アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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社長の急死と、遺体のポケットから見つかった奇妙なライ麦から始まる物語は、最初から「何かがおかしい」という空気が張り詰めていて、一気に引き込まれた。マザー・グースの童謡をモチーフにした見立て殺人が、ただの趣向ではなく物語全体を不気味に支配しているのが巧み。
ミス・マープルの登場も印象的で、事件に個人的なつながりがあることで、彼女の正義感や優しさが強く感じられた。登場人物たちの欲望や人間関係の複雑さもリアルで、単なるトリック勝負ではなく「人間の業」を描いたミステリとして味わい深い。
真相は意外性と納得感のバランスがよく、読み終わった後も余韻が残る、さすがアガサクリスティと唸る一冊だった。 -
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結末に賛否があるとのことでずっと読みたかったこちら。核心に近づくにつれて「おいおい…?」となり、ラストのポアロの推理に「それアリ!?」となって、解説を読んで「…じゃアリかー」となりました。
ミステリー好きにはピンとくるのでしょうね。私はそこを全く考えていなかったのでやられた!の一言。確認しながら読み返してしまった。
この方法をよく思いついたなぁ。コレ、ネタバレを踏む前に読めてよかったです。
冒頭でカボチャをブン投げてた隣人(ラストの一文がまた効いてる!)から、語り手であるシェパード先生のお姉ちゃん・キャロラインのウザチャーミングさなど、登場人物のキャラクターも楽しんで読みました。 -
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ネタバレ「〈西洋の星〉盗難事件」
二つとないような物は文字通り二つとない・・・なるほど
ドラマではヘイスティングスが原作よりもおバカに描かれているんだけど、これは視聴者のレベルに合わせてるってことだろうか
「マースドン荘の悲劇」
ドラマではよりホラー仕立て
けっこうひどい事件だよな
「安アパート事件」
原作ではわりとアッサリな(アッサリ過ぎてよく分からなかった笑)ところ、ドラマではいろいろ肉付けされてて楽しかった
「狩人荘の怪事件」
ドラマでは登場人物も増えて、無理じゃん?感があるんだけど、でも視覚的に分かるのは楽しい
「百万ドル債権盗難事件」
そろそろクリスティーにも慣れてきて?さてはこうだなと分かってきた
ドラマだとポアロさん達も乗船するのでとても楽しい
「エジプト墳墓の謎」
殺害方法がひどい
ただこれもドラマはとても楽しい
「グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件」
これもドラマはいろいろ肉付けされて楽しい
ただ映像で見ちゃうとちょっと無理があるな感は否めない
「首相誘拐事件」
これぞポアロの面目躍如という感じ
これはドラマよりも断然情報量の少ない原作が面白い
「ミスタ・ダウンハイムの失踪」
なんだかホームズにも似た話があったぞという
こっちの方が悪質だけども
「イタリア貴族殺害事件」
なるほどこれは思いつかなかった!
ドラマではなんでそんな悲しい設定にしたんだ・・・と思いきや、ミス・レモン強くてよかった笑
てか、ミス・レモンはドラマのオリジナル人物なのね?とても良い
「謎の遺言」
原作は純粋に謎解きっぽいのに、ドラマでは事件になってもうた
さすがに炙り出しはないわーてなったんかな笑
「ヴェールをかけた女」
これもどこかで聞いたような話だけど、さらに一捻りというのがクリスティー流なのか
「消えた廃坑」
ポアロさんがヘイスティングス以外の相棒と冒険!てとこが面白い話と思いきや
阿片窟ってこれまたアレだな
ドラマだと犯人変わってもうてるやん!それはそれで面白かったけど
しかしイギリスのドラマ、チャイナタウンの怪しい中国人好き過ぎだな
「チョコレートの箱」
哀しい事件
ドラマではなにやら表彰されるジャップ警部とベルギーへ
ポアロさんのベルギー警察時代が見えて楽しい
ちゃんと若く見えるビジュアルがすごい
原作での最後はこれまたホームズのやつ・・・てなるけど、ドラマでは過去の友人たちとの再会がとても良い -
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ネタバレアガサ・クリスティー『邪悪の家』は、休暇中のポアロが「何度も命を狙われた」という女性ニック・バックレイと出会うところから始まる。狙撃、事故、毒入りチョコレートと危険が重なり、彼女を取り巻く友人や親族が次々に疑われていく。
最大の魅力は、被害者だと信じていたニックこそが犯人だったという反転。従姉妹マギーとの身代わりや、自作自演の襲撃、遺産を狙った動機が一つにつながる展開には驚かされた。「命を狙われている人」の証言を自然に信じ込んでしまう読者の心理を、鮮やかに利用した作品。派手な仕掛けよりも、人物の思い込みと動機で見せるポアロ作品だった。 -
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ネタバレ『ゴルフ場殺人事件』は、死体の服装、狂った時計、偽の証言、遺産をめぐる思惑が幾重にも重なる、かなり複雑で読み応えのある一作だった。
ルノール氏殺害事件は、途中で「これで解決した」と思わせる真相が何度も提示される。しかしそのたびに、無実の人物が罪を被っていたことが判明し、事件の輪郭がさらに反転していく。ルノール氏は息子の服を着ていたという仕掛けから、ルノール夫妻の再出発の計画、ベラによる刺殺、そしてマルト嬢こそがルノール氏を殺害した真犯人だったという結末まで、最後まで油断できない。
特に面白いのは、物的証拠を重視するジロー刑事と、「小さな違和感」から人の心理と計画を読むポアロの対決。ジローも有能なのに、ポアロは真犯人が初登場した際のほんの一瞬の描写から疑いを抱いていたという。この圧倒的な余裕と、複雑な事件を最後に鮮やかに整理してみせるところが、いかにもポアロらしくて楽しい。ヘイスティングと「シンデレラ」ことダルシーの恋も、重い事件の後味を少し明るくしてくれる。 -
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シリーズの順番を考えずに読んでいるが、特に問題なし。文章は固くなく、やり取りもちょこちょこ微笑ましい場面があり、とても読みやすい。次々に事件が起こるので飽きが来ないし、章も短い。なんといっても、後味がとてもスッキリして爽やか!
あと、全部読んでみて思うのは、とてもちゃんとした推理小説だということ。手がかりは初めから順に差し出され、私たちは星座を探すように、点と点を繋いでいけばいい。分からなくてもポアロがいるから大丈夫。
トリッキーでも、バカスカホームランを打つ派手なタイプでもなく、計算も練習量も見え、犠打も盗塁も守備も「ああ、上手いな」と思わせるような、少し小柄で多才な選手を想像させる小説。最近のミステリーに慣れた人からすれば刺激が足りないかもしれないが、この文章と人物描写、物語の巧みさはやはり凄いなあと思う。
たくさん人物が出てくるが、名前はうろ覚えのまま読み進めた。性格やバックボーンがハッキリしているので、性格が分からないと名前を覚えられない私としては非常に有難い。人を覚えるのが苦手な人でも、ポアロがかなり短く、正確に、人柄や関係性をまとめてくれている箇所があるので気楽に読める……かも。
読んでいて、ポアロは、何も知らない、何の手がかりもない、ということをきちんと話す人だから、信頼が置けるんだなあ……と思った。合理的なだけかもしれないけど、それぞれの事件に濡れ衣をかけられた容疑者がいないことを「喜ばしい」と表現してるのも優しい。それに、どんな人にも論理的な思考があると考え、その人の思考を辿ろうとするポアロは、変人ではあるのだろうが、誰に対しても公平だ。
後日談も素敵だしね。
お気に入りのポイントといえば、序盤のジャップ警部とポアロとヘイスティングズのやり取りは、なんともいえず微笑ましい。とりなそうとして話を蒸し返してヘイスティングズの地雷踏んじゃって慌てて宥めたり、うきうきで他人の恋のキューピッドやったりと、この、髭を大事にしてる小柄なおじさん、もしかして可愛いのでは……? -
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ポアロのもとに老婦人から依頼状が届くが、すでに彼女は2ヶ月前に亡くなっていて…という奇妙な出来事から始まります。
ポアロシリーズの中でも、愛犬家にはたまらない一冊。作中にはクリスティー自身も犬を可愛がっていたんだろうなと思える表現が多く、献辞からも愛犬への深い愛情を感じました。
作中に登場する犬・ボブの気持ちを代弁する場面にはほっこりしつつ、事件の推理はなかなか真相に気付けない!全員が怪しい!すっかりクリスティーの術中にハマっていました。途中、登場人物一覧を見返す人が多いはず。
そしてタイトルの"もの言えぬ証人"とは誰のことなのか、読み終えてから「そういうこと!?」と衝撃。人間の心理や、無意識を巧みに利用するクリスティーの凄さを改めて思い知らされる一冊です。