石田衣良のレビュー一覧
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本シリーズ積読3冊目。
骨音はドラマスペシャルの原作をシンプルにした感じでしょうか。
4話目は友人のエディを救えなかったマコトが、自身への無念に駆られている様子もありますが、どこかその無念がエディへの憐れみにシフトしていった感じがあり、少しばかりマコトが切り替えの速い大人になったようにも感じました。
成長を一端を見せられた気がします。
個人的には2話目でマコトの母親がついにセリフ付きで活躍する話が印象的でした。
ドラマでもアニメでも、強い女性でしたが、原作もそのまま。
子どもを救うため、ヤクザだろうがたじろぐことなく面と向かう姿勢。マコトの母親って感じが言葉でも態度でも示されていま -
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自分が若かった頃読んだ本の再読ブームが来ている。
当然ながら昔と受ける印象はかなり違うと感じた。
最初に読んだときはくすぶっている若者の成長譚、あるいは悪事を働いた巨大な銀行を知恵とスキルで手玉にとるクライムサスペンスとして楽しんだものだった。
同じ小説でも時を経て読んでみると依然面白いのだが、なんともやりきれない感じが残った。
「罪と罰の非対称性」とでも云うべきか。
確かこの小説が原作のドラマ「ビッグマネー」では融資つき変額保険を作った張本人(確か原田泰造さんが演じてた気がする)が罰を受けた記憶がある。それがテレビの大衆性ってことなんだろうが、現実はそうは行かない。
大体罪を犯す者と -
Posted by ブクログ
文体が新鮮で、ストーリーに合っている。
ハードボイルドな作品は馴染みがなかったため、最後まで読めるか不安だったが、4つの短編に分かれていたためか、一気に読み通せた。1編目を読んだら、先が気になって、途中からは止まらなくなった。
自分とは縁遠い世界だけに、知りたいと思わされた。そこが私にとってのこの作品の最大の魅力的なとこ。
語り手で、リーダーの真島誠。19歳。仲間のために動く姿がかっこいい。こんな人がパートナーだったらどんな人生なんだろう。きっと毎日がヒヤヒヤだろうな。
自分の性格から考えて、やっぱりこの作品世界の観客で良かったと、読み終わった後しみじみ思った。
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“性の理想と現実と+α”
「セックス」。この言葉に、あなたはどんなイメージがあるでしょう。快感、恐怖、理想、羨望、見栄、羞恥、、、。世の中には童貞の男がいて、忘れられない相手を持つ人がいて、特殊な癖を持った人がいて、欲望を満たしたことがない人がいて、、、。そんな人たちを集めた短編集。セックスにまつわる八つの物語。
ここだから綴れるけど、
共感することがいっぱいあった。
セックスに対する恐怖感に近い気持ち。
経験が少ない人が思うこと。
逆に経験が豊富でもさらに高みがあること。
私は、俊介の恐怖心に共感し、
和也のシチュエーションに憧れ、
瑞穂の行為をゴールにして進みたいと思った。
経 -
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人物描写がとても魅力的な本だった。美丘以外は主人公も含め凡庸で、特に直美なんて空気レベルで数合わせのようで可哀想だが、美丘は確かにいきいきとしており頁を進めるごとに彼女に惹かれていく太一に共感できる。
あらすじは、美丘に太一が惹かれていき交際を始めるも、彼女は不治の病に侵されているというありきたりなもの。しかし、ありきたりな設定でこそ著者の力量が試されるもの。結末は予想できても涙が溢れた。戸田恵梨香が出てた若年性アルツハイマーのドラマを観ていた時も感じたが、どんどん自分が自分でなくなっていく恐怖は計り知れない。ちゃんと約束を果たした太一の深い愛情に胸を打たれた。