アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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【戯曲】
『ブラック・コーヒー』『評決』2つの戯曲。
『評決』は隠れた名作だった。
『ブラック・コーヒー』★★
戯曲ならではの演出なので、読むだけだと楽しむのは難しい。特に驚きもなく、ポアロファンは喜びそう。これは違う作品にも使われていたなというシーンが出てくる。
『評決』★★★★★★★★8
めちゃくちゃ好きなタイプの作品で、今だに興奮している(☆▽☆)
私の中では『検証側の証人』以来の大ヒット!!
こんなに面白いのにこんな所に隠れてるなんてもったいない。攻略本でも全く触れてないのが謎。
戯曲ではなく「ノンシリーズ長編」として書かれていたらすごい名作になったんではないかと思ってしま -
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映画化されるほど有名な本作を、ネタバレなしに読めたのは正に幸運。『アクロイド殺し』のように、普通では考えられないような結末に驚きました。とても面白かったです。
あらすじ:
イスタンブール発カレー行きの豪華列車オリエント急行が、雪のためユーゴスラビアで緊急停車して立ち往生。その間、何者かに乗客の一人が殺される事件が発生。偶然乗り合わせたポアロが捜査に乗り出しますが、乗客には完璧なアリバイがありました。そんな中、過去にアメリカで起きた”幼児誘拐殺人事件”が手がかりとして浮上してきます……。
『青列車の秘密』同様に、列車内での密室殺人事件。違いは、『青列車の秘密』のような登場人物それぞれの深掘り -
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【戯曲】
「吹雪の山荘もの」で大好きなクローズド・サークル!
タイトルからは全くクローズド・サークルだと想像できなくて、攻略本でも★3だったのでノーマークだった。
正真正銘のこれぞ王道クローズド・サークルという作品だった。
魅力的なキャラクター、ストーリー、戯曲っぽいラストと全てのバランスが良い。
特にラスト好きだー。
1952年から世界で最長連続上映をしている理由は、このバランスの良さのような気がする。
以前に★10を付けた戯曲『検察側の証人』の方が意外性や面白さからすると断然優れていると思う。
でも子どもでも、ミステリー好きじゃなくても、誰でも楽しめるわかりやすさは『ねずみとり』だ -
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ポアロでもミスマープルでもない、シリーズではない長編ミステリー。今回の探偵役は、牧師の息子で海兵隊上がりの素朴な青年ボビーと、貴族だけど気取らなくてスリル大好きな女子フランキーです。
とにかく主人公のボビーと、フランキーが魅力的。専業探偵ではないので、推理を間違えたり、危なっかしかったりしてハラハラしながら、若くて元気で行動力のある2人がパワフルで、読んでる側も若返ってくる気がします笑
ストーリーについては、アガサクリスティーの作品はいつも犯人もトリックも最後の最後まで分からず、どんでん返しが体感3つはあったように思います。複雑にいる組んでいた事件が解きほぐされて華麗に伏線回収されていくのは -
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【マープル】
冒頭のシーンが魅力的。
舞台は都会ロンドン、古き良きエドワード王朝時代そのままの佇まいを保つバートラム・ホテル。
高級で優雅でゆったりとした時間が流れるホテルに完璧なサービス。
ピカピカの銀製ティーポットで飲む最高級のインド茶葉の紅茶の味は最高だろうなぁ。
その描写がまるで映像のように鮮明に浮かぶ。
「ほんもののシード・ケーキでしょうね?」
出た出たー!!この名セリフ!料理の本で気になってたやつだ。
「だって彼は殺されたんでしょ?」
「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」
など、クリスティー作品はセリフも魅力的で、1度目にすると忘れられない。
由緒正しいイギリ -
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【マープル】
1943年マープル3作目。クリスティー53歳。
前回読んだ『カリブ海』よりも20歳近く若い頃の作品。
クリスティー自身が選ぶベスト10に入っている。
事件は地味なんだけどめちゃくちゃ面白い。
キャラクター、ミスリード、人間ドラマ、演出全てが好きで一気読みだった。
驚くことにマープルは最後の一瞬しか出てこない。でもその一瞬で警察を含め全員が必死に考えてもわからなかったことが、マープルはすぐにわかってしまう。マープルが言った言葉で、全てが一気に解決に進む。
始めからマープルが出ていたらこのカッコよさと気持ち良さはないので、クリスティーは演出も本当に上手い。
・馬のような顔で、犬 -
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私にとってアガサ・クリスティの作品5つめ!ポアロやマープルシリーズではない数少ない作品なのだとか。
個人的には、シリーズものは安心感があってそれはそれで良いけれど、シリーズものじゃない作品の方がハラハラドキドキして好き!向こう見ずなフランキーにヒヤヒヤした〜!最後にタイトルの謎(Why Didn't They Ask Evans?)もばっちり回収していて、めっちゃ面白かったです!途中で気付いたんですけど…Theyなんですよね。
個人的に、名探偵がスマートに事件を解決する話より、主人公がドタバタと四苦八苦して何とか事件の真相に辿り着く話が好きなので、今のところ、アガサ・クリスティ作 -
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【マープル】
マープル2作目『書斎の殺人』から20年経って、クリスティー72歳の時の作品。
『書斎の殺人』の現場となった屋敷が、売りに出されたり、放牧場だった所が新興住宅地になっている。
美しい田園風景が時を経て近代化へと変わりゆく姿に寂しさを感じた。
この作品はポアロではなく絶対にマープルだ。クリスティーがマープルの年齢になってきて2人が重なる。
自分はポアロから読み始めたので、最初はマープルのことが好きになれなかった。
でも今ではマープルならば間違いないという安心感、同性だからこそわかる繊細な気持ちと、美しい田園風景のセントメアリミードが大大大好きだ。
この作品は今までと同じような作 -
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親族全員を庇護していた大富豪ゴードン・クロードが若い娘と結婚した直後、遺言状を更新しないまま死亡した。残された遺族たちは、ゴードンの援助なしには生活できなくなり……。
ポワロシリーズ23作目→
戦時中という環境下、頼り甲斐がある独身貴族の突然の結婚、そして死。残された若き未亡人には厚かましい兄がついていて……とまぁ、揉めそうな要素盛り沢山な設定。それをキャラごとに上手く盛り上げるクリスティの手腕たるや。上手い……ほんとにこの女王は人間ドラマを描くのが上手い。→
そして、しっかりとトリックもある。上手い……二重三重と驚きがあり、ドラマが盛り上がり、きちんと締める。ポアロが今回もチャーミング。 -
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【ノンシリーズ】
またもやすごい作品と出会ってしまった…。
この作品を忘れることはないと思う。
重い余韻が残り、読み終わった後にもずっと考えてしまう。
クリスティー自身のベスト10に入っているのも納得。
ねじれた家に住むねじれた一族。
全員がねじれていて、それぞれが絡まって強い1本になっている。
どんな一族なのかを書くとこの本の面白さが半減するので書かないけど、今までの作品に出てきた一族とは違うタイプの一族だった。
最後の方は犯人が誰か早く知りたくて、目が勝手にどんどん先に進んでしまった。
読み終わってから気になる所を2度読みすると、堂々と伏線が張られていることに驚く。
ここまで書いてるの -
Posted by ブクログ
ネタバレアガサクリスティー作品によくありがちだけれど、今回はポアロにいつも以上に真相に辿り着くのを焦らされた感じがあった。モヤモヤしながらも続きが気になって読み進めて、最後の最後で全て片付いて一気にスッキリした感じ。ここで一気にアガサクリスティー作品の中でもとりわけ印象に残る一作となった。
最後の犯人による独白で語られていた、「罰しないといけない」という言葉が記憶に残った。こういった独善的な処罰感情(そもそも「罰する」という言葉そのものが独善的な気がする)で犯人が凶行を重ねていくのは、『誰もいなくなった』に通ずるものがあると思う。
今回の犯人はまさしく現代で言うところのサイコパス犯人。「チープでな -
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【マープル】
列車に乗っていたマープルの友人は、並走する列車の窓から殺人の現場を見た。
もうはじめから面白い!
殺人を目撃してるのに並走中の列車なので、その場に行くことができないもどかしさ。
位置から判断して、クラッケンソープ家の広大な敷地に死体を投げたのではと、マープルは推理する。
「ウィンザー城のミニチュア版のような家」と書いてある通り、ドラマ版ではお城のような家だった。(お城好きな方はドラマ版もおすすめです!)
マープルはルーシーにクラッケンソープ家に潜入捜査を依頼する。
このルーシーはオックスフォード卒の何でも完璧にできるスーパー家政婦。
美人でクールで魅力的なルーシー。
ルー