アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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「だって、リチャードは殺されたんでしょう?」
アバネシー家の当主、リチャードが病死した。彼の葬儀の後、遺言公開の座上で末の妹、コーラが口にしたのはとんでもない言葉だった。
ポアロシリーズ25作目
上手い……上手すぎるんだよ、クリスティは(笑)
最初から最後まで、とてもクリスティらしいお話。お金持ち一族の主人が死んで、財産分与で揉めるヤツ。
それぞれのキャラがやっぱり上手い。やなヤツあり、カッコいい女性アリ、怪しい人あり。
問題発言をした末妹のコーラの造形がまた良い。
そして安定のポアロ。この食えないオジ様がたまらん(笑)
オチにはしっかり驚いたし、安定感抜群なんよなぁ。女王はすごい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレうーん面白かった!久々の星5つでございます。
証拠的にも動機的にも黒としか思えない状況をどうひっくり返していくのか。
あらゆるクリスティーランキングで、”派手ではないが傑作”と名高い今作を、ついに読むことができました。
あらすじから、エリノアが(おそらく)犯人でないことは明らかなのですが、それを抜きにしても彼女のような女性はとても好みなキャラクターです。クリスティー作品に時々出てくる、知性と品があって自立した女性にめっぽう弱いんだよなぁ。
そしてへっぽこ探偵な私は、「エリノアでないならロディしかありえないのでは?!」と早合点していたため、最後の最後に明かされる謎解きにはびっくり仰天。ポアロさんの入れ知恵はあったでしょうが、なんだか頼りないと言われていた弁護士さんがかなりやり手じゃないか……!
それにしても、人間はやはりゴシップ好きといいますか、調査を進める中で語られるエリノアとメアリイの人柄の描写にはとても興味深いものがありました。
実際の田舎ネットワークには辟易しちゃいますが、この”どこで誰が見て・聞いているかわからない”状況は面白い。物的証拠がほとんど出てこない会話シーンが続くにも関わらず、飽きずに読み通させる筆力はさすがです。
総じて、エリノアというキャラクターも大好きだし、あっと驚く謎解き(解決への糸口のささやかさも加えて)も結末のロマンスも、すべてに拍手!私の中のクリスティーベスト10に堂々ラインナップしたい一冊となりました。 -
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【トミー&タペンス】
1968年クリスティー78歳。
あんなに若々しかったトミー&タペンスが初老に。だけど気持ちは二人とも全然変わってない。
このシリーズは、夫婦が仲良くてどんな時でもポジティブで明るいのが良い。読むほどに2人が大好きになる。
家で待ってる奥さんではなくて、女性が歳を重ねても活躍し続けているのはクリスティー自身のよう。
暴走し続けるタペンスを温かく見守るトミー。この夫婦はいくつになってもお互いをリスペクトしているのが最高。
名脇役アルバートもかなり良い味出してる。
今回は今までのトミタペにはなかった強烈な衝撃もあった。そしてあの一言が光ってる。
クリスティーの名セリフシリーズ好きだなぁ。
「トミーとタペンスは今なにをしてますか?」という手紙が世界各国からたくさんクリスティーに届いたので、この物語を執筆したと冒頭に書いてあった。
手紙を書いた当時の人達、本当にナイス!!
手紙の書き方に愛しか感じない笑
前回の『NかМか』から27年!も経ってるので、待ち望んだリアルタイムのファン達はこの作品を読んでどれだけ嬉しかっただろう。
私は我慢できずに2週間と間をあけず読んでしまって申し訳なくなってきた。
ポアロとマープルは独身生活を謳歌していて、トミー&タペンスは仲良し夫婦で子供もいる。三者三様の魅力的なキャラクターを創り出せるクリスティーは本当にすごい。
どのキャラクターも好き過ぎて、1番好きは選べない。
このシリーズ残すはあと1冊。
あと1冊で2人の世界が読めなくなってしまうなんて寂しい。
しかも『運命の裏木戸』は全ての作品の中でも1番最後に執筆した長編とのこと。
最後に書いたのはポアロでもマープルでもなく、トミー&タペンスだったんだ。 -
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【戯曲】
『ブラック・コーヒー』『評決』2つの戯曲。
『評決』は隠れた名作だった。
『ブラック・コーヒー』★★
戯曲ならではの演出なので、読むだけだと楽しむのは難しい。特に驚きもなく、ポアロファンは喜びそう。これは違う作品にも使われていたなというシーンが出てくる。
『評決』★★★★★★★★8
めちゃくちゃ好きなタイプの作品で、今だに興奮している(☆▽☆)
私の中では『検証側の証人』以来の大ヒット!!
こんなに面白いのにこんな所に隠れてるなんてもったいない。攻略本でも全く触れてないのが謎。
戯曲ではなく「ノンシリーズ長編」として書かれていたらすごい名作になったんではないかと思ってしまう。
どういう方向性で進んでいくのか全く予想できなくて、途中から「そっちのタイプかーーー!!」というクリスティーにしか絶対にできない面白さに持っていく。
この作品はあらすじも何も知らない状態で読んで欲しい作品。
でも派手さはないので、どんでん返しを求めるミステリー好きな人、ポアロ好きな人には刺さらない作品だと思う。
『鏡は横にひび割れて』『春にして君を離れ』のような、後からジワジワくるスルメタイプが好きな人は好きだと思う。
50冊を超えてもまだこんなに面白い作品が隠れているなんて本当に嬉しい。
★10にしなかったのは、最後の終わり方。
戯曲なのでオチをつけないと終われないからこうなったのかな。小説だったら違う結末になっていたのではと思う。 -
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【マープル】
冒頭のシーンが魅力的。
舞台は都会ロンドン、古き良きエドワード王朝時代そのままの佇まいを保つバートラム・ホテル。
高級で優雅でゆったりとした時間が流れるホテルに完璧なサービス。
ピカピカの銀製ティーポットで飲む最高級のインド茶葉の紅茶の味は最高だろうなぁ。
その描写がまるで映像のように鮮明に浮かぶ。
「ほんもののシード・ケーキでしょうね?」
出た出たー!!この名セリフ!料理の本で気になってたやつだ。
「だって彼は殺されたんでしょ?」
「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」
など、クリスティー作品はセリフも魅力的で、1度目にすると忘れられない。
由緒正しいイギリスのシードケーキはミントのようなスースーするケーキらしい。
ちなみに先日読んだ『ミステリーの生まれたところ』によると、このホテルのモデルとなったホテルでも、シードケーキはもう食べられないそうだ。
アメリカのマフィンはおやつみたいで本物じゃないと言ったり、アメリカの朝食と英国の朝食の違いも面白い。
マープルが頼んだホテルの朝食がものすごく美味しそうに描かれていて、読んでいてお腹が空いてくる。
明日の朝は英国式の朝食が食べたくなる。
もうこのホテルの紹介だけで楽しい!
ミステリーとしてはいつまで経っても具体的なものは起こらない。でもホテルという非日常の空間で起きている出来事があるので退屈することはない。
セント・メアリ・ミードが時代と共に現代的になることに「世の中の移り変わりは、やはり受け入れなければいけませんね」と悲しむマープル。
『カリブ海の秘密』のホテルは甥の招待で、今回の高級ホテルは画家である姪が招待してくれた。羨ましいほど叔母想いの甥と姪がいるマープル。
マープルが14歳の時に泊まった思い出のホテル。奇跡的にそっくり昔のまま。
嘘みたいに何もかもが完璧すぎる。
マープルが感じるこの違和感は何なのか?
「例の髪を長くしたビートルズとか何とかいった連中」
なんとビートルズが作中に出てきた!英国だもんね。
私はQueenが大大大好きなんだけど、Queenは1971年からの活動だし、何となくQueenはクリスティーなら顔をしかめそうなので、さすがに出てこないよね…本と全く関係なくてすいません。
登場人物は、大西洋単独横断飛行などをしている女流冒険家とその娘。
今までにない職業と豪快な女性。
そして物忘れが激しい牧師。
私の親も同じような感じなので他人事ではなく心配しながら読んだ。
おやじさんと呼ばれる味のあるデイビー主任警部が今回は事件を解いていく。
マープルはこの作品ではロンドンで買い物を楽しんだりしているのがメインで、いつのものカッコ良さはない。
でもお芝居をして聞き耳を立てて情報を仕入れる探偵みたいなことはやってる笑
ラストは今までになく後味の悪さがあるけど、余韻の残る感じは好きだった。
このホテルが観たくてドラマ版を観たけど、ホテルの雰囲気と女優さん達が本当に素敵で最高だった!
マープル長編の未読は残り『復讐の女神』と『スリーピング・マーダー』の2作品のみ。
どちらを最後に読むかがとても悩む〜!
というのも、『スリーピング〜』はポアロ『カーテン』と同じく、戦争中に自分の身もどうなるかわからない時に書いている。
公開されたのは亡くなった年の1976年だけど、執筆したのは1943年37歳の時。
最終話としては『スリーピング〜』なんだけど、この頃はまだマープル作品を書いたばかりの頃なんだよな。
だから事実最後に書いたマープル作品は、1971年81歳で出版した『復讐の女神』。
『復讐の女神』はクリスティーも愛したマープル作品の本当の最後だと思って執筆したと思うから、どっちから読んだら良いか迷ってしまう…。
そして読んでマープルが終わってしまうのが怖い(╥﹏╥) -
Posted by ブクログ
【マープル】
1943年マープル3作目。クリスティー53歳。
前回読んだ『カリブ海』よりも20歳近く若い頃の作品。
クリスティー自身が選ぶベスト10に入っている。
事件は地味なんだけどめちゃくちゃ面白い。
キャラクター、ミスリード、人間ドラマ、演出全てが好きで一気読みだった。
驚くことにマープルは最後の一瞬しか出てこない。でもその一瞬で警察を含め全員が必死に考えてもわからなかったことが、マープルはすぐにわかってしまう。マープルが言った言葉で、全てが一気に解決に進む。
始めからマープルが出ていたらこのカッコよさと気持ち良さはないので、クリスティーは演出も本当に上手い。
・馬のような顔で、犬のような性質。
穴のあいた靴下を平気で履くような誰からも愛されてない娘。
・都会ロンドンから療養のために田舎セントメアリミードへ引っ越してきた上流階級の兄妹。
他にも愛すべき個性の強い登場人物がたくさん出てくる。でも誰かは犯人なわけで、私の好きな人物が犯人だったらどうしよう…と解説にも同じことが書いてあったけど、私も謎の心配をしてしまうくらい物語に入り込んでしまった。
現在私のNo.1『ホロー荘の殺人』のように、この作品もこの世界観が好きで読み終わるのが寂しかった。いや、どれも面白くてもう順位を決めるのが難し過ぎる。
でもこの地味な面白さは今だからわかるような気がする。
マープルを初めてAudibleで読んだ時は、マープルと噂好きなセントメアリミードのことが想像できなくて面白さに気付けなかった。
ドラマ版を観て一気にその世界観に入れたので、イギリスの田園風景を全く知らなかった私には小説だけでは想像できなくて映像がものすごいありがたかった。
今となってはクリスティーのどのシリーズよりもミス・マープルシリーズが好きになってる。
マープルは気が進まなくて読んでいなかったのに、今ではマープルを読まずに残していて良かった!と心から思う。
この作品は読後感が良くて面白くて幸せな気持ちになった。読書でこんな幸せ気持ちにさせてくれるクリスティーには本当に感謝しかない。
マープル長編作品はあと残すところ4作品になってしまった。もう好き過ぎて我慢出来ないので、マープルを連続して読んでしまおう。
★10
ここからネタバレすみません。
ラブロマンスは全然好きじゃないんだけど、この作品では映画『プリティーウーマン』みたいな感じがたまらなく好きだった。
馬のような顔で、犬のような性質、穴のあいた靴下を平気で履く、誰からも愛されていなかった娘が、どのように変わっていくかは読んでからのお楽しみ! -
Posted by ブクログ
親族全員を庇護していた大富豪ゴードン・クロードが若い娘と結婚した直後、遺言状を更新しないまま死亡した。残された遺族たちは、ゴードンの援助なしには生活できなくなり……。
ポワロシリーズ23作目→
戦時中という環境下、頼り甲斐がある独身貴族の突然の結婚、そして死。残された若き未亡人には厚かましい兄がついていて……とまぁ、揉めそうな要素盛り沢山な設定。それをキャラごとに上手く盛り上げるクリスティの手腕たるや。上手い……ほんとにこの女王は人間ドラマを描くのが上手い。→
そして、しっかりとトリックもある。上手い……二重三重と驚きがあり、ドラマが盛り上がり、きちんと締める。ポアロが今回もチャーミング。ニヤニヤしちゃうんだよねぇ、ほんと。
読みやすいし面白いし驚けるし、いやもう、海外ミステリのお手本でしょ。マイナー作品のこれでこのレベル……すごいわ -
Posted by ブクログ
ネタバレアガサクリスティー作品によくありがちだけれど、今回はポアロにいつも以上に真相に辿り着くのを焦らされた感じがあった。モヤモヤしながらも続きが気になって読み進めて、最後の最後で全て片付いて一気にスッキリした感じ。ここで一気にアガサクリスティー作品の中でもとりわけ印象に残る一作となった。
最後の犯人による独白で語られていた、「罰しないといけない」という言葉が記憶に残った。こういった独善的な処罰感情(そもそも「罰する」という言葉そのものが独善的な気がする)で犯人が凶行を重ねていくのは、『誰もいなくなった』に通ずるものがあると思う。
今回の犯人はまさしく現代で言うところのサイコパス犯人。「チープでない」(奇行に走り殺人に快楽を求めるようなステレオタイプのサイコパス像はなんか薄っぺらくて個人的にあまり好きではない)本物のサイコパス像をこの年代で描けるアガサクリスティー、やっぱりすごい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミス・マープルの連作短編集。
ミス・マープルを囲んで繰り広げられる推理合戦13編。
各自が真相を知っている"迷宮入り事件"を語り、参加者一同が真相を推理し合うもの。
参加者の年齢も職業もバラバラなので、どの事件も変化に富んで面白い。私も一緒に解いてみたけれど13の事件全て惨敗だった。
特に面白かったのは『動機対機会』『二人の老嬢』『四人の容疑者』『溺死』
全ての事件の真相を次々と見事に暴くミス・マープル。自身の住むセント・メアリ・ミード村からほとんど出たこともない彼女はどうしてこんなに簡単に事件の真相を探り当てることができるのか。
「この世の中に起こることは、すべて似たりよったり」
にこやかにサラリと言ってのけるミス・マープル。ポアロと推理合戦で競ったらミス・マープルの方が余裕で勝つのでは、と思えてならない。