アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ネタバレうーん面白かった!久々の星5つでございます。
証拠的にも動機的にも黒としか思えない状況をどうひっくり返していくのか。
あらゆるクリスティーランキングで、”派手ではないが傑作”と名高い今作を、ついに読むことができました。
あらすじから、エリノアが(おそらく)犯人でないことは明らかなのですが、それを抜きにしても彼女のような女性はとても好みなキャラクターです。クリスティー作品に時々出てくる、知性と品があって自立した女性にめっぽう弱いんだよなぁ。
そしてへっぽこ探偵な私は、「エリノアでないならロディしかありえないのでは?!」と早合点していたため、最後の最後に明かされる謎解きにはびっくり仰天。ポアロさんの入れ知恵はあったでしょうが、なんだか頼りないと言われていた弁護士さんがかなりやり手じゃないか……!
それにしても、人間はやはりゴシップ好きといいますか、調査を進める中で語られるエリノアとメアリイの人柄の描写にはとても興味深いものがありました。
実際の田舎ネットワークには辟易しちゃいますが、この”どこで誰が見て・聞いているかわからない”状況は面白い。物的証拠がほとんど出てこない会話シーンが続くにも関わらず、飽きずに読み通させる筆力はさすがです。
総じて、エリノアというキャラクターも大好きだし、あっと驚く謎解き(解決への糸口のささやかさも加えて)も結末のロマンスも、すべてに拍手!私の中のクリスティーベスト10に堂々ラインナップしたい一冊となりました。 -
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【トミー&タペンス】
1968年クリスティー78歳。
あんなに若々しかったトミー&タペンスが初老に。だけど気持ちは二人とも全然変わってない。
このシリーズは、夫婦が仲良くてどんな時でもポジティブで明るいのが良い。読むほどに2人が大好きになる。
家で待ってる奥さんではなくて、女性が歳を重ねても活躍し続けているのはクリスティー自身のよう。
暴走し続けるタペンスを温かく見守るトミー。この夫婦はいくつになってもお互いをリスペクトしているのが最高。
名脇役アルバートもかなり良い味出してる。
今回は今までのトミタペにはなかった強烈な衝撃もあった。そしてあの一言が光ってる。
クリスティーの名セリフシリーズ好きだなぁ。
「トミーとタペンスは今なにをしてますか?」という手紙が世界各国からたくさんクリスティーに届いたので、この物語を執筆したと冒頭に書いてあった。
手紙を書いた当時の人達、本当にナイス!!
手紙の書き方に愛しか感じない笑
前回の『NかМか』から27年!も経ってるので、待ち望んだリアルタイムのファン達はこの作品を読んでどれだけ嬉しかっただろう。
私は我慢できずに2週間と間をあけず読んでしまって申し訳なくなってきた。
ポアロとマープルは独身生活を謳歌していて、トミー&タペンスは仲良し夫婦で子供もいる。三者三様の魅力的なキャラクターを創り出せるクリスティーは本当にすごい。
どのキャラクターも好き過ぎて、1番好きは選べない。
このシリーズ残すはあと1冊。
あと1冊で2人の世界が読めなくなってしまうなんて寂しい。
しかも『運命の裏木戸』は全ての作品の中でも1番最後に執筆した長編とのこと。
最後に書いたのはポアロでもマープルでもなく、トミー&タペンスだったんだ。 -
Posted by ブクログ
【戯曲】
『ブラック・コーヒー』『評決』2つの戯曲。
『評決』は隠れた名作だった。
『ブラック・コーヒー』★★
戯曲ならではの演出なので、読むだけだと楽しむのは難しい。特に驚きもなく、ポアロファンは喜びそう。これは違う作品にも使われていたなというシーンが出てくる。
『評決』★★★★★★★★8
めちゃくちゃ好きなタイプの作品で、今だに興奮している(☆▽☆)
私の中では『検証側の証人』以来の大ヒット!!
こんなに面白いのにこんな所に隠れてるなんてもったいない。攻略本でも全く触れてないのが謎。
戯曲ではなく「ノンシリーズ長編」として書かれていたらすごい名作になったんではないかと思ってしまう。
どういう方向性で進んでいくのか全く予想できなくて、途中から「そっちのタイプかーーー!!」というクリスティーにしか絶対にできない面白さに持っていく。
この作品はあらすじも何も知らない状態で読んで欲しい作品。
でも派手さはないので、どんでん返しを求めるミステリー好きな人、ポアロ好きな人には刺さらない作品だと思う。
『鏡は横にひび割れて』『春にして君を離れ』のような、後からジワジワくるスルメタイプが好きな人は好きだと思う。
50冊を超えてもまだこんなに面白い作品が隠れているなんて本当に嬉しい。
★10にしなかったのは、最後の終わり方。
戯曲なのでオチをつけないと終われないからこうなったのかな。小説だったら違う結末になっていたのではと思う。 -
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【戯曲】
「吹雪の山荘もの」で大好きなクローズド・サークル!
タイトルからは全くクローズド・サークルだと想像できなくて、攻略本でも★3だったのでノーマークだった。
正真正銘のこれぞ王道クローズド・サークルという作品だった。
魅力的なキャラクター、ストーリー、戯曲っぽいラストと全てのバランスが良い。
特にラスト好きだー。
1952年から世界で最長連続上映をしている理由は、このバランスの良さのような気がする。
以前に★10を付けた戯曲『検察側の証人』の方が意外性や面白さからすると断然優れていると思う。
でも子どもでも、ミステリー好きじゃなくても、誰でも楽しめるわかりやすさは『ねずみとり』だと思った。
「この中で嘘をついているのは誰か?」というシンプルで王道のドキドキ感は、この先もずっと変わらず愛され続ける作品だと思う。
解説によると、この作品はメアリー王女80歳の誕生日記念に書かれたラジオドラマが原型だそう。
誕生日にミステリーのプレゼントだなんて、英国だからこそで知的で素敵だ。
戯曲は登場人物のキャラクターや動き、ト書きなどを頭の中で想像するのがとても楽しい。
第1幕が終わった時は、自分も本を閉じ休憩して演劇を観に行ってる感を出して気分を盛り上げている。
たくさんの観客に楽しんでもらうために練りに練られているので、戯曲は無駄がなくてハズレがない。
クリスティーは小説だけでなく、戯曲もすごく面白い。
自分の夢が一つ増えた。
いつかイギリスで『ねずみとり』を観てみたい。そんな日を夢見て日々頑張ろう。 -
Posted by ブクログ
ポアロでもミスマープルでもない、シリーズではない長編ミステリー。今回の探偵役は、牧師の息子で海兵隊上がりの素朴な青年ボビーと、貴族だけど気取らなくてスリル大好きな女子フランキーです。
とにかく主人公のボビーと、フランキーが魅力的。専業探偵ではないので、推理を間違えたり、危なっかしかったりしてハラハラしながら、若くて元気で行動力のある2人がパワフルで、読んでる側も若返ってくる気がします笑
ストーリーについては、アガサクリスティーの作品はいつも犯人もトリックも最後の最後まで分からず、どんでん返しが体感3つはあったように思います。複雑にいる組んでいた事件が解きほぐされて華麗に伏線回収されていくのはもはや爽快!
ラストも明るくてさっぱりした読後感。
シリーズものでないのがもったいないぐらい、まだまだフランキーとボビーの活躍が見たかったです。 -
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【マープル】
冒頭のシーンが魅力的。
舞台は都会ロンドン、古き良きエドワード王朝時代そのままの佇まいを保つバートラム・ホテル。
高級で優雅でゆったりとした時間が流れるホテルに完璧なサービス。
ピカピカの銀製ティーポットで飲む最高級のインド茶葉の紅茶の味は最高だろうなぁ。
その描写がまるで映像のように鮮明に浮かぶ。
「ほんもののシード・ケーキでしょうね?」
出た出たー!!この名セリフ!料理の本で気になってたやつだ。
「だって彼は殺されたんでしょ?」
「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」
など、クリスティー作品はセリフも魅力的で、1度目にすると忘れられない。
由緒正しいイギリスのシードケーキはミントのようなスースーするケーキらしい。
ちなみに先日読んだ『ミステリーの生まれたところ』によると、このホテルのモデルとなったホテルでも、シードケーキはもう食べられないそうだ。
アメリカのマフィンはおやつみたいで本物じゃないと言ったり、アメリカの朝食と英国の朝食の違いも面白い。
マープルが頼んだホテルの朝食がものすごく美味しそうに描かれていて、読んでいてお腹が空いてくる。
明日の朝は英国式の朝食が食べたくなる。
もうこのホテルの紹介だけで楽しい!
ミステリーとしてはいつまで経っても具体的なものは起こらない。でもホテルという非日常の空間で起きている出来事があるので退屈することはない。
セント・メアリ・ミードが時代と共に現代的になることに「世の中の移り変わりは、やはり受け入れなければいけませんね」と悲しむマープル。
『カリブ海の秘密』のホテルは甥の招待で、今回の高級ホテルは画家である姪が招待してくれた。羨ましいほど叔母想いの甥と姪がいるマープル。
マープルが14歳の時に泊まった思い出のホテル。奇跡的にそっくり昔のまま。
嘘みたいに何もかもが完璧すぎる。
マープルが感じるこの違和感は何なのか?
「例の髪を長くしたビートルズとか何とかいった連中」
なんとビートルズが作中に出てきた!英国だもんね。
私はQueenが大大大好きなんだけど、Queenは1971年からの活動だし、何となくQueenはクリスティーなら顔をしかめそうなので、さすがに出てこないよね…本と全く関係なくてすいません。
登場人物は、大西洋単独横断飛行などをしている女流冒険家とその娘。
今までにない職業と豪快な女性。
そして物忘れが激しい牧師。
私の親も同じような感じなので他人事ではなく心配しながら読んだ。
おやじさんと呼ばれる味のあるデイビー主任警部が今回は事件を解いていく。
マープルはこの作品ではロンドンで買い物を楽しんだりしているのがメインで、いつのものカッコ良さはない。
でもお芝居をして聞き耳を立てて情報を仕入れる探偵みたいなことはやってる笑
ラストは今までになく後味の悪さがあるけど、余韻の残る感じは好きだった。
このホテルが観たくてドラマ版を観たけど、ホテルの雰囲気と女優さん達が本当に素敵で最高だった!
マープル長編の未読は残り『復讐の女神』と『スリーピング・マーダー』の2作品のみ。
どちらを最後に読むかがとても悩む〜!
というのも、『スリーピング〜』はポアロ『カーテン』と同じく、戦争中に自分の身もどうなるかわからない時に書いている。
公開されたのは亡くなった年の1976年だけど、執筆したのは1943年37歳の時。
最終話としては『スリーピング〜』なんだけど、この頃はまだマープル作品を書いたばかりの頃なんだよな。
だから事実最後に書いたマープル作品は、1971年81歳で出版した『復讐の女神』。
『復讐の女神』はクリスティーも愛したマープル作品の本当の最後だと思って執筆したと思うから、どっちから読んだら良いか迷ってしまう…。
そして読んでマープルが終わってしまうのが怖い(╥﹏╥) -
Posted by ブクログ
【マープル】
1943年マープル3作目。クリスティー53歳。
前回読んだ『カリブ海』よりも20歳近く若い頃の作品。
クリスティー自身が選ぶベスト10に入っている。
事件は地味なんだけどめちゃくちゃ面白い。
キャラクター、ミスリード、人間ドラマ、演出全てが好きで一気読みだった。
驚くことにマープルは最後の一瞬しか出てこない。でもその一瞬で警察を含め全員が必死に考えてもわからなかったことが、マープルはすぐにわかってしまう。マープルが言った言葉で、全てが一気に解決に進む。
始めからマープルが出ていたらこのカッコよさと気持ち良さはないので、クリスティーは演出も本当に上手い。
・馬のような顔で、犬のような性質。
穴のあいた靴下を平気で履くような誰からも愛されてない娘。
・都会ロンドンから療養のために田舎セントメアリミードへ引っ越してきた上流階級の兄妹。
他にも愛すべき個性の強い登場人物がたくさん出てくる。でも誰かは犯人なわけで、私の好きな人物が犯人だったらどうしよう…と解説にも同じことが書いてあったけど、私も謎の心配をしてしまうくらい物語に入り込んでしまった。
現在私のNo.1『ホロー荘の殺人』のように、この作品もこの世界観が好きで読み終わるのが寂しかった。いや、どれも面白くてもう順位を決めるのが難し過ぎる。
でもこの地味な面白さは今だからわかるような気がする。
マープルを初めてAudibleで読んだ時は、マープルと噂好きなセントメアリミードのことが想像できなくて面白さに気付けなかった。
ドラマ版を観て一気にその世界観に入れたので、イギリスの田園風景を全く知らなかった私には小説だけでは想像できなくて映像がものすごいありがたかった。
今となってはクリスティーのどのシリーズよりもミス・マープルシリーズが好きになってる。
マープルは気が進まなくて読んでいなかったのに、今ではマープルを読まずに残していて良かった!と心から思う。
この作品は読後感が良くて面白くて幸せな気持ちになった。読書でこんな幸せ気持ちにさせてくれるクリスティーには本当に感謝しかない。
マープル長編作品はあと残すところ4作品になってしまった。もう好き過ぎて我慢出来ないので、マープルを連続して読んでしまおう。
★10
ここからネタバレすみません。
ラブロマンスは全然好きじゃないんだけど、この作品では映画『プリティーウーマン』みたいな感じがたまらなく好きだった。
馬のような顔で、犬のような性質、穴のあいた靴下を平気で履く、誰からも愛されていなかった娘が、どのように変わっていくかは読んでからのお楽しみ! -
Posted by ブクログ
私にとってアガサ・クリスティの作品5つめ!ポアロやマープルシリーズではない数少ない作品なのだとか。
個人的には、シリーズものは安心感があってそれはそれで良いけれど、シリーズものじゃない作品の方がハラハラドキドキして好き!向こう見ずなフランキーにヒヤヒヤした〜!最後にタイトルの謎(Why Didn't They Ask Evans?)もばっちり回収していて、めっちゃ面白かったです!途中で気付いたんですけど…Theyなんですよね。
個人的に、名探偵がスマートに事件を解決する話より、主人公がドタバタと四苦八苦して何とか事件の真相に辿り着く話が好きなので、今のところ、アガサ・クリスティ作品の中でイチオシかも! -
Posted by ブクログ
【マープル】
マープル2作目『書斎の殺人』から20年経って、クリスティー72歳の時の作品。
『書斎の殺人』の現場となった屋敷が、売りに出されたり、放牧場だった所が新興住宅地になっている。
美しい田園風景が時を経て近代化へと変わりゆく姿に寂しさを感じた。
この作品はポアロではなく絶対にマープルだ。クリスティーがマープルの年齢になってきて2人が重なる。
自分はポアロから読み始めたので、最初はマープルのことが好きになれなかった。
でも今ではマープルならば間違いないという安心感、同性だからこそわかる繊細な気持ちと、美しい田園風景のセントメアリミードが大大大好きだ。
この作品は今までと同じような作品だと思っていた。
でも読み終わった後は、今までにない悲劇に読んだ後もずっと辛かった。今も辛い。
小説なのにリアルな怖さがあった。
この作品はネタバレなしでは語れないので、ここからネタバレしてます。
今回初めて犯人に同情し、犯人と同じ気持ちになった。同じ立場だったら私も犯人と同じことをしてしまうかもしれない。
そのくらい今回の被害者は許せなかった。
こういう人の人間描写がクリスティーは抜群に上手い。
そして怖いのは、この被害者みたいな人は身近に普通にいるということ。
自分の周りにもこの被害者みたいな人はいるし、どこにでも結構いると思う。
この作品は実在するアメリカの女優の人生から着想を得て執筆されたと後から知った。
リアルだと思ったらやっぱりそうだったんだ…。
私はこういう作品は心に強く残りすぎて辛くなってしまう…。元気が出る音楽を聴いてリフレッシュしよう。