持っている。(そして無実と思った人を助けることは、その人の命を助けるということ)
    穏やかな田舎のおばあちゃんミス・マープルの強い気持ちが感じられます。

    『毒草』語り:ドリー・バントリー夫人(ミセス・バントリー。晩餐会主催者)
    ある資産家の食卓で食中毒が起こり、女の子が一人死亡する。原因は、食材に紛れ込んだジギタリスの葉だと判明する。毒殺だとしたら誰が食べるともわからないものに毒をいれるだろうか?しかし事故とも思えない。

    『バンガロー事件』語り:ジェーン・ヘリア(とても美人の人気女優。しかし「頭空っぽ」ともいわれる・笑)
    このジェーン・ヘリアは晩餐会でも「わたくし、わかりませんわ」とか、「そういえばわたくしね」などとトンチンカンの言葉を挟むのだが、「わたくしがこんなにおばかさんでなければ…」などと自分の美貌には絶対的自身があるが他の面では控えめなのが感じが良いとも思えます。しかしミス・マープルも「ジェーン・マープル」なので、誰かが「ジェーン」と呼ぶと一瞬マープルのことか!?と思ってしまうの。なぜ同じ名前にしたんだ。

    さて、そんなジェーン・ヘリアのお話。
    ジェーンは地方巡業で警察の訪問を受ける。なんでも近くのバンガローに泥棒が入ったのだが、容疑者として取り調べられている青年は「女優のジェーン・へリアに脚本のことで呼ばれた」と証言したらしい。だがジェーンと顔を合わせた青年は「ジェーン・ヘリアを名乗って自分を呼び出したのはこの女性ではありません」という。
    …ジェーン・ヘリアを「美人で気立てもよいが頭空っぽ」と繰り返してきた効果が出ているオチ。


    『溺死』
    また数カ月後。
    サー・ヘンリーはバントリー夫妻の家を訪ねていた。そこへミス・マープルが、サー・ヘンリーに協力を求めに来る。
    数日前にセント・メアリ・ミードで、ローズという娘の溺死体が引き揚げられた。腕に傷があったことから誰かに突き落とされたようだ。彼女は妊娠していて、父親はロンドンからやってきた建築家サンドフォードと言われる。村の大工ジョーはローズに夢中で、サンドフォードに敵愾心を持っていた。
    地元の警察は、犯人をサンドフォードだと思っている。だがミス・マープルはある人物が犯人だと思っていた。だが証拠がまったくない。そこでサー・ヘンリーに証拠が挙がるか調べてほしいというのだ。
    …ミス・マープルは「田舎の村にいるからこそ、人間性を観察することができる」ということで、犯人については「見れば分かる」という面がある。
    そしてミス・マープルがこの事件を見過ごせなかったのは、このままでは無実の人物が死刑になるかもしれないことを防ぎたい、しかしそれは自分の告発により別の人物を死刑にするってことでもある。
    ミス・マープルはそれでも正義を貫く強い気持ちがあります。

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    2024年11月22日
  • 五匹の子豚

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    ネタバレ

    1943年原書 桑原千恵子訳
    五匹の豚はマザーグースの数え歌

    ・ポアロ →探偵
    ・カーラ.ルマルション→21歳の美しい女性
               目がキラキラしている
     カーラ母がカーラ父を殺して
     叔父夫婦に引き取られ
     何不自由なく成長
    ・アミアス.クレイル→カーラ父 画家 芸術家
    ・カロリン.クレイル→カーラ母 
     
    カーラが21歳の時
    父母の遺産と母の手紙を受け取る
    カーラがポアロに
    父母の事件の調査を依頼
     (母の手紙には自分は無実だと..)

    ・ジョン.ラタリー→カーラの婚約者

     ・モンタギュー.ディブリーチ卿
     ・クエンティン.フォック
    ・ジョージ.メイヒュー
     ・ケレイブ.ジョナサン    →弁護士達

    ・①フィリップ.ブレイク→株仲介人
                 アミアス親友
    ・②メレディス.ブレイク→薬草作り
                 ①フィリップの兄
    ・③エルサ.グリヤー→ アミアス浮気相手
               絵のモデル
     〜ポアロからみると 
      まだ蕾のうちに 霜に襲われた花 の様な人
      現ディティシャム卿夫人
     一度しかない人生を
     思うままに生きた方がいいという
          "現代流"の思想の人 英雄崇拝者
    一方
      カロリン.クレイルは
       平凡な人の中にも
       人物を見つけることが出来る女性

    ・④アンジェラ.ウォレン
              →カーラ母の歳の離れた妹
     〜ポアロからみると
      不具という引け目をおっていながら
      自信と確信から生まれた
      気力.能力のある職業婦人
      好ましいとは思っていない

      「この人の 姉夫婦 の話は面白かった」

    ・⑤セシリア.ウィリアムズ先生
               →アンジェラの家庭教師
    〜ポアロからみると
      ヴィクトリア朝時代の
      厳しい躾を受けていた為
      精神 道徳的に拠り所を持ち
      嫉みや不満 後悔 等
      受け付けない確固とした自分を持っている
     『..大部分の子供は親が
      世話を焼きすぎるため..
    子供を可愛がりすぎて
      世話を焼きすぎるのです
      ...親が愛しながら
       必要以上に構わない
      健全ななおざり を実行..』

    「耳が痛いけれど...素敵な人だ」

    『..結婚というものが
      大切に扱われなければ
      国全体が堕落して
      立ち行かなくなります..
      .. 結婚という結びつきを
       非常に重要に考えております..』

    「こういう事を言う
      年配の女性に会ってみたい..
    と心の底から思った」

     最後の犯人当てはやっぱり面白かった

    直接話に関係ないけれど
    この本を読んで...

    小さい頃に身につけた
    〈善悪〉とか〈倫理観〉〈常識〉って
    一生を通しての
    〔羅針盤〕 の様な役割をしていて
    人生の終わりまで
    〔自分を守る鎧〕 の様なものだな..
    と思った

    子供を大人になるまで育てる
    機会が 又あったとしたら
              (絶対にないと思うけれど..)
    一番重要な事だと言って
    育てたいな...
          (個性とか自由とかいうのに
             囚われすぎたな..反省..)
    ...こんな感想が頭に浮かんだ

    この小説は
    凄く面白かった
    こういう小説を又読みたい
    と思った









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    2024年11月28日
  • 復讐の女神

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    今回マープルにバスツアーの依頼が!依頼人は富豪(故人)ラフィール氏(カリブ海の秘密に出てきたおじいちゃん)。マープルに何をしてほしいのかが全く解らない。バスツアー中に出てくる、ワンステッド教授、テンプル(元校長)、3姉妹、怪しい2人。バスツアー中に色んなヒントが。。。ラフィールの息子が女殺しで逮捕されている。もう1人の女性が行方不明。さらに事件が!テンプルが登山中に落石で瀕死の状態。マープルに遺言(女殺しの理由は愛だ!)を残す。犯人は外れたが、今回もドキドキの展開でした。マープルシリーズあと1冊で制覇だ!

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    2024年11月17日
  • 死との約束

    Posted by ブクログ

    「いいかい、彼女を殺してしまわなければいけないんだよ」
    こんな会話を盗み聞きしてしまうポアロ。休暇のエルサレム旅行中にだっていうのにさすがに名探偵!事件から寄って来ちゃう!

    しかし物語の中盤までポアロの出番はない。話はこの会話の主であるレイモンド・ボイントンと、キャロル・ボイントン兄妹へと移る。
    兄妹が殺そうと決意したのは、自分たちの継母(父の後妻)であるボイントン老夫人。彼女はボイントン氏の死後、家族の上に君臨し、心理的に抑えつけ、絶対に逆らえないと精神に叩き込んでいた。ボイントン一家はこんな感じ。
    ・ボイントン老夫人:昔は刑務所の女看守だった。そりゃーコワい。根っからのサディスト、独裁者。ボイントン氏の死後、氏の資産管理人として子供たちを管理している。
    ・レノックス・ボイントン(20代半ば): ボイントン夫人の長男(血は繋がっていない)。老夫人に精神を支配され逆らうことができなくなっている。
    ・ネイディーン・ボイントン :レノックスの妻。看護師資格を持っているが実家は貧しい。そのためボイントン老夫人は自分の手駒になると思って結婚させた。だが芯の強い女性で、夫のレノックスに共にボイントン家を出るように説得を試みている。
    ・レイモンド・ボイントン(20代初め): ボイントン老夫人の次男(血は繋がっていない)後述の「サラ・キング」と淡い恋が芽生え、そのため母からの支配から逃げる決意をした。
    ・キャロル・ボイントン(20代初め?):ボイントン老夫人の長女(血は繋がっていない)兄と彼女は、まだ母に逆らおうという気力がある。
    ・ジネヴラ・ボイントン (ジニー。10代後半?):ボイントン老夫人の次女(老夫人の実子)生まれたときから母に支配され完全に精神不安定。「私は本当は王族なの」などと現実逃避をしている。レイモンドとキャロルが「義母を殺そう」と決意したのは、ジニーを助けるため。

    そして舞台はヨルダンの首都ペトラに移る。
    旅行者一行はこちら。
    ・サラ・キング:前半は彼女が主人公のようなもの。イギリス人女性の若い女医。旅行で一緒になったレイモンド・ボイントンと淡い恋が始まりかけ、ボイントン老夫人のサディスト支配から一家を引き離そうとする。
    ・テオドール・ジェラール:著名なフランス人心理学者。
    ・ジェファーソン・コープ: アメリカ人で、レノックスの妻ネイディーンに愛を捧げて、ボイントン一家とも交流を結んでいる。
    ・ウエストホルム卿夫人:アメリカ人で、イギリス貴族と結婚して下院議員となった。激烈な性格!
    ・アマベル・ピアス :いわゆる「悪い人ではないがうざい人(^_^;)」

    ここに、ポアロもいます。

    そして旅行者はヨルダンの首都ペトラ観光に行く。
    さあ!ボイントン家の事情を丁寧に書いた一部の最後で、いよいよボイントン老夫人が毒殺されましたよ!
    (…不謹慎な書き方ですが、ミステリーってエンターテイメントですからね。冒頭で「彼女を殺さねば」と言い会話がありながら殺されなかったらむしろ反則(^_^;)

    老夫人の死に対しての捜査は、アンマン警察署長のカーバリ大佐が行うことになった。彼は旧友のポアロに捜査協力を依頼する。

    被害者は嫌われ者。ポアロ及び我々読者は、ボイントンの子供たちが母を殺したがっていたことも知っている。するとボイントン一家はだれが犯人でもおかしくないし、家族同士で犯人をかばう、つまりみんなの証言が嘘だとも考えられる。

    しかし本当にボイントン家の誰かによる殺人なのか?カーバリ大佐も言っていたけど「レイモンドが犯人というのはあまりにも出来過ぎている」し、他の旅行客だって個性ありすぎる人たちだよ。やっぱり推理小説としては、こんな個性的な人たち出して「ただの同行者で事件に関係ありません」ってことはないよね?
    さあ、読書として楽しくなってきました!

    第一部だけでは、精神的な支配者と被支配者の関係がかなり重苦しかった。推理小説の流れとしてボイントン老夫人は死ぬんだろうけど、死んだからと言って子供たちは社会復帰できるのか?などとも心配しましたよ。
    そして主人公のような立場にいるのが部外者で自立しているサラ・キングのため、ボイントン老夫人が客観的には哀れな女だということも見抜かれる。独裁者気質を持ちながら、ただ自分の子供達にだけしか君臨できないのだから。「私に見えている『哀れな女』という姿をボイントン家の人たちにも見えればいいのに」

    一部だけならそんな重苦しい人間心理劇場として成り立つし、この時代の女性の社会的立場の様子も読み取れる。
    ボイントン家の女性たちが家を飛び出せないのは、何の後ろ盾もない女性が生きていくのは難しいから。
    そこへイギリス人女医のサラ、アメリカ人猛女のウエストホルム卿夫人、仕事は持ってるけど物事を見る目は無いピアス夫人が出て、「女性が社会で活躍することが大切」「社会が良くなるなら男女関係ない」なんて話になります。
    さらに、アメリカ人で良い人のコープ氏に、フランス人で物事を”セックス”重視で見るジェラール博士など、国際色豊かな登場人物が、国民性による性質の違いを見せてきますね。

    でもやっぱり読者としてはミステリーの楽しさも期待しますよね。そこで第二部はポアロの殺人推理が繰り広げられてエンターテイメントとして楽しい。

    そして終盤では自分たちを抑えつけていたものから自由になり、それぞれが自立できた人々のその後が書かれます。
    私としては「ボイントン家の人たちは、老夫人が死んでも今更性格変えられないし、社会生活できるの?」と懸念していたのですが、それぞれ寄り添う人がいるため本来の快活さを取り戻せたのですね。

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    2025年01月03日
  • 葬儀を終えて

    Posted by ブクログ

    「だって、リチャードは殺されたんでしょう?」
    アバネシー家の当主、リチャードが病死した。彼の葬儀の後、遺言公開の座上で末の妹、コーラが口にしたのはとんでもない言葉だった。
    ポアロシリーズ25作目

    上手い……上手すぎるんだよ、クリスティは(笑)
    最初から最後まで、とてもクリスティらしいお話。お金持ち一族の主人が死んで、財産分与で揉めるヤツ。
    それぞれのキャラがやっぱり上手い。やなヤツあり、カッコいい女性アリ、怪しい人あり。
    問題発言をした末妹のコーラの造形がまた良い。

    そして安定のポアロ。この食えないオジ様がたまらん(笑)
    オチにはしっかり驚いたし、安定感抜群なんよなぁ。女王はすごい。

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    2024年10月26日