石田衣良のレビュー一覧
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ネタバレ目次
・西池第二スクールギャラリー
・ユーチューバー@芸術劇場
・立教通り整形シンジゲート
・西一番街ブラックバイト
ユーチューバーや整形依存症など、相変わらず現代の闇を切りとるのが上手い。
しかしそれはもう、池袋だけの問題ではなくなっている。
日本全体が閉塞感に押しつぶされそうになりながらあがいていて、弱者にそのツケを払わせようとしているかのよう。
今の子どもたちが憧れる職業、ユーチューバー。
撮影しているか、編集しているか、企画を練っている。
一日の自分の時間のほぼすべてをそれに捧げて、ようやくユーチューバーとして食べていけるようになったころ、運営から報酬額を一方的に切り下げられる。
数年前に実際にこれが行われたのだとしたら、最近人気ユーチューバーがテレビに出るようになった理由もわかるというもの。
一生懸命作ったものが評価されているのに、金銭的に報われないというのなら、ユーチューブの世界もあまり将来性はないのかもしれないなあ。
そして表題作。
「ブラックバイト」と言っているけど、これは「ブラック企業」の告発だ。
”ひとりの人としてあつかわれない。認められない。口でいうのはカンタンだが、そいつはでたらめに人の心を傷つけることだった。おれたちのまわりには、経済の原理だけで人を切る空気ができていないか。あんたやおれは誰でもいい人間なのだろうか。”
過重労働、過剰な責任。
なのに無謀なノルマがクリアできないと人格を否定される。
「こんなこともできないお前には、この世に居場所なんかどこにもない」と面罵される。
これは若者にだけ起こることではない。
だから中高年の引きこもりが増えているのではないだろうか。
会社にそこまでする権利があるのだろうか。
労働力なんていくらでも補充できる。
人口が減りつつある日本で、どうしてそんな傲慢なことができるのかわからない。
人が人としてきちんと尊重される会社を、どうやって増やしていけるのか。
それはマコトやタカシの仕事ではなく、今の大人たちが考えなければならないことのはずだ。 -
Posted by ブクログ
灰色のピーターパン
小学五年生の子供がマコトに仕事の依頼。健気な理由でパンチラ写真を売りまくるチグハグな子供とマコトとの交流。説教臭くないけど子供の心を入れ替えさせるマコトとの交流は微笑ましい。
サルとの友情もいい。
野獣とリユニオン
凶悪犯と被害者の話。裏の事情を解き明かし、誰も傷つけずに問題を解決するマコト。被害者の言葉に感動。現実にここまで割り切れる奴がいるのだろうか。吉岡やタカシも出てきて、いい味出してる。でも、いい話だね。
池袋フェニックス計画
風俗に流れた姉の救出依頼から、大きな事件へ。色々あったが、最後はマコトらしい裁きで、終わる。後味は悪くない。こういう結末があってもいいかもね。
駅前無認可ガーデン
こういう世界もあるよね。お水の皆さんも大変だもの。 -
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学生の時にこの本を見つけた時は
短編集にも30代の人達の生活や葛藤にも
全く興味がなかったのに
10年以上経った今、興味を持って
前から知ってたこの本を
買って読む気になって
読んだら
いろいろ考えさせられて
あの時と比べて
自分も何かが変わったのかな、と思った。
石田衣良さんは富裕層の表現がうまいので
自分の生き方と登場人物の生き方を比べて
今までの人生、違うの選択肢を選んだ方が
もっと幸せに生きられたのではないか。
と考えさせられることもあるけど
自分はこんな人生を選んだ
違う人はあんな人生を選んだ
っていうことを
客観的に見れれば
もっと楽に生きられるのかもしれないですね。
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Posted by ブクログ
アメリカ人の父を持つ14歳の時田武。事故があっても死ななかったことから〈アンダイング=不死身〉のあだ名がある。顔が東洋系ということで母とともに日本に戻ってきたが、アメリカの血を引くということで様々ないじめ、迫害を受ける。勤労奉仕や食糧不足の中、親友たちと夢を語り合い日々を送っていたが、その日はやってくる。家族を守るために、長い夜が始まった。
戦争の内容で深く暗くならずに、2つの国籍を持つ武の複雑な想いが描かれたのは、そして、厳しい生活の中での青春を描いたのは、石田さんの力だと思います。若い人に読んで欲しい内容だと思うので、硬くなりすぎずにうまくかけているのではないでしょうか。最後の方に、SF要素があったけど、それはそれでより戦争の惨劇が伝わったと思います。最後の方は強烈な内容です。忘れてはならない、2度と起きてはならない。祖母から戦争の話を聞いたことはありましたが、衝撃は強かったです。毎年、忘れないよう読み返したいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ石田衣良の恋愛短編小説集「スローグッドバイ」を読み了える。
脛の傷、心の闇、隠したい過去を抱きながら生き抜く男女を描く10編。性を交す作品が多いけれども、そうでない作品もある。
サクセス・ストーリーへの執着が見られ、シナリオ・ライターとして成功してゆく「曜子」とそれを見守る「史郎」の「夢のキャッチャー」、イラストレーターとして「山口高作」を発掘するPR誌の「サツキ」の「線のよろこび」などがある。
憶測を交す男女が、結末でどんでん返し的に和解するストーリーを含めて、最後の表題作「スローグッドバイ」を除けば、ハッピーエンドの物語である。
「スローグッドバイ」では、2年間の同棲をしていたフミヒロとワカコが別れる事になり、さよならデートをした後、ワカコの見抜いた通り、フミヒロの「心のなかにたくさんの物語があふれていたからだ」と作家的才能の発現を描く。これまでの9編をフミヒロの作品であるかのように、この作品集を2重にフィクション化している。