石田衣良のレビュー一覧
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学校はそんなところ、良いこともあれば、悪いこともある。
東京近郊、昔の名門校である希望の丘小学校5年3組の担任・中道良太が主人公。イマドキの外見であまりに素直、年配の教師にはあまり受けがよくないけれど、ひそかに注目している同僚はいる。5年2組担任・染谷龍一はスマートな外見に要領のよいクラス運営で主任や管理職の覚えもめでたい。しかし、染谷は良太に注目している教師の一人なのだ。主人公良太が中心となり、家庭内暴力、学校内のパワハラ、危機管理と子どもの成長、いじめなどにぶつかっていく姿を描いた物語。重要なのは、良太は熱血でもなく、いい感じに力の抜けた、イマドキの若者であること。何かと熱血だったり聖職 -
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人気作家なのに今まで手を出せなかったのはみうらじゅんのせいです。ひょんなことからみうらじゅんの「いやげ物」をもらうはめになり、それが石田衣良の似顔絵皿だったから。以来、読んでみようとするたびに、似顔絵皿のその顔がちらついてしまい(笑)。で、このたびやっと。
山形県鶴岡市の会社に勤務していた派遣社員が突然契約を解除される。通知の張り紙の前にたまたま居合わせた20代からせいぜい30代前半の4人。これからどうしようと思い悩むなか、そのうちの1人が東京まで歩くという。どうせ急いで東京へ帰ったところで待つ人がいるわけでもなし、新しい仕事があるわけでもなし。とりあえず1日歩いてみるかと、ほかの3人も一緒 -
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私自身、流産を3回経験しており、子供が欲しかったけれど、子供もキャリアも諦めた・・・という40歳主婦。
読み始めは、どうしてこの本を手に取ってしまったのだろうとちょっと後悔をした。
バリバリのキャリアウーマンで、子供を望んでなかったのに妊娠発覚。仕事を続けながら、マタニティライフを過ごすという内容で、読んでいて正直辛かった。
途中で、切迫流産をして入院を余儀なくされ、同室の女性は流産してしまう。その無念さの描き方がとても良かった。
また、父親とも母親とも親子の関係があまりよくないこと、そういう内容が盛り込まれていたからか、途中からは、とにかく、こんな繊細な内容を描けてしまう石田衣良さんは -
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ある青年の虐待の物語。
この世に生まれ落ち、幼稚園に上がる前から、虐待を受ける。平手ではなく拳で。
愛を知らず、優しさを知らず、恐怖と暴力の中でのみ育ちゆく。
父親からの殴る、蹴るは当然で、また母親も子をかばえば自分が殴られる為に、父親以上に子を虐待する。固く捻られた針金のハンガーで執拗に叩き殴り、腫れ上がった傷口の間に更に叩き込む。ミミズ腫れに身体が変形してゆく。そこから冬の寒空に裸で外に出される。
そんな幼少期から、小中高生と事細かに、虐待の連鎖が描写されてゆく。
主人公が高校生になった時、父親が精神を患い入院、さらにそこから病死。
父の死により一時的に虐待の嵐が止むも、暴力に依存していた