石田衣良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中学2年のジャガことミキオには、CMタレントで小学生の妹ミズハと、引きこもりで中学生のカズシがいる。そんな中、ミズハの同級生の女の子が山の中で殺され、そこには「夜の王子」というメッセージが残されていた…。
ジュブナイルチックな設定に、子供視点では柔らかめの表現ではあるものの、序盤からハードな展開になるため、子供向けとは言い難いストーリーである。
「ぼく」という一人称視点のミキオのストーリーと、三人称視点の新聞記者の山崎のストーリーを交互に進めていくのだが、途中でほぼミキオの話だけになる。山崎に何かをやらせたかったのだろうが、少々そのあたりは企画倒れであったか。
ミキオの周辺は、弟に妹だけでなく、友人も少々クセが強めで、石田衣良らしいといえばらしい。それでも、相変わらず石田衣良らしく、キャラクターが薄い。本作においては、冷たく硬いキャラクターで描かれる、すこし不気味な子どもたちの世界という意味では良かった。
後半に向けて、(ミキオだけになっていくものの)話のスピード感は上がっていくのだが、なんでかなあ、「この後どんどんひどくなっていったのだ」みたいな、思わせぶりな表現によって、ストーリーの盛り上がりの腰を折っているように感じざるを得ない部分が見られた。これで☆1つ減点。前にも石田衣良作品でこんなこと書かなかったっけ?
全体には、宮部みゆきを思い出させるような、ねっとりした嫌な気分がスリリングで、よくできた小説だと思う。 -
Posted by ブクログ
そんな時、裏山で女子小学生が殺された。閑静だった住宅街が、突如不穏な雰囲気になった。そして逮捕されたのは、自分の弟だった。なぜ弟は、そんな犯行に及んだのか?調べていくうちに意外な人物が浮上する。いじめや加熱する報道に耐えながらも、同級生ととともに学校生活を送っていく。
もしも、身内が殺人者だった場合。その心境は想像を絶するかもしれません。なぜ?どうしてこんなことになったのか?苦境に立ちながらも、主人公が懸命に闘っている姿にこの先も頑張ってほしいと応援したくなりました。
物語は、加害者の兄(中学生)と新聞記者の2つの視点で進行します。加害者側となる家族は、顔にコンプレックスを持つ兄「主人公」と芸能活動する妹、根暗な真ん中の弟の5人家族です。その家族が、一瞬にして悲劇へと転落していきます。
加害者の関係者側から見た視点は、あまり他の作品でも見ないのですが、ある意味では被害者とも解釈できます。
マスコミや学校などあらゆる攻撃が、家族に襲いかかりますが、その描写は凄まじく、それに耐え抜く兄の心の強さといったら、中学生?と思えるくらい、強かったです。
また、兄と仲の良い同級生も心が強く、圧倒されました。
中盤までは、事件発生後の兄の学校生活が多く書かれています。PTAからの反発、学校のいじめといったシリアスな部分はあるものの、仲間との友情、真っ直ぐな気持ちといった爽やかさが相まって、そんなに重々しい気持ちにはなりませんでした。
むしろ、青春小説としても、読めた部分もありました。兄が好きな植物の知識も披露し、和ませる部分もあったので、マイルドな気持ちになれました。
また、新聞記者の視点では、報道に対しての苛立ちや記者としてのモヤモヤ感も書かれています。
報道って、何でこんなに土足で越えていくんだろう?と思うくらい、雑に取り扱っていることに憤りを感じましたが、これが現実でもあり、「普通」なのかなと思いました。
第三者から見たら、事件の詳細を知りたい欲望がありますし、怒りを感じるかもしれません。
でも、それは犯人だけです。その関係者には、何の罪もないですし、罰する必要はありません。
そういった気持ちをどう抑えればいいのか、一人一人が考えなければいけないなと思いました。
後半では、兄やその仲間に浴びせられたいじめの真相が明らかになります。それだけでなく、昔の自殺や今回の殺人事件には黒幕がいたことを発見します。
それまでとは違い、スピードが加速する感覚でしたし、ずっと兄の視点になっていくので、より一層世界に引き込まれました。特に新たなる黒幕にはゾッとしてしまいました。
その背景には、子供が取り巻く環境に影響するのかなと思いました。何が良くて、何が悪いのか。なかなか10何年という期間では、判断しづらい部分もあります。自分で抱え込むのではなく、周りも協力することが大切だと感じました。
これから先、兄が前向きにさらに弟と真っ正面と付き合っていくことに心の強さが伺えました。