石田衣良のレビュー一覧
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パチンコ通いのヨレヨレスウェットを着ていた就職浪人が、株の世界に足を踏み入れ、オーダーメイドスーツなんか着ちゃってみるみるかっこよくなっていく様を想像して、ドラマ化するなら誰かなぁなんて楽しんでいたら、ドラマ化してたんですね、白戸くんは長瀬智也か。
あと小塚老人の黒いガラス玉のような冷たい目が気になる。怖いよね。(ドラマ版小塚老人は植木等)
株の知識はなくても楽しめた。
マーケットとは巨大な生き物とはよく言うけれど、ほんとそれ。
ドヤ(宿の逆さ)ね。よく言うドヤ街ってそういうことね。山谷とかね。
最後は小塚老人に裏切られた白戸君だけど、気持ちのいい終わり方でした。
石田衣良って、こんな経済の話書くんですね!池井戸潤かと思うわね。 -
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すぐに
╍1997年 神戸市連続児童殺害事件╍
(酒鬼薔薇事件)を題材にして書かれた小説だとわかりました
そして 犯罪者家族の立場『少年Aの兄』の視点で書かれています
忘れてならないのは
加害者にも被害者にも家族がいるということ
そして少年Aの兄妹は なんの罪も犯していないのに
社会の厳しい視線に晒され続け、ある意味 "被害者" でもあるということ…
一歳違いの兄が、弟に寄り添うために…ひとりぼっちにさせないために…罪を犯した弟の気持ちを理解したいと、覚悟を持って調査を始める。そんな ひたむきな決意に何度も何度も胸が締め付けられました
被害者の少女の墓前に、毎日花を手向けに行く兄
世間の厳しい目から逃げず 受け入れようとする兄
╍弟を海に投げ捨てるわけにはいかない╍
と 弟と一緒に灰色の海を漕ぎ続けようと強く心に思う兄
「少年法」とか、なかなか難しい問題が浮き彫りにされますが、これは本当に簡単な問題ではないから、そこについては何も言えませんが …
これは小説。
この小説の中の加害者の家族に対しては守られてほしいと思いました。 -
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ついこの前、去年の前作を読んだばかりだが、今年出たこの本は思いのほか早く手に入れることが出来た。
「目白キャットキラー」
過去の愚行を悔いてヴェジタリアンになり動物愛護運動をやる少年のあり様がなかなか泣かせる。
標的の居所を突き止める方法がイージー過ぎるけど、獣医の先生のベタだけどいい味にそれを許せちゃう。
「西池袋ドリンクドライバー」
黒のパナメーラの話は前振りで、それが片付いてからがお話の本線。
いい話で好きなんだけど、この顛末、なんだか時代劇みたいじゃないかい。
「要町ホームベース」
子どもの不登校が増えていることをTVのニュースでやっていたけど、世の中にそんなに多くの、特に高齢の、引きこもりの人がいるなんて知らなかったな。
お話は、ベタだけどなんか切ない、泣ける話。
マコトの母親がいつもながらにいい味。Gボーイズは頼もしいが、もはや会社組織そのものだな。
「絶望スクール」
今ではここに描かれているブラックビジネス以上にコロナ禍が海外から来て働きながら学んでいた人たちに大きな打撃を与えたのだろうな。
いつも時代を先取りしているこのシリーズだが、文庫が出る頃にはさらに世の中が変わっていたという思いもかけない事態。こんなところでもコロナウイルスの異常さが浮き彫りになる。
いつもながらの話の流れで最後はGボーイズが出て来て万事解決という展開にマンネリ感は漂うけれど、いい話が多かったので、ちょっと甘めで★★★★。 -
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ずっと気になっていて、やっと読めた本。
分厚く濃厚な内容、そしてひたすら重い。
果てしなく重い。
家は安らげる場所ではなく、愛を与えられず、抱き締めてもらう事もなく、父からも母からも激しい虐待を受け続けた彼の壮絶な人生は、目を背けたくなり、胸を締めつけられる。
でも、知らないでいる事が一番罪だとも思った。
知らないといけない、知ろうとしなければならないと思った。
人の不幸を目の当たりにして自分を振り返り、なんて幸福なのかとおこがましく思う自分が恥ずかしい。
無条件に受け入れ認めてもらえる事が、誰かに愛された記憶が、その後の人生をいかに豊かにするのか。
不幸の連鎖が取り返しのつかない所までいってしまわない内に、たったひとつの安全基地を見つけられますように。 -
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ネタバレ目次
・約束
・青いエグジット
・天国のベル
・冬のライダー
・夕日へ続く道
・ひとり桜
・ハートストーン
どの短編も誰かとの約束がテーマになっている。
それは事故や病気で亡くなった人との約束だったり、けがや病気で歩くにも事欠くような人との約束だったり。
つまり、下手な人が書けば、ベタなお涙ちょうだい小説になるものばかり。
ところが悔しいことに石田衣良は上手いんだな。
池田小事件のニュースを見て、理不尽に巻き込まれた事件の被害者たちが、苦しみから立ち上がり人生に帰ってくるために、何事かを救い出すことができればと書かれた『約束』は、設定を読むだけでも胸がふさがってしまうほどの苦しみが押し寄せてくる。
憧れのヒーローであり大好きな幼馴染みのヨウジがなぜ死ななければならなかったのか。
カンタはどう考えてもわからない。
本当だったら僕が死ぬべきだったのではないか。
「そんなことない」という周囲の声はカンタには届かない。
そんなカンタを救うのは、やっぱりヨウジなのだ。
ベタなんだけど、ベタなのに…くそぉ、石田衣良め!
もう一つ、『夕日へ続く道』。
特に理由なんかないけど、皆と同じであることを強要される学校に通う意味が分からず不登校を続ける雄吾。
不登校だからと言って引きこもりにはなるまいと毎日公園で一日を過ごしていたが、あるとき廃品回収をしている老人・源一と知り合い、仕事を手伝うことになる。
これはいつか源一が倒れて、雄吾は学校に戻ることになるんだろうと思いながら読んでいたら、見事にそうなりましたよ。
だけど、とても丁寧に描写された起承転結の転は、結がわかっていたって心にぐさぐさ刺さってくる。
最近年のせいか、おじいちゃんおばあちゃんのセリフや行動にやられることが多い。
『ハートストーン』も、ちょっと無理やり感はあるけれど気持ちはわかるなあ。
世の中から悲しみや苦しみがなくなることはないのなら、少しでも和らげられるような事を言ったりやったりできる人になりたい。
そういう年の取り方をしたい、と思う。