アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ポアロシリーズを読みたいなと思い立ち、とりあえず有名なものから進めていこうということで、「ABC殺人事件」「ナイルに死す」「オリエント急行殺人事件」の順番に読んだあと、なんとなくこちらを手に取りました。
「ABC殺人事件」は結末をあらかじめ知っていたのでそこまでの衝撃はなく、「ナイルに死す」は個人的にあまり好みではなく、そして「オリエント急行殺人事件」でやっと、面白かったな、さすが有名なだけあるなと思ったところで、「アクロイド殺し」。
本当に面白かったです。おすすめしたいです。
こういった推理小説は話の流れから犯人が推測できてしまったり、あっと驚くような展開を作るために無理やり感が出てしまったりするものだと思うのですが、こちらは犯人がわかった瞬間「え!?」と声に出してしまいました。 -
Posted by ブクログ
シリーズの順番を考えずに読んでいるが、特に問題なし。文章は固くなく、やり取りもちょこちょこ微笑ましい場面があり、とても読みやすい。次々に事件が起こるので飽きが来ないし、章も短い。なんといっても、後味がとてもスッキリして爽やか!
あと、全部読んでみて思うのは、とてもちゃんとした推理小説だということ。手がかりは初めから順に差し出され、私たちは星座を探すように、点と点を繋いでいけばいい。分からなくてもポアロがいるから大丈夫。
トリッキーでも、バカスカホームランを打つ派手なタイプでもなく、計算も練習量も見え、犠打も盗塁も守備も「ああ、上手いな」と思わせるような、少し小柄で多才な選手を想像させる小説。最近のミステリーに慣れた人からすれば刺激が足りないかもしれないが、この文章と人物描写、物語の巧みさはやはり凄いなあと思う。
たくさん人物が出てくるが、名前はうろ覚えのまま読み進めた。性格やバックボーンがハッキリしているので、性格が分からないと名前を覚えられない私としては非常に有難い。人を覚えるのが苦手な人でも、ポアロがかなり短く、正確に、人柄や関係性をまとめてくれている箇所があるので気楽に読める……かも。
読んでいて、ポアロは、何も知らない、何の手がかりもない、ということをきちんと話す人だから、信頼が置けるんだなあ……と思った。合理的なだけかもしれないけど、それぞれの事件に濡れ衣をかけられた容疑者がいないことを「喜ばしい」と表現してるのも優しい。それに、どんな人にも論理的な思考があると考え、その人の思考を辿ろうとするポアロは、変人ではあるのだろうが、誰に対しても公平だ。
後日談も素敵だしね。
お気に入りのポイントといえば、序盤のジャップ警部とポアロとヘイスティングズのやり取りは、なんともいえず微笑ましい。とりなそうとして話を蒸し返してヘイスティングズの地雷踏んじゃって慌てて宥めたり、うきうきで他人の恋のキューピッドやったりと、この、髭を大事にしてる小柄なおじさん、もしかして可愛いのでは……? -
Posted by ブクログ
ミステリーでドラマティックでエンタメ。特に、推理のシーンに関しては、舞台を整えて、雰囲気を作って……と、ミステリードラマのような……映像的な盛り上がりがある。容疑者たちに緊張が走る、その空気を感じるようだ。
言葉遣いに「ん?」という違和感はあったが、たぶんそもそもの原稿が読みやすくて面白いのだろう、読み切らされてしまった(笑)
ああ、そして、ポアロが好きになってしまった。この小柄なベルギー人はキャラクターがしっかり立っていて、人をよく見ており、ちょっとお茶目だ。そして、何を考えているかは道中全然教えてくれないが、時に人を後押しし、口を閉じるべき時を知っている。
彼を信頼する一方で、私は犯人である人物を信用出来ず、ずっと疑っていた。そもそも犯行が可能だし、いい人なんだけど好きになれなくて。……だが、途中から「ふんふん、それで?」と物語を追うのが楽しくなったり視点を誘導されたりで、結局はクリスティーの手の平の上……(笑) ラストの一文には、探偵ものの犯人の切実な、ちょっと皮肉げな気持ちがこもっていると思う。 -
Posted by ブクログ
約50年前、ミステリーの名作中の名作「そして誰もいなくなった」を読んだ。ものすごく感動した。ただ、内容で覚えているのは、孤島で10人が次々とマザーグースの童謡の通りに殺され、最後には誰もいなくなることぐらいだ。その本はいま手元になく、おそらく実家の本棚のどこかに眠っている。
アガサ・クリスティーの没後50年の2026年1月に、改訳新版がハヤカワ文庫から出された。そうと知っていたわけではないが、昨年から「オリエント急行の殺人」や「ABC殺人事件」「クリスマス・プディングの冒険」「火曜クラブ」と未読だった作品を気まぐれに読んできて、次はやはり「そして誰もいなくなった」を再読しなくてはと、何の必然性もなく考えたからだ。
読んでみて、愕然とした。全く初めての作品を読んでいる感覚だ。青木久惠さんの新訳が洗練されたわかりやすい文章で、リーダビリティーが素晴らしく高い。再読も一気読みだった。
考えてみれば、半世紀も前に読んだ本の中身を詳しく覚えている方が奇跡だろう。50年前に習った物理・化学・数学・漢文・古文なども、ほとんどきれいさっぱりと忘れているのだから。
「そして誰もいなくなった」が英国で出版されたのが1939年、日本では1955年。たぶん1970年代初めに読んだ私が、いま再読して言えるのは、「そして誰もいなくなった」は時代や社会がかわっても傑作であり続けるという、しごく当たり前のことだけだ。未来の読者も私と同じような感動をきっと味わってくれることだろう