アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ネタバレクリスティのミス・マープルシリーズ七作目。この作品から折り返しの後半戦。
マギリカディは、並走する列車の窓から殺人を目撃する。警察に言っても信用されず、また死体も見つからない。友人のマープルに相談すると、ある一族の土地が浮かび上がり…
勝手にトラベルミステリだと思っていたら、まさかの館ものだった。更にアリバイものだと思っていたら、死体消失ものだった笑。認識誤りに気づき驚いたが、ストーリー展開も非常に良かった。
死体消失の謎と、殺した方はもちろん、殺された方は誰だったのか、この謎の設定が魅力的。
ラストが少々強引なので、そこだけは気になったが良作。あと、関係者に次々と言い寄られるスーパーメイドは一体何なんだ笑。 -
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ネタバレ【再読】
エジプトのナイル川をめぐる旅に出かけたポアロ。そこには個性あふれる乗客たちが乗り合わせていた。その中でも特に、リネットとサイモンのドイル夫妻とジャクリーヌが不穏な空気を醸していた。リネットとジャクリーヌは親友同士で、元々サイモンはジャクリーヌの恋人だった。だがサイモンはリネットと恋に落ち、ジャクリーヌを捨てて彼女と結婚したのだった。それ以来ジャクリーヌは二人に付き纏い嫌がらせをするように。
その旅の最中、アブシンベル神殿に立ち寄った際、危うくリネットが落石に巻き込まれそうになる。さらにその夜にはジャクリーヌがサイモンを銃撃する事件も発生する。サイモンの命に別状はなかったものの、そこで使われた銃が忽然と消え、翌朝射殺されたリネットが発見される。リネット殺害の動機を一番持っているのはジャクリーヌだったが、サイモンを銃撃して動揺していたジャクリーヌはその後ずっと監視下にあり、アリバイがあった。
ポアロはレイス大佐とともに乗客たちから事情を聞くことに。その後銃は川で見つかったが、新たにリネットの真珠のネックレスが盗まれていたことが発覚する。犯人の見当がつかない中、今度はリネットのメイド・ルイーズが、さらには犯人を知ったと思われるオッターボーン夫人が殺される。
ポアロはサイモンを犯人だと名指しする。実際にサイモンは撃たれてはおらず、撃たれたふりをしてみながいなくなった僅かの間にリネットの部屋を訪れ妻を殺害、その後自らの足を撃った。つまり、サイモンとジャクリーヌは最初から共犯で、リネットとの結婚で遺産を手に入れる算段をつけ彼女を殺害、その後二人はよりを戻すつもりだったのだ。だがメイドのルイーズにサイモンがリネットの部屋を訪れているところを見られたので彼女を殺害、さらにそれを目撃したオッターボーン夫人も口封じに殺したのだって。真珠泥棒はティムだったが後に改心する。
素晴らしい導入、エジプトを巡る旅情、魅力的な登場人物と人間ドラマ、ポアロの鮮やかな推理。文句なしの名作。特にサイモン、リネット、ジャクリーヌの三角関係と犯行動機が上手い。事件発生までじっくり描かれつつも全く飽きないのも本当にすごい。
●見どころ
・恋がすべてではないと諭すポアロ
・『ひらいたトランプ』のレイス大佐登場
・典型的イギリス人として引き合いに出されるヘイスティングズ -
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新訳をAudibleにて。買って持っているのは旧訳だが名作との噂を聞いてもったいなくてまだ読んでいなかった。好きなマープルとポアロをできるだけ後回しにしてマイナーそうな他作品から読み途中で挫折した20数年前の過ちを繰り返してはならない。
日本の震災の話が出てきた辺りとその後の下りで、やり方はともかく犯人は分かった。鉄壁のアリバイは逆に怪しいよね。凝った見立ての理由が合理的なのが嬉しい。ここがよくわからんとなんでそれやったの?となってしまうので。キャラクターもそれぞれ魅力的で面白い。
そして何よりラストが素晴らしい。
いやークリスティー読んで泣くと思わなかった。最後がとても切なくてよい。ミス・マープルの正義感や人を見る目の確かさ、グラディスからの信頼や彼女の結末の物悲しさ、こんな形で表現されるとどうにもこうにも。
何冊か読んでいて心に刺さったのがこれと『鏡は横にひび割れて』なので、私はもしかしてミス・マープルものの方が好きなんだろうか。オリエント急行とか、ポアロの名作は昔から既に何度も読んでいるのもあるけれど。 -
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audibleにて再読。読むのが20年ぶりでもさすがにこのトリックは忘れられない。クセのある登場人物が多くて、誰も彼も怪しい行動をして捜査を引っかき回してくる。楽しい。乗船客の犯罪者率高め。そして後半ぽんぽん人が死ぬ。いくらなんでももうちょい防げなかったのか。今まで読み返している範囲だと、クリスティーの3冊か4冊に1つは、意外な共犯によって不可能が可能になる話なのではないかという気がしてくる。どっちの犯人も早業が過ぎる。
頭空っぽ直情型みたいに言われているサイモンが意外と賢くかつ咄嗟の判断ができるのですごいなと思う一方、そんなに必死に取り合うような男なの?とはどうしても思ってしまう。明暗分かれる感のある女性陣それぞれの恋愛模様が楽しい。でもアラートン息子はやめといたほうがよい。 -
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『ABC殺人事件』で言及されていたポアロの理想的な事件。若い女性がやたら怖い、ってのと二転三転する真犯人までの流れが面白かったというおぼろげな記憶だけあった。
ブリッジを知っていたらさらに楽しめるかなと読み始める前にgeminiにルールを聞き、ゲームアプリでなんとなく遊び方が分かったところでスタート。思ったよりルールを知らなくても関係ないな?とはなったが、ロリマー夫人の記憶力が恐るべきものであることだけは分かった。なかなか出たカードも覚えられないし一回一回のカードを取れるかどうかだけに必死になってしまうんだけど、ゲームの振り返りを聞くにむしろ冒頭のオークション部分がゲームの鍵というか、流れを物語る&性格が出るものなんだなあ。あとたぶん味方が下手だと敵以上にいらいらするゲームである。CPUをいらいらさせた自信がある。
推理と言えるものなのかはともかく、話の流れがとても面白いし、ほか3人の探偵役も懐かしい。やっぱりキャラクター的には女の子が何考えてるか分かるけど分からなくて一番こわい。殺人がいっぱい。 -
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定石がないことで知られるクリスティによる、まさに「定石崩し」としての手腕が光る一冊。
ポアロという探偵が、単なる論理の塊ではなく、法や正義の先にある「人としての情」を深く理解しているからこそ成り立つ物語の結末は、衝撃的でありながら非常に説得力があった。
特にラストシーンでは、個々のキャラクターの心情をすべて言葉にするのではなく、ひとりの切実な語りにすべてを託して幕を下ろすことで、洗練された深い余韻を残している。
あれこれと語りすぎないからこそ、ポアロたちが下した決断の意味を、自分の中でじっくりと反芻することができるのだと感じた。
こうしたミステリの枠組みさえ自在に操る大胆さの一方で、クリスティは読者を決して置いてけぼりにしない「親切さ」と「フェアな姿勢」を貫いている。
推理の補助線となる読者目線を補完するブークというキャラクターや、物語の合間に挿入される取り調べメモといった構成は、読者がポアロと一緒に謎解きを楽しめるよう配慮された最高のホスピタリティであり、最後まで安心して物語に没入できる素晴らしい読書体験だった! -
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ネタバレ最高傑作に挙げる人が多いのも頷ける物語の完成度となんとも言えない読後感。
静かに罪状を受け入れる無実の淑女…というようなイメージは『杉の柩』と被るものがあり、書かれた時期も近い。この時期のクリスティさんのブームだったのかな。
とは言え内容は対象的と言ってもよく、エリノアの濃厚な心理描写が物語の核だった『杉の柩』と比べ、こちらはキャロライン以外の人物の心理が丁寧に描かれる。
多種多様な人物描写こそクリスティの魅力と思っている自分にはこちらの方が断然好みだった。
特にフィリップとメレディスという全然違うタイプの男ふたりの心理描写は、毎度のことながら「なんで女性なのにこういうこじらせおじさんの心理をリアルに描けるの!?」と驚く。
そして「アンジェラ怪しい!アンジェラ怪しいよー!」と思ったのがクリスティさんの見事なミスリードに乗せられてただけだったと分かる、そういう瞬間がすごく楽しい。
数十年前にクリスティがこれを書いたときに想定した読者に自分がちゃんとなれた喜びというか、時を超えて文によって心が繋がれたような幸福感がある。
「キャロラインはこういう人物です」といろんな人が語ることでキャロラインのパズルのピースが揃っていき、読んでいる間はそんなキャロラインが犯人であることも充分あり得そうに思えてしまうのに、最後ポアロの説明する真実を聞くと最後のピースがばっちりはまった感覚で「あー確かにキャロラインだったらそうするわ」と納得できるようになっている人物造形と構成がほんとに見事でした。
それにしても子豚はあんま関係なかったね。 -
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つい『オリエント急行殺人事件』と呼んでしまうが、この全集では『オリエント急行の殺人』。audibleにて。たぶんポアロのシリーズでは一番好きな作品なので、10回くらいは読んでいるし映画やドラマもたぶんだいたい観ている。最近はaudibleで聴くことがおおいのだけど、ポアロのシリーズのなかで今のところこの作品だけが、たぶんあえての女性による朗読だった。納得のクライマックスの語りの素晴らしさ。紙の本で読んだ時より感動したかもしれない。
原作にないものをあれこれ補足する二次創作って普段あまり好きじゃないんだけど、三谷幸喜のオリエント急行第二夜、犯人の舞台裏の話はたまにもう一度見たくなる。キャラクターは原作と違うところも多いけれど、ばたばたしてなかなかうまく運ばない辺りがそりゃそうだよね、という感じで楽しかったので。 -
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名作ミステリーには苦手意識があり、試しに電子で……と思ったが、なんて読みやすく、なんて面白い! 映画を見てオチを知っているにも関わらず、手が止まることも、支えることもなかった。これなら紙で買えばよかったな……。
ラストは不思議と優しい気持ちになった。犯人が無関係の乗客に配慮していたり、ポアロが激しく責め立てたりしないからだろう。
そういえば、よく、横文字の名前が覚えられないと言う話を聞くが、よく考えると私も名前は覚えられていない。そもそも実際に接している日本人の名前すら覚えていない(笑) 私は個人を性格や考え方や見た目で覚えて、最後に名前で括って覚えているので、そのせいかな。おかげで、会社なんかは人の名前で苦しむことも多い。なるほど、あれが、名前が覚えられずに本が読めないと嘆く人の気持ちなのだな……。 -
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ネタバレトミーとタペンスの最初の話! 実は初めて読んだかも。
二人とも若い。そしてクリスティらしいロマンスもそこかしこにあり。
スパイものって感じでドキドキして楽しかった。
とはいえ途中で怪しいなって分かったけどね。どう考えてもエジャートン卿よ…タイミング的にもどう考えてもそうとしか思えなかったよ。
ジュリアスは、当時のイギリス人が想像する「アメリカ人!」と言う感じで良かった。タペンスを口説いてトミーが悋気を起こす下りは良い。その点、ジュリアスは良い仕事をした。ジュリアスが居ないとトミーとタペンスの物語は始まらなかったね…。
全体的に満足!
個人的には「チムニーズ館の秘密」と同系統のカテゴライズ。 -
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名探偵エルキュール・ポアロの小説は学生の頃結構読んだし、デビット・スーシェのドラマや、いくつかの映画も見ている。
こちらのスタイルズ荘は、ポアロと、記録者で友人でワトソン役であるアーサー・ヘイスティングズ大尉が初めて一緒に行動する物語。犯人もトリックも覚えている状態での再読となるが、それでも犯人やトリックは難しく、小説としても人間心理としてもよくできているし、なんといってもヘイスティングが色ボケしまくっていて「しっかりしろ!」と思いながら楽しく読みました・笑
まあこのころのヘイスティングズは「あなたは若いから」って言われる年齢だしなあ・笑
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大尉のアーサー・ヘイスティングズは療養のために旧友ジョン・カベンディッシュの住むスタイルズ荘にやってきた。
スタイルズ荘の女主人は、老婦人で大富豪でジョンの義母のエミリー・イングルソープ。最近20歳も年下で見るからに怪しく嫌われもんのアルフレッドと結婚したもんだから、彼女の血縁者や長年の使用人たちは穏やかではない。
他にこの屋敷に他に住んでいるのは、
ジョンの妻メアリー、
ジョンの弟ローレンス、
イングルソープ夫人が面倒を見ている娘さんのシンシア、
代表的使用人にはイングルソープ夫人に長年付き添うエブリンというコンパニオン。
エブリンは「奥様はあのアルフレッドに騙されています!」と言って夫人と喧嘩別れして出ていってしまった。
そして数日後、イングルソープ夫人がストリキニーネで毒殺される。
ヘイスティングスは、ジョン・カベンディッシュに「ちょうどこの町に私の旧友で、とても有用な警官だったベルギー人のエルキュール・ポアロが戦争で亡命してきている。彼に捜査を頼んでみてはどうでしょう」と提案する。
こうしてポアロとヘイスティングスのコンビが始まった!ジャップ警部も登場するよ!
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ポアロとヘイスティングスはポアロがベルギーで警官だった頃に知り合ったらしい。ヘイスティングスはポアロにいたく感銘を受けて「戦争が終わったら探偵になりたいなあ。自分の人当たりの良さとか観察眼には自信があるし」なんて密かな夢を持っている。しかし彼の推理力は全く当てにならないってことは、ポアロ読者はよく知られているところ・笑・笑
まあヘイスティングスの正直なところ、記憶力、それを再現して正確に伝える能力、ポアロ記録者としての文章能力はすごいんでしょう。自分が「若いシンシアにも、友達の妻のメアリーにもデレデレデレデレしちゃったよ☆ 相手も自分をにくからず思っているよね☆」なんて書ける正直さ純粋さは彼のいいところってことにしておこう・笑
事件としても、このようになった人間心理としても面白く読みました。